【図解&テンプレ付き】SWOT分析とは? 時代遅れにならないやり方を事例を踏まえ解説


SWOT分析は経営戦略の代表的なフレームワークであり、提唱から50年ほどたった現在でもよく活用される手法です。

今回は、SWOT分析の基礎から効果的な活用法、具体的なアクションプランまでの落とし込みを行う方法を解説します。


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目次[非表示]

  1. 1.SWOT分析(スウォット分析)とは
  2. 2.SWOT分析の目的・活用のタイミング
  3. 3.SWOT分析のやり方
  4. 4.SWOT分析を効果的に活用するポイント
  5. 5.SWOT分析の活用事例
  6. 6.SWOT分析を学べる書籍3選
  7. 7.SWOT分析を活用して効果的な事業計画を立案しよう


SWOT分析(スウォット分析)とは

SWOT分析とは、以下の4つの項目と4つの軸を用いて企業や事業の現状を把握するためのフレームワークです。

  • Strength:強み(プラス要因・内部環境)
  • Weakness:弱み(マイナス要因・内部環境)
  • Opportunity:機会(プラス要因・外部環境)
  • Threat:脅威(マイナス要因・外部環境)


プラス要因は自社に対して好ましい影響を与える要因であり、反対にマイナス要因は好ましくない影響を与える可能性のある要因です。

では、外部環境と内部環境とはどのようなものなのかを具体例を踏まえて解説します。


外部環境の具体例

外部環境とは、自社では影響をコントロールできない要素のことです。
外部環境の具体例では、主に以下のような要素が挙げられます。

  • 市場規模
  • 市場の成長性
  • 競合他社
  • 社会経済
  • 政治情勢
  • 法律

分析する業種や対象によって外部環境は異なる可能性がありますが、上記の要素を調査することで自社への影響が分析可能です。

外部環境を分析すれば、自社の課題発見や新たなビジネスチャンスの創造にもつながるでしょう。


内部環境の具体例

内部環境とは、自社が保有しているリソースや商品、ブランド力などのことです。
内部環境の具体例では、主に以下のような要素が挙げられます。

  • 商品・サービス
  • 商品の品質・価格
  • 顧客データ
  • 認知度・ブランド力
  • 予算
  • 社員数
  • 立地
  • 技術力

内部環境を分析すれば、自社が競合他社と比較して「強みとする部分」と「劣っている部分」を明確化できるため、効果的な戦略の立案などにも役立つでしょう。


SWOT分析の目的・活用のタイミング

SWOT分析をマーケティングでどのようなシーンで活用できるのか?目的とタイミングを解説します。

SWOT分析の目的

SWOT分析の最終的な目的は、効果的な経営戦略やマーケティング戦略の立案です。

効果的な戦略を用いて競争優位性を確保するためには、競合他社と比較した自社の現状や、市場分析による今後の事業可能性を把握する必要があります。

最適な戦略立案に必要な複数の要素をわかりやすく集約でき、分析しやすいように分類したフレームワークがSWOT分析なのです。

外部環境をもとに市場の現状や成長性を把握し、自社が保有する強みと弱みを洗い出せば、新たなビジネスチャンスの発見や事業撤退の判断にも役立つでしょう。


SWOT分析を活用するタイミング

SWOT分析は最適な戦略立案が目的なため、事業計画を作成するタイミングで活用するのがもっとも効果的です。

もちろん、すでに事業を走らせている場合でもSWOT分析は活用できます。

競合他社と比較した自社の現状と市場の動向や成長性を踏まえて、戦略をより最適化し、継続するか撤退するかの判断に活用すると良いでしょう。


SWOT分析のやり方

SWOT分析は、以下の順番で行うのがおすすめです。

  1. 外部環境の機会と脅威を分析
  2. 内部環境の強みと弱みを分析
  3. クロスSWOT分析で具体的な実行可能な戦略立案

競合他社や市場の動向を踏まえたうえでなければ、自社にどのような強みがあり、どこに課題を持っているのか判断しにくくなるからです。

たとえば、はじめに内部環境の強みと弱みを分析し、自社の強みが「品質よりも価格の安さ」であるとします。
しかし、今後市場で求められるものが「価格よりも圧倒的な品質」であれば、弱みに転じてしまいます。

また、分析で終わるのではなく、4つの要素を洗い出したあとに実行可能な戦略立案を行うことで、効果的な経営戦略の立案につなげられます。


準備:テンプレートを用意する

フレームワークを使った分析については、専用テンプレートに記入していくと、初めての人でも簡単に分析を進められるのでおすすめです。当社の「マーケティングフレームワークテンプレート集」にも収録していますので、ぜひご活用ください。


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1.外部環境を分析する(機会・脅威)

	SWOT分析_外部環境の分析に 役立つフレームワーク


まずは自社の機会創出や脅威となる外部環境から分析しましょう。
市場や経済、顧客や競合他社などの要素から、自社にどのようなビジネスチャンスがあるのか、どのようなリスクがあるのかを洗い出していきます。

外部環境を分析する際に効果的なフレームワークが「PEST分析」「ファイブフォース分析」です。
PEST分析とは、以下の4つの項目から業界外の情勢を分析するフレームワークです。

  • Politics:政治
  • Economy:経済
  • Society:社会
  • Technology:技術

ファイブフォース分析とは、事業の収益性に影響する5つの競争要因をもとに分析を行うフレームワークです。主に業界内の競合状況について細かく分析する際に適しています。

▼5フォース分析の詳細については、こちらの記事を参考にしてみてください。
ファイブフォース分析(5フォース分析)とは? マーケティングでの活用方法

  ファイブフォース分析(5フォース分析)とは? マーケティングでの活用方法 ファイブフォース分析は、業界の構造や自社の収益性に脅威となる要因を洗い出すフレームワークです。今回は、ファイブフォース分析の基礎知識から、マーケティング戦略での具体的な活用法を解説します。 Webマーケティングツール『ferret One』


2.内部環境を分析する(強み・弱み)

	SWOT分析_内部環境の分析に 役立つフレームワーク


外部環境の分析のあと、自社の強みと弱みを洗い出して内部環境を分析しましょう。

自社のリソースや商品力、顧客データやブランド力などの要素の中で、強みになる要素と弱みになる要素を出します。強みと弱みを出す際には各部署で行い、自社全体の現状を把握するようにしましょう。

内部環境の分析で注意すべきは主観的に決めないことです。主観的に強みと弱みを出してしまうと、分析結果と実情への乖離が大きくなりかねません。必ず外部環境を踏まえて分析するようにしてください。

内部環境を分析する際に効果的なフレームワークに「4C分析」「4P分析」があります。

4C分析とは、顧客が成約するまでに影響を与える以下の4つの自社の要素を分析するフレームワークです。

  • Customer:顧客価値
  • Cost:コスト
  • Convenience:利便性
  • Communication:コミュニケーション


一方で4P分析とは、自社が顧客に対してどのような価値提供を行うかを分析するフレームワークです。以下4つの要素から分析を行います。

  • Product:商品・サービス
  • Price:価格
  • Place:流通チャネル
  • Promotion:販促活動

▼それぞれの分析方法の詳細については、以下の記事を参考にしてみてください。
4C分析とは? 4P分析・3C分析・SWOT分析との違い

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3.クロスSWOT分析で具体的で実行可能な戦略を練る

外部環境と内部環境の分析は、現状を整理しただけのため、具体的に実行可能な戦略を練る必要があります。
戦略立案のためにSWOT分析の各項目を掛け合わせた「クロスSWOT分析」を活用しましょう。

時代遅れと言われる要因の一つに、分析しただけで終わってしまう手法であることが挙げられます。しかし、クロスSWOT分析まで行えば、具体的なアクションプランまでの落とし込みが可能です。

クロスSWOT分析で戦略立案のアクションは、以下4つに分類できます。

  • 強みを活かして機会創出を狙う
  • 弱みを改善・強化して機会創出を狙う
  • 強みを活かして脅威やリスクを回避しつつ、機会創出も狙う
  • 弱みを理解することで脅威を回避してリスクを最小限に抑える

各アクションに優先順位を付け、明確な計画設計や目標設定まで落とし込めば、自社に最適な戦略立案や戦略の見直しが可能です。

SWOT分析は状況の把握だけで終わらず、必ず具体的なアクションにまで落とし込むようにしましょう。


SWOT分析を効果的に活用するポイント

SWOT分析をより効果的に行うポイントは以下の3つです。

  1. 目的を明確にする
  2. 顧客層・市場・自社の現状を明確にする
  3. 分析に最適な人材を選定する

それぞれのポイントについて解説します。


目的を明確にする

SWOT分析でもっとも重要なポイントが目的の明確化です。
事業や経営状況をどのようにしたいのか、という目的やビジョンを、どのように達成するのかを見出すのがSWOT分析の役割です。

なぜSWOT分析を行うのかが明確でないと、調査や分析がブレて中途半端になってしまい、結果的に競争優位性を確保できる戦略立案も見出せないでしょう。

まずは自社や組織内での目的意識を明確化し共有しておくことが重要です。


顧客層・市場・自社の現状を明確にする

自社の現状や、市場・顧客層などの各要素の分析は、徹底的に行い、明確化するようにしましょう。外部環境と内部環境の分析結果と実情に差異があると、戦略立案に影響を及ぼす可能性があります。

主観的な分析にならず、客観的な視点を持ってSWOT分析を行いましょう。


分析に最適な人材を選定する

各部署で分析に最適な人材が分析を行うようにしましょう。

SWOT分析はひとつの部署だけではなく、企業全体の現状把握が必要です。
そのため、開発部と営業部、経営層など、各部署の分析に適した人材を選定するようしてください。

また、分析した内容は、部署ごとで連携して認識を共有しておくのも必要です。
企業全体で外部環境と内部環境の現状が把握できている状態を目指しましょう。


SWOT分析の活用事例

SWOT分析の活用事例として、製造業と建築業の2つの業態をから紹介します。


事例1.製造業

ここでは、オーダーメイドで制御盤を製造する企業Kを事例にしてSWOT分析を解説します。
新規顧客獲得を目指す企業Kは、SWOT分析で4つの要素を以下のように洗い出しました。

  • Strength(強み):要望に柔軟に対応した完全オーダーメイドで製造可能
  • Weakness(弱み):競合よりもコストが高く成約から納品までの時間もかかる
  • Opportunity(機会):県内に大手造船会社が設立され制御盤の需要も高まった
  • Threat(脅威):競合他社がテンプレート設計を用いた低価格帯で短期納品の販売を始めた

需要拡大はビジネスチャンスではありますが、低価格で短期納期での販売に特化した競合他社は、大きな脅威となります。

企業Kにとって、高価格で納期までの時間もかかる部分はもっとも大きな弱みですが、強みである顧客の要望に柔軟に対応する点を活かす戦略を取りました。

具体的には、海の近くに設置されている大手造船業に対して、メッキがサビない特殊加工ができることを強みとして営業をかけたのです。

サビない加工は競合他社では実現できないため、高単価ではあるものの成約する結果となりました。


事例2.建築業

大手建築業の企業Mは、地域の過疎化による着工数減少を改善するための戦略立案にSWOT分析を活用しました。

SWOT分析による4つの要素は以下の通りです。

  • Strength(強み):地域トップクラスの建築技術と農業経験者の保有
  • Weakness(弱み):建築技術や建築機械を利活用する余剰がない
  • Opportunity(機会):農地法改正による農業参入への規制緩和
  • Threat(脅威):地域の過疎化・新築住宅着工数の減少

農地法改正に伴い農業参入への規制緩和と、従業員に農業経験者がいることを活かして、農業への参入を決めました。

地域農家との連携を行い、農業参入に必要な資産を取得しつつ、既存の建築機械を活用して弱みを克服したのです。

▼SWOT分析のテンプレート、記入例をまとめていますので、ぜひ自社の分析でご活用ください!
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SWOT分析を学べる書籍3選

SWOT分析について学習できる書籍を3冊ご紹介します。


SWOT分析 コーチング・メソッド

著:嶋田 利広

100社以上の企業改革実績を持つSWOT分析指導の第一人者である嶋田利広氏によるメソッド集ともいえる一冊です。
SWOT分析の成功法則と間違った進め方が解説されているだけでなく、16業種の分析事例も収載しています。

参考:SWOT分析 コーチング・メソッド


SWOT/クロス分析

著:深澤 優子

看護の現場事例からクロスSWOT分析を解説した斬新な一冊。
看護事例ではあるものの、SWOT分析で抑えるべき基礎的な内容から、戦略策定、組織マネジメントまで幅広く解説されています。戦略実行までを体系的に学べる書籍です。

参考:SWOT/クロス分析


経営承継を成功させる 実践SWOT分析

著:嶋田 利広 尾崎 竜彦 川﨑 英樹

現場で実践されてきたテクニックを余すことなく収載したSWOT分析の教科書ともいえる一冊。
事業承継を成功させるためのSWOT分析という新しい切り口から、分析の進め方だけでなく、経営改善計画書の作成など細かなテクニックが学べる書籍です。

参考:経営承継を成功させる 実践SWOT分析


SWOT分析を活用して効果的な事業計画を立案しよう

SWOT分析は1960年〜1970年代に提唱されたフレームワークなため、時代遅れと言われてしまうケースもあります。

しかし、クロスSWOT分析も活用することで最適な経営戦略の立案と具体的な実行プロセスまで落とし込める手法なのです。

分析や現状把握だけにとどまらず実行可能な目標設定と事業計画を立案しましょう。


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