ARPU(アープ)とは? SaaSビジネスで重要視される意味と計算方法


SaaS(サース)ビジネスでは、提供されるサービスの多様性が広がり、月額利用のサービスも増えています。ARPU(アープ)も、SaaSサービスにおいて重要視される指標のひとつです。

この記事では、ARPUがどのような場面で使用される指標なのか、特徴や計算法などをわかりやすく解説していきます。

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目次[非表示]

  1. 1.ARPU(アープ)とは
  2. 2.ARPUの計算方法
  3. 3.ARPAやARPPUとARPUは何が違うのか
  4. 4.SaaSビジネスにおけるARPUとは
  5. 5.ARPU最大化のために何をすべきか
  6. 6.ARPUを活用して売上の最大化を目指そう


ARPU(アープ)とは

ARPUとは、1ユーザーの平均売り上げを算出する指標で「Average Revenue Per User」の略語です。

本来は携帯電話など、通信業務の月額課金サービスのビジネスモデルとして活用されていました。現在は、スマホのアプリや動画配信など、時代に合わせ台頭してきたツールでも使用されています。

例えばアプリのユーザーの場合、単純なユーザー数だけでなく「課金をしているか」と「無課金のままプレイしているか」に分類できるのです。

収益の向上を目指すには「サービス契約者を増加させる」または「ARPUの増加」が必要となります。そのため、ARPUの指標によって収益化を可視化する必要があるのです。

ユーザーの購入額がどう変化していくかも可視化できるため、アプリの使用開始から1ヶ月間で使用した平均額、3ヶ月までに使用した平均額のように、指定の時期までの累計金額を調べられます。

期間設定により細かな分析も可能です。日次ARPU(1日ごとの平均売上)、月次ARPU(月間ごとの平均売上)と呼び、細分化できます。

累計額と時間の関係性を明確にすることで、継続ユーザーと売上の関係を知ることができるでしょう。

サービス契約率が増え、ユーザー数の伸びが落ち着いてきた後は、ARPUを増やすことで企業のさらなる成長へつなげられるのです。


ARPUの計算方法

KPI(目標・ゴールに対する達成の度合いを測るための中間目標)の設定時も、ARPUを用いることでより正確な数値を算出可能です。

課金の形態によって算出方法も異なっていくため、3種類の課金計算モデルを紹介します。


ユーザー課金モデルのARPUの計算方法

ユーザー課金モデルは、【ARPPU x PUR】の計算方法で明らかにできます。
「課金をしている1ユーザーあたりの平均売上(ARPPU)×課金をしているユーザー率(PUR)」となります。

ARPPUは、商品の単価、商品の1回あたりの平均購入数、商品の購入頻度から成ります。

では、スマホのゲームアプリを例に計算してみましょう。

武器を揃えて強くなるRPGゲームでは、1ヶ月の間で課金をするユーザーが50%存在しています。このユーザーたちは月間平均1000円を使用、平均2点の商品(武器)を購入、月に平均3回課金をします。

ARPPU = 1,000 x 2 x 3 = 6,000
ARPU =6,000 x 50% = 3,000

つまり、ARPPUは6,000円、ARPUは3,000円となります。


表示課金の広告モデルのARPUの計算方法

表示課金の広告モデルは【エンゲージメントx (CPM ÷ 1,000)】で計算できます。
ARPUは、ユーザー1人平均で、アプリ使用時に表示されている広告単価(CPM)をかけたものになります。

エンゲージメントは、PV・アプリの滞在時間・利用頻度などから構成されます。広告商品によって差異はありますが、基本はこの通りです。

それでは、情報収集ができるアプリを例に考えてみましょう。

アプリ下に表示される広告のCPMは100円、1インプレッションの平均点がは0.1円、このアプリの広告表示は、1ユーザー1日平均20回です。
すると、日次ARPUはこのように計算されます。

ARPU = 20x 0.1 = 2

つまり、ARPU(日次ARPU)は2円となります。


クリック課金の広告モデルのARPUの計算方法

クリック課金の広告モデルのARPUの計算式は【CPC x CTR】です。
CPCは「広告1クリックで生じる平均売上」、CTRは「クリック率」のことを指しています。

クリック型だけでなく、アプリインストール型広告(CPI広告)でもこちらの計算方法でARPUを示すことが可能です。

ちなみに、クリック率は「広告のクリックされた数÷表示回数」です。
こちらも具体例を用いてみます。

TwitterやInstagramなどのSNSアプリで、CPCが40円、1日のアプリ利用ユーザーは1万人、全体の広告表示回数が100万回、広告クリック数が5.000回だとすると、CTRは0.50%になります。
これを元として日次ARPUを算出すると、

ARPU = 40 x 0.50 = 20

つまり、20円ということになるのです。


ARPAやARPPUとARPUは何が違うのか


月額課金制のモデルビジネスにおいて、ARPUや ARPPU、加えてARPUは、1人あたりの過金額を算出する指標のひとつです。

一見同じように感じますが、それぞれが異なる意味合いをもつマーケティング用語です。

具体的にどのような違いがあるのか、詳しく説明します。


ARPAとの違いは?

ARPAは「1アカウントあたりの平均売り上げ」を指しています。
それに対してARPUは「1ユーザーあたりの平均売り上げ」です。

「1アカウント」と「1ユーザー」だと、このような違いが現れます。

例えば、1つのアカウントで2台のモバイル端末(ユーザー数)を使用するなど、アカウントとユーザーの数が異なるケースがあります。
このときARPAは「1アカウント」を対象に、ARPUは「2ユーザー(2台のモバイル端末)」を対象に売上金額を可視化しています。

ユーザー数よりもアカウント数で課金をするサービス形態の企業が多く活用しています。

この形態をとる企業として有名なのは、KDDIです。
スマートフォンなどのモバイル端末やクラウドサービスが発達したため、1アカウントで複数の端末を所有する人も増えました。そのため、ユーザー数(モバイル端末)ではなく、アカウント(サービス契約者)ごとに売上金額を算出するARPUのほうが、サービス運用の本質を捉えられるのです。


ARPPUとの違いは?

ARPPUは「課金しているユーザー1人平均の課金額」を指しています。
対してARPUは「無課金ユーザーも含めた全ユーザー1人平均の課金額」を示します。

「無課金ユーザー」を対象とするか否かが2つの違いです。

ARPPUは、ソーシャルゲームや無料プランがあるBtoBのSaaSサービスなどで使用されています。無課金のユーザーと、課金をしているユーザーを分けることで、具体的なKPIの設定を行えるのです。

サービス契約者数が増加しても、無課金ユーザーばかりでは売り上げにつながりません。
課金によるサービス変化や充実度の向上を実現することで、課金に対するメリットを感じてもらえます。

メリットから利益を生み出すためにも現状把握が重要となるため、このケースでは、課金ユーザーを対象としたARPPUの活用が向いているでしょう。


SaaSビジネスにおけるARPUとは

インターネットを介して使用するソフトウェアであるSaaS(サース)。
そのSaaSビジネスにおいて、ARPUは重要なKPI指標のひとつです。

Googleサービス、Twitter・InstagramなどのSNS、Zoom・Slackなどのコミュニケーションツール、NetflixやSpotify、Apple Musicなど、多くのSaaSがわたしたちの生活に浸透しています。

BtoBではクラウド環境が向上したため、複数のモバイル端末で1つのサービスを使用する場合も増えました。

例をあげると、ドコモ・au・ソフトバンクの、大手3社が市場を寡占する通信キャリアは、飽和状態でした。

顧客の増加を目指すことが難しくなった状況を打破するために、顧客数ではなく、各顧客から得る売り上げを増やすことを意識し始めたのです。

もちろん企業の顧客数を増加させることは重要です。しかし、企業が軌道に乗りある程度の集客を望めたのちは、顧客の質を高めなければなりません。より金額の高いプランを契約してくれる、などの成果を求める必要があるのです。

事業がある程度成長したのち、ほとんどの企業が考えるべき課題となるため、しっかりとARPUについて把握して、適切なKPI作りを心がけましょう。


ARPU最大化のために何をすべきか

APRUは課金方法によって計算方法が違うことをお伝えしました。

ビジネスモデルごとに適したアプローチ方法でARPU最大化を図る必要がありますが、すべてのモデルでも共通したARPU最大化の方法も存在しています。

それは、「無料ユーザーとの差別化」と、「顧客ロイヤリティの向上のためにNPOを活用」することです。

なぜこの2点が最大化に欠かせないのかを説明します。


ARPU最大化の取り組み①無料ユーザーとの差別化

無料ユーザーと課金ユーザーの差別化を図ることは、ARPU最大化を目指すために必要不可欠です。

お金を支払うことで、魅力的なサービスを享受できる仕組みがあれば、抵抗なく課金をしてくれるはずです。

課金ユーザーと無課金ユーザーの差別化を明確にして、ARPUの最大化を目指せるでしょう。


ARPU最大化の取り組み②顧客ロイヤリティの向上のためにNPSを活用

顧客が企業や提供サービスに、信頼を寄せたり、愛着を持ってくれている「顧客ロイヤリティ」の向上もARPU最大化に役立ちます。

顧客ロイヤリティ向上のために必要なのが、可視化と分析を継続しておこなうことと、「NPS」という顧客ロイヤリティの数値指標を使用することです。

これにより、企業やサービスに対して顧客がどの程度信頼を寄せているかなどを知ることができるのです。

NPSは「顧客推奨度」とも呼ばれており、企業の業績成長と強い結びつきがあることがわかっています。

計測方法は、11段階評価のアンケートで行います。
0〜10点のなかでサービスを好意的に思っているか、普通か、批判的な印象をもっているか点数づけをしてもらいます。

この回答を元に、顧客を「好意的」「中立」「批判的」にふりわけ、統計値からNPSの数値を割りだします

計算式は、【NPS=好意的-批判的】となります 。

例えば、100人にアンケートをした結果、「好意的」が50人「批判的」が10人いるとわかりました。パーセンテージに変換すると、「好意的」が50%で「批判的」が10% 。

NPSは【50-10=40】で40です。

100%の中で、数字が大きいほどサービスに対して「好意的」な顧客が多く、「批判的」な顧客が少ない。逆に、数字が少なければ「好意的」な顧客が少なく「批判的」な顧客が多い、ということがわかるでしょう。

顧客の企業に対する感覚的な印象を把握できるため、アメリカの売り上げ上位企業の約30%が導入しています。これからさらに浸透していく指標となる可能性もありそうです。


ARPUを活用して売上の最大化を目指そう

効果的なマーケティング施策を展開していくには、明らかにしたい内容に対して、適切な測定法を使用したKPIの設定が欠かせません。

クラウドサービスの発展により月額課金制のサービスが増え、重要となった「ARPU」という指標。活用することで自社の現状を把握して売上の最大化を目指しましょう。


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