製造業がやるべきWebマーケティング戦略を解説|事例やMAツールも紹介
日本には、中小の機械部品メーカーや工業製品メーカーが多数あるものの、Webマーケティングが他の業種よりも普及しにくい特徴があります。
ここでは、今ではビジネスの中心的存在となっているWebマーケティングを、製造業でも活用する具体的な対策をお伝えしていきます。
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製造業でWebマーケティングが普及しない原因とは
製造業でWebマーケティングが普及しない原因はさまざまありますが、主な原因は大きく分けて3つです。
Webマーケティングの知識を持つ人材が少ない
BtoB製造業では、社内にマーケティングの知識を持っている人材がいないことが多い傾向があります。
Webマーケティングの基礎知識がなければ、外部のマーケティング専門会社から有用な提案を受けたとしても、どんな効果をもたらしてくれるのかイメージがつかずにそのまま流れてしまいます。
また、マーケティングが普及していないのでそこにかけるリソースが少なく、専門の部門がないことがほとんどです。他の業務と兼任して行っている場合でも、長期的な活用をしていくマーケティングは優先度として低く捉えられてしまい、実行にいたらないというケースも多くなります。
製品を検索される回数の少なさ
BtoB製造業では専門的でニッチな製品を扱っていることが多く、オンライン上における検索回数が極端に少ない傾向にあるといえます。
顧客ターゲットとなるユーザーがそもそもインターネット上にあまり存在せず検索母数が少ないということは、その分マーケティング効果も薄れてしまうのです。
価値観の違い
製造業の技術は、ひとつ自社独自の技術が確立されれば数十年~数百年というレベルで持つものもあります。
そもそも価値のある情報やノウハウをインターネット上にアップすることで、見込み顧客を獲得していこうというマーケティングと、技術情報の流出に対して非常にシビアな製造業では大きな価値観のズレが生じているのです。
そのため、他の業界と同じ感覚でマーケティングを取り入れるのが難しい背景があります。
製造業のWebマーケティングは顧客ニーズの把握が重要
製造業のWebマーケティング推進を阻む壁は想像している以上に高いです。
しかし、他の業界がマーケティングで成果を出しているように、製造業でも新規顧客を獲得することはできます。
ここで重要なことは、顧客のニーズや行動原理をしっかり把握した上でWebマーケティングに活かしていくことです。
マーケティングの基本は顧客の悩みや課題解決を提案すること
基本となる顧客の興味や悩みを把握し、その課題の解決方法を提案していくことは製造業のWebマーケティングを行う上でとても重要になってきます。
しかし、製造業では「商品の購入を担当する人」と「購入した商品を使う人」と「購入の最終決定権者」が全て異なっています。
そのため、まずはそれぞれの立場のニーズや悩みを把握する必要があります。製造業向けのリサーチサイトや、Q&Aサイトで把握するのがおすすめです。3サイトご紹介します。
■イプロスリサーチ
イプロス会員の中から任意の業種・職種・役職・エリアでアンケート対象者の絞り込みが可能。
市場シェアなどの現状把握、新たな活用アイデアの収集、ニーズや仮説の検証、商品・販促企画の裏付けデータの取得など、ニーズに合わせて設問を設計ができ、BtoB製造業の現場の生きた情報を収集できます。
■技術の森
製造業向けのQ&Aサイトです。
実際に現場で働いている方の悩みや疑問を見つける事ができるので、顧客のニーズがどこにあるのかを把握するのにとても役立ちます。
■OKWAVE
OKWAVEは技術の森と同じQ&Aサイトで、製造業以外のカテゴリーも多数あります。
「[技術者向] 製造業・ものづくり」のページでは実際の利用者の質問が多く、商品・販促企画の際のアプローチのヒントが見つかるかもしれません。
[技術者向] 製造業・ものづくりに関する質問・疑問一覧 | OKWAVE
マーケティングファネルを理解しておく
「マーケティングファネル」とは、消費者が商品の認知から購入に至るまでの段階のことです。しかし、製造業においては一人の人がその段階を経ていくわけではありません。
実際に購入する時にはバタバタと発注先を調べるため、まずは日ごろから発注先リストに入るようなサイトの準備やコンテンツを用意しておくべき必要があります。
製造業の販促活動でやるべき4つのWebマーケティング戦略
ここではWebマーケティングを活用し顧客を獲得するまでに、具体的にどのような戦略を進めていけばいいのかを説明していきます。
戦略1:展示会で獲得した顕在顧客へのメールマーケティング
メールマーケティングとは、展示会やセミナーなどで獲得した見込み客にメールを配信し、態度や行動を変化させ、自社の目的を達成できるように動いてもらうためのマーケティング手法のひとつです。
しかし、顧客のニーズは分散化しており、一人一人に適したコンテンツをタイミングよく提供することは人の手では困難です。その際はMAという見込み顧客に適切なコンテンツの提供や、営業のキャッチアップを行うためにマーケティング施策をサポートするためのツールやソフトウェアを活用しましょう。
メール配信サービスを利用しても一通あたりのコストはわずか数円に抑えられます。コストを抑えながら自社から積極的に見込み客にアプローチできるのは大きな魅力です。
戦略2:コンテンツマーケティングによる技術力の信頼性の発信
コンテンツマーケティングとは自社の強みを売り込む情報ではなく、アクセスするユーザにとって価値あるコンテンツの制作・発信・資料提供をすることです。
潜在顧客を自社のWebサイトへ集客したり、ユーザーの育成や問い合わせ獲得、ファン化を促します。
多くのアクセスユーザーを獲得できるコンテンツマーケティングですが、コンテンツを発信し続ける労力と効果が出るまで時間がかかるというデメリットがあります。このデメリットを社内に納得させられるかどうかが導入までの大きなハードルになるでしょう。
しかし、効果が出るまで続ければ、施策を中止したとしてもコンテンツが財産として残り、顧客獲得の効果が継続するのでブランディングの確立につながるという大きなメリットがあります。
戦略3:広告出稿による顕在顧客へのアプローチ
広告出稿にはいくつかの方法があります。
まずは、製造業専門サイト「イプロスものづくり」への出稿です。イプロスものづくりは、ものづくり分野の製品・サービス・技術情報が集まったデータベースサイトサイトで製造業に関わる顧客にアプローチすることができます。費用がかかりますが、予算的に実施が可能であれば、ページTOPに1か月間バナー画像を掲載できます。
検索キーワードに応じて画面上に表示される「リスティング広告」も効果的な方法です。
BtoB製造業で検索するキーワードは、日常で検索しない特殊なワードが多く、業界外の人が検索することは稀なため、無駄を省けます。
掲載自体は無料で、クリックごとに課金される仕組みとなっているので、マーケティングに予算を取りずらい製造業にはおすすめです。またリスティング広告と合わせて、一度サイトに来訪したユーザー対して、バナー画像広告を出して追いかけるリターゲティング広告も一緒に設定することができるので、あわせて検討すると良いでしょう。
戦略4:製品の訴求力を向上させるLP作成
広告をいくつか紹介しましたが、広告から遷移する先としてLPを作成しましょう。
自社サイトはどんな会社かを伝えることはできますが、せっかくの利用者がサイト内の関係のないページに遷移してしまう可能性があります。そのため自社サイトよりも、サービスや技術をPRするためのセールス的な要素を存分に詰め込んだLP(ランディングページ)に遷移させてください。
課題や問題提起から解決策までを根拠と順序立てて情報を掲載して、いたるところに申し込みへの導線が貼られているLPを1ページだけで作成しましょう。そうすることで、狙ったターゲットへピンポイントに訴求できます。
製造業におすすめなマーケティングオートメーションツール3選
マーケティングオートメーションツールは獲得した見込み客の情報を一元管理し、ウェブサイトなどデジタルチャネルマーケティングを自動化、可視化するソフトウェアのことです。
マーケティングオートメーションツールには、様々な種類が存在しておりコストもバラつきがあるため、ここではおすすめのツールを3種類ご紹介します。
Pardot:セールスフォースと連携可能
Pardot(パードット)は、セールスフォース・ドットコム社が提供する、Salesforceと一体型のマーケティングオートメーションツールです。
顧客のWebアクセス分析や、メールシナリオ設定、Salesforce連携など、マーケティング活動とセールス活動を融合して、営業効果の最大化を実現してくれます。
URL:https://www.salesforce.com/jp/products/pardot/overview/
SATORI:顧客育成を自動化
ウェブからのお問合せ前の匿名顧客に対しても、お問合せ後の実名顧客と同様にアプローチができるのがSATORIの最大の特徴です。
また、まだ自社サイトを訪問していない外部サイトに存在する潜在顧客にアプローチすることもできます。
b→dash:マーケティングに必要な機能を集約
b→dashは、SQLを使わずにノーコードで、そしてAll in Oneでデータの取込・加工・統合・抽出・活用を実現できるデータマーケティングクラウドシステムです。
「誰でも操作できるプロダクト」をコンセプトにしており、データ加工・統合の技術を豊富なテンプレートとして提供しているので、自社に必要な機能だけを選ぶことができます。
URL:https://bdash-marketing.com/
製造業のマーケティング成功事例3選
専門性に特化した商品を扱うことが多くデジタルマーケティングが難しいとされている製造業ですが、どのようにデジタルマーケティングを活用すべきなのか、成功させるために何が必要なのかをしっかり理解することで大きな成果を出せます。
ここでは、製造業のデジタルマーケティング成功事例やポイントを紹介していきますので、ぜひ参考にされてください。
株式会社村田製作所:オウンドメディアによるコンテンツマーケティング
セラミックスをベースとした電子部品の開発・生産・販売を行っている世界的な総合電子部品メーカー株式会社村田製作所の成功事例です。
グローバル市場の拡大を見据えて、2013年にMarketoを導入し、人事採用にデジタルマーケティングの手法を取り入れ大きな成果を上げています。
参考:https://jp.marketo.com/customers/murata2.html
株式会社野口製作所:DMからメルマガを採用したWebマーケティング
昭和42年に設立、金属プレス加工を行っている野口製作所の成功事例です。
郵送DMからメルマガへ変更する際にKairos3というマーケティングオートメーションツールを導入しています。これにより自社の製品に興味のあるユーザーを明確にし、営業スタイルに活用されています。
参考:https://www.kairosmarketing.net/marketing-automation/showcase/noguchi-ss
シコー株式会社 :2名の営業未経験者によるマーケティング法
創立70年の、産業用包装資材を製造・販売しているシコー株式会社の成功事例です。
従来の同業メーカーなどからの紹介が主だった新規案件の獲得方法から、メルマガの配信など新しい案件獲得方法を模索しマーケティングオートメーションツールを導入しています。
未経験者2名で始まったWebマーケティングはとても参考になります。
参考:https://www.kairosmarketing.net/marketing-automation/showcase/siko
まとめ:Webマーケティングの効果測定も行い製造業の事業拡大に繋げよう
製造業のWebマーケティングは難しい部分もありますが、成功事例を見てもわかるように、取り組めば大きな成果をもたらしてくれます。
現在は、製造業でデジタルマーケティングに取り組んでいる企業の割合は低いかもしれません。しかし、今後はネットやアプリ、ソーシャルなどを活用したデジタルマーケティングが主流となっていくでしょう。
今からWebマーケティングに着手して、時代に合わせて変化していくことができれば、BtoB製造業の新しい形が出来上がるかもしれません。
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