MAのシナリオとは?「難しい」を乗り越える設計手順【設計例付き】
MAのシナリオ機能、ちゃんと使いこなせていますか?
「シナリオ設定が複雑すぎて運用が止まってしまった」「結局メルマガ配信だけで終わっている」
そんな声をよく耳にします。
確かに、MAのシナリオ設計は「上級者向け」とされがち。
ですが、実はもっとシンプルな考え方からでも、成果に結びつくシナリオは十分つくれるのです。
本記事では、「初めての人でもつくれる・回せる」「経験者はもっと簡単に成果を出せる」をテーマに、MAにおけるシナリオの基本から、シナリオ例、つまずきポイントとその回避法までわかりやすく解説します。
まだ導入していない方にも、うまくいっていない方にも、シナリオ設計のヒントを、ひとつでも拾っていただけたら幸いです。
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目次[非表示]
MAにおけるシナリオとは?
MAにおけるシナリオとは、顧客が成約に至るまでにとるであろう行動を予想し、その行動に対してどのようなマーケティング施策を行うかの計画や、実行する仕組みを指します。
つまり、顧客行動を先回りして、その都度検討度を上げるために企業がすべきアプローチを計画したものです。
MAでシナリオ設計する目的
シナリオはリードナーチャリングを効率化するために作成されます。
設計したシナリオに沿った施策をMAに設定することで、アプローチを自動化することができます。
顧客の属性や行動・興味の度合いに応じてシナリオを設定すれば、成約につながる顧客を増やすために最適なアプローチが可能になるのです。
シナリオの例
「顧客のある行動に対して設定しておいたメールを自動配信する」といった形でよく使われます。
例えば、サービス紹介のメールを顧客に一斉送信した場合、以下のようなシナリオが考えられます。
- メール未開封の顧客には、3日後に再び同じメールを送る。
- メール開封後、URLをクリックした顧客には、サービスの活用事例やセミナー案内などのメールを送る。
- サービスの料金ページを閲覧した顧客には、キャンペーン案内のメールを送信する。
シナリオ設計機能は、メールを自動で一斉送信するだけではなく、顧客の行動に合わせて配信するメールを変更できるのが特徴です。
顧客がどのような行動をとるか筋道を詳しく考えることが、重要になります。
詳しくは後述の「【よくあるケース別】MAのシナリオ例」「【業種別】MAのシナリオ例6選」で解説します。
関連記事:MA(マーケティングオートメーション)とは?ツールを比較してわかりやすく解説
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MAのシナリオ設計手順
シナリオの設計手順は以下の通りです。
設計したシナリオは、MAの機能で自動でアプローチできるように設定することで、ナーチャリングを効率化できます。
- 対象となるターゲットを明確にする
- いつアプローチするか決定する
- 配信するコンテンツの内容を決める
- アプローチの手段を選ぶ
手順①対象となるターゲットを明確にする
第一に、対象となるターゲットを明確にする必要があります。
対象によって有益な情報は異なります。誰を対象にマーケティングを行うかを決めなければ、いつ・どのようなメールを配信するかなど、その他のことも決められません。
ターゲットの決め方
ターゲットは、行動(メール開封・サイト閲覧)や顧客の属性(勤務先企業の業種・従業員数・所属部署・役職など)といった観点から、自社の保有する顧客情報をセグメントし、どの顧客を対象とするか決定するとよいでしょう。
行動は検討度を、属性は自社のターゲットかどうか、またアプローチの優先順位を決めることができます。
例)
検討段階 |
行動 |
属性 |
課題認知 (潜在層) |
ノウハウ系○○のセミナーに参加した |
○○業のマーケ担当者 |
情報収集
(準顕在層)
|
○○のホワイトペーパーをダウンロード |
○○業のマーケ担当者 |
比較検討
(顕在層)
|
サービス資料をダウンロードした |
○○業のマーケ担当者 |
関連記事:顧客セグメントとは?マーケティング成功に欠かせない分類の方法やポイント
手順②いつアプローチするか決定する
ターゲットが決まったら、何をきっかけに、どのタイミングでアプローチするのかを決定します。
メール配信の頻度やタイミングは慎重に考える必要があります。頻繁にメールを送りすぎたり、逆にアプローチのタイミングが遅れたりすると効果が薄れてしまったり、顧客との関係を悪化させる可能性があるので注意しましょう。
最も効果的なタイミングと頻度でアプローチができれば、顧客の興味・関心を高めることが可能です。
アプローチの決め方
営業部門に今までの経験から、見込み顧客の反応が良かったタイミングや頻度をヒアリングして、そこから始めてみるとよいでしょう。最初から「最適」を見つけれるはずはありませんから、実際にシナリオを運用してみて、PDCAを回して改善していけば問題ありません。
例)
ターゲット |
タイミング |
○○セミナーに参加したマーケ担当者 |
アンケート回答直後 |
○○のホワイトペーパーをダウンロードしたマーケ担当者 |
ホワイトペーパーを閲覧した直後 |
サービス資料をダウンロードしたマーケ担当者 |
ダウンロード直後 |
基本的に、検討度の高いうちにアプローチするのが効果的です。タイミングに悩んだら、ターゲットが行動した直後にアプローチするとよいでしょう。
手順③配信するコンテンツの内容を決める
配信するコンテンツ内容を決めます。配信する内容は、サービスの紹介や活用事例、セミナーへの招待などさまざまです。
コンテンツの決め方
対象としている顧客が、アプローチするタイミングで最も必要としている情報は何かを考えて決定しましょう。
自社が伝えたい情報を一方的に送るのではなく、顧客目線でコンテンツ内容を作成することがポイントです。
▼配信コンテンツについては、こちらの記事も参考にしてみてください。ferret Oneのメルマガ担当者が、普段どのようなメルマガを配信しているのか、リアルな情報をお届けしています。
→【例文あり】BtoBメルマガ担当者に聞く!おすすめ配信コンテンツ6選
例)
ターゲット |
タイミング |
配信コンテンツ |
セミナー「リード獲得の方法」に参加したマーケ担当者 |
アンケート回答直後 |
セミナー案内「Webサイト制作方法」 |
ホワイトペーパー「RFPテンプレート」をダウンロードしたマーケ担当者 |
ホワイトペーパーを閲覧した |
「サイトリニューアルサービス●●」の紹介資料 |
「サイトリニューアルサービス●●」の紹介資料をダウンロードしたマーケ担当者 |
ダウンロード直後 |
ご提案のお願い(商談打診) |
ターゲットに次の検討段階へと移ってもらうようなイメージで、いまの検討段階の次に知りたいであろう情報をコンテンツとして配信していきましょう。
手順④アプローチの手段を選ぶ
ターゲットにコンテンツをどのように届けるのか、アプローチの手段を選択します。
MAを活用する場合は下記2つのアプローチを行うのが一般的です。
(MAがアプローチのタイミングを検知したら)
- あらかじめ作成しておいたメールをMAがターゲットに自動送信(ステップメール)
- 担当者にMAから通知がいき、担当者自身がターゲットに架電・メール送信する
「あらかじめ作成しておいたメールをMAがターゲットに自動送信」する場合は、ターゲットの数が多い場合は効率的にアプローチできるのでおすすめです。また、開封率やクリック率を把握したり、Web上での行動を解析するもできるので効果測定もしやすいメリットがあります。
「担当者にMAから通知がいき、担当者自身がターゲットに架電・メール送信する」場合は、人によるきめ細かい対応が可能になるため、成約意欲の高い顧客には効果的です。
ターゲットとなる顧客の性質に合わせて、最適なアプローチ手段を選択しましょう。
例)
ターゲット |
タイミング |
配信コンテンツ |
アプローチ |
○○セミナーに参加した
マーケ担当者
|
アンケート回答直後 |
■■セミナーのご案内 |
メールを自動配信 |
○○のホワイトペーパーをダウンロードしたマーケ担当者 |
ホワイトペーパーを閲覧した |
サービス資料のご案内 |
メールを自動配信 |
サービス資料をダウンロードしたマーケ担当者 |
ダウンロード直後 |
○○相談会のご案内 |
担当者から架電 |
関連記事:ステップメールの作り方とは?シナリオ設計や成功事例を解説
成果につながるシナリオの分岐設定
成果を出すシナリオ設計の基本は、ユーザーの行動(アクション)に応じて内容を分岐させることです。ただし、多くの担当者が迷うのが「どのアクションで分岐させるべきか?」「どこまで細かく設計すべきか?」という点です。
そこでそこで、分岐点となる主なアクションと活用方法をまとめました。
- アクションによる分岐
- 属性情報による分岐
- スコアリング分岐
- メールの開封有無
-
リンクのクリック有無
アクションによる分岐
「料金ページの閲覧」「資料のダウンロード」「セミナーへの参加」など、具体的なアクションが重要なトリガーとなります。これらの行動が、ユーザーの興味・関心や検討段階に変化が生じたサインかどうかを判断基準とします。
たとえば、あるホワイトペーパーをダウンロードした場合、そのテーマに沿った関連コンテンツ(記事、成功事例、Q&A、次の資料など)を段階的に案内することで、ユーザーの検討度を徐々に引き上げていくことができます。
属性情報による分岐
登録時に取得した業種・役職・企業規模などの属性情報をもとに、送るコンテンツを決めることで、より精度の高いパーソナライズが可能です。
例:
- 役職別:経営層向け/実務担当者向けのアプローチを分ける
- 業種別:業界特化の事例や活用方法を提示
リードスコアに応じて営業接触の自動化
ユーザーの行動に応じてスコアを加点・減点する「スコアリング」を活用すれば、検討度の高まったリードを可視化できるため、営業がアプローチすべきタイミングを自動で見つけられます。
例:
- 一定スコアを超えたら、営業担当へ通知
- 架電や1to1メールによるアプローチを即時実施
メール開封の有無
メール開封の有無でユーザーの関心度をはかることができます。
開封された場合:
その時点で「少なくとも件名には反応し、ある程度の関心を持ってくれている」と判断できます。こうしたユーザーには、興味・関心をさらに深めてもらうための導線を設計し、次のアクション(例:記事閲覧、資料ダウンロード、相談申込)へと自然に誘導することが効果的です。
開封されなかった場合:
「件名が刺さらなかった」「開封するタイミングが合わなかった」といった可能性が考えられます。このようなケースでは、件名を見直して関心を引きやすい表現に変更したり、配信時間を調整して開封されやすい状況をつくるなど、シナリオ自体の再設計が求められます。
リンククリックの有無
メールリンクがクリックされたかどうかも、ユーザーがどのコンテンツに興味を持ったかを可視化する指標になります。
クリックされた内容に基づいて、関連性の高い資料や成功事例を自動配信することで、関心に沿ったフォローアップが実現します。
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【よくあるケース別】MAのシナリオ例4選
初心者でも簡単に取り組め、成果につながりやすいMAのシナリオ例を厳選してご紹介します。
MAの基本的な機能で設定でき、効果測定もしやすいものになりますので、ぜひ取り組んでみてください!
なお、シナリオ例のタイミングはあくまで目安です。商材のリードタイムを加味して、自社のターゲットに適したタイミングを見つけてみてください。見込み顧客に自社とサービスを認識してもらえるように間隔を空けすぎないことがコツです。
- サイト閲覧者への資料ダウンロード促進
- ホワイトペーパーダウンロード後のフォローアップ
- ウェビナー申し込み後の参加促進と関係性構築
- 失注顧客への再アプローチ
サイト閲覧者への資料ダウンロード促進
このシナリオの目的・ターゲット
ページ内容に興味を持っている訪問者に、関連する資料を案内し、ダウンロードを促進する。
設定例
シナリオが始まるきっかけ(トリガー):特定のページに、訪問者が興味を持っていると判断できる時間以上滞在したら自動でポップアップを表示します。ポップアップ機能で実現可能です。
タイミング |
配信するコンテンツ |
アプローチの手段 |
TOPページまたは、
サービス紹介ページを20秒以上閲覧
|
サービス紹介資料 |
ポップアップ |
料金ページを10秒以上閲覧 |
料金表 |
ポップアップ |
事例紹介ページを30秒以上閲覧 |
事例集 |
ポップアップ |
ブログ記事を30秒以上閲覧 |
関連するホワイトペーパー |
ポップアップ |
特定のページでの滞在時間をもとにポップアップを表示するシナリオです。ポップアップでは、閲覧中のページよりも詳しい情報を提供する資料を案内し、ダウンロードを促します。
ページを訪れるユーザーは、流し読みしていることが多く、CVポイントに気づいてももらえないこともしばしばです。そのため、ポップアップで目に付くように提示することが有効になってきます。
ポップアップでは、「この資料をダウンロードするとどんなメリットがあるのか」をシンプルでわかりやすく伝えましょう。
ホワイトペーパーダウンロード後のフォローアップ
このシナリオの目的・ターゲット
ホワイトペーパーをダウンロードした見込み顧客を育成し、次のアクション(例えばサービス資料ダウンロードや問い合わせ、デモの申し込み)を促す。
設定例
シナリオが始まるきっかけ(トリガー):資料ダウンロードフォーム送信後に自動で開始します。ステップメールなどの機能で実現可能です。
タイミング |
配信するコンテンツ |
CTA |
アプローチの手段 |
|
① |
WPダウンロード完了直後 |
・ダウンロードしたホワイトペーパー
・関連サービスの紹介(簡潔)
|
関連するサービス資料 |
自動送信メール |
② |
(関連するサービス資料のダウンロードがない場合) WPダウンロード、2〜3日後 |
関連サービスの紹介(①より詳しく) |
問い合わせやデモの予約 |
自動送信メール |
③ |
(問い合わせ・デモ予約がない場合) WPダウンロード、1週間後 |
サービス活用事例の紹介 |
問い合わせやデモの予約 |
自動送信メール |
ホワイトペーパーダウンロード後、サービスへの検討度を高めてもらうためにステップメールを配信するシナリオ例です。
①ホワイトペーパー送付メール
ホワイトペーパーをダウンロードしてもらったら、自動でその資料を送付します。
この際に、関連するサービスの資料や事例集のリンクも一緒に記載しておくと、ついでにダウンロードしてもらいやすくなり、認知向上・検討度向上につながります。ただし、もしホワイトペーパーを送るだけで終わってしまったら、それ以上の接点を持てず、休眠顧客となってしまいます。
②関連サービス紹介メール
そこで、2〜3日後に、自社サービスを紹介するメールを送ります。
このメールでは、ホワイトペーパーの内容を補足する情報と、関連するサービスについてわかりやすく説明するのがポイントです。
さらに、メール内に問い合わせやデモ予約を促すボタン(CTA)を設置しておくと、興味を持った見込み顧客とスムーズにコンタクトが取れるようになります。
③サービス活用事例紹介メール
それでも反応がない場合、1週間後にメールを送ります。
このメールでは、ターゲットが抱えていると思われる課題を解決した他社の成功事例を紹介します。課題を具体的に意識させ、解決への意欲を高めることが狙いです。このメールにもCTAを設置し、検討意欲が高まった見込み顧客とコンタクトを取れるようにしておきましょう。
ウェビナー申し込み後の参加促進と関係性構築
このシナリオの目的・ターゲット
ウェビナーに申し込んだ人のウェビナーへの参加率を高め、その後の関係性も構築する。
設定例
シナリオが始まるきっかけ(トリガー):ウェビナー申し込みフォームの送信後に自動で開始します。ステップメールなどの機能で実現可能です。
タイミング |
配信するコンテンツ |
CTA |
アプローチの手段 |
|
① |
ウェビナー申し込み直後 |
申し込み完了の案内 |
なし |
自動送信メール |
② |
ウェビナー前日 |
開催日時の再確認と参加方法の再案内 |
なし |
自動送信メール |
③ |
ウェビナー参加後のアンケート回答直後 |
ウェビナーで使用した資料の共有と関連サービスの案内 |
サービス紹介資料 |
自動送信メール |
④ |
(アンケートにて商談を希望しなかった場合) アンケート回答の2~3日後 |
次回のウェビナー案内 |
ウェビナー参加 |
自動送信メール |
ウェビナー申し込み後から始まり、次回のウェビナー参加にもつなげるステップメールのシナリオ例です。
① 申し込み完了メール
ウェビナーの申し込みが完了した際に、「申し込み完了メール」を送信します。
このメールでは、登録が無事に完了したことを簡潔に伝える内容にとどめ、CTAは設けません。安心感を与えるシンプルなメールがポイントです。
② 開催前日のリマインドメール
ウェビナー開催前日に、日時や参加方法を再確認できるメールを送ります。
このメールは、ウェビナーの日時を忘れていたり、登録していたこと自体を忘れている方へのリマインドになります。参加率を高めるために、当日の参加方法をわかりやすく案内し、スムーズに参加できるようサポートしましょう。
③ ウェビナー後のフォローアップメール
ウェビナー終了後、アンケート回答者への特典として、使用した資料やアーカイブ動画を送付します。その際、メールの内容に自社サービスに関する情報も盛り込みましょう。資料に関連するサービスを紹介し、導入検討の候補に挙げてもらうことを目指します。
④ 次回ウェビナーの案内メール
アンケート回答の2〜3日後には、次回ウェビナーの案内メールを送ります。カスタマージャーニーの次の検討段階に進んだことを想定し、前回よりも深い内容のウェビナーを案内しましょう。これにより、継続的な関心を引き出し、次回の参加につなげます。
失注顧客への再アプローチ
このシナリオの目的・ターゲット
失注顧客に再び興味を持ってもらう。
失注顧客への再アプローチは、顧客の現状の課題解決をサポートする提案型アプローチが有効です。例えば、次のようなアプローチです。
- 失注時の課題が解決していない可能性を提起し、改めて自社のソリューションを提案する。
- 新たな製品・サービス情報や成功事例を提供し、再検討を促す。
さらに、タイミングを工夫することで、より効果的なアプローチが可能になります。新製品のリリースやキャンペーンの開始、あるいは年度末の予算消化の時期など、自然にメールを送る理由があるタイミングを狙うと、顧客にメールを読んでもらいやすくなります。そして、一斉送信ではなく、商談担当者からの1on1形式でメールを送ることで、より親密でパーソナルな印象を与えることができます。
ここでは、「新サービスのご案内」をきっかけに失注顧客へ再アプローチするシナリオ例をご紹介します。
設定例
シナリオが始まるきっかけ(トリガー):まず過去1年の失注顧客をリスト化し、メルマガで連絡を取ることから始めます。メーリングリスト作成機能を使えば、顧客データの抽出もスムーズに行えます。送信後は、メールを開封したりリンクをクリックしたりといった反応を行動検知機能で確認し、それに応じて次のアクションを設定する流れが効果的です。
タイミング |
配信するコンテンツ |
CTA |
アプローチの手段 |
|
① |
シナリオ開始即時 |
・挨拶 ・製品の新情報 |
サービス紹介資料 |
自動送信メール |
② |
①でサービス資料を閲覧したら |
企業別に提案 |
なし |
担当者からの架電 |
① 新サービスのご案内メール
まずは、再接点を作ることから始めましょう。
以前のお取引や提案への感謝をお伝えした後に、「その後、課題は解決されましたか?」といった形で相手の現状を確認します。
その上で、「○○様の課題に役立ちそうな新サービスが登場しましたので、ぜひご案内させてください」と提案の機会をつくりましょう。
② 担当者からの直接電話
再提案の機会をつくるステップです。
メール送信後に相手が資料を閲覧した場合、その情報がMAを通じて担当者に通知されるよう設定します。そのタイミングで、担当者が直接電話をかけて再提案を持ちかけます。
【業種別】MAのシナリオ例6選
業界別にどのようなシナリオが想定できるか、例を紹介します。
- 【SaaS】無料トライアル→有料転換シナリオ
- 【コンサルティング】ホワイトペーパーDL後の課題顕在化&信頼構築シナリオ
- 【ITセキュリティ】ホワイトペーパーDL後のセミナー案内シナリオ
- 【人材サービス】セミナー参加後の相談申込みシナリオ
- 【製造】製品カタログDL後のリードナーチャリングシナリオ
- 【EC業界】カゴ落ちリカバリーシナリオ
【SaaS】無料トライアル→有料転換シナリオ
目的:無料トライアルを始めたユーザーに、「このサービスは便利だ!」と実感してもらい、できるだけ早く有料プランに申し込んでもらうこと。
対象:無料トライアル登録者
シナリオ例:
タイミング |
配信するコンテンツ |
CTA |
アプローチの手段 |
即時 |
ウェルカムメール(初期設定ガイド、FAQ、チュートリアル動画) |
使い方を見る/ログインする |
自動配信メール |
2日後 |
トライアル中によくある「つまずきポイント」の対処法コンテンツ |
サポートコンテンツを確認する |
自動配信メール |
4日後 |
他社の活用事例紹介(同業界、同職種)+使いこなしTIPS集 |
活用事例を見る |
自動配信メール |
7日後 |
有料プランの比較資料+限定割引/特典付き案内 |
今すぐアップグレード |
自動配信メール |
10日後(未CVの場合) |
「あなたのアカウントでの成果」とダッシュボードへの案内 |
利用レポートを確認 |
自動配信メール |
12日後(アクティブでない場合) |
トライアル期間延長orコンサル付き体験のオファー |
体験を延長する/相談を申し込む |
自動配信メール+インサイドセールス架電 |
SaaS業界では、基本機能を無料で提供し、より高度な機能を利用したい場合に有料プランへ移行してもらう「フリーミアムモデル」を採用している企業が多く見られます。
まず無料ユーザーに継続的にサービスを利用してもらうことが、有料転換の第一歩となります。
そのためには、初期段階で「どのように使えばいいのか」「他社はどのように活用しているのか」といった、具体的な使い方や活用事例を丁寧かつ実践的に伝えることが重要です。自社にとっての必要性を明確に感じるようになれば、自然と有料プランへの移行が促進されます。
【コンサルティング】ホワイトペーパーDL後の課題顕在化&信頼構築シナリオ
目的:専門知識やナレッジを資料で提供しながら、信頼関係を築いていくこと。
対象:法務・DX・経営戦略などのハウツー資料をダウンロードした企業担当者・経営層
シナリオ例:
タイミング |
配信するコンテンツ |
CTA |
アプローチの手段 |
即時 |
サンクスメール(DL資料リンク) |
資料を読む |
自動配信メール |
1日後 |
ホワイトペーパー「チェックリスト型セルフ診断:課題の棚卸」の案内案 |
チェックリストを試す |
自動配信メール |
2日後 |
ホワイトペーパー「問題構造を整理するフレームワークと実践例紹介」の案内 |
フレームワークを自社課題に当てはめてみる |
自動配信メール |
4日後 |
事例紹介(他社の課題解決プロセス紹介、Before→Afterの変化+成果) |
事例集を見る |
自動配信メール |
6日後 |
【限定案内】個別課題相談会(無料30分) |
相談を申し込む |
自動配信メール |
8日後(未予約) |
「今、放置するとどうなる?」未来予測的なデータと業界動向+個別課題相談会の案内 |
相談を申し込む |
自動配信メール |
【ITセキュリティ】ホワイトペーパーDL後のセミナー案内シナリオ
目的: 自社のセキュリティ対策に課題感を持つ担当者に対し、DL後の段階的な情報提供によって今やるべき理由を訴求し、提案機会を創出する。まずはセミナーを案内することでより課題を顕在化させることを狙う。
対象:ホワイトペーパーをダウンロードした情報システム部門の責任者・担当
シナリオ例:
タイミング |
配信するコンテンツ |
CTA |
アプローチの手段 |
即時 |
サンクスメール(DL資料リンク) |
資料を読む |
自動配信メール |
3日後 |
最近の情報漏洩事例と対策ガイド |
対策レポートを読む |
自動配信メール |
6日後 |
自社の対応状況チェックリスト |
自社診断をする |
自動配信メール |
10日後 |
担当者向け無料セミナー案内 |
セミナー予約 |
自動配信メール |
ホワイトペーパーは情報収集や学習を目的とした潜在層のダウンロードが多くなります。
こうした段階のユーザーに対しては、まず自社の課題を自分ごととして捉えてもらい、「今すぐ対策が必要だ」と感じてもらう働きかけが重要です。
また、すぐに商談につながらない場合でも、「この企業は有益な情報を提供してくれる」といった信頼を積み重ねることで、将来的な接点につなげることができます。
【人材サービス】セミナー参加後の相談申込みシナリオ
目的:顕在層向けセミナーの参加者に対して、個別相談の申し込みを促す。
対象:セミナー・ウェビナーに参加したユーザー(人事担当者・経営者)
シナリオ例:
タイミング |
配信するコンテンツ |
CTA |
アプローチの手段 |
即時 |
サンクスメール+セミナー資料のDLリンク(録画があれば録画リンクも) |
セミナー資料を見返す |
自動配信メール |
1日後 |
セミナー内で紹介した成功事例の詳細資料+業界別の事例リンク |
他社の成功事例を見る |
自動配信メール |
3日後 |
○○サービスについて、よくある質問まとめ+導入ステップの紹介 |
よくある疑問を解消する |
自動配信メール |
5日後 |
「貴社の採用状況に合わせた個別相談が可能です」と案内+予約フォーム |
無料相談に申し込む |
自動配信メール |
7日後(未予約者) |
「あの内容、活かせましたか?」と軽く声かけ+限定特典(例:初回相談レポート付き) |
今すぐ相談予約する |
1to1メール(+営業架電も可) |
セミナー参加者は、内容・テーマによって、潜在層から顕在層まで幅広く含まれます。しかし、いずれの層であっても、セミナーだけでは「知識や事例を得ただけ」で終わってしまうケースも多く、放置してしまうと検討が止まり、他社に流れるリスクがあります。
そこで重要になるのが、セミナー終了直後のフォロー施策です。参加者の記憶が新しいうちに、「次に知りたくなる情報」や「検討を一歩進めるきっかけ」をタイミングよく提示することで、自然な流れで個別相談や具体的な提案フェーズへと導くことが可能になります。
【製造】製品カタログDL後のリードナーチャリングシナリオ
目的:製品カタログダウンロード後に、営業機会をつくる
対象:製品カタログをダウンロードしたユーザー
シナリオ例:
タイミング |
配信するコンテンツ |
CTA |
アプローチの手段 |
即時 |
サンクスメール(DL資料リンク) |
資料を読む |
自動配信メール+インサイドセールス架電 |
3日後 |
製品活用例 |
事例記事を読む |
自動配信メール |
5日後 |
他社製品との比較資料 |
比較表を見る |
自動配信メール |
7日後 |
技術者との個別相談案内 |
相談を申し込む |
自動配信メール |
サービス資料や製品カタログをダウンロードするユーザーは、すでに自社の課題を認識している「準顕在層」である可能性が高いと考えられます。こうしたユーザーは、他社の資料も併せてダウンロードしているケースが多く、「どのサービスが自社に最も適しているか」を比較検討している段階にあります。
そのため、「自社に合っているのはこのサービスだ」と納得してもらう後押しが重要です。
たとえば、資料をダウンロードしたユーザーと同じ業界・業種・課題背景を持つ企業の成功事例や活用方法を、タイミングよくメールやコンテンツで届けることで、共感や理解を得やすくなります。
【EC業界】カゴ落ちリカバリーシナリオ
目的:カートに商品を入れたまま購入せずに離脱したユーザーに対して、適切なタイミングでリマインドを行い、購入完了まで導くこと。
対象:カートに商品を入れたものの購入まで至っていないユーザー
シナリオ設定例:
タイミング |
配信するコンテンツ |
CTA |
アプローチの手段 |
カート放棄から30分後 |
「カートの中に商品○○が残っています」というリマインド |
購入する |
自動配信メール+インサイドセールス架電 |
24時間後 |
クーポン |
30%offで購入する |
自動配信メール |
3日後 |
他の人気商品紹介 |
商品をみる |
自動配信メール |
カートに商品を入れたまま離脱するユーザーは、「買いたい気持ちはあるが、あと一歩で迷っている」非常に惜しい見込み顧客です。
価格、時間、比較検討、気持ちの変化など、その理由はさまざまですが、放っておくとそのまま失注してしまう可能性が高いでしょう。
そこで、適切なタイミングで「商品がまだ残っています」といったリマインドや「クーポン」などの特典を提示することで、「やっぱり買おう」と思わせる後押しが重要です。
MAシナリオで陥りがちな失敗とその改善策
シナリオ設計は調整が難しく、思うような成果につながらないという結果を招きがちです。そこであらかじめ陥りがちな失敗とそれを防ぐための方法(改善策)を学んでおきましょう。
- シナリオが一方通行で、ユーザーの反応に合わせていない
- 初回接点からアポ獲得までが長すぎる/短すぎる
- 1つのメールの内容が多すぎる
シナリオが一方通行で、ユーザーの反応に合わせていない
失敗例:
あらかじめ設定した一連のメールを自動配信するだけで、ユーザーの行動(開封・クリック・資料DLなど)に応じた分岐や出し分けができていない。メールを読んでいないのに、どんどん課題感を深堀した内容を送ってしまっている。
ユーザーの行動をトリガーとしたシナリオ分岐を設計しましょう。
例えば、ホワイトペーパーをDLした人には次の関連資料を、メールを開封していない人にはさらに割引されるクーポンを送る、など関心に応じたフォローを行うことで、検討度を自然に引き上げられます。
初回接点からアポ獲得までが長すぎる/短すぎる
失敗例:
セミナー参加や資料DL後すぐに「商談しませんか?」と持ちかけてしまい、ユーザーに引かれてしまう。または、フォローが弱く、ユーザーが離脱してしまう。
ユーザーの検討フェーズに応じたシナリオ設計が重要です。
例えば、潜在層へは課題の気づきを与える情報(例:ホワイトペーパーや事例記事)を、準顕在層では比較資料や料金説明など、フェーズごとのコンテンツを設計することで、スムーズにアポへとつなげられます。
1つのメールに内容が多すぎる
失敗例:
1つのメール内に関連記事や関連ホワイトペーパー、製品情報などを複数紹介してしまい、結局どれもクリックされない。情報が多すぎてユーザーが何に注目すべきか分からなくなっている。
メールの読者は、日々の業務の合間にメールをチェックしています。限られた時間の中で「これは自分に関係がある」「読む価値がある」と感じてもらうには、情報はできる限りシンプルかつ的確に伝える必要があります。
基本の原則は、「1通につき1テーマ」「CTAは1つに絞る」。
あれもこれも伝えたいという気持ちは分かりますが、ユーザーの記憶に残るのはそのうちの1つだけだと心得ましょう。
MAのシナリオ設計を成功させる4つのコツ
ここでは、MAのシナリオ設計に必要となるポイントを4点紹介します。
- 顧客データを集める
- 効果的なコンテンツを把握する
- 状況に応じてシナリオを改善する
- シナリオはシンプルなものがおすすめ
顧客データを集める
シナリオ設計では、ペルソナ設計やカスタマージャーニーの作成が重要になるため、顧客のデータを多く集めましょう。
顧客の情報は、展示会やセミナーでの名刺交換、お問合せフォームやセミナーでのアンケートなどから収集できます。顧客の情報が多いほど、効果的な施策を考える材料になるでしょう。
ペルソナ設定
BtoBでは業種や規模などの企業像と、役職・部署・抱える課題といった担当者像の両方から、ペルソナ設定を考えましょう。
ペルソナ設計ができていないと、見込みの低い顧客をターゲットにシナリオ設計してしまい、効果がでないといった事態が生じます。コンバージョンにつながる見込み顧客を特定・把握してペルソナ設計をするためにも、たくさんの顧客情報が必要です。
関連記事:【初心者向け】ペルソナシートの作り方|BtoBで使える無料テンプレ
カスタマージャーニーの作成
カスタマージャーニーとは、顧客が成約に至るまでのプロセスを可視化したものです。どのような課題があって、どのような情報を必要としているのか、多様化した顧客のニーズを認識できます。カスタマージャーニーは、成約に至るまでのプロセスのうち、どこでシナリオ設計を使うか考える際に役立ちます。
顧客情報が多いほど、より詳細なカスタマージャーニーを作成可能です。
関連記事:カスタマージャーニーマップの作り方とは?BtoBで失敗しない4つの手順
効果的なコンテンツを把握する
ナーチャリングの基本は、見込み顧客に対して、検討度合いに応じたコンテンツを提供し、段階的に検討度を高めていくことです。シナリオ設計を成功させるためには、コンバージョンに繋がりやすい、効果的なコンテンツが何かを把握しておくことが重要です。
まずは、カスタマージャーニーマップを活用し、顧客の悩みに応じた適切なコンテンツを考えてみましょう。成約につながるような影響を与えるコンテンツを意識しながら、現在あるコンテンツを整理します。不足しているコンテンツがあれば、新たに作成することを検討してください。
加えて、Webサイトやメール配信で特にCV(コンバージョン)数が多いコンテンツを分析したり、営業部門に顧客からの反応が良かったコンテンツを聞き取ったりして、さらに効果的なコンテンツを見つけていきましょう。
状況に応じてシナリオを改善する
シナリオは、作成して終わりではなく、PDCAを回し、ブラッシュアップすることが重要です。定期的にシナリオによる効果を確認しましょう。
顧客の心情は複雑で、すべてを把握することは困難です。思いがけない行動をしたり、予測していなかったコンテンツで効果が出たりと、シナリオ通りに進まないこともあります。
作成したシナリオにとらわれすぎず、アプローチのチャネルを変更してみたり、メール配信の頻度を増やしてみたりと、顧客の反応をみながらシナリオを改善していきましょう。
シナリオはシンプルなものがおすすめ
シナリオは、複雑なものではなくシンプルな設計がおすすめです。
特にBtoBは見込み顧客の数が少ないので、複雑なシナリオ設計では該当する見込み顧客がおらず、シナリオ作成した意味がなくなってしまいます。
複雑なシナリオは設計にも時間がかかる上、効果がわかりにくくなります。まずは、シンプルなシナリオからはじめましょう。
MAのシナリオを設計するメリット【社内説得で活用しよう】
MAでシナリオを設計する主なメリットも解説します。
社内導入時にシナリオの有用性を説明して、上層部やメンバーを説得できるように自社に当てはめてみてください。
- 業務の手間が省ける
- 顧客アプローチの機会を逃さない
- コンバージョンにつながる
業務の手間が省ける
顧客に合わせてマーケティングを行うとなると、膨大な時間と人的リソースが必要となります。シナリオを設計し、人の手で行っていた業務を自動化することで、手間を省けるようになるのです。
空いた時間や人的リソースを有効に使えます。
顧客アプローチの機会を逃さない
シナリオを設計すれば、メールの送信忘れがなくなり、顧客へのアプローチの機会を逃しません。
顧客の興味・関心の高いタイミングでアプローチが可能です。
コンバージョンにつながる
シナリオ設計は顧客視点でのマーケティングを行うので、顧客の反応も良くなります。
顧客に最適なタイミングで最適なコンテンツ内容を届けるので、コンバージョンに繋がりやすくなるのがメリットです。
初めてでも使いやすいMAツール「ferret One for MA」
当社の「ferret One for MA」は、シナリオ設計・メルマガ運用を始め、BtoBマーケティングに必要な機能をまるっとそろえたMAツールです。
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MAのシナリオを設計してみよう
MAのシナリオは「誰に、いつ、どのような内容を、どうやって配信するか」の4つの観点から作成します。自社サービスのターゲットとなる顧客とニーズを把握し、顧客の行動に合わせて柔軟に改善していくことがポイントになります。
ただ、最初から緻密なシナリオを設計しても、その後の効果測定がうまくできず、失敗してしまいかねません。まずはシンプルなシナリオ設計からはじめてみて、効果を確認してみましょう。
そんな方におすすめなのが、ferret One for MA です。
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