マーケティングファネルとは?弊社のBtoBマーケティングへの活用事例
BtoBマーケティングでは、契約に至るまでの間、最適なタイミングで最適な情報を提供することが求められます。顧客が契約までのプロセスの中でどこのポジションにいるのかを明確に把握しなければなりません。そこで役立つのがマーケティングファネルです。
実際にどのようにマーケティングファネルが活用されているのでしょうか。今回は弊社の活用事例も含めつつ、マーケティングファネルの基本をお伝えします。
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マーケティングファネルとは?
マーケティングファネルとは、自社がアプローチした顧客が自社商品を購入するまでの流れ、さらに購入後の行動までを図示したものです。
なぜBtoBではマーケティングファネルが必要なのか?
BtoBはBtoCと比べると決裁フローが複雑で、たくさんの社員が関係するため、成約に至るまで多くの時間を費やします。そのため、成約までのプロセスに応じて顧客が求める情報や価値を提供することが重要になります。
例えば自社商品の存在を認知してすぐの潜在顧客には、自社商品と他社商品の比較表を提供することで商品選択の着眼点をわかってもらえ、自社商品への関心度を高めることができます。しかし、もし商品情報よりも前に購入後のサポートや費用の話をしてしまうと、それは「今すぐに知りたい情報」ではないため、購買意欲を上げることは難しくなってしまうでしょう。
効率的に潜在顧客の購買意欲を上げていくには、適切なタイミングで適切な情報提供を行うことが重要になります。
マーケティングファネルで商品認知から商品購入までのプロセスを設定することで、顧客が今どの段階にいるかを可視化し、それぞれに的確な対応ができるようになります。そこからさらに改善のための課題抽出が可能です。
マーケティングファネルとカスタマージャーニーマップとの違い
マーケティングファネルと似ているものとして「カスタマージャーニーマップ」があります。最近は顧客にアプローチする方法が多様化しているため、顧客が自社の発信情報に触れるタッチポイントも多様化しています。
カスタマージャーニーマップでは、各タッチポイントで顧客がどのような「思考」をして、どのような「感情」を持ったかも重視し、ビジュアル化します。顧客の思考や感情に注視できるのが特徴です。
一方マーケティングファネルでは、顧客が下層に移動する際に行う施策の問題点を抽出できます。どのマーケティング施策がボトルネックになっているか、などを割り出すのに優れています。
関連記事カスタマージャーニーマップの作り方とは?BtoBで失敗しない4つの手順
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マーケティングファネルの種類とは?
マーケティングファネルには3つの型があります。
パーチェスファネル
顧客の行動を「認知」→「関心」→「検討」→「購入」の4プロセスに分類し図示したものを指します。企業側の目線で言い換えると「アプローチ」→「目標・目的」までを表しており、最も一般的な型とされています。
①認知
見込み顧客が初めて商品やサービスの存在を知るフェーズです。
広範な情報源(広告、ソーシャルメディア、ウェブサイト、展示会など)を通じて認知することとなります。
顧客の気持ち |
「こんなサービスがあるんだ~」 |
施策例 |
コンテンツマーケティング:ブログ記事、ホワイトペーパーなど、ターゲット顧客に価値ある情報を提供することで認知を広げます。 SNS:FacebookやXなどのSNSを通じて企業の専門知識や成功事例を共有し、ブランドの認知度を高めます。 広告:ディスプレイ広告などのWeb広告を活用して、ターゲット顧客にリーチします。 |
②関心
見込み顧客が商品やサービスに興味を持ち、詳細な情報を探し始めるフェーズです。サービス紹介資料をダウンロードしたり、ウェビナーに参加するなど、企業と接点をもつようになります。
顧客の気持ち |
「(今抱えている課題に対して)役立ちそうだな、もっと知りたい」 |
施策例 |
ウェビナー:お役立ち情報や商品・サービスの有用性を直接解説するウェビナーを開催することで、見込み顧客の関心を引くと同時に、商品・サービスへの検討度を高めます。 導入事例記事:導入企業の成功事例を記事化し、見込み顧客の自分ごと化を促して、資料ダウンロードやお問い合わせを後押しします。 |
③検討
見込み顧客が商品やサービスを比較・検討するフェーズです。商談で見積もりや提案書を吟味しながら、価格や条件の交渉も行っていきます。
顧客の気持ち |
「どのサービスを導入するか、きちんと吟味して、一番良いものを選びたい」 |
施策例 |
商談:商談時にニーズに応じたソリューションを提示して、クロージングしていきます。この際、 自社製品と競合他社の製品を比較した資料や無料トライアルも有効です。 |
④購入
見込み顧客が、最終的に商品やサービスを購入するフェーズです。
顧客の気持ち |
「社内稟議をスムーズに進めて、導入したい」 |
施策例 |
購入プロセスの簡素化:購入手続きを簡潔で分かりやすくし、顧客がスムーズに購入を完了できるようにします。 |
インフルエンスファネル
購入後の顧客が「継続」利用してくれているか、人に「紹介」したり、SNSなどで関連情報を「発信」しているか、までを表します。
購入前の顧客の行動はパーチェスファネルで図式化しますが、インフルエンスファネルは購入後の顧客に望む行動を促すための施策を考える際に活用します。
①継続
製品やサービスを継続的に利用するフェーズです。定期的に購入したり、長期契約を更新したりします。
顧客の気持ち |
「特に不満はない」 |
施策例 |
サポートの充実:高品質なサポートを提供して、顧客が製品やサービスをしっかり活用できるようにします。すぐに対応して問題を解決したり、アドバイスを提供することが重要です。 定期的な価値提供:顧客に役立つコンテンツや新機能の情報を定期的に提供します。契約者限定ウェビナーやユーザー会なども効果的です。 |
②紹介(Advocacy)
顧客が満足し、製品やサービスを他の潜在顧客に紹介するフェーズです。ポジティブな口コミやレビューを行ってくれます。
顧客の気持ち |
「とっても役立つ!同業の○○さんも探していたので薦めよう」 |
施策例 |
イベント参加:顧客をイベントやウェビナーに招待し、成功事例として登壇してもらいます。 体験談やレビューの収集:満足度の高い顧客に体験談やレビューを書いてもらい、それをウェブサイトやマーケティング資料に掲載します。 |
③発信
顧客がブランドのファンとして、積極的にブランドのプロモーションを行います。SNSや業界イベントでの発信を通じてブランドの認知を広げてくれます。
顧客の気持ち |
「このサービスが好き!ファン!」 |
施策例 |
SNSでのつながり:顧客がソーシャルメディアで製品やサービスについて発信する際に、企業も積極的にエンゲージし、共有やコメントを行います 成功動画:顧客の成功事例や満足度を紹介する動画を制作します。顧客が自社製品やサービスをどのように活用しているかをインタビュー形式で紹介することで、リアルな声を伝えます。 |
ダブルファネル
パーチェスファネルとインフルエンスファネルを合わせた型です。パーチェスファネルからインフルエンスファネルまで一貫して施策を検討したい場合に活用できる型です。企業発信の施策だけでなく、購入者からの発信からも認知度拡大が期待できるため、相乗効果で新規顧客獲得が狙えます。
マーケティングファネルにできることとは?
マーケティングファネルを活用することで、以下のようなメリットがあります。
- 自社の施策を顧客の動きに合わせて検討できる
- 顧客が今どの段階にいるのか把握できる
- ファネルから離脱した顧客を分析して、自社の課題を抽出できる
- 可視化される事で周りへの説明、理解を得るのが簡単になる
BtoBではほとんどの場合、一緒に働くメンバーや社内決裁者など、多くの人が関わってきます。目標を達成するためにはビジョンや課題を共有し、一丸となって業務にあたることが重要です。マーケティングファネルはマーケティング活動の全体フローが分かりやすくビジュアル化できるため、心強い味方になります。
ただし、マーケティングファネルにすべての購買プロセスが当てはまる訳ではない点には注意が必要です。潜在顧客によって実際の行動はさまざまです。ファネル内を進んだり戻ったりするケースもあれば、途中離脱したけどまた戻ってくるケースもあります。マーケティングファネルの型に固執しすぎて、重要な課題を見逃してしまわないようにしましょう。
マーケティングファネルを活用して施策を立案する方法
ここからは弊社ferret Oneのイベント運営チームの施策を例に、実際のマーケティングファネルの活用事例を見ていきます。
弊社ではマーケティングファネルを活用して、顧客ニーズに合ったセミナーの企画・開催を行っています、
具体的には、弊社ではイベント施策として、
・不定期開催:他社と合同の大規模イベント(1000~200名規模)
・毎週開催:BtoBマーケティングに関するテーマを取り扱った無料Webセミナー(70~25名規模)
を開催しています。
参考:実際にferret Oneが開催しているイベント一覧ページ
イベントの企画にあたり、実際に活用したマーケティングファネルがこちらです。
潜在顧客へのアプローチ→無料体験につなげる施策です。全体を見ると、リードの獲得・リードの育成の2部構成となっており、マーケティングファネルを見ると5層の構成になっています。弊社ではferret Oneを「認知」→「関心」→「検討」→「購入」いただくまでに顧客が抱える課題をフェーズ別に想定し、イベントの規模やテーマを決めています。
マーケティングファネルの左右に書かれている各施策と対象の人数を見れば、だんだんと顧客数を絞っていく様子が分かります。マーケティングファネルは5層に分かれていますので、上を1層目として順番に見ていきましょう。
見えない0層目
マーケティングファネルの上に「共催リスト&FB広告」とあります。ここは1層目のターゲットとなる顧客を集めてくるパートです。カテゴリーでいうと「認知」に分類されます。ここで集めた顧客をマーケティングファネルに乗せていきます。
1層目:BtoBマーケサミット
ここも「認知」のパートです。大人数が参加するイベントで、とにかく認知を獲得する事を目標にしています。具体的には600~1000名のリード獲得を目指しています。
2層目:マーケターミートアップ&BtoBマーケセッション
ここは「関心」のパートです。一層目で獲得したリードに興味を持ってもらうために、共催型の2つのイベントを用意しています。自社サービスを使ってもらうとどんな良い事があるのかを紹介して、もっと話を聞いてみたいと思ってもらうためのパートです。具体的には、それぞれの施策ターゲットが200名ずつとなっています。
3層目:BtoBマーケティング実践セミナー
ここは「関心」と「検討」の間と言えるでしょう。興味を持ってくれた方が検討段階へ進めるように、背中を押しているパートです。具体的にはBtoBマーケティングを始める最初のステップである「組織づくり」のノウハウを解説する、ノウハウ体験型イベントを行っています。ターゲットは70名です。
4層目:サイト構築/改善セミナー
ここは「検討」パートです。自社サービスを深く説明し、自社サービスの良さを知ってもらう段階で、ターゲットが30名ずつとなっています。「サイト構築/改善セミナー」という、サイト運営の課題に焦点をあてたセミナーを常時開催。
並行して、随時新たなテーマのセミナーも実施・検証し、どのようなテーマが顧客の課題合っているのか探っています。
5層目:無料体験
ここも「検討」パートになります。実際に自社サービスを使ってもらい、具体的な使い方やメリットを体験してもらう段階です。ターゲットは25名です。
見えない6層目
ここが「購入」のパートになります。5層目から降りてきた顧客が対象になります。
ferret Oneの事例紹介~まとめ~
全体の流れをまとめると下記の通りです。
- ターゲットとなる人を集めて自社の事を知ってもらう
- 認知してくれた人が興味を持ちそうな話題や情報を提供する
- 興味を持ってくれた人が検討してくれるように背中を押す
- 検討に必要な情報を提供する
- 実際に体験してもらって、自分たちに有益だと確信してもらう
自分が物やサービスを購入した体験を思い出すと、似たフローで進んだ経験がある人もいるのではないでしょうか。このマーケティングファネルのように、具体的なターゲット数を付けておくと、各段階で離脱が多い層(課題)を見つけやすくなります。
マーケティングファネルをBtoBに活用しよう
マーケティングファネルを自社で活用できるようにするためには、とにかく自社で試して、失敗を繰り返しながら良い形を作っていくことです。
マーケティングは知識を得た先の実践が難しいところです。自分で進めてつまづいた時は、周りを頼ってみる選択肢を持ってみてもよいでしょう。
ぜひマーケティングを自社のビジネスに役立ててみてください。
弊社「ferret」はBtoBマーケティングを総合的にサポート。マーケティングツールやコンサル・代行支援など、幅広いサービスの中から貴社に最適な解決策を柔軟にご提案します。
コンサルティングでは、貴社の目的や状況にあった戦略を提案し、サイト構築・施策の実行・改善までを伴走サポートします。マーケティングにお困りごとがある方はぜひ資料をご覧ください。