効果的な導入事例の書き方とは?弊社の構成テンプレートで解説
(2022-10-13 更新)
「導入事例」は、BtoBのサイトに欠かせないコンテンツです。商品・サービスを導入した顧客が活用している様子を紹介し、サイトを見てくださっている方の検討度合いを引き上げます。
ただ、はじめて導入事例を作る際は、何から始めていいか迷うことも多いはず。
「うちのサイトでも導入事例を作りたい」と思われている担当者の方のために、よくある疑問にお答えします。
導入事例を書き上げる7つのステップなどがわかる資料
「導入事例作成ガイド」(全44ページ)も合わせてご覧いただけます
解説をするのはこの人!
株式会社ベーシック SaaS事業部 マーケティング部 イベント責任者
河村 和紀(かわむら かずき)新卒で入った外資系人材紹介会社から、創業期の株式会社ベーシックに転職。サイト運用・商品企画・新規事業立ち上げなどに幅広く携わるなか、一から手掛けたイベントが、累計来場者数70,000人を超える日本最大級の規模に成長。社長のムチャ振りで担当することになったBtoBセミナーは、今や開催400回以上を数え、気が付けば月に何度も登壇する日々を送っている。
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導入事例とは?
導入事例とは、既に商品・サービスを導入している顧客に「[導入の決め手」や「活用している様子」を紹介するコンテンツです。商品・サービスを導入しようか迷っている検討後期段階の見込み顧客に対して、導入後の様子や客観的な意見を見せることで導入の後押しをする効果があります。
BtoBサイトで最も読まれているコンテンツは「機能紹介」と「導入事例」と言われます。実際に、ferret Oneのサイトでもよく見られているページは「機能紹介」「導入事例」「料金・プラン」のページです。
▲ferret Oneの導入事例ページ
導入事例の書き方をマスターすれば得られる効果
導入事例の効果は、大きく2つあります。
- 導入した場合の具体的なイメージを持ちやすくなること
- 商品、サービスに対する信頼感が増すこと
商品・サービスの購入を検討している顧客は、「自社の課題・ニーズに合っているか」を判断するための情報を求めています。サービスサイトに掲載されている情報の多くはサービスの提供者自身が発信する情報です。導入事例で紹介される実際のユーザーの声は他者からの意見なので、客観的で信頼性の高い情報として受け入れやすいのです。
また、導入事例の効果は、実際にサイトを訪れた現場担当者の「問い合わせ」へのモチベーションを上げるだけではありません。
BtoBビジネスの場合、商品・サービスを導入する前に必ず「稟議」が必要です。その際には、上司への説得材料として、導入事例を提示してもらえる可能性が高いです。結果として、検討期間の短縮・受注率UPにもつながります。
導入事例の構成はテンプレート形式・インタビュー形式
導入事例の構成パターンは、大きく分けると以下の2つの形式があります。
- 決まった質問で構成されるテンプレート形式のもの
- 自由なインタビュー形式のもの
テンプレート形式は、導入事例に書き慣れていない初心者におすすめの形式です。インタビュー形式は、事例作成に慣れている人向けの構成です。書き手のスキルや着目点の違いで、記事の完成形が大きく変化します。
初心者におすすめ「テンプレート形式」
ferret Oneとしては、まずはテンプレート形式での作成をおすすめします。一番の理由は、ユーザーが複数の事例を見たときに「見比べやすい」からです。導入事例は、知りたい情報が分かりやすく整理されていることが最も大切です。
ライターの力量で差が出る「インタビュー形式」
インタビュー形式はインタビュー対象の知名度・そして何よりライターの力量によって、コンテンツの出来栄えが左右されます。そのため、事例作成に慣れるまではテンプレートに沿って作成した方がよいでしょう。
ferret Oneでは、以下のフォーマットで事例を構成しています。
1.導入した直後の「導入した理由」を紹介するもの
- 企業情報・企業ロゴ
- 取材対象者:氏名・所属部署・役職・役割など
- ferret One導入前の課題
- ferret One導入の決め手(機能、特長、コスト、対応など)
- ferret Oneを使ってやりたいこと
2.導入してしばらく経過した後の「導入した成果」を紹介するもの
- 企業情報・企業ロゴ
- 取材対象者:氏名・所属部署・役職・役割など
- ferret One導入前の課題
- ferret One導入の決め手
- 導入後に得られた効果(Before/After で○%の工数削減など、数字も交えて)
- 導入時〜現在に至るまでの使用感
- 今後の方針・目標(他部門への展開、機能拡張など)
Before/Afterは、「よくなった」などの曖昧な表現ではなく、できる限り数字で結果を見せるとよいでしょう。
導入事例の効果的な書き方とは?5つのパターン
サービスや商品が、自分とって身近なものだと認識してもらうには、ストーリー形式の導入事例が効果的です。実際にサービスを運用したときのイメージを持ってもらえます。
代表的な導入事例の書き方を、5パターンの特徴と向いている商材や業界を踏まえて説明します。
課題解決パターン
サービスや商品を契約したことで、抱えていた悩みや課題を解消した事例を紹介するパターンです。
【向いている商材や業界】
- コンサルティング
- ITツール
- SaaSなど
解決したい問題が主軸となりストーリーが進むため構造がわかりやすく、サービス導入を検討しているユーザーが事例を自分事化しやすい傾向があります。
起承転結の流れを踏まえながら、サービスを導入したことで生じた変化を紹介しましょう。具体的な指標を用いることで、信憑性の高い文章作りが可能です。
▼下記、課題解決パターンの参考になる導入事例を紹介します。
→Web集客ノウハウ不足を解消し、新規事業における見込み顧客の獲得につなげる!
他社と比較パターン
同業他社のサービス・商品と比較して成果が表れた事例を紹介するパターンです。
【向いている商材や業界】
- 競合が多いツール(ITツールなど)
- SaaS
- 広告代理店など
下記、3点を踏まえたストーリー形式なら、「他社サービスより自社サービスが優れている」ことをスマートに表現できます。
- 他社のサービスが自社となぜ合っていなかったか
- 数多くあるサービスから、なぜ自社サービスを選んだか
- サービス・商品を変更したら成果が出て問題が解決した
サービス導入の意思決定権を持つ上司に、具体的な提案が可能です。
▼下記、他社と比較パターン作りに役立つ導入事例を紹介します。
→自然検索の流入が4倍に!一度解散したマーケティング組織がferret Oneで「生まれ変わった」理由とは?
理想的な活用事例パターン
自社のペルソナ像に当てはまるユーザーの紹介も有効な事例のひとつです。
【向いている商材や業界】
- コンサルティングしにくいITツールやSaaSなど
ユーザーのリアルな活用方法紹介パターン
サービス導入企業の普段の取り組みを提示すれば、検討中のユーザーは、サービス導入時の状況を比較的簡単に想像できます。
【向いている商材や業界】
- コンサルティング
- 広告代理店
- 顧客の状況に合わせた柔軟なサービスを提供するサービスなど
「5W1H」を意識した対談形式で、ユーザーとのやり取り・サービス運用時にユーザーに提案した内容を細かく紹介しましょう。時系列に沿った展開で書き進めると、全体の流れを理解しやすい事例が作れます。
▼下記、ユーザーのリアルな活用方法紹介パターンの導入事例を紹介します。
→受注件数約4倍!ツールに加え、伴走してアドバイスをくれる外部ブレーンが成果を後押し
イメージ 一新パターン
提供サービスや商品の導入と結びつきにくいイメージの業界や、ユーザーの事例を紹介することで、固定化されやすいサービスの活用イメージを一新できます。
【向いている商材や業界】
- 商材や業界に縛られず、多様なユーザー紹介が可能
導入ユーザーが属する業界でよくある問題を提示しつつ事例を紹介すると、導入を検討しているユーザーに適した事例を提供できる可能性が高まります。自分事化しながら、自社の目指す将来像を固められる点がメリットです。
▼下記、イメージ 一新パターンの導入事例を紹介します。
→素材メーカーとして長年の課題だった、新しい市場の開拓。価格と支援内容のバランスが決め手
魅力的な導入事例を書くための5つのポイント
高い成果を発揮した成果を待っていても、ユーザーに伝わらないと、新たな契約に結びつきません。魅力的な導入事例を書くために押さえておくべきポイントを5つ、確認しましょう。
タイトルに具体的な数字を盛り込む
タイトルに具体的な数字や明確な成果が書かれていると、自社にとってメリットになる事例だと認識されます。
数字は客観的な指標として伝わりやすい情報です。あわせて、サービスを活用しているユーザー企業名を記載すると、信頼できる導入事例だと判断してもらえます。
ストーリー構成は「起承転結」にする
導入に至るまでの理由や、導入してからの取り組み、現れた成果を「起承転結」の流れで書く手段も有効です。
導入を検討しているユーザーが時間軸に沿って事例を確認できるので、実際にサービスを導入した際の具体的イメージを持ちやすいメリットがあります。
見出しで内容要約をしてわかりやすさをプラス
複雑な流れがあり、ある程度の文章量に及ぶ事例は、全体の流れを意識しながら複数の見出しを設定しましょう。
見出しがあることで、ユーザーがストレスを感じずに導入事例の内容を把握できます。
具体的なエピソードを紹介する
ユーザーがサービスや商品をどのように活用しているか、実際のエピソードを紹介しましょう。
具体的で詳細な内容を記載することで、ユーザーから見たサービスや商品の印象、メリット・デメリットを伝えられます。
ネガティブな情報も伝える
サービスや商品を導入した際、初期設定に手こずったなど、ネガティブな情報もきちんと発信することが大切です。
ポジティブな情報ばかりを伝えられると、ユーザーは情報の信頼性に疑問を持つ可能性があります。マイナス面も伝えることで、サービスを提供している企業が信頼できる誠実な会社だと感じてもらえます。
どんな導入事例をそろえればいい?
基本的にはターゲットに近い「業界、業種、規模感(社員数)、課題感」の企業の導入事例をそろえます。
ネームバリューのある大手企業が導入している場合、自社の導入事例として紹介することでサービスの信頼感が増し、ブランド価値が高まります。ただし、導入事例で紹介されているのが大手企業ばかりだと「この商品・サービスは大手向きで、中小企業は対象外なんだ」と思われてしまい、顧客獲得チャンスを逃してしまう可能性もあります。
ブランディングとしての大手企業の事例と、ターゲット企業がイメージしやすい事例をバランスよく掲載するとよいでしょう。
導入事例として掲載するのに、最適な顧客とは?
1つ前の質問では「バランスが大事」とお伝えしました。その中でも、導入事例として掲載するのに最適な事例とは、どんなものでしょうか?
最も理想的なのは、ターゲット企業の中で「業界No.1企業の成功事例」です。No.1ではなくても、「成功事例」を掲載できるのがベターです。
導入事例には2つのパターンがあります。
- 導入した直後の「導入した理由」を紹介するもの
- 導入してしばらく経過した後の「導入した成果」を紹介するもの
成功事例は「2」のパターンに当たります。
1のパターンでも、「具体的なイメージがしやすくなる」「信頼感が増す」といった導入事例の効果は期待できますが、実際に成功している2の方が説得力は上です。
成果が出てからの掲載になるので時間はかかりますが、ターゲット企業にとって魅力的な事例になるのは間違いありません。成功している顧客がいればぜひ掲載を依頼してみましょう。
導入事例の紹介は一覧ページの構成も重要
複数ある導入事例記事をまとめる「導入事例一覧ページ」にも、工夫すべきポイントがあります。
事例の数が多い場合は、目当ての事例がすぐに見つけられるようにフィルター機能や検索機能が必要です。業種・業態・規模感・課題などで検索できるとよいでしょう。
ですが、事例がそれほど多くない場合は「課題別グループ」などに分けて見せるのがオススメです。事例数が少ないと検索機能を付けてもヒットしない可能性が高く、「自分が知りたい事例はないようだ」と判断され、ユーザーの離脱につながるからです。
ポイントは、初めて導入事例一覧を訪れたユーザーが、自社に近い事例を見つけやすい構成かどうかです。
導入事例の活用方法
作成した導入事例は、さまざまな方法で活用できます。
- サイトに掲載
- メルマガで配信
- SNSで広告配信
- プレスリリースで配信
- 営業資料に掲載
サイトに掲載
サイトに訪れた見込み顧客が事例を目にすることで、検討度合いを上げることが期待できます。ただし、導入事例単体ではSEOに強くないので、オーガニックでの流入増加は期待できません。多くの見込み顧客に見てもらえるように、サイト以外の媒体へ横展開をしていきましょう。
メルマガで配信
導入事例のメール配信はCV自体を期待するものではありません。
事例ページはLPのように直接CVを促す構成にはなっていないのと、事例に反応する検討後期の人の絶対数はそれほど多くないからです。
CV自体を期待するのではなく、絶対数の少ない検討後期の人を検知する「既存リードの掘り起こしシグナル」としては非常に有効です。
たとえば、「導入事例ページにアクセスした」というアクションをMAツールで検知し、インサイドセールスがコールしてCVにつなげる体制が組めるのであれば、有望な顧客を見つけ出せる可能性があります。
SNSで広告配信
「有名企業の事例」をホワイトペーパーの代わりにして広告を配信する例があります。
ただし、事例に反応するのは検討後期の人で絶対数が少ないため、広告配信してもCPAが高くなりがちなので注意が必要です。
プレスリリースで配信
有名企業が導入した場合は、プレスリリースとしても配信しましょう。同じような大企業リードを取れる可能性があります。
営業資料に掲載
検討段階が進んだ人向け、という意味では営業資料に掲載する、営業担当から紹介してもらうのが最も刺さりやすいルートです。
導入事例に関する疑問・失敗例
導入事例を作るとき「どの程度の事例を用意すべきか」迷ってしまいます。実は、掲載事例の多さとCV数は比例するわけではありません。
ここでは、掲載する導入事例の数についての解説と、導入事例を掲載する際にやりがちな失敗談を紹介します。
【疑問】いくつ掲載すればいい?多いほどいいの?
実績としてある程度の数は必要ですが、導入事例は数を増やすほどCV数が増えるものではありません。
導入事例からの直接CV数が増えていなくても、「具体的なイメージがしやすくなる」「信頼感が増す」という効果が出ていれば、数が少なくても目的は果たせていると言えます。
導入事例をやみくもに増やすよりは、まずはいったん「課題別グループ」に分けられる程度の数を揃え、大手企業が導入した場合や、ペルソナに近い企業が導入した場合に事例を増やしていく、というやり方がよいでしょう。
【失敗談】広告を掲載し過ぎてアポに繋がらない
導入事例は載せれば載せるほど効果があるものではありません。特にBtoBの場合はターゲットの絶対数が少ないので、活用の仕方や配信対象など、かけるコストと期待される効果のバランスに気をつける必要があります。
ferret Oneでの失敗談をひとつご紹介します。過去にSNSで事例集ダウンロードの広告を出した際のことです。
「事例集ダウンロード」以外にも「ホワイトペーパー(WP)のダウンロード」など他の広告も並行して掲載していました。事例集のCPAはその他の経路の3倍程度かかったにも拘わらず、アポ率は同程度しかありませんでした。
事例集ダウンロードもWPダウンロードも同じターゲット設定で配信していたためです。事例集は既に導入の検討が後期まで進んだ段階の見込み顧客向けコンテンツなので、該当するユーザー以外に配信してもアポにつながりにくく、CPAだけがかさんでしまいました。
これは広告配信の際に適切なターゲット設定を行っていれば防げたと思います。
導入事例を依頼するときの例文
導入事例の掲載を依頼する場合、こちらが期待すること、聞きたい内容を明確に伝えることが重要です。
実際にferret Oneで取材と掲載の依頼をする際のメール文面を、サンプルとしてご紹介します。
〇〇株式会社
△△様
お世話になっております。ferret Oneの◇◇と申します。
ferret Oneをご利用いただきありがとうございます。
このたび、弊社のサービスサイトにて、貴社の事例を掲載させていただきたく、ご連絡いたしました。
下記の内容でお話をお聞かせいただきたく思っております。
どうぞよろしくお願い申しあげます。
■ 掲載場所
ferret Oneサービスサイト 導入事例ページ
https://ferret-one.com/cases
その他、ブログ、ランディングページなどに掲載させていただく場合もございます。
■ 内容
・貴社の事業内容とご担当者の役割について
・ferret One導入前の課題(Webサイト制作の課題・マーケティングの課題)
・ferret One導入の決め手
・ferret Oneを使ってやりたいこと
■取材チーム
〇〇、〇〇の〇名でお伺いいたします。
■日時
以下より、ご都合の良い日程をお知らせいただければ幸いです
●月●日(●)●時~●時
●月●日(●)●時~●時
●月●日(●)●時~●時
●月●日(●)●時~●時
※予定時間は1時間
■対談場所
御社にお伺いいたします。
※当日は、インタビュー中のお写真を撮らせていただきます。
何卒よろしくお願いいたします。
写真撮影を想定していないこともあるので、撮影する場合は事前にお伝えしておきましょう。
まとめ:導入事例の役割を考えた運用を
BtoBサイトで最も読まれるコンテンツのひとつ、導入事例の基礎から活用方法までをご紹介しました。
導入事例は他の施策と異なり、事例集からの直接CVや検索からの流入増を狙うものではありません。「導入後の具体的なイメージを伝える」「信頼感を高める」という効果で検討後期の見込み顧客の後押しをする、という役割を踏まえた上で運用していきましょう。
導入事例の効果・7つの作成手順・よくある悩みについてより深く解説した資料、
「BtoBマーケティングに欠かせない!導入事例作成ガイド」もあわせてご覧くださいませ。
弊社ではサイト制作(CMS)からお問い合わせ管理・メール配信・LP作成・キャンペーン管理など、BtoBマーケティングに必要な機能を一通り揃えたオールインワンツール「ferret One」をご提供しております。
ferret Oneについては、まずは無料でダウンロードできる資料をご覧ください。
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