SaaSのビジネス用語を使いこなす!1年目マーケターが覚えておきたいキーワード

クラウド上でのサービス提供に注目が集まり、近年スタートアップでSaaSビジネスを始める企業も増えています。しかし、一般的なマーケティング用語と比べると、SaaS用語は違った言い方で、なんだか分かりにくいものも多いですよね。
本記事では、独特な言い回しが多いSaaSの専門用語の中でも、ビジネスの現場で使う頻度が高い重要なものを中心にご紹介します。おさえるべきキーワードとして、ぜひ参考にしてください。
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目次[非表示]
- 1.SaaSとは?
- 2.マーケター1年目がおさえるべきSaaS用語
- 3.まとめ
SaaSとは?
SaaS(サースまたはサーズ)は、「Software as a Service」の略で、ソフトウェアによるWebサービスの総称です。製品化されたパッケージを売るのと違い、クラウド上でサービスを提供するので、ネットがあればすぐ使える利便性が大きな特徴です。
BtoBの事例では、中小企業向けのグループウェア「サイボウズOffice」や、業務アプリプラットフォーム「kintone」、法人向けクラウド名刺管理サービスの「SanSan」等が有名です。
弊社が提供している「ferret One」をはじめとしたWebマーケティング支援ツールもSaaSに含まれます。
マーケター1年目がおさえるべきSaaS用語

ここからは、SaaSビジネスでよく使う重要な用語を、テーマごとに整理してご紹介します。
収益に関するSaaS用語
SaaSのビジネスは、「一度買ってもらったら終わり」の売り切り型ビジネスではありません。顧客企業が製品・サービスを契約すると、契約期間中ずっと収益が発生するため、念頭に置いて事業設計・経営管理する必要があります。
通常のビジネスモデルとの違いから、SaaSビジネスでは、年間・月間で期間を区切った収益を把握したり、現時点での確約された収益で今後の道筋を判断したりするのが一般的です。この収益の見方に紐付き、SaaS用語をおさえておくとよいでしょう。
| 用語 | 読み方 | 英語表記 | 日本語訳 | 詳細 | 
|---|---|---|---|---|
| MRR | エムアールアール | Monthly Recurring Revenue | 月次経常収益、月間定期収益 | SaaSビジネスにおいて、毎月発生する収益額。 MRRとは? SaaSビジネスの重要指標と計算方法をわかりやすく解説 | 
| ARR | エーアールアール | Annual Recurring Revenue | 年間経常収益 | SaaSビジネスにおいて、毎年発生する収益額。MRRが月間、ARRが年間の売上。 ARRとは?SaaSビジネスの重要指標となる要因と計算方法 | 
| CMRR | シーエムアールアール | Committed Monthly Recurring Revenue | 既決月次経常収益 | MRR(月次経常収益)の中でも、契約により確約された月間収益額を示す指標。初期費用など1回きりの支払い費用は含まず、今後の解約・アップグレード・ダウングレードも加味した収益額で、MRRより将来得られる予測精度の高い収益額となる。 | 
| ACV | エーシーブイ | Annual Contract Value | 年間契約金額 | 製品・サービスの契約により、顧客が1年間に支払うことになる金額の合計。 | 
| TCV | ティーシーブイ | Total Contract Value | 合計契約金額 | 製品・サービスの契約により、顧客が契約期間内に支払うことになる金額の合計。TCVを年間で区切ったのがACV。 | 
| SaaSクイックレート/クイックレート | サースクイックレート/クイックレート | SaaS Quick Ratio/Quick Ratio | 当座比率 | 増加したMRR(月間経常収益)と減少したMRRの比率を表す経営指標。MRRが月ごとの成長率を測るのに対し、継続的な収益を得られるか否かを測るのに役立つ。 | 
| ARPA | エーアールピーエー | Average Revenue Per Account | アカウントあたりの平均収益 | 1つのアカウントにつきどのくらいの収益に貢献しているかを示す指標。1人で複数アカウント持っている場合、母数は「アカウント数」となる。 ARPAとは | 
| ARPU | アープ | Average Revenue Per User | ユーザーあたりの平均収益 | 1人のユーザーにつきどのくらいの収益に貢献しているかを示す指標。1人で複数アカウントもっていても、母数は「1」となる。 ARPU(アープ)とは? SaaSビジネスで重要視される意味と計算方法 | 
| ASP | エーエスピー | Average Sales Price | (新規顧客の)平均収益 | 1件の新規顧客につきどのくらいの収益に貢献しているかを示す指標。ARPU(ユーザーあたりの平均収益)の新規顧客に絞った収益となる。 | 
| エクスパンション | エクスパンション | Expantion | 伸長 | 顧客が製品・サービスをアップグレードする等して、収益額が上がること。 | 
| コントラクション | コントラクション | Contraction | 収縮 | 顧客が製品・サービスをダウングレードする等して、収益額が下がること。 | 
投資回収に関するSaaS用語
SaaSビジネスに限った話ではありませんが、マーケティングの本質は「費用対効果的に集客し、投資したコストを早期に回収する」です。
そのためにも、いくらの投資コストに対して、成果がどれほど出ているのか、正確に把握し、適切に運用・管理していく必要があります。
特に、下記に出てくる「CV」や「LTV」は、SaaSビジネスだけでなく、マーケティング界隈でも重要用語としてよく出てきますので、しっかりとおさえておきましょう。
| 用語 | 読み方 | 英語表記 | 日本語訳 | 詳細 | 
|---|---|---|---|---|
| CV | コンバージョン | Conversion | 成果 | マーケティングで獲得すべき最終成果を示す指標。 | 
| マイクロコンバージョン | マイクロコンバージョン | Micro Conversion | 小さな成果、成果の途中地点 | Webサイトなどの成果であるコンバージョンに至る課程において発生する、重要なアクションや接点。 | 
| CVR | シーブイアール | Conversion Rate | 成果率 | 広告を配信・出稿してどのくらいコンバージョン(成果)に繋がったかを示す指標。 CVR | 
| LTV | エルティーブイ/ライフタイムバリュー | Life Time Value | 顧客生涯価値 | 顧客が企業に生み出す利益を、1件当たりの平均で算出した指標。 ライフタイムバリュー(LTV) | 
| CAC | シーエーシー | Customer Acquisition Cost | 顧客獲得単価 | 顧客を1件成約・獲得するのにかかった費用を示す指標。 CACとは? BtoBビジネスでの活用ポイントと運用・計算方法 | 
| ユニットエコノミクス | ユニットエコノミクス | Unit Economics | 顧客1人あたりの採算性 | CAC(顧客獲得単価)とLTV(顧客生涯価値)とで示される、顧客企業1社あたりの収益性。LTV÷CAC で算出する。 | 
| CAC ペイバック ピリオド | シーエーシーペイバックピリオド | Customer Acquisition Cost  Payback Periods | 顧客獲得コスト回収期間 | 収益を得ることで、CAC(顧客獲得単価)をいつ頃回収できるか示した指標。 | 
| バーンレート | バーンレート | Burn Rate | 資金燃焼率、現金燃焼率 | 会社を経営する上で1ヶ月あたりに消費されるコストがどれくらいかを示す指標。 | 
| ランウェイ | ランウェイ | Runway | 猶予期間 | 会社の資金が底をつくまでの期間。 | 
| ZCD | ゼロキャッシュデート | Zero Cash Date | 資金ゼロの時期 | 新たな資金調達を行うべき時期の目安。新たな収益がなくなった時にキャッシュアウトする時期を示す。 | 
| T2D3 | ティーツーディースリー | Triple, Triple, Double, Double, Double | 3倍、3倍、2倍、2倍、2倍 | SaaSビジネスで安定的に運用するための考え方のひとつ。「5年間で売り上げ72倍」を目指すというもの。 | 
ユーザーの類型に関するSaaS用語

SaaSビジネスでは、顧客企業の担当者であるWebユーザーがどのような状態なのかにより呼称が変わります。ユーザーの状態に合わせてマーケティングの戦略も変わるので、認識の齟齬が起きないよう正しく把握しておきましょう。
また、ユーザー属性の分類で「RFV(Recency|直近の利用状況・Frequency|利用頻度・Volume|利用量)」の視点が重要と言われるのもSaaSビジネスの特徴。こちらもあわせて抑えておくのがおすすめです。
| 用語 | 読み方 | 英語表記 | 日本語訳 | 詳細 | 
|---|---|---|---|---|
| RFV | アールエフブイ | Recency・Frequency・Volume | 直近の利用状況・利用頻度・利用量 | SaaSビジネスを推進する上で、顧客を分類する3要素をまとめた言葉。直近の利用状況・利用頻度・利用量を指標とし、顧客へのアプローチを検討することで、マーケティングの精度を高める。 | 
| SQL | エスキューエル | Sales Qualified Lead | 営業による認定済み見込み客 | 営業チームがフォローすべき対象として判別した見込み客。 SQLとは | 
| MQL | エムキューエル | Marketing Qualified Lead | マーケティングによる認定済み見込み客 | マーケティング部門がさまざまなチャネルから獲得した見込み客。自社商品・サービスへの興味をさらに深めてもらう段階。 | 
| AU | エーユー | Active User | 活動顧客 | 自社の製品・サービス利用を継続して行っている活動的な顧客。 | 
ユーザーの継続度に関するSaaS用語
SaaSでは、製品・サービスの契約期間中、継続して利益が発生します。ユーザーにいかに長く製品・サービスを利用し続けてもらうかが、ビジネスの成果に大きく影響します。そのため、ユーザーの継続度を示すSaaS用語が複数あります。
また、活動的なユーザーを増やしたり、ユーザーに対し価値ある体験を届けることも、売上貢献につながります。ユーザーへのアプローチを検討する場で議論ができるよう、ユーザーの継続に関する用語をまとめておさえましょう。
| 用語 | 読み方 | 英語表記 | 日本語訳 | 詳細 | 
|---|---|---|---|---|
| NPS | エヌピーエス | Net Promoter Score | 顧客推奨度 | 顧客がどのくらい企業のサービスを他者に勧めたいと感じているかを可視化した指標。 | 
| NRS | エヌアールエス | Net Repeater Score | 顧客継続度 | 顧客がどのくらい企業のサービスを続けたいと感じているかを可視化した指標。 | 
| CRR | シーアールアール | Customer Retention Rate | 顧客維持率 | 一定期間内で、顧客がどの程度維持できているかを示す指標。 | 
| NRR | エヌアールアール | Net Revenue Retention | 売上継続率 | 顧客からの収益が、一定期間でどれほど増減しているのかを示す指標。 | 
| チャーンレート | チャーンレート | Churn Rate | 解約率 | 顧客が自社の商品やサービスを解約した率を示す指標。 Churn Rate(チャーンレート) | 
| カスタマーサクセス | カスタマーサクセス | Customer Success | 顧客の成功体験 | 積極的に顧客への働きかけを行い、顧客が望む価値を実現するために自社の製品・サービスを最大限活用できるよう支援する取り組みの総称。 カスタマーサクセスとは何か?担当者が注意すべき4つのポイントと実態を語る! | 
ユーザーの登録数に関するSaaS用語
ユーザーの継続度を高めたり、価値ある体験を提供したりするのはもちろん、ユーザーの母数自体を増やす視点も、事業の収益拡大において重要です。
SaaSビジネスでは、ユーザーが契約期間内にサービスのアップグレードを行ったり、解約に至る場合も想定されるため、ユーザーの状態を定義づけ、期間を区切って指標とし管理・運営します。
| 用語 | 読み方 | 英語表記 | 日本語訳 | 詳細 | 
|---|---|---|---|---|
| DAU | ディーエーユー | Daily Active Users | 日別アクティブユーザー数 | 1日あたりのアクティブユーザー数。 | 
| MAU | エムエーユー | Monthly Active Users | 月間アクティブユーザー数 | 1ヶ月あたりのアクティブユーザー数。 | 
| WAU | ダブリューエーユー | Weekly Active Users | 週間アクティブユーザー数 | 1週間あたりのアクティブユーザー数。 | 
| スティッキネス | スティッキネス | Stickiness | 粘着性 | ユーザーが企業のサービスに対して魅力に感じ、熱中している状態。DAU ÷ MAUで数値化することが可能。 | 
WEBサイトに関するSaaS用語
自社が提供するソフトウェアの製品・サービスは、顧客企業の担当者がWebサイト上で利用します。ユーザーのWeb上での行動特性やニーズを捉え、施策を検討していくことが求められます。
Webサイト上で、満足度の高いサービスを提供するための考え方や指標が、SaaS用語として存在するので、おさえておきましょう。
| 用語 | 読み方 | 英語表記 | 日本語訳 | 詳細 | 
|---|---|---|---|---|
| UGC | ユージーシー | User Generated Content | ユーザー生成コンテンツ | 一般ユーザーによって製作・発信されたコンテンツの総称。SNSや口コミサイトの投稿、レビュー等が該当。 | 
| ビューアビリティ | ビューアビリティ | View Ability | 視認能力 | WEBサイト上で、実際にユーザーが閲覧できる状態だったかを示す指標。特定のページは閲覧したもののバナー広告の位置までスクロールしなかった等、実際に視認できるレベルで表示されていたかを測れる。 | 
| CTA | シーティーエー | Call To Action | 行動喚起 | WEBサイトの訪問者に対し、フォームやバナーのクリック等、特定の行動に誘導する施策の総称。 | 
販促方法に関するSaaS用語

BtoBのSaaSビジネスでは、どのような営業手法をとるかで顧客獲得に差が出ます。どういった顧客に、何の目的で、どのような販促をかけるのかを意識して、用語を覚えていくと良いでしょう。
特にBtoB事業は対企業相手に営業をかけるケースが多いので、そこに紐づくSaaS用語がいくつか存在します。
| 用語 | 読み方 | 英語表記 | 日本語訳 | 詳細 | 
|---|---|---|---|---|
| インサイドセールス | インサイドセールス | Inside Sales | 内勤営業 | 非対面での営業活動。電話やオンラインで行う営業のアプローチ手法を指す。 インサイドセールスのやり方解説!成果最大化のコツとは【入門編】 | 
| フィールドセールス | フィールドセールス | Field Sales | 訪問営業 | もともとは顧客を訪問し、対面での営業活動で見込み顧客に商談やアプローチを行う営業活動のこと。直近では非対面でのWEBでのやり取りも含め、提案や商談、クロージング、契約までの活動を指すことが多いが、組織により定義が異なる。 “今”必要とされるフィールドセールスとは?インサイドセールス連携のコツ | 
| アウトバウンドセールス/セールスディベロップメント | アウトバウンドセールス/セールスディベロップメント | Outbound Sales/ Sales Development | 潜在顧客への営業 | まだ顧客になっていない潜在顧客に対して、電話やメールでの営業、テレマーケティング等を行う営業活動。 | 
| インバウンドセールス | インバウンドセールス | Inbound Sales | 顕在顧客への営業 | セミナー等で興味関心をもっている等、顕在顧客に電話やメールでの営業、テレマーケティング等を行う営業活動。 | 
| リードジェネレーション | リードジェネレーション | Lead Generation | 見込み顧客開拓 | 新規の見込み顧客(リード)に対し、WEBサイトやSNSを利用して開拓、集約する手法。 リードジェネレーションとは?効果的な方法とおすすめツールを解説 | 
社内の担当者・ポジションに関するSaaS用語
販促方法のSaaS用語に合わせて、業務担当や業務ポジションに対しても専門的な言葉で表現されています。
下記3つをおさえておくとよいでしょう。
呼称は企業により独自の呼び方があったりする場合もあるので、下記は一般的な用語だという前提で理解し、自社の企業文化に合わせる形で覚えていってください。
| 用語 | 読み方 | 英語表記 | 日本語訳 | 詳細 | 
|---|---|---|---|---|
| SDR | エスディーアール | Sales Development Representative | 営業拡大部門 | インバウンドを主体とした中小企業の新規開拓を行うインサイドセールスの担当者。 | 
| BDR | ビーディーアール | Business Development Representative | 事業拡大部門 | インバウンドを主体とした大企業の新規開拓を行うインサイドセールスの担当者。 BDR(Business Development Representative) | 
| AE | アカウントエグゼクティブ | Account Executives | アカウント管理者 | 潜在顧客にプロダクトやサービスのデモを行い、価格交渉やクロージングを行う営業担当者。広告代理店のクライアント窓口。 | 
まとめ
独自の言い回しが多いSaaSビジネスの専門用語。使う場面と意味合いをおさえ、整理しながら覚えていくことで、ビジネスの現場でも必ず使いこなせるようになります。
最初の内は、上記にまとめた用語集を参考にしながら、業務に取り組んでみてください。
弊社「ferret」はBtoBマーケティングを総合的にサポート。マーケティングツールやコンサル・代行支援など、幅広いサービスの中から貴社に最適な解決策を柔軟にご提案します。
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