【ferret活用 マーケ成功事例】新規事業立ち上げ3年で黒字化達成!年間売上1億が目前に迫る0→1立ち上げの軌跡(株式会社ブンカ様)
BtoBマーケティング現場のリアルなお悩みをテーマに具体的な成功事例を紹介する「BtoB Marketing SUCCESS」シリーズ。2024年10月31日開催のセミナーでは、株式会社ブンカ様をお迎えしました。
ブンカ様の展開する「キャンパケ」事業は、構想からわずか1年でローンチを実現し、3期目には黒字化を達成、そして4期目にして売上規模1億円に迫るほどの成長を遂げています。
株式会社ブンカ様は社内に新規事業のノウハウがなかったとのこと。そうした中、どのように新規事業を事業化し、1億円規模の売上を実現する事業へと成長させたのか。
本レポートでは、セミナーの内容を抜粋してご紹介します。
>本セミナーで登場するferretサービス紹介資料のダウンロード【無料】はこちら
目次[非表示]
セミナーアーカイブ動画
登壇者紹介
パネリスト
株式会社ブンカ
営業部 キャンパケ事業プロジェクトマネージャー
塩見 忠彦 氏
新聞記者として3年間、教育業界で15年間のキャリアを積み、2020年5月に
株式会社ブンカにジョイン。新規クライアント開拓のフロントラインを担い、
キャンペーン一括代行サービス「キャンパケ」のプロジェクトマネージャーとして、
サービス設計からローンチ、事業拡大までを一貫して推進。現在は営業部門に所属し、
全社横断的な視点から、キャンパケ事業のさらなる成長戦略を立案・実行中。
趣味は哲学、立ち呑み、サッカー。二児の父。
株式会社ブンカ様の事業紹介
販促・集客の企画立案から実施まで、きめ細やかなソリューションをトータルで提供するプロモーションカンパニー。
Web、動画、パンフレット、カタログ制作を手掛けるほか、スマートフォンアプリ運用代行やSNS運用代行などのBPOサービスも提供されています。自社開発のWEB応募システム、コールセンター、配送センターなどを活用したキャンペーン一括代行サービス「キャンパケ」を展開するほか、東京都目黒区駒場で撮影スタジオ「Studio B」を運営されています。
▼BtoBマーケティングツール「ferret One」で運営している株式会社ブンカ様のWebサイト
https://www.campake.com/
モデレーター
株式会社ベーシック
ferret マーケティング部
石村 麻衣子氏株式会社リクルートで広告営業・チームマネジメントを7年間経験した後に、
企業の事業成長に大きな影響を与える「マーケティング力」を高めるために、
2022年にベーシックへ入社。
人事として新卒・中途採用活動を通じるうち、自社が提供するプロダクトが市場に与える
提供価値をもう一段深く理解すべく、2023年にセールスチームへ異動。
150社以上の面談を通じて顧客が抱えるマーケティング課題に真摯に向き合い、
目先の問題ではなく理想の最終ゴールから逆算した戦略や手段の策定や、
成功に向けたロードマップを設定。
顧客の課題解決のための提案・マーケティング支援を実施。
2024年より同マーケティング部へ異動し、セミナー企画・登壇や展示会運営などの
イベントマーケティング全般を行っている。
株式会社ベーシックのサービス「ferret」のご紹介
「ferret」は、BtoBマーケティングに必要なツールとコンサル・代行支援を提供するサービスです。課題に合わせて貴社に不足している要素を過不足なく提供。使いやすいツール、Webサイト、伴走サポート、制作代行など、必要な要素をまるっと揃えることができます。
ツールだけ、コンサル・代行支援だけ、あるいはその両方。貴社に合ったサービスをご提案いたします。
株式会社ブンカ様には、マーケティング部門の立ち上げに伴うサイトリニューアル時から「ferret」のサービスとして、BtoBマーケティングツールの「ferret One」と伴走支援サポートをご活用いただいております。
>本セミナーで登場するferretサービス紹介資料のダウンロード【無料】はこちら
サマリー
「忙しくて全部は読むのは大変…」という方に向けて、本セミナーの重要なポイントをまとめました。関連する章へのリンクもつけておりますので、気になるところだけでもぜひ詳細をお読みいただき、マーケティング活動にご活用ください!
ブンカ様の成果
キャンペーン一括代行サービス「キャンパケ」事業は、4期目にして売上規模1億円に迫るほどの成長を遂げている。本事業は、構想からわずか1年でローンチが実現し、3期目には黒字化を達成。
STEP1:新規事業立ち上げ以前の『社内課題』
新規事業立ち上げ前の株式会社ブンカ様は、売り上げとリソースについての課題を抱えていた。
- 一定顧客への売上依存度が高く、売上の柱を複数持てていなかった
- 既存顧客への対応に手一杯だったため、新規開拓や新サービスの開発にかけるリソースがなかった
新規事業立ち上げに動き出したのは、2020年頃。新規営業を強化する方針が掲げられ、即戦力となる中途の採用が進められた。塩見氏もこの採用の一環として入社。
しかし、コロナ禍により対面営業が困難になり、新たな方法での売上拡大が求められることに。そこで、新規事業の立ち上げを検討。営業部と切り離したインバウンド集客を主軸とし、営業推進部(マーケティングチーム)だけで完結する仕組みを目指すこととなった。
新規事業の内容としては、自社の幅広い事業領域を活かせる事業として、キャンペーン事務局の運営代行事業に着目した。
新規事業立ち上げのきっかけや経緯について、詳しくはこちら
STEP1:新規事業立ち上げ以前の『社内課題』
STEP2:新規事業立ち上げの具体STEP ~ 新規事業立案から立ち上げまでの道のり~
新規事業立案から上申までは約8か月で進められた。
①プロジェクト発足(2020年5月〜6月)
プロジェクトメンバーを各事業部から招集。週1回の定例MTGで、市場ニーズ・競合調査などを行う。プロジェクトメンバーのマインドセットも重要な取り組みの一つ。
②事業計画の骨子作成(2020年7月〜9月)
調査結果などを元に、事業計画を立てる。目的・事業内容・市場調査の結果を元にした優位性・ローンチまでのスケジュール等を詰める。
③新規事業の具体検討(2020年10月〜11月)
サービスの価格やプラン構成・プロモーション方法を検討。社外へのヒアリングなどで積極的に情報収集を行う。
④社内上申(2020年12月)
来期(1月)の予算組みに間に合うタイミングで代表取締役に上申。
各フェーズでどのような取り組みを行ったのか?詳しくはこちら
STEP2:新規事業立ち上げの具体STEP ~ 新規事業立案から立ち上げまでの道のり~
STEP3:新規事業売上拡大のためのWebマーケティング取り組み
「キャンパケ」事業を立ち上げから売上規模1億円まで成長させるまでの3年間でどのような取り組みをされてきたのかをお話しいただいた。
事業立ち上げ初期(2021年)はサービスサイト立ち上げやコンテンツ作成を行い、サイト基盤強化期(2022年)はコンテンツ強化やサイトの改善に取り組み、リード成果創出期(2023年)にはリードや受注が安定して獲得できるようになった。
ただ、1期目の事業立ち上げ初期(2021年)は売り上げ実績ゼロと苦戦していたとのこと。その壁をどのように乗り越えたのか、また2年目の活動予算をどのように確保したのか?
具体的な取り組みについて、詳しくはこちら
STEP3:新規事業売上拡大のためのWebマーケティング取り組み
AFTER STEP1:これまでの取り組みでぶつかった大きな壁、乗り越えた方法
これまでの4期を振り返ったとき、一番大きな壁にぶつかったと感じたのは、なかなか成果が出ない時期が続いた際のメンバーのモチベーションの維持。
乗り越えた方法としては、プロジェクトメンバーの取り組みについて、細かな成果を見つけては、メンバーにフィードバックするようにしたこと。
プロジェクトを進められたカギにもなった塩見氏の中にあった「ぶれない軸」とは?
詳しくはこちら
AFTER STEP1:これまでの取り組みでぶつかった大きな壁、乗り越えた方法
STEP1:新規事業立ち上げ以前の『社内課題』
株式会社ブンカ様では、新規事業立ち上げの前、次の2つの社内課題がありました。
- 一定顧客への売上依存度が高く、売上の柱を複数持てていなかった
- 既存顧客への対応に手一杯だったため、新規開拓や新サービスの開発にかけるリソースがなかった
これらの課題を抱える中、新規事業の立ち上げに至った経緯を詳しく伺いました。
新規事業立ち上げ以前の『社内課題』
塩見氏:
前提として、会社の売上を伸ばすには、既存事業の売上を増やす方法と、新規事業を立ち上げてもう1つの柱を作る方法の2つが考えられますよね。
当社は新規事業を立ち上げることにしました。
石村氏:
売上を1本の柱に頼る状況から脱却しようとされたのですね。
長年課題を抱えてきた中で、どのようなきっかけで新規事業を考え始める方向に動き出したのでしょうか?
新規事業立ち上げのきっかけ
塩見氏:
2020年頃、会社は新規営業を強化する方針を掲げ、即戦力として活躍できる人材の中途採用を始めました。私が採用されたのはこの取り組みの一環です。前職では学校の運営やマネジメント、マーケティングを経験しており、そのスキルが評価されてのことでした。
しかし、ちょうどその時期はコロナ禍で、対面営業が難しく、計画通りに新規営業を進めることが困難となりました。そんな状況で「今の自分にできることは何か」を模索していたところ、社内でも「従来とは異なる方法で売上を上げるにはどうするべきか」といった議論が始まっていました。
そこで、当時の部長(現在の常務取締役)と相談し、新規事業の立ち上げを検討することになりました。
石村氏:
新規事業を検討する際に、何か軸のようなものはあったのですか?
塩見氏:
3つのポイントを軸にしました。
まず、全く新しいことに挑戦するのではなく、自社の強みを活かせる新規事業であることを重視しました。
次に、営業部のリソースを使わずに売上を増やす仕組みを作ることです。そのため、インバウンド集客を主な手法として活用することを目指しました。
さらに、営業部とは完全に独立し、当時所属していた営業推進部、つまりマーケティングチームだけで業務を完結できるように進めました。
石村氏:
営業推進部だけで売上を作れるような組織に変わっていく、まさにそういった決意をもってこの一大プロジェクトが進んでいったわけですね。具体的に、どのようにして新規事業のサービスを考えていったのか、ぜひ詳しくお聞かせいただければと思います。
自社の強みを活かした新規事業
塩見氏:
まず、新規事業の検討は自社の強みをどう整理するかというところから始めていきました。
当社は、コミュニケーションプランニング事業、物流管理オペレーション事業、WEB事業、情報システム事業、製版・印刷事業の5事業を展開しており、深く広い事業領域を持っていることが強みです。
自社の強みを活かせる事業として何があるかを考えたとき、キャンペーン事務局の運営代行が思い浮かびました。この分野には一定のニーズがあり、さらに競合に対して優位性を持てる可能性があると感じたのです。
石村氏:
具体的にどのような部分に競合優位性があったのですか?
塩見氏:
一般的なキャンペーン運営では、広告や販促の印刷物の制作、プレゼントの配送、事務作業など、複数の業界や業者が関わって進めることが多いです。しかし、当社ではこれらのフェーズをすべてワンストップで社内対応できるため、セキュリティ面の安心感はもちろん、工数やコミュニケーションコストも削減できます。こうした強みが勝ち筋になると考えました。
石村氏:
なるほど。キャンペーンでは多くの個人情報を扱うため、1つのミスが企業の信頼に関わるリスクもありますよね。その点、情報が複数の企業に渡らず、ブンカ様とのやり取りだけで完結するというのは、キャンペーン担当者にとっても非常にありがたいことだと思います。
STEP2:新規事業立ち上げの具体STEP ~ 新規事業立案から立ち上げまでの道のり~
新規事業の勝ち筋を見つけた後、具体的にどのように事業化まで進めていったのかをお話いただきました。
STEP1 プロジェクト発足(2020年5月〜6月)
塩見氏:
プロジェクトメンバーは、役員とともに時間をかけて各事業部から選出し、声をかけて集めました。
石村氏:
メンバーが集まった後は、どのような取り組みを進めていったのですか?
塩見氏:
プロジェクトとはいっても、最初はサークルのように意見を気軽に出し合えるチームを作りたいと思い、まずは週1回の定例ミーティングを行うところから始めました。
その中でも、最初に着手し、時間をかけたのが競合調査でした。
競合サービスの特徴や料金を比較するため、まずはチームで役割を分担し、競合他社をリストアップして資料請求を行ったり、同じ条件で見積もりを依頼したりしました。さらに、各社に同じ質問を投げかけ、その対応プロセスや見積もりの項目を細かく確認していきました。
石村氏:
競合サービスを比較することで、自社の強みや、どのようなサービスを検討すべきかが見えてきますよね。競合調査にはかなり時間がかかったのではないかと思いますが、どのように手分けして進めていたのでしょうか?
塩見氏:
定例ミーティングで、次回までの宿題という形で、メンバーに割り振り、進捗が滞らないように進めていきました。
石村氏:
なるほど、やるべきことと期限がはっきりするので、他の業務と並行してもタスク管理がしやすいですね。ちなみに、競合や市場の調査を進めている中で、特に印象に残ったことはありましたか?
塩見氏:
いろいろありますが、特に印象的だったのは、競合他社の専務取締役の方に壁打ち(意見交換)をさせていただいたことですね。
石村氏:
すごいですね!それは、もともと知り合いだったからできたことなのでしょうか?
塩見氏:
いえ、私自身は直接の知り合いではありませんでしたが、Facebookの共通の友人を通じてアプローチし、紹介していただいたんです。
石村氏:
今どきのやり方ですね!SNSなら共通の知り合いが見つけやすいですよね。
その壁打ちで、どんなことが得られたのでしょうか?
塩見氏:
「キャンパケ」という事業の仮説には自信がありましたが、他の方の意見を聞いて確かめたかったのです。競合他社で同様の事業を展開している専務にお話を伺い、考えが一致したことで安心感を得られました。
石村氏:
それは心強いですね。
他にもこの期間に行い、重要な取り組みだったと思われることがあればぜひ教えてください。
塩見氏:
プロジェクトメンバーのマインド醸成も、非常に重要な取り組みだったと思います。
選ばれたメンバーは驚きや不安もあったでしょうから、新規事業が会社にどんなメリットをもたらすかだけでなく、各メンバーにとってこのプロジェクトが自分のキャリアや生き方、働き方にどんな良い影響を与えるかを一緒に考える機会をたくさん作りました。
会社の売上が上がることで、最終的にメンバーの年収やスキルアップにもつながります。自分の取り組みが会社のためでもあり、自分のためでもあるということを、皆で改めて考えることで、納得できたところがあったと思います。
石村氏:
各メンバーにとって、新規事業へのアサインが単なる負担増とならないよう、このタイミングでしっかりと動機付けを行ったのですね。
STEP2 事業計画の骨子作成(2020年7月〜9月)
競合調査や市場調査を経て、7月から9月にかけては事業計画の大枠の骨子作成に取りかかられたとのこと。
石村氏:
事業計画の骨子は、どれくらいの粒度でどのようなことを整理していったのですか?
塩見氏:
まず新規事業の目的や事業概要、市場調査の結果をもとにしたペルソナの設定、競合優位性、サービスローンチまでのスケジュールなどを決めていきました。
この段階では粒度粗めに大枠を作っていました。そこから上申に向けて具体化が必要な部分を洗い出し、それを次のステップで細かく詰めていきました。
石村氏:
事業計画の骨子づくりと聞くと、かなり難しそうに感じますが、この段階ではまだ細かいところまで決まっていなくても良いのですね。
塩見氏:
そうですね、まずは全体の大枠を作ることが大事だと思います。
STEP3 新規事業の具体検討(2020年10月〜11月)
新規事業の具体的な内容を検討していくフェーズについて、お話いただきました。
石村氏:
事業計画をする上で肝となるステップだと思います。考えるのが一番難しかったことがありましたらお教えください。
塩見氏:
具体的に「何を売るのか」「どのように売るのか」、そして「どうやってサービスを知ってもらうか」といった点を詰めていきました。特に「どのように売るか」というインバウンドの仕組みを作る部分は、当社には知見がなく、かなり時間がかかりました。
石村氏:
これまでアウトバウンドが主な手法だったとのことですが、未知の領域であるインバウンド手法については、どのように検討を進めていかれたのですか?
塩見氏:
ferretさんをはじめ、インバウンドのセールスフローを構築するためのサービスを検討する中で、その分野のプロと商談し、たくさん知識を得ていきました。
ferretさんに作っていただいた資料をそのまま上申の資料に使ったりと、使えるものはどんどん活用させていただきながら、いろいろな方に協力いただきましたね。
石村氏:
なるほど、そうだったのですね!私たちが提供した提案資料をご活用いただいていたこと、非常に嬉しく思います。ちなみにこのフェーズの中で特に印象に残ってることはありますか?
塩見氏:
一番面白かったというか、プロジェクトの醍醐味として楽しかったのは、プロジェクトメンバー全員でサービス名を決めたことです。自分たちが議論してきたものに名前がつくと、やはりテンションが上がりますよね。実際、商標登録のプロセスも進めて、チーム全体のモチベーションがさらに高まったと感じています。
STEP4 社内上申(2020年12月)
株式会社ブンカ様は、新規事業の検討開始からわずか約7か月で上申まで進められました。
その理由は期の切り替わりが1月であるため、来期の予算組みに間に合わせるために12月に上申する必要があったとのこと。正式に上申をもらうために工夫したことなどを伺いました。
塩見氏:
ここまでメンバーに協力してもらっているのもあり、絶対に通したいと責任を感じていました。
そこで、代表取締役に話を持って行く前に、社内調整、いわゆる根回しのようなものを行い、いろいろな方のご協力をいただいて進めていきました。
当時、営業推進部の部長(現在の専務)には、かなり密に作戦会議をしていただきまして、最終の上申のときにすごく力になったなと思っています。
石村氏:
上の方が一緒に作戦会議をしてくださるのは非常に心強いですね。専務の方はすぐに「それいいね」と賛同してくださったのでしょうか?
塩見氏:
いえ、そんなことなかったですね。計画の甘さを指摘していただくなど、かなり厳しくご確認いただきました。
いただいた助言を踏まえて、計画を修正してようやく同意を得て、上申に進むことができました。
事業計画プレゼンのPOINT
石村氏:
お話を伺っていると、上申の前にしっかり根回しをしたり、スムーズに承認を得るためのポイントがいろいろあるのだなと感じました。ぜひ、塩見さんが考える「上申する際に重視すべきポイント」について教えていただけますか?
塩見氏:
重要だと思うポイントは5つあります。
1つ目は、「なぜ新規事業をやるのか」という目的を明確にすることです。「自分がやりたいから」という理由では通りにくいので、会社や社会の課題に結びつけて、その理由を明確にすることが重要です。
2つ目は、新規事業を進めるということは、会社に投資してもらうということですから、市場がどれくらい成長しているかを示すグラフなど、投資に値すると納得してもらえるデータを用意することです。
3つ目は、競合と比較したときにどこに勝ち筋があるかを明確に示すことです。市場が成長している場合、必ず競合がいるはずですから、自社独自の勝ち筋がなければ成功は難しいです。競合と比較した際の優位性を示せることが望ましいですね。
4つ目は、社内リソースや外部サービスを活用して、どのようにセールスフローを構築し、拡大していくかを具体的に考えることです。どれだけ良いサービスでも、売り方が定まっていなければ失敗してしまいますからね。
5つ目、これは上申する際にこだわったポイントなのですが、収支計画を立てるということです。これがないとなかなかプレゼンがうまくいきません。
もちろん「いつまでにどれくらいの投資が必要で、どれくらいの売上を予測しているか」という部分も大事ですが、特に意識したのは「撤退基準」を明確にすることです。
石村氏:
「撤退基準」とはどのようなものでしょう?
塩見氏:
多くの場合、成功したときのシナリオだけを提示しがちですが、「この目標に達しなければ、このタイミングで撤退する」と明示しました。当社は新規事業の立ち上げ経験が少なかったため、失敗の判断ができない恐れがありましたから。
石村氏:
確かに、想像もつかないみたいなところありますよね。
塩見氏:
時期尚早に失敗と判断されてしまったり、逆に失敗に気づかずに進めてしまったりするリスクが大きいため、失敗の基準をしっかりと設定したことがポイントだと思います。
石村氏:
新規事業のプレゼンというと、「うまくいきます!」という前向きな話になりがちですが、あえて最悪のケースを考え、最大損失額をあらかじめ設定しておくのは非常に重要だと感じました。この基準があることで、新規事業を進めている途中でも、「このラインまで来ているから、何か手を打たなければ」などといった判断基準にもなりますね。
STEP3:新規事業売上拡大のためのWebマーケティング取り組み
キャンペーン一括代行サービス「キャンパケ」事業は、4期目にして売上規模1億円規模に迫るほどの成長を見せています。
立ち上げからここまで成長させる過程でどのような取り組みをされてきたのか、特にWebマーケティングの取り組みを中心にお話を伺いました。
▼新規事業のWebマーケによる数字の進捗と取り組みのロードマップ
事業立ち上げ初期(2021年)
塩見氏:
事業立ち上げ初期は、「ferret」のサービスを活用してサービスサイトを立ち上げました。
その後、SEO記事や導入事例などのコンテンツをサイト内に蓄積する作業を時間をかけて行いました。Webマーケティングは成果が出るまでに時間がかかるのが一般的で、公開したばかりの時は自然流入は見込めません。そのため、Web広告や外部メディアの掲載も活用したり、アウトバウンド施策も実施しました。
このように、様々な取り組みを行っていったのが事業立ち上げ初期です。
売り上げ実績ゼロ 1年目の壁
1期目は売り上げ実績ゼロという大きな壁にぶつかったとのこと。詳しくお話を伺いました。
塩見氏:
ただ、1期目は売り上げ実績ゼロと、私を含むプロジェクトメンバーもちょっと自信を失うような結果となってしまいました。
石村氏:
1期目の課題は何だったのでしょう?
塩見氏:
2つの課題がありました。
1つ目の課題は適切な広告媒体が分からない状態で、広告予算を少額で運用してしまっており、反響数が少なかった点です。広告が当社のターゲットに引っかかるのかを試しながら進めてはいましたが、1期目ではなかなか定まりませんでした。
2つ目の課題は、Webからの問い合わせに対するお客様の温度感がつかめず、特にインサイドセールスで苦労した点です。何を話せば良いのか、どのようなスタンスでアドバイスすれば良いのかがわからず、かなり苦労しました。
石村氏::
そうだったのですね。この2つの課題に対して、その後どのように取り組んでいかれたのですか?
塩見氏:
広告については、さまざまな広告を短いサイクルで回し、多様な広告メニューを試したり、クリエイティブを変更したりといった施策を行いました。その結果、徐々に広告が最適化されていきました。早い段階で切り替えていくPDCAを回せたのが大きかったと思います。現在も引き続き、いろいろと試行錯誤しています。
ブログ記事では、専門知識をアピールする内容を意識して作成しました。その結果、インサイドセールスが単なる御用聞きではなく、キャンペーンの専門家としてアドバイスを提供するスタンスになり、これが非常に成果につながりました。
石村氏:
たとえ成果がすぐに出なくても、慌てず冷静に分析し、課題に対して的確な対策を講じていく姿勢は本当に素晴らしいと思います!
2年目の活動予算を確保した方法
石村氏:
売上がゼロだった1期目に対し、2期目にはさらに広告予算が増額されていますよね。どうやって社内でこの取り組みを応援してもらえる体制を整えていったのでしょうか?
塩見氏:
売上はゼロでも、それに至る途中の動きがあったことをしっかり示すようにしました。
例えば、受注には至っていなくても、5ヶ月間で19社から合計2000万円の見積もり依頼をいただいたといったデータを提示しています。
また、新規事業内での活動をまとめて報告していましたが、そもそも当社には新規事業の立ち上げ実績がなかったことから、成功だけでなく失敗も「資産」であることを強調して説明しました。失敗した施策についても分析し、要因をまとめたことが、結局現在の成果にもつながっていると思います。
石村氏:
なるほど、確かに「失敗も資産になる」というのはその通りですね。今後、新規事業に取り組んだり新しい挑戦をする際に、同様の失敗を回避できるという意味では、そうした失敗が今後のヒントにもなりますね。
サイト基盤強化期(2022年)
塩見氏:
2期目はサイト基盤強化期として、さらにコンテンツ強化やサイトの改善をしていきました。
コンテンツ強化については、事例集やSEOの記事の制作に力を入れ始め、記事数も40件近くまで蓄積できました。
石村氏:
すごいスピード感ですね!
塩見氏:
大変でした……
サイト改善については、1年目の反響を踏まえてサイトの訴求、文言などを変更したりしました。
改善が成功した事例として挙げられるのは、広告施策です。Facebook広告から始めていましたが、なかなかうまくいかず。リスティング広告やディスプレイ広告に切り替えてみた結果、流入を伸ばすことができましたね。
とにかくPDCAを回すためにいろいろなことに挑戦したのが2期目になります。
リード成果創出期(2023年)
塩見氏:
リードや受注が安定して獲得できるようになり、結果が出てきたのが3期目になります。
これまでの取り組みでサイト内に多くのコンテンツが蓄積されていたことも大きかったですが、新たな取り組みも成果を加速させました。
例えば、受注単価を考慮して大手企業や自治体向けのメッセージを追加したことで、大手からの問い合わせや受注が増加しました。
また、当社では即日見積もりが可能なので、その点をトップページで大きく打ち出したところ、「すぐに見積もりが欲しい」という方からの問い合わせが大幅に増えました。
石村氏:
なるほど、1期目から3期目までの代表的な施策だけでもこれだけありますが、おそらくここに書かれていないものもたくさん試されてきたのだろうなと感じます。本当に多くの施策をPDCAとして回し続けてきた3年間だったのですね。
塩見氏:
新規事業の醍醐味は、やはりいろいろなことを試せる点にあると思います。実際、何事もやってみないとわからないので、挑戦し続けようという姿勢が基本になっています。
成果に繋がった施策の代表例
多くの施策に取り組まれてきたブンカ様。その中でも特に成果につながった3つの施策について伺いました。
- 大手取引実績を追加
- LP改修
- ブログ・事例量産
大手取引実績を追加
塩見氏:
当社には大手企業からの問い合わせが非常に多く寄せられていました。また、サイト分析でIPから訪問者を調べたところ、実際に多くの大手企業の方々がサービスサイトに訪問していることが分かりました。
そこで、サイトに大手企業との取引実績を掲載することにしたのです。
さらに、キャンペーンでは個人情報を扱うため、大手企業はセキュリティ面を重視します。そこで、当社がISMS認証を取得していることもサイトに掲載しました。
この結果、大手企業からのお問い合わせを大幅に増やすことができました。
LP改修
塩見氏:
LPに先ほど少しお話しした「最短即日見積もり可能」という点を追記したところ、問い合わせの中の70%ぐらいが1週間以内に見積もりを希望してくださるようになりました。
文言を一つ加えるだけでも大きな効果があると実感しましたね。
ブログ・事例量産
塩見氏:
毎月2〜4件のペースでコツコツと記事を作り続けたことで、オーガニック流入も増加しました。
記事を見てお問い合わせいただくので、ニーズが顕在化しており、受注につながりやすくなったと感じています。
石村氏:
記事作成について、作成体制や記事の内容について意識していた点はありますか?
塩見氏:
SEOとして、キーワードを意識した記事作成も行いましたが、特に重視したのは記事数を増やすことでした。SEOに特化した記事ではなく、書きやすいテーマを選び、コラム記事のような形式で量産しました。
プロジェクトメンバーが分担して記事を書いており、ライティング経験のないメンバーもいたため、「書きやすく、書きたい内容」を優先してもらいました。また、ferretさんから「一度書いた記事は後でリライトしてSEO効果を高められるので、まずは数を増やすことが大事」というアドバイスを受け、記事数の増加を目標に取り組みました。
さらに、記事の内容は、専門性をアピールするために、非常に細かなノウハウを記事にまとめることも重視しました。キャンペーン運営に関心がない方にはあまり興味を引かないような、細かな内容をコツコツとブログに書き続けたのです。そうすることで、この記事を読んでお問い合わせいただいた方には、「キャンペーンの専門家」という認識を持って接してもらえるようになりました。
その結果、対等な立場で話ができ、問い合わせの方から「いろいろ教えてほしい」というスタンスで連絡をいただくことが増え、セールスがスムーズに進むようになりました。これがブログの大きな効果でした。
AFTER STEP1:これまでの取り組みでぶつかった大きな壁、乗り越えた方法
これまでの4期を振り返ったとき、一番大きな壁にぶつかったと感じた場面と、それをどのように乗り越えたのかについて、伺いました。
塩見氏:
新規事業ということもあり、なかなか成果が出ない時期が続いたことで、私含めメンバーのモチベーションの維持が非常に難しかったですね。
そこで、プロジェクトメンバーの取り組みについて、細かな成果を見つけては、皆さんにフィードバックするようにしました。
例えば、「この記事を見た人はこういう動きをしている」といった分析結果や、「この記事がよく読まれています」といったランキングを作成して共有することで、メンバーが自己肯定感を持てるように意識しました。やはり、成果が見えないとモチベーションが下がるので、その点を意識しながらプロジェクトを進めました。
石村氏:
自分たちの取り組みが、失敗も成功もすべて資産になると伝わっていれば、メンバーの方も「頑張る意味」を見失わずに前に進んでいけますよね。
お話を伺っていると、会社に対して新規事業を応援してもらう体制を作るために伝えたメッセージを、メンバーにも共有していたことがとても印象的です。塩見さんが一貫して「失敗も成功も資産である」というぶれない軸を持ち、PDCAを回して成果につなげていくという姿勢が、メンバーにとっても心強い支えとなり、失敗を恐れず進める環境ができていたのではないかと感じました。
塩見氏:
そうですね。この新規事業に取り組む際に、最初に「これは面白そうだ」「わくわくする」という気持ちがベースにあって、それをメンバーにも伝えていきたいという思いがありました。
石村氏:
一貫してぶれない軸を持って進めてこられたからこそ、皆さんもついていきやすかったのだと思いますね。
さいごに
最後に塩見様から、これからマーケティングを推進しようと考えている企業さんへメッセージをいただきました。
塩見氏:
一緒に頑張りましょう!
マインドの話で恐縮なのですが、「急がない、焦らない、無理をしない」というのが基本スタンスで、目標達成に対してあまり一喜一憂せずに取り組むように心がけています。無理に成果を求めようとすると、つい愚策に走ったり、本質から外れた動きになってしまうことがあるからです。
特に新規事業はたくさん挑戦して、たくさん試して、失敗データを溜めるというのが一番重要だと思ってるので、とにかく動き続けるというのがいいのかなと思ってます。
私もいろいろな方に聞いて、真似をしまくるということをしているので、ぜひ何かあれば私に送っていただけたら一緒に考えますよ!
―――塩見様、ありがとうございました!
ブンカ様も使っている「ferret」資料ダウンロード
株式会社ブンカ様がご活用くださっていた「ferret」は、BtoBマーケティングに必要なツールとコンサル・代行支援を提供するサービスです。
マーケティングの知識がなくても、誰もがカンタンにマーケティングが実行できるように各企業の課題に合わせたサポートを行います。
BtoBマーケティングに関するご相談も受け付けております。ご興味のある方はぜひ資料をご覧ください。