リターゲティング広告の仕組みとは?BtoBでのメリットとCookie規制による今後の動向
リターゲティング広告とは、過去に1度以上自社のサイトを訪れたことのあるユーザーにターゲットを絞り、配信する広告のことです。
あるサイトのサービス情報を見ていて一度サイトを離脱、その後別のWebサイトやSNSを見ている時に、過去に自分が見ていたサービスの広告が表示された経験がありませんか?これがリターゲティング広告によるものです。
この記事では、リターゲティング広告の仕組みやメリットなど基本的な知識や、今後の動向を解説します。
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リターゲティング広告とリマーケティング広告の違い
リターゲティング広告と似た言葉で「リマーケティング広告」という言葉があります。どちらも機能は同じで、広告を出す媒体がどこかによって呼び方が違うだけです。
Google広告では「リマーケティング広告」、Yahoo!広告では「サイトリターゲティング広告」、Facebook、Criteo、BLADEでは「リターゲティング広告」の名称で呼ばれています。
リターゲティング広告はBtoBにおすすめの広告手法です。リターゲティング広告を活用すれば、限られたターゲットを逃すことなく、広告が無駄にクリックされることも防ぎます。
リターゲティング広告のメリットとは?
リターゲティング広告の主なメリットは以下の通りです。
コンバージョンに繋がりやすい
リターゲティング広告により、サービスを認知し関心を持っているユーザーへ最適なタイミングで広告を表示できます。そうすることで、再度成約への意欲が高まり、コンバージョンへ繋がりやすくなります。
ユーザーは基本的にサービスの成約を即決することはなく、他のサービスと比較するために情報収集を行います。そして、ユーザーは時間が経つにつれて成約への意欲が下がっていってしまうのです。
自社のサービスを忘れてしまう前に、再度アプローチさせられるのがリターゲティング広告のメリットとなります。
費用対効果が高い
リターゲティング広告のメリットとして、高い費用対効果を狙えることがあげられます。
広告運用が効率的に行われているかを判断する指標にCPAがあります。CPAはコンバージョン1件にかかった広告費用のことで「クリック単価÷コンバージョン率」で求められます。
コンバージョン率が上がれば、CPAは下がり費用対効果が高くなるのです。クリック単価が低く、コンバージョン率が高いリターゲティング広告は、広告費用を抑えられます。
BtoBではクリック単価は高くなりがちですが、ニーズのあるユーザーにターゲットを絞ることで、無駄な広告表示を減らせます。コンバージョンに繋がりやすいユーザーに対して広告を表示する、という特徴が、費用対効果が高くなる理由です。
リターゲティング広告のデメリットとは?
リターゲティング広告で考えられるデメリットは、主に以下のとおりです。
単純接触効果には弊害もある
基本的に、リターゲティング広告は単純接触効果を求めるものです。単純接触効果とは、接触回数が増えることで好印象を抱くようになる効果のことを指します。頻繁に見かけるCMやよく耳にする楽曲をいいものだと感じることは単純接触効果によるものです。
リターゲティング広告は単純接触効果を見込めますが、頻繁に同じ広告に追いかけられるとユーザーは不快に感じてしまうこともあります。企業のイメージダウンにならないよう、フリークエンシーキャップを利用し、広告を表示する上限回数を設定することが必要です。
新規顧客の獲得には繋がらない
リターゲティング広告は、サイトを訪れたことがあるユーザーをターゲットにする広告手法のため、サービスに関心がなかったり、認知していないユーザーにはアプローチできず、新規顧客の獲得には向いていません。
ターゲットを増やすためにも、新しくサイトへ訪問するユーザーも重要です。リスティング広告やディスプレイ広告を併用し、新規顧客を獲得するようにしましょう。
リターゲティング広告の仕組みとは?
リターゲティング広告はCookieの仕組みを利用し、ターゲットに対して広告の配信を行っています。詳しい仕組みは以下より説明します。
1.タグを設置する
リターゲティング広告を始めるには、広告媒体が発行するリターゲティング用のタグを特定のページに設置しておく必要があります。
タグはブラウザに対し指示する機能をもっており、リマーケティングタグはサイトを訪れたユーザーにCookieを付与するために必要なタグです。
対象とするWebページすべてにタグの設置をしなければなりません。広告媒体ごとにもタグは必要なので、Yahoo! JapanとGoogleを媒体として利用するのならば、それぞれから発行されるタグを設置する必要があります。
2.Cookieの付与・リスト作成
ユーザーがタグの設置されたサイトを訪れると、ブラウザを通してCookieが付与されます。
Cookieとは閲覧したWebサイトのWebサーバーから発行されるファイルで、ログインIDや閲覧履歴、訪問回数などの訪問したサイト情報をデバイスに一時的に保存します。
再度そのサイトを訪問した際にデバイス側のWebブラウザがCookieをサーバーに送信することで、保存された情報がWebサイトに提供され個人が特定できる仕組みです。
SNSなどでパスワードやIDを入力しサイト訪問・離脱後、しばらくしてアクセスすると再び入力の必要性がないのはCookieのおかげです。
リターゲティング広告はCookieに保存された情報を元にユーザーを特定し追いかけます。
Cookieが付与された配信対象者はリスト化されます。ユーザーの状況に合わせ、細かくリスト化することが可能です。
3.配信する
配信リストに対象者が一定人数集まると配信が可能になります。Yahoo! JapanやGoogleといった広告媒体のWebサイトに、ターゲットであるユーザーが訪れると広告が表示されます。
競合他社にユーザーを奪われたり、成約意欲が下がらないよう、数日以内に配信するといいでしょう。
リターゲティング広告はリストが重要
リターゲティング広告ではリストの分類が重要になってきます。
より効果的な広告配信が行える
サイトを訪れたユーザー全体・性別・年齢や、コンバージョンの達成度・サイト訪問からの経過日数などでリストを分類します。分類することでユーザーに合わせた広告配信が行えます。
トップページだけではなく、サイトのさまざまなページを訪れたユーザーへは広告表示の頻度をあげることもできます。また、リーセンシーの情報で分類すれば、ユーザーの成約に対する意欲が高いうちに広告の配信を行うことが可能です。
リーセンシーとはユーザーが再び広告を見るまでの間隔のことです。リターゲティング広告でもリーセンシーの考え方が用いられており、サイトに再度訪れるまでの間隔のことを意味します。リーセンシーの間隔が短いほど、ユーザーのモチベーションは高く、コンバージョンに繋がりやすくなります。
コンバージョンを達成した訪問者は除外設定で配信しないようにできます。ただし、再契約が考えられるような事業サービスの広告は、定期的に配信を行う必要があるので注意しましょう。
広告配信対象者を細かく分類し、分類に応じた広告配信を行うことで、より効果的な広告配信が可能です。
リストの人数が溜まらなとそもそも広告配信できない
リストの人数が一定数に達しなければ、広告の配信はできません。
例えばGoogleでは過去30日間のアクティブユーザーの数に条件があり、ディスプレイネットワークの場合は最低100人、検索ネットワークでは最低1000人のリスト人数が必要です。
Yahoo!広告でも1000人以上の対象者がリストに集まらなければなりません。
リターゲティング広告の媒体と種類を選ぼう
リターゲティング広告は、媒体と種類を選ぶことが重要です。
媒体を選ぶ
リターゲティング広告ができる主な媒体には以下のようなものがあります。
- Google ディスプレイネットワーク
- Yahoo! ディスプレイアドネットワーク
- SNS(Facebook、Instagram、Twitter)
- Criteo
それぞれの媒体が提供するサービスや提携サイトでの広告配信が可能です。メインユーザー層など媒体の特徴を活かして広告配信先を選びましょう。
広告の種類を選ぶ
広告の種類も重要です。具体的には以下のようなものがあります。
標準のリマーケティング
ユーザーが広告表示枠のあるWebサイトを利用している際に広告を配信します。画像やテキストといった形で広告が表示されます。
動的リマーケティング
ユーザーの過去の閲覧履歴に応じて興味を持っていそうなサービスを自動的にカスタマイズして広告を表示します。ユーザーそれぞれに合わせた広告が配信できる点が特徴です。
動画リマーケティング
自社の動画を閲覧したユーザーに対し、YouTubeなどで他の動画を見ている際に広告を配信します。
検索広告向けリマーケティングリスト
検索行動を行っている際に表示される広告です。1度サイトを離脱したユーザーが企業が登録したキーワードで検索を行った際に入札を高め、広告を上位に表示させます。
リターゲティング広告の費用目安は?
リターゲティング広告の課金方法は。クリック課金かインプレッション課金のどちらかになります。
クリック課金
クリック課金は広告がクリックされると課金される仕組みなので、どれだけ広告が表示されようと、クリックされるまで費用はかかりません。
広告に興味がなければクリックされないので無駄な広告費用はかかりませんが、ユーザーが間違ってクリックした場合にも課金されるといった悩みもあります。クリックされているにもかかわらず、コンバージョンに繋がらない際には注意が必要です。
1クリックあたり数十円〜数百円ですが、競争の激しい広告であれば1クリック1000円を超えることもあります。
インプレッション課金
インプレション課金は、広告が1000回表示されるごとに課金される方式で、1000回表示されるまでは課金されません。
クリック率が高い広告であれば、インプレッション課金の方が費用対効果は高くなりますが、配信対象者が多いほど広告費用はかかります。
1000回表示されるごとの金額は数十円〜数百円です。リターゲティング広告の費用は媒体によって異なります。1日の上限金額を設定しておけば、予想していた以上に広告費用がかかったという事態はないでしょう。
リターゲティング広告が使えなくなる?
プライバシー保護の観点からCookieの利用が制限され始め、今後リターゲティング広告ができなくなる可能性があります。
Apple社はすでにSafariでのサードパーティCookieの利用を規制しました。GoogleもChromでのサードパーティCookieの利用を2023年までに廃止するとしており、ユーザーを特定するような情報の入手ができなくなります。
代替案として、GoogleがFLoCといったCookieに代わる手段を開発したり、IPアドレスを利用しユーザーを分析できるツールも登場しています。これらは個人が特定できないよう配慮された仕組みになっています。
他にも顧客データやGoogleアナリティクスを活用したり、メルマガ登録をしてもらいメール配信をして既存の顧客とのつながりを強化するなどの代替案が検討されています。
将来、リターゲティング広告の効果は減少する恐れがあるので、企業は対策が重要です。
今後を見据えながらリターゲティング広告に取り組もう
リターゲティング広告はターゲットをニーズの高いユーザーに絞り広告を配信する広告で、BtoBにおいても効果的です。費用対効果の高い手法のため、広告業界ではとても便利な広告手段として活用されていますが、配信の頻度には注意が必要です。
リストを細かく分類し、より効果的に配信ができるようしっかり分析を行いましょう。
さらにCookie規制によりターゲティング広告ができなくなる可能性があるため、今後の動向には注意が必要です。代替案を考えながらリターゲティング広告に取り組み、コンバージョンアップに繋げましょう。
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