4P分析まるわかり!成功するマーケティング施策を導く進め方と事例
マーケティングの施策を企画・立案する上で役に立つ手法「4P分析」。
ただ4つの要素を調べるだけでなく、適切な手順でポイントをおさえながら進めていくことで、効果を最大化できます。
この記事では、BtoBビジネスにおける4P分析の進め方を、事例を交えて解説します。
■合わせてよく読まれている資料:4P分析を含む、12種類のフレームワークを収録!
→【記入例付き】マーケティングフレームワーク・テンプレート集
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4P分析とは?
4P分析とは、企業目線で マーケティング施策を立案・企画するのに有効な分析方法です。
具体的には、PRODUCT(製品・サービス)、PRICE(価格)、PLACE(販促場所)、PROMOTION(販促方法)の4つの要素を軸に、ターゲットに提供する施策の内容を決めていきます。
この4つの要素は、いずれもマーケティング施策を構成する重要な要素でもあります。
何を、いくらで、どこで、どのように提供するかを、事業の目的やターゲットを意識し検討すると、自ずと施策においてやるべきことが見えてくるでしょう。
4P分析と4C分析、3C分析の違い
4P分析と混合しやすいのが、4P分析、3C分析です。
顧客目線の商品・サービス分析「4C分析」
4C分析は顧客目線で商品・サービスを分析するフレームワークです。下記4つの要素を調べていきます。
- Customer Value(顧客価値)
- Cost(顧客コスト)
- Convenience(利便性)
- Communication(コミュニケーション)
企業目線の4P分析と顧客目線の4C分析を合わせて分析する「マーケティングミックス」という手法を活用し、より精度の高いマーケティング施策を導き出していくのに活用されます。
▼4C分析については、こちらで詳しく解説しています
→4C分析とは? 4P分析・3C分析・SWOT分析との違い
市場状況を把握「3C分析」
3C分析とは、市場状況を把握できるフレームワークです。下記3つの要素を調べていきます。
- Customer(市場、顧客)
- Competitor(競合)
- Company(自社)
新規事業を立ち上げ時や、既存事業の改善を考える時に活用し、市場のニーズと競合と比較した際に際立つ自社の強みをどのようにマッチさせていけばいいのかの判断材料とします。
▼3C分析についてはこちらで詳しく解説しています
→【5分でわかる】3C分析とは?テンプレートを使ったかんたんなやり方
4P分析の進め方【はじめてでも大丈夫! 】
4P分析が何たるかを把握したところで、早速本題です。どのように4P分析を進めていくのか、具体的にご紹介します。
- 「ターゲット企業」と「提供価値」を決める
- 「製品・サービス」を決める
- 「価格」を決める
- 「販促場所」を決める
- 「販促方法」を決める
準備:テンプレートを用意する
フレームワークを使った分析については、専用テンプレートに記入していくと、初めての人でも簡単に分析を進められるのでおすすめです。当社のマーケティングフレームワークテンプレート集にも収録していますので、ぜひご活用ください。
→【記入例付き】マーケティングフレームワーク・テンプレート集
1.「ターゲット企業」と「提供価値」を決める
「4P」分析ではありますが、いきなりPを考え始めてはいけません。4P分析は事業で結果を出す施策を考えるための分析方法。施策を分析する前に、事業の方向性を明確にしておく必要があります。
事業の方向性とは、あなたの会社のビジネスの顧客となる「ターゲット企業」に対し、あなたの会社が「どのような価値を提供するか」です。
ターゲット企業像と提供価値を言語化し、書き出しましょう。事業の方向性は、4P分析を行う上での軸となります。軸からブレないよう、4つのPの要素を決めていきます。
2.「製品・サービス」を決める
自社が提供する製品・サービスを決定します。
最初に定めた「ターゲット企業像」と「提供価値」を意識して考えてみましょう。
- その製品やサービスはターゲット企業が求めているものか?
- ターゲット企業が望む価値は、どのような製品・サービスで実現できるか?
具体的には、商品の品質やデザイン、保障やアフターサービス、ネーミング、ブランドやシリーズとしての立ち位置などの要素を決める必要があります。
決定するときは、その製品やサービスを提供し続けられるかどうか、継続供給やコスト面の課題に目を向けるのもポイントです。
また、製品やサービスを決める上で、市場に参入するタイミングも意識しておくと良いでしょう。
提供したい製品やサービスの知名度が上がっている状況では、手に取りたいと思う企業が多く見つかります。
逆に、すでにブームが去り人気がなくなった製品やサービスは、性能をマイナーチェンジしたり、販促の訴求を変更したり、しばらく時間を置いて再販したりする方法でカバーできる可能性があります。
3.「価格」を決める
どんなに良い製品やサービスでも、高すぎる価格では手に取ってもらえません。逆に低すぎると、今度は「安かろう悪かろう」の印象を与えるリスクもあります。
ターゲット企業はその製品・サービスに対しいくらまで支払うか? 提供する価値に見合った金額になっているか? ターゲット企業の目線で価格を決定しましょう。
製品・サービスの定価だけでなく、セット価格やサブスクリプションモデルでの割引価格など、ターゲットとなる企業が手に入れたいと感じるような魅力的な価格戦略を練る必要があります。
収支を守るため費用対効果を考え、投資するコストに対してどのくらいの利益が得られるか、冷静に判断します。また、競合他社が似たような製品・サービスをいくらで提供しているかを調べ、参考にするのもおすすめです。
4.「販促場所」を決める
最高の製品・サービスを、最適な価格で提供していたとしても、提供する場所にターゲットとなる企業の担当者がいなければ、施策をやる意味がなくなります。
ターゲット企業の活動場所を踏まえ、自社の価値を理解してもらえることを意識して、販促場所を決めましょう。
ターゲット企業像を深掘りし、自身がその企業の担当者になったつもりでどう行動するかを考えていくと、良い答えに辿り着きます。
また、場所を決める際は、その場所に競合他社がどのくらいいるのかを把握しておくのも有効です。競合他社が多ければ多いほど、あなたの製品・サービスが埋もれてしまう可能性が高くなります。
人気の有名ライバル企業の存在も調べておくと良いでしょう。
製造業などで製品の在庫があるような業態では、自社製品をつくる工場や保管倉庫、出荷時の流通経路も踏まえて、販促場所を決定しましょう。
ほかにも、サービスが複雑で一目で分からない場合は、企業担当者にその場で説明できるよう、対面で会話が出来る場所やオンラインで画面越しに説明できるWeb環境を整えておく必要が出てきます。
5.「販促方法」を決める
良い製品・サービスを、良い価格で、良い場所で提供できたとしても、アプローチ方法を間違うと、ターゲット企業に何も伝わらない可能性もあります。
どのような方法だとターゲット企業に効果的なアプローチができるか? どのような方法だと価値が伝わるか? 考えて決めましょう。
特に直近はWebでの販促方法の多様化が進んでいます。第三者の推奨が得られる口コミ施策やインフルエンサー施策、SNSを使ったマーケティングなどを駆使することで、効果的に販売促進を進められます。
手法のバリエーションがあると選択肢が広がるので、競合他社のやり方を調べたり、代理店やコンサルに相談するのもよいでしょう。
販促方法が煩雑だと、社内で対応し切れるかの問題も発生します。販促する能力、人員は十分かどうかなど、社内リソースの観点でも検討しておきましょう。
リソース不足の場合は、費用対効果を見ながら外注を検討してください。
▼Webマーケティングの外注費については、下記の記事もぜひ参考にしてみてください。
→Webマーケティングの費用とは?外注や各マーケティングの料金相場
【BtoB業態別】4P分析の分析事例
4P分析の進め方を1〜5の手順に沿ってご紹介しましたが、ここからはよりイメージしやすいよう、3つのBtoBビジネス業態を例に、4P分析の例をご紹介します。(実在のメーカーではありませんが、4P分析の実施例として参考にしてみてください。)
ぜひこちらのテンプレートをダウンロードして、自社の分析の参考にしながらご覧ください!
→【記入例付き】マーケティングフレームワーク・テンプレート集
例1:オフィス機器製造メーカーの場合
項目 |
分析結果 |
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ターゲット企業 |
日頃実務でコピー機やプリンターを多用する、大手企業。 |
どんな価値を提供するか? |
社員全員が機械を楽々使いこなせることで、時短・ノンストレスを実現。 |
製品・サービス |
音声補助付きリース複合機 ・機械が苦手な社員のために手順を音声で案内してくれる。 ・案内は画面に沿ってボタンを押すだけ、用途により異なる案内をしてくれる。 ・紙詰まりやインク補充が必要な場合は、ランプが点滅して知らせてくれる。 ・音声補助はボタンひとつでサイレントモードに切替可能。 ・コピー、FAX、プリンタ、スキャナ機能搭載、カラー印刷可。 ・故障時も画面のボタン操作で問い合わせできるから楽々。 |
価格 |
月額25,000円 保守契約込み |
販促場所 |
①オフィス機器展示会への出展 ②タクシー広告などのマス向けメディア |
販促方法 |
①展示会で名刺交換した企業への営業 ②タクシー広告やYouTube広告によるPR活動、著名なインフルエンサーを起用した認知拡大のための施策 |
■解説
最新鋭のオフィス機器を提供するにあたり4P分析を実施。
大手企業なので社員数が多く、中には機械が苦手な人も多いと想定されます。
使用方法が分からないことでの時間ロスをなくすために、コピーやスキャンのやり方を音声案内するリース複合機を製品に選びました。
大手企業の展示会参加率が高いことから、オフィス機器の展示会への出展施策を実施。
並行して、音声で案内するという最大の特徴を伝えるために、動画媒体によるPR動画で認知を拡大していくよう進めていく、という結論を出しました。
▼動画コンテンツの活用方法については、下記の記事をぜひ参考にしてみてください。
→動画コンテンツのメリットとは? CVRが25倍になったferret Oneの事例で学ぶ!BtoB向け動画活用法
例2:健康食品素材メーカーの場合
項目 |
分析結果 |
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ターゲット企業 |
健康食品を開発・販売している通販会社やOEM企業。 |
どんな価値を提供するか? |
消費者が使い続けたくなる、訴求力の高い商品開発に貢献する。 |
製品・サービス |
少量の摂取で確かな体感性・実感力が期待できる自然素材シリーズ ・1回の摂取目安が少なくて済むので、コスパ◎。飲む量も減るので消費者にもメリットあり。 ・体感性を重視した素材のみ提供。消費者がリピートしたくなる商品開発に貢献。 ・もっと実感力を、とのことであれば増量配合も可能。 ・産地情報や独自の加工技術など、広告等で使用できる情報も併せて提供可能。 ・素材の組み合わせの知見あり。企画開発からコンサル的にサポートすることも可能。 ・定期的な会員制メルマガで新素材の情報をいち早く提供。 |
価格 |
推奨摂取目安で1日あたり3~10円分。1回でも素材の発注実績がある企業には、 無料で会員メルマガを配信。 |
販促場所 |
①健康食品素材の展示会への出展 ②会員限定のメルマガ |
販促方法 |
①展示会で名刺交換した企業への営業 ②メルマガにより新情報を提供し、販促につなげる |
■解説
健康意識の高まりとともに、健康食品事業への参入が進務中、どのような素材で製品をつくるかは各企業の死活問題です。
消費者が使い続けたくなる、訴求力の高い商品開発に貢献するために4P分析した結果、消費者と販売者、双方のニーズを捉えた「少量で実感できる」自然素材の提供が必要である、との結論を導いています。
直接目に触れ、試飲も可能な展示会の場は大きな販促のシチュエーションですが、加えて会員制のメルマガ施策を同時展開して、何よりも売れる商品開発につながる素材情報をいち早く欲しい企業ニーズに応えようとしています。
▼メルマガ施策については、下記の記事もぜひ参考にしてみてください。
→メールマーケティングとは?初心者によくある9つの疑問
例3:システムサポートメーカーの場合
項目 |
分析結果 |
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ターゲット企業 |
急成長中の中小企業。 |
どんな価値を提供するか? |
システム面から会社の成長に貢献する。 |
製品・サービス |
どんな業態でもOK、カスタマイズ自由な管理システム ・会社の規模拡大に伴うシステム面の拡張を効率的にサポート。 ・自由度が高いので、成長の段階に併せてシステムを柔軟に改良することができる。 ・どんな業態にも対応。取引実績300社以上のノウハウを生かした手厚いフォローが特徴。 ・3年、5年と先を見越したプランを提案。システムトラブルにも24時間即時対応。 |
価格 |
システム利用のみで月額20万円、コンサルサポート込みで月額30万円 ※新規加入キャンペーン期間で初期導入費用80%OFF |
販促場所 |
①オンライン環境。 |
販促方法 |
①自社メディアによる情報発信+SEO対策 ②業界コンサルに相談の上、成長中の企業を紹介してもらう |
■解説
成長中の中小企業にとって大きな課題となるのが、システム体制です。
今まで使用していたシステムが、成長規模に合わなくなってしまうことも考えられます。
会社の成長を加速させるシステムの構築を提供価値とし、4P分析を進めた結果、どのような業態にも適用でき、カスタマイズの自由度も高い管理システムを製品・サービスに選びました。
価格帯はコンサルプランも用意し、さらに期間限定のお得なキャンペーンで決断を後押し。
基本はシステムの入れ替えを検討中の企業担当者を、SEO対策により自社情報を届けるWeb施策でアプローチしていきます。
加えて、「成長中の企業」に詳しい業界コンサルに打診し、ターゲット企業を絞って営業をかける方法も実施する、という結論を出しました。
▼SEO対策については、下記の記事もぜひ参考にしてみてください。
→SEO対策とは検索者へのおもてなし!初心者でも順位を上げるやり方
マーケティング戦略・施策立案の流れにみる4P分析のタイミング
4P分析を活用するタイミングを解説します。
マーケティングは、自社の商品・サービスや置かれている環境を診断し、それを踏まえてマーケティング戦略を立て、具体的な施策に落とし込んでいきます。この流れでいうと、4P分析はマーケティング施策を検討する際に活用します。
1.自社の商品・サービス/市場を把握する
マーケティングを始める際にはまず、自社がどのような市場で、どのような商品・サービスを提供しているのか、自社の現状を確認します。
世の中の動きを把握するPEST分析、業界の動きを把握する3C分析、それらを組み合わせて自社の強みと弱みを浮き彫りにするSWOT分析など、フレームワークを活用しながら、商品・サービスが、どの企業の、どんな悩みを、どのように解決するものなのか、言語化していきます。
▼「PEST分析」については、下記の記事で詳しく解説しています。
→【わかりやすく】PEST分析とは?テンプレートを使ったかんたんなやり方
▼3C分析についてはこちらで詳しく解説しています
→【5分でわかる】3C分析とは?テンプレートを使ったかんたんなやり方
▼「SWOT分析」については、下記の記事で詳しく解説しています。
→【図解&テンプレ付き】SWOT分析とは? 時代遅れにならないやり方を事例を踏まえ解説
2.マーケティング戦略を立てる
自社の商品サービス、市場の現状が把握出来たら、具体的にどの市場で、どのようなスタンスをとるのかマーケティング戦略を立てます。
STP分析等を活用して、利益を上げていくことができる自社のポジションを見つけていきます。
▼STP分析については、こちらの記事を参考にしてみてください
→STP分析とは?戦略を導き出すやり方と実践のコツ【テンプレ付】
3.4P分析×4C分析でマーケティング施策を決める
マーケティング戦略を具体的な施策に落とし込んでいきます。
その足掛かりとして、顧客視点で商品・サービスを分析する「4C分析」や、企業視点で商品・サービスを分析する「4P分析」を併用して、「ターゲットに商品・サービスをどのように売るのか?」を考えていきます。
▼4C分析については、こちらで詳しく解説しています
→4C分析とは? 4P分析・3C分析・SWOT分析との違い
4P分析で成果を最大化できる施策を立案しよう
ターゲット企業像と事業における自社の提供価値を明確にし、製品やサービス、価格、販促場所、販促方法を適切に設定することで、BtoBマーケティングで大きな成果を出せます。
4P分析を駆使して、成果を最大化できるマーケティング施策を企画・立案していきましょう。
テンプレートもぜひご活用ください!
→【記入例付き】マーケティングフレームワーク・テンプレート集
弊社では、BtoBマーケティングに必要な機能をそろえたマーケティングツール「ferret One」を提供しています。
ツールに加え、長年の実績に基づいたBtoBマーケティングのノウハウもセットで提供。
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