スコアリングとは?評価基準とMAでの運用ポイント
営業をかける際に、「相手がどのくらい自社の商品・サービスに興味があるのか分かればいいな」と思ったことはありませんか。それを点数で可視化するのが「スコアリング」です。
マーケティング用語でスコアリングとは、見込み顧客が自社の製品・サービスを購入・導入してもらえるか、確度を点数化する意味合いで使われます。見込み顧客を属性と行動で点数化し、アプローチの優先順位を決めたり、ホットリードを見つけるために活用されるのです。
今回はスコアリングの概要・評価基準、MAツールでのスコアリング運用ポイントについて解説します。
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マーケティングオートメーションツール導入・活用ガイド
目次[非表示]
スコアリングとは
スコアリングの概要や活用するべきタイミングについて解説します。
「スコアリング」とは
そもそもスコアリングは、英語で「得点」や「採点」を意味します。営業活動に限らず、金融・医療・スポーツなどさまざまな分野で使われる言葉です。
マーケティング用語では、見込み顧客が自社の製品・サービスを購入・導入してもらえるか、確度を点数化する意味合いで使われます。見込み顧客のアプローチを通じて製品・サービスの成約へとつなげる営業活動において、アプローチの方法や頻度を決める指標としてスコアリングが用いられています。
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BtoBマーケティングの流れからみる実施タイミング
BtoBマーケティングは、リードジェネレーション(リード獲得)、リードナーチャリング(リード育成)、リードクオリフィケーション(リード分類)の3つの流れで行います。
見込み顧客と最初に接触してから、定期的な情報提供で自社の商品・サービスへの検討度を高め、検討度が高まって購入可能性が高まったタイミングでクロージングしていきます。
スコアリングは主にリードクオリフィケーションで行います。アプローチするリードを抽出するための基準を作るのです。
▼マーケティングの流れや基礎知識はこちらの記事を参考にしてみてください
→BtoBマーケティングとは?マーケターが教えるBtoCとの違いと成功事例
スコアリングを導入する目的
営業活動を進める上で、なぜスコアリングを導入するのでしょうか。3つの主な理由を解説します。
- 営業の効率向上
- 検討度に応じた顧客へのアプローチができる
- 人材不足の解消
営業の効率向上
営業担当は非常に多くの見込み顧客を抱えています。成果につなげるためには適切なタイミングでの営業活動が重要です。しかし、見込み顧客が増えすぎると難しくなるでしょう。
スコアリングを導入すると、見込み顧客を購買の可能性に応じて点数化できます。点数の高い顧客から順にアプローチすることで、効率的に商談を作り出すことができます。
検討度に応じた顧客へのアプローチができる
スコアリングによって、購買の可能性の高い顧客、まだニーズが顕在化していない顧客が区別できるようになります。
例えば、購入の可能性の高い顧客へは商品の売り込みが効果的ですが、ニーズが低い層にすぐに購買を勧めるとかえって拒否反応を生み、逆効果になってしまいます。まずは、情報収集段階の顧客が欲しているお役立ち情報などを伝え、興味を高めることが大切です。
このように、各検討段階の顧客ならではのアプローチを考えておくことで、購買の可能性が高い顧客へと転換させる確率を上げられるようになります。
人材不足の解消
労働人口の減少により、人材不足に陥っている企業が増加しています。
たとえ新たな人材を確保し営業担当が増やせたとしても、ノウハウを覚え、契約につながる可能性の高い顧客を見極められるようになるには時間がかかってしまいます。
スコアリングがあれば、購買の可能性に応じて顧客を点数化できます。点数順に並べることで、優先してアプローチすべき顧客を視覚的に理解できるため、経験が多くない営業担当でも迷うことなく優先順位を決められるようになります。。
スコアリングの評価軸
スコアリングでは「属性情報」✕「行動情報」✕「タイミング」の3つの観点から、求めるリードを探す設定を施していきます。
まずは「属性」と「行動」の評価軸で点数を付け、一定の点数に達した「タイミング」でリードを抽出します。
ただ、得点化する項目の種類を何に設定するかは、悩ましい問題です。ここでは「属性」「行動」の2つの観点からスコアリングで点数化すべき項目について、ご紹介します。
属性に関するスコアリング項目
BtoB事業の場合、企業相手に推進するビジネスなので、企業情報や役職がスコアリングの項目となります。また、顧客企業の担当者・決裁者によっても属性が変わるため、「企業」と「人」の軸を意識してスコアリングを進めるのがおすすめです。
企業規模
企業の規模は、属性に関するスコアリングの主要な項目です。具体的には下記のような内容が挙げられます。
- 資本金
- 従業員数
- 業績 など
大手企業を相手どる事業戦略であれば、企業規模が大きければ大きいほどスコアを加算していきましょう。
意思決定がスムーズな中小企業にアプローチする方針であれば、理想の顧客企業像をイメージして、適切な規模感に近い企業のスコアを高くするよう設定します。
担当者の役職
自社の営業に対する担当窓口がどういう役職なのかは、営業の成約率や成約への難易度に直結します。
決裁権をもつ役職者・経営者が窓口担当として対応する企業は、決裁スピードが早く、案件をスムーズに進められるメリットがあります。決裁の権限を持っている経営者・幹部クラスを高得点に設定しましょう。
企業の所在地、活動地区
提供するサービス内容によっては、顧客企業の立地や地区、活動拠点が成約率に影響します。たとえば製造業であれば、工場の立地条件によって資材・製品運搬のスムーズさや納品期日が変わるため、事前に確認が必要です。
顧客像を明確にイメージし、都心と地方でどちらが顧客企業像に近いのか、見極めましょう。
行動に関するスコアリング項目
顧客企業の担当者がどういう行動をとるのか、スコアリングの項目に設定して得点化することで、より確度の高い見込み顧客への絞り込みができます。企業属性の項目とセットで設定しましょう。
自社への関心度合いが高い行動
顧客企業担当者の行動から自社製品・サービスへの関心の高さを測ることが可能です。具体的には下記の行動が挙げられます。
- 自社サイト、または製品・サービスページの閲覧
- 問い合わせ数、資料請求数
- セミナーでの名刺交換数 など
理想とする顧客企業像を具体的にイメージし、製品・サービスの成約につながる行動にどのようなものがあるか、検討して設定しましょう。
最新の行動時期や頻度
行動の種類に加えて、行動を起こしたタイミング・時期は、得点化すべき重要な要素です。
たとえば、自社サイトを頻繁に閲覧しているユーザーは、自社の製品・サービスに関心が高い層だと判断できます。逆に、資料請求のあった顧客企業が請求から1ヶ月以上経っても音沙汰ない場合は、自社の製品・サービスに関心が薄れているリスクが考えられるでしょう。
行動時期・頻度で加算するのに加えて、「最後に自社と接点があってから〇日以上経過している時点でマイナス〇点」というように、減算するスコアリング設定をしておくのがおすすめです。
スコアリングを導入・運用する方法
スコアリングを導入し、運用していくための方法を、6つの手順にわけてご紹介します。
- ターゲットを定める
- 成約に至るまでの顧客の行動を洗い出す
- 過去に成約に至った顧客を分析する
- 洗い出した行動に得点を設定する
- スコアリング基準や運用方法を関連部署に共有する
- 運用開始し、定期的に基準を見直す
①ターゲットを定める
自社がターゲットにしている顧客を、可能な限り具体的に挙げます。顧客がどういった課題を抱えているのか、年齢・性別・職業などのペルソナまで設定することで、スコアリングの精度が上げられます。
▼ペルソナ設定の方法をまとめた資料をご用意しています。下記ページよりダウンロードしてご活用ください。
→Webの戦略設計に欠かせない! BtoB事業のためのペルソナ設定ガイド
②成約に至るまでの顧客の行動を洗い出す
過去の受注企業などのデータを参考にし、購買に至るまでの行動を洗い出しましょう。購買までの行動を可視化することをカスタマージャーニーマップと呼びます。
たとえば複数の商品の比較や、レビューの確認などが挙げられます。カスタマージャーニーマップを作成する時、購買の決定権を持つ役職なども考慮しましょう。具体的には、最終決定を課長が行う、といった内容です。
▼カスタマージャーニーマップについては、下記の記事もぜひ参考にしてみてください。
→カスタマージャーニーマップの作り方とは?弊社の作成手順を解説
③過去に成約に至った顧客を分析する
洗い出した行動がどれだけ実行されているか、成約に影響を与えているか、分析し確認します。
過去に成約に至った顧客の行動と同じように行動する見込み顧客は、確度の高い顧客といえます。スコアリングの基準値になるので、具体的に分析しましょう。
④洗い出した行動に得点を設定する
成約にいたるまでの行動と、過去の顧客分析結果を照らし合わせ、成約につながる可能性が高い行動から、高得点に設定しましょう。
スコアリングは、役職などの「属性」・商品の比較などの「行動」という2つの視点で評価を行います。一定以上の点数に達した見込み顧客は、優先的にアプローチすべき顧客として、絞り込み集中的に営業活動をかけます。
⑤スコアリング基準や運用方法を関連部署に共有する
スコアリングで設定する得点の基準や運用については、チーム内の関連部署にきちんと共有する必要があります。運用をスムーズに進められるほか、客観的な視点でチェックをもらい、改善点に気づきやすくなるメリットがあります。
運用方法は、設定した得点の基準に沿って、「いつ・誰が・どのタイミングで顧客を得点化するか」「得点化の情報をいつ・誰が・営業部門に共有するか」まで決めておくとよいでしょう。
⑥運用開始し、定期的に基準を見直す
変化が激しい市場環境において、顧客企業の価値観・行動は常に変容します。そのため、一度設定したスコアリングをずっと使い続けると、現状に則さないスコアリングになりかねません。
設定したスコアリングの基準が正しく機能しているか、定期的に確認の場を設けるのがおすすめ。営業の現場にヒアリングし、2~3ヶ月に一度は関連部門で集まって現状を把握するなど、自社に合う運用方法を検討してください。
スコアリング運用のコツ
スコアリングの精度を上げるためには、下記の2つのコツが大切です。
- 実践前にテストする
- 定期的にチェックする
実践前にテストする
得点の設定が終わったのちに、既存の顧客情報を使いスコアリングのテストをしましょう。実際の顧客情報を使用することで、正確に精度の確認を行えます。テストをし、点数の付け方など微修正を繰り返しましょう。
定期的にチェックする
テストが終わりスコアリングをするようになっても、定期的に見直しを行いましょう。
最適な点数の付け方はその時々で変わるため、精度を維持するためにはチェックが大切です。課題が見つかれば微修正を繰り返し、ブラッシュアップしていきましょう。
スコアリング運用の注意点
コアリングを行う際に、注意すべき点を2つ紹介します。
- スコアリングする対象を絞り込む
- スコアリングを過信しない
スコアリングする対象を絞り込む
メールの開封を行ったり、自社のWebサイトを訪れた見込み顧客すべてをスコアリングすると、膨大な数になってしまいます。
見込みがある顧客を洗い出すため、「資料請求を行った」「セミナーに参加した」など一定の条件を設けるとよいでしょう。
スコアリングを過信しない
スコアリングは、マーケティングにとって重要な指標です。ただし顧客の行動は一人一人異なりますし、点数が常に正しいとは限りません。
あくまで目安として、Webサイトの行動履歴や今までのタッチポイントなど他の要素とも照らし合わせて判断するようにしましょう。
スコアリングのためのMAツールの選び方
一日中PCに張り付いて、ひとりひとりの顧客の行動を確認して点数を付けていくのはほぼ不可能ですから、スコアリングはMAツール(マーケティングオートメーションツール)で行うのが一般的です。
MAツールとは
MAツールとは、顧客情報の管理、メールの配信、スコアリング等の機能があり、マーケティングを自動化してくれるツールです。
▼MA(マーケティングオートメーション)について、こちらで詳しく解説しています
→MA(マーケティングオートメーション)とは?ツールを比較してわかりやすく解説
スコアリングのためのMAツールの選び方
いくら多機能なものであっても、使いこなせなければ意味がありません。自分にとって使いやすく、合っていると感じられるツールを選びましょう。
ただ、「スコアリング」の機能は点数のつけ方や管理が難しく上級者向けの機能であることは念頭に置いておきましょう。受注までの顧客の行動等のデータを分析し、検討度の高い行動・属性の比重を割り出し、かつそれをMAツール設定に落とし込んでいく技術が求められます。
MAツールを選ぶ際には、スコアリングができるかという機能だけでなく、使いやすさを加味して担当者が扱えるツールか、またスコアリングによるリード抽出を運用していける体制があるか、を必ず加味しましょう。
▼MAツールの選び方について、こちらで詳しく解説しています。
→最新のMAツール10選!ツールでできることや比較ポイント
スコアリングが難しいなら「行動検知」を導入するのがおすすめ
「どのような属性の人が、どのような行動をしたのか」を抽出したいのであればスコアリングのように点数化をしなくても、「行動検知」「ホットリード抽出」のような機能でも狙った検討度のリードを抽出できます。
スコアリングの運用が難しい場合は、そのような機能を搭載した使いやすいMAツールを選ぶといいでしょう。
スコアリングを有効に活用しよう
スコアリングを取り入れ、効果的かつ効率的に顧客企業へアプローチするには、下記のポイントをおさえるのが大切です。
- スコアリングは、ニーズがある顧客企業を絞り込み、営業活動を効率的に実施するために実施する。
- BtoBの営業活動においては、企業・担当者の「属性」と「行動」の2軸で点数化する。
- スコアリングの導入する前に、ペルソナやカスタマージャーニーの設定をする。
- 運用開始後は関連部署にスコアリングの基準を共有し、定期的に見直す場を設ける。
- 実装前のテストを忘れずに実施する。
- スコアリングする対象の範囲はある程度絞り込み、スコアリングの得点以外の要素と組み合わせて判断する。
- 作業を効率化し、より細かな情報を収集して活用できるよう、MAツールを導入してスコアリングする。
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