適切なマーケティングプロセスのために必要なことは?事例で学ぶ基礎知識
自社でマーケティングを実施しようと考えた時に、まず何をすべきなのか、どのような手順を踏むべきなのか悩んだことはありませんか?
特にBtoBビジネスマーケティングの場合は、一般的なtoCビジネスとは異なり、独自のマーケティングプロセスがあるのです。
今回は、BtoBビジネスのマーケティングプロセスに踏み込んで詳しく解説します。
■あわせて読みたい資料:“BtoBマーケティング”を本格的に行いたいという方向け
→BtoBマーケティング実践ガイド
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マーケティングプロセスとは?
マーケティングプロセスとは、マーケティング戦略を立案し実行するまでの一連のプロセスのことです。市場調査を行い、自社商品やサービスの位置づけを検討、価格やプロモーション方法選定を行います。
マーケティングプロセスは、主に戦略立案プロセスと戦術的プロセスのフェーズに分かれています。
- 戦略立案:市場分析/セグメンテーション(市場細分化)
- 戦術:ターゲティング/ポジショニング/マーケティングミックス/実行と評価
まず戦略立案プロセスで商品を投入する先を調査し、戦術プロセスでは調査した市場の中でどのように勝ち抜いていくか設計していきます。
マーケティングプロセスの流れ
マーケティングプロセスの流れとそれぞれ何をするのか詳しく解説していきます。
- 市場分析
- セグメンテーション
- ターゲティング
- ポジショニング
- マーケティングミックス
- 実行と評価
マーケティングプロセス①市場分析
まずは市場分析を行います。市場分析は、「SWOT分析」「PEST分析」「3C分析」が主流です。
SWOT分析
SWOT分析は、Strength(強み)・Weakness(弱み)・Opportunity(機会)・Threat(脅威)という4つの視点から市場を分析します。
▼SWOT分析の詳しい解説は、こちらの記事を参考にしてみてください。
→【図解&テンプレ付き】SWOT分析とは? 時代遅れにならないやり方を事例を踏まえ解説
PEST分析
PEST分析は、Politics(政治)・Economy(経済)・Society(社会)・Technology(技術)という4つの視点から外部環境を分析します。現在から将来にかけて、自社に対してどのような影響を与えるのか、把握・予測する手法です。
▼PEST分析の詳しい解説は、こちらの記事を参考にしてみてください。
→PEST分析の実践方法やポイントは?BtoB事業別の事例やフレームワークテンプレも紹介
3C分析
3C分析は、Customer(顧客)・Competitor(競合)・Company(自社)の3つの観点から市場を分析する手法です。
▼3C分析の詳しい解説は、こちらの記事を参考にしてみてください。
→3C分析とは?すぐに実践できる手順を下準備から解説
どれかひとつだけでなく、複合的に手法を活用し総合的に市場を把握しましょう。
マーケティングプロセス②セグメンテーション
セグメンテーションとは、自社商品やサービスの対象となる市場に存在する顧客を、ニーズや特性等に応じて細分化することです。
一般的な切り口としては、地理・人口動態・行動変数・心理的変数などがあります。
▼セグメンテーションの詳細な解説は、こちらの記事を参考にしてみてください。
→顧客セグメントとは?マーケティング成功に欠かせない分類の方法やポイント
マーケティングプロセス③ターゲティング
ターゲティングでは、セグメンテーションから標的とするセグメントを選び出します。
例えば「東京都に本社がある100名以上営業在籍する企業」「1か月以内にサービスに関する問い合わせがあった」「堅い社風である」などです。
マーケティングプロセス④ポジショニング
ターゲティングの次は、ポジショニングを行います。ポジショニングとは、ターゲットの中に自社商品やサービスの独自のポジションを築き、差別化イメージを持ってもらうための活動です。
自社商品やサービスに関して独自性のある差別化したイメージを持ってもらうことで、競合に対しての優位性を獲得します。自社商品やサービスの立ち位置を明確に把握するためには、競合調査を行い、ポジショニングマップを作成しましょう。
ポジショニングマップを作成することで、自社商品やサービスの訴求していくべき強みが明確に把握できるでしょう。
▼ポジショニングを掴むには、STP分析も役立ちます。参考にしてみてください。
→STP分析とは?BtoBでの分析方法と便利なワークシート
マーケティングプロセス⑤マーケティングミックス
マーケティングミックスとは、実行する戦略を練る際に使用するフレームワークのことです。マーケティング施策の要素を組み合わせて行います。
▼マーケティングミックスについてはこちらの記事も参考にしてみてください
→マーケティングミックスとは?実例から活用方法までゼロから解説
BtoBのマーケティングミックスの代表的なフレームワークは「4P分析」と「4C分析」です。
自社商品やサービスに対して4P分析を行い、さらに顧客視点の4C分析も加えることで、マーケティング戦略を立てた上で、具体的にどのような施策でお客様へアプローチをするのかを考えることができます。
4P分析
4P分析とは、Product(製品)・Price(価格)・Place(流通)・Promotion(販促)観点の分析です。
どのような特徴の製品を、いくらに設定し、どのように流通させ、どのような販促を行うか、という観点で戦略を組み立てます。
▼4P分析の詳細な解説は、こちらの記事を参考にしてみてください。
→4P分析とは?進め方とBtoBでの業態別の事例を解説
4C分析
4C分析とは、Customer Value(提供価値)・Cost(顧客が支払うコスト)・Convenience(入手難易度・利便性)・Communication(顧客とのコミュニケーション)の観点での分析です。
自社商品やサービスを顧客サイドからの目線で分析することで、より顧客への浸透力が上がります。顧客目線での市場分析は、ニーズを適切に把握し提供に繋げるため、顧客満足度も高くなるでしょう。
▼4C分析の詳細な解説は、こちらの記事を参考にしてみてください。
→4C分析とは? 4P分析・3C分析・SWOT分析との違い
また、マーケティングミックスの際にはKPIツリーを作成しましょう。
KPIとは、事業目標をクリアするために設定する重要業績評価指標です。
最終ゴールであるKGIを明確に設定しておき、そのためのプロセスに対して評価指標を設定することで定量的な評価が可能になります。
▼KPI設計については、こちらの記事も参考にしてみてください。
→BtoBマーケティングにおける「KPI設計」とは?フェーズごとの具体例を紹介
マーケティングプロセス⑥実行と評価
ここまでのマーケティングプロセスで設定した施策を、実行して評価するプロセスです。実際に設計した戦略を実行してみて、良し悪しを判断するのではなく、プロセス⑤で設計したKPIツリーに基づいて施策を評価しましょう。
その中で、プロセスの中での課題や問題点を発見し、改善策をうっていきます。
マーケティングプロセスにあてはめて評価することで、課題や問題点の適切な把握が可能です。KPIからPDCAをまわすことで、市場把握および施策の最適化が行えます。
「R-STP-MM-I-C」の観点から考えるマーケティングプロセス
マーケティングプロセスには、上記で解説した6つに分けるやり方以外にフィリップ・コトラー氏が提唱した「R-STP-MM-I-C」という5つに分ける手法もあります。
- プロセス① R:Research 調査・分析
- プロセス② STP:セグメンテーション+ターゲティング+ポジショニング
- プロセス③ MM:マーケティングミックス
- プロセス④ I:Implementation 実行
- プロセス⑤ C:Control 管理
プロセス②までが戦略プロセス、③以降が戦術プロセスです。特にプロセス②のSTPでは、マーケティングの要となる「自社が」「誰に対し」「どのような価値を」「どうやって提供するか」が明確になります。
マーケティング活動にあまりリソースを割けない組織や中小企業にとって、STPは非常に重要な役割を果たします。最小限の労力で成果の最大化に繋がるからです。
マーケティングミックスで実行手法の組み立てを行い、その後に実行および評価を実施。この最後のステップをImplementationとControlのふたつに分けることで、マーケティングで注力すべき評価と次につなげる改善へフォーカスします。
BtoBビジネスとBtoCビジネスは購買プロセスが異なる
BtoBビジネスの場合も、基本的なマーケティングプロセスは同じ流れです。しかしBtoBビジネスの場合は、購買プロセスがBtoCビジネスと異なるという点に注意しましょう。
BtoBビジネスとBtoCビジネスの違い
BtoBビジネスとBtoCビジネスの違いは、上記の表の通りです。
BtoBビジネスは、企業が顧客となるため費用対効果や企業の信頼性など多くのことを考慮しなければならず、しかも購入までの手続きも多くあり、時間がかかります。
BtoCビジネスは、消費者個人が顧客となるため、感情や気分で購入することもあり、すぐに購入につながります。
▼BtoBビジネスとBtoCビジネスの違いについて、こちらで詳しく解説しています
→【5分でわかる】BtoBビジネスとは?BtoCとの違いをわかりやすく解説
BtoBビジネスのマーケティングプロセスの注意点
BtoBビジネスは、
- 集客から見込み顧客を獲得
- 見込み顧客をナーチャリング
- 商談
というステップがあり、購入までのリードタイムが長くなります。
さらに窓口と決裁権保持者が異なる場合や、検討から承認までに複数の段階を踏む必要がある場合が大半です。
そのためマーケティングプロセスの中に、「購入プロセス」を加味しなくてはなりません。
BtoBビジネスのマーケティングプロセスのコツ
分析では、顧客を個人ではなく「企業」でとらえ、業界全体を把握する必要があります。
マーケティングミックスの販促・広告では、イベントやセミナーの開催も効果的な手段です。「集客」「見込み顧客獲得」「ナーチャリング」「商談」のそれぞれに対してKPIを設定すれば、より適切な評価判断が可能になるでしょう。
一方、詳細なKPIを追うことは、人的負担に直結します。BtoBのマーケティングを実行する上で人的コストを割けない場合、MAツールやSFAツールを活用するのもひとつの手段です。
戦略と戦術を明確化することで、マーケティングツールの有効度が上がってくるでしょう。
▼BtoBマーケティングについては、こちらで詳しく解説しています
→BtoBマーケティングとは?マーケターが教えるBtoCとの違いと成功事例
マーケティングプロセス活用による事例
マーケティングプロセスの活用事例を見ていきましょう。
SchoolDude社
米国、カナダ、ヨーロッパ、中東、オーストラリアの6,000以上もの教育機関向けに管理機能ソリューションを導入しているSchool Dude社。細かなセグメンテーションを元に高等教育機関へ独自のコンテンツを展開します。
MAツールを活用し、ターゲット別に応じたコンテンツを表示することで、ウェビナーや年次ユーザーカンファレンス獲得に成功しました。誰に、どのような価値を、どうやって届けるのかを明確化したことで、成果に繋がった事例です。
参照元:https://jp.marketo.com/content/marketing-strategy.html
株式会社OREC
株式会社ORECは、年商136億円を誇る農業機械メーカーです。農家の不満や細かなニーズに寄り添う超顧客志向により、国内シェア40%超を実現しました。
製品の展示だけでなく、農業や食に関するイベントやセミナー・交流会を開催し、徹底的に顧客のニーズを把握。市場を調査し、ニーズに合致した商品開発・適切な手段で提供を行うことで成功した事例です。
参照元:https://www.tanabekeiei.co.jp/t/fcc_magazine/2019/post-421.html
マーケティングプロセスで効果的な戦略を打ち出そう
マーケティングプロセスを明確化することは、効果的な戦略に必要です。
特に企業担当者はWebで情報収集をしているので、今はBtoBビジネスに取り組む多くの企業が、Webマーケティングに力を入れています。
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