【成功事例11選】BtoBのオウンドメディアでリード獲得するには?
- オウンドメディアをやった方がいいとは思っているが、始め方が分からない
- オウンドメディアでセッション数は伸びたが、リード獲得できない
同じようなお悩みを抱えている方も、多いのではないでしょうか。
この記事では、リード獲得など「自社の事業やプロダクトへの貢献」を目的としたBtoBのオウンドメディアの成功事例を中心に紹介します。 合わせて、新しくオウンドメディアを立ち上げる際の流れと運用のポイントを解説。
初めてオウンドメディアに取り組む人にも、すでに取り組んで改善策を探している人にも役立つ情報をなっていますので、ぜひ最後までご覧ください!
■合わせてよく読まれている資料:「集客」に効果的なコンテンツの作り方がわかる
→BtoB向け!コンテンツSEO 集客ガイド
目次[非表示]
BtoB企業が運営するオウンドメディアの目的とは?
BtoB企業が運営するオウンドメディアの目的は、以下の3つのパターンに分類できます。
自社の事業やプロダクトへの貢献
メディア自体の事業化
- 外部へのメッセージ発信
1.自社の事業やプロダクトへの貢献
オウンドメディアでの情報発信を通して、リード獲得やナーチャリングなどで既存の自社プロダクトへ貢献することを目的とするものです。 読んで「ためになった」「共感した」「この企業は信頼できる」と思えるような、ターゲット層にとって価値あるコンテンツを発信することでファンになってもらい、購買行動につなげます。
「BtoBでオウンドメディアに取り組もう」という場合はこのパターンがほとんどです。
このブログ「OneTip」も、このパターンに当てはまります。
BtoBマーケティングの成功メソッドがわかる「One Tip」 https://ferret-one.com/blog
2.メディア自体の事業化
既存事業のマーケティングのためではなく、オウンドメディア自体を事業化し収益や信頼の獲得を目的とするものです。一から事業を立ち上げて採算化を目指すので、コストも難易度も高くなります。
弊社ベーシックが運営しているWebマーケティングの情報メディア「ferret」は、この1のパターンに当てはまります。
マーケターのよりどころ「ferret」 https://ferret-plus.com/
3.外部へのメッセージ発信
自社の理念や目指すものなど、会社としてのメッセージを広く発信するためのものです。
収益化や既存事業への貢献を目的とするものではありませんが、情報を発信した結果として採用ミスマッチの減少や、潜在顧客の取り込みにつながることはあります。
弊社が自社カルチャーや働き方・取り組みについて発信している公式noteマガジンは、この3のパターンにあたります。
僕らが「大事」にしていること。採用広報note https://note.basicinc.jp/
▼「どのようなオウンドメディアを作るか?」戦略設計について、こちらで詳しく解説しています
→オウンドメディアを運用する目的とは?目標・戦略設計のやり方
【弊社事例】BtoBオウンドメディア「One Tip」で達成したこと
弊社が運営するオウンドメディア「One Tip」の実際の動きをもとに、取り組みと成果事例を紹介します。「One Tip」 はBtoB企業のマーケティング課題を解決するお役立ち情報を提供するオウンドメディアです。
課題
ferret OneのWebサイトでは、以下のような課題を抱えていました。
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オウンドメディア強化の取り組み
そこで2020年12月からオウンドメディア「One Tip」の強化を始めました。具体的には以下のような取り組みを始めました。
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記事数の増加は毎月10本以上を作成し、リライトも定期的に行うことでコンテンツの量と質を向上させていきました。また、新たに潜在層向けの記事を作成し、狙う検討層を広げることでセッション数増加も狙ったのです。
さらに下記施策を実施することで、リード獲得も目指しました。
POPアップによるホワイトペーパーダウンロードの促進
- 内部リンクを設置して、 記事内容に一歩踏み込んだるホワイトペーパーや顕在層向けの記事への案内
2021年4月〜2022年4月までの成果
その結果、オウンドメディアからの流入は、以下のような成果を達成しました。
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オウンドメディア含め、サービスサイトからのホワイトペーパーダウンロード数が大幅に増加し、顧客獲得に成功しています。また、弊社サービス「ferret One」へのコンバージョンも増加しており、顧客育成にも寄与しています。
BtoBオウンドメディアの成功事例10選
BtoBのオウンドメディアを立ち上げる際にお手本として参考になるメディアを、10サイト厳選してご紹介します。
- WISDOM:会員サービスでリード獲得に成功
- ボクシルマガジン:記事ごとにホワイトペーパーを設置して、リード獲得に成功
- ナイルのSEO相談室:ターゲットが明確で、リード獲得しやすい設計
- LIG:バラエティに富んだ内容でSNS拡散の強化にも貢献
- Social Media Lab :難解なSNSマーケティングを自社ノウハウ・事例で解説
- サイボウズ式 :ツールを使う「人」「組織」に焦点を当ててブランディング
- 経営ハッカー :豊富なインタビュー記事で、オリジナルコンテンツを提供
- カオナビ人事用語集 :グローバルナビでサービスをアピールする導線設計
- メルラボ :幅広い検討層がねらえるコンテンツを提供し、リード獲得に成功
- ばね探訪 :ニッチ産業は専門性を活かしたコンテンツで高いCVRが狙える
ご紹介するのは「自社の事業やプロダクトへの貢献」が運営目的となるオウンドメディアです。
- オウンドメディアからサービスサイトへの送客
- オウンドメディアからのリード獲得
にお悩みの方は、ぜひこれらの企業のオウンドメディア戦略を参考にしてみてください!
①WISDOM:会員サービスでリード獲得に成功
URL |
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運営元 |
日本電気株式会社(NEC) |
主な事業 |
情報報通信サービスの提供や情報通信機器の製造・販売 |
提供している情報 |
国内外のビジネストレンドや、注目の新技術、ソリューションの紹介 |
実施している施策 |
会員サービス |
「WISDOM」は、国内外のビジネストレンドや注目の新技術、ソリューションを紹介しているNECが運営するBtoBオウンドメディアです。
サイト内の「NEC ID」と呼ばれる会員サービスに登録するとセミナーやイベント、キャンペーンなどに簡単に申込を行うことができるほか、各種資料のダウンロードサービスも利用できる仕組みになっています。
日々役立つ情報を提供して、ファン化させることで会員サービスへの登録を促し、囲い込みに成功しています。また、メディア内の記事からビジネスパーソンの問題意識を刺激し、すぐに知りたい顧客向けにセミナーやイベントを案内して、送客を成功させ、潜在顧客の実顧客化へ繋げています。
②ボクシルマガジン:記事ごとにホワイトペーパーを設置して、リード獲得に成功
URL |
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運営元 |
株式会社スマートキャンプ |
主な事業 |
SaaS比較サイトの運営 |
提供している情報 |
SaaSツール・サービスに関する情報 |
実施している施策 |
WPの提供 |
「ボクシルマガジン」は、SaaSツールの紹介を行う株式会社スマートキャンプが運営するBtoBオウンドメディアです。
ツールの比較記事を中心に情報を発信して集客を行い、記事ごとに比較表(ホワイトペーパー)を提供したり、運営しているSaaS比較サイトで紹介しているツールの資料ダウンロードを促す導線設計によりリード獲得を実現する仕組みを作りあげています。
さらにリード数増加のために実施した施策は、ボクシルのターゲットに関連したキーワード選定に重きを置いたことだそうです。掲載したコンテンツの1/5が検索順位の1位を獲得し、リード獲得数が3ヶ月で4000件まで増加する成果をあげています。
③ナイルのSEO相談室:ターゲットが明確で、リード獲得しやすい設計
URL |
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運営元 |
ナイル株式会社 |
主な事業 |
SEO・Webコンサルティング |
提供している情報 |
SEOの基礎知識 |
実施している施策 |
自社サービスの紹介 |
「ナイルのSEO相談室」は、SEOの基礎知識を学べるBtoBオウンドメディアです。SEO・Webコンサルティングをメイン事業とするナイル株式会社が運営しています。
メディア内の記事は、SEO担当のWebマーケターと明確なターゲットを据えて、悩みを深堀していっています。 SEOの最新情報に加えて、業界別に特化したSEO対策や、SEO対策人材育成方法など、ターゲットの悩みに答え続けることで、信頼を勝ち得ています。
オウンドメディアを通して「SEOに関するノウハウが豊富」というブランディングを行うことにより、記事内でナイル株式会社の事業内容であるSEO・Webコンサルティングについても紹介することでリード獲得を狙う仕組みとなっています。
また満足度の高いコンテンツ記事制作だけでなく、メールマガジンの配信に力を入れ、見込み顧客へ絶えずアプローチし続けていることも、オウンドメディアから送客が成功している要因の一つでしょう。
④LIG:バラエティに富んだ内容でSNS拡散の強化にも貢献
URL |
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運営元 |
株式会社LIG |
主な事業 |
コンサルティング・システム開発・Web制作 |
提供している情報 |
Web制作・デザインなど |
実施している施策 |
ファン化 自社サービスの紹介 |
「LIG」は、自社でWeb制作に関わるテック系記事や、ビジネス・会社紹介などを行うBtoBオウンドメディアです。Web制作・デザインなどの事業を展開する株式会社LIGが運営しています。
特徴的な点が、まじめな内容のコンテンツだけでなく、LIGで働く人が自身の禁煙に関しての流れや自己分析をしている記事など、バラエティーに富んでおり読み物として面白い内容です。
コンテンツ内では、LIGのデザイナーやエンジニアの顔が見えており、各々がSNSや他のメディアでも露出が多く知名度が高いことも、多くの読者を獲得している要因でしょう。Facebookいいねは5万9千件を超え、SNSでもたくさんのシェアを獲得し送客に成功しています。
⑤Social Media Lab :難解なSNSマーケティングを自社ノウハウ・事例で解説
URL |
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運営元 |
株式会社ガイアックス |
主な事業 |
ソーシャルメディアの構築・運営・監視のサポート |
提供している情報 |
SNSマーケティングに関する最新情報や運用ノウハウ |
実施している施策 |
ホワイトペーパーの提供 |
「Social Media Lab」はSNSマーケティングに関する最新情報や運用ノウハウを配信するBtoBオウンドメディアです。運営者である株式会社ガイアックスの事業内容は、企業のソーシャルメディアの構築・運営・監視のサポートを行っています。
SNSマーケティングをこれから始めようと考えている企業にも、現在運営している企業にとっても、活用度の高いコンテンツを提供しており、近年社会問題になっている「SNS炎上」に対する対処法や対策に関する記事も掲載されています。
特徴的なのが、SNS運営から得たノウハウによる分析・考察から記事が書かれていることです。
SNSは大衆心理やトレンドが大きくかかわるため、マーケティングの正解パターンというものはなかなか導き出せません。そうした中、事業で培った高い専門性から企業のSNSマーケティングにおける疑問や不安を解消し信頼感を獲得することが、送客に成功している秘訣と言えるでしょう。
⑥サイボウズ式 :ツールを使う「人」「組織」に焦点を当ててブランディング
URL |
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運営元 |
株式会社サイボウズ |
主な事業 |
業務改善プラットフォーム「kintone」など様々なソフトウェアの開発・販売 |
提供している情報 |
会社や組織、働き方や生き方などの情報 |
実施している施策 |
ブランディング |
「サイボウズ式」は、会社や組織、働き方や生き方など、多くの人が共感するテーマのコラムやインタビューを中心としたコンテンツを配信するBtoBオウンドメディアです。業務改善プラットフォーム「kintone」など、ビジネスを効率化するソフトウェアの開発販売を行う株式会社サイボウズが運営しています。
「サイボウズ式」で発信している記事内容は、多くの人が感じていることや悩みをメインに取り上げており、読みやすいコンテンツばかりです。ライターが多く、サイボウズ社の社員だけでなくフリーライターや特定分野の専門家など様々で、幅広いジャンルの情報が掲載されています。
それらはサイボウズ社のの商品やサービスに特化したものではなく、中で働く人や会社の考え方にフォーカスした内容となっているのが特徴で、自社の情報発信と「ブランディング」を同時成功しています。
社内のシステムを変えて、長年続けている働き方を変えるには、社内で大きな意識変革を伴います。「その働き方をしてどう感じているか」という人や組織を中心に、「その働き方を実現するためにどうしたか」というツールや仕組みを説明することで、営業色が強すぎず、自然な流れで、必要性を訴えていることが送客につながっている要因でしょう。
⑦経営ハッカー :豊富なインタビュー記事で、オリジナルコンテンツを提供
URL |
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運営元 |
freee株式会社 |
主な事業 |
事務処理ソフト「freee」シリーズを開発・提供 |
提供している情報 |
中小企業の経営者や個人事業主向けに会計や財務管理に関する情報 |
実施している施策 |
自社サービスの紹介 |
「経営ハッカー」は、中小企業の経営者や個人事業主向けの会計や財務管理に関する情報をインタビューやコラムを主軸に発信しているBtoBオウンドメディアです。事務処理ソフト「freee」シリーズを開発・提供しているfreee株式会社が運営しています。
経理の基本知識が網羅的にまとめられており、クラウド型会計ソフトを知らない層へリーチし、メディア内で知識をつけられる仕組みです。
また、経理の基本知識だけでなく、資金繰りや経営など実際の企業にインタビューを行って、独自性のあるコンテンツを作ることで、ここでしか得られない情報を提供しています。
中小企業の経営者や個人事業主の経理に関する不安や疑問解決にコミットし、同社への信頼感を高めていることが、送客の成功につながっていると言えるでしょう。
⑧ カオナビ人事用語集 :グローバルナビでサービスをアピールする導線設計
URL |
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運営元 |
株式会社カオナビ |
主な事業 |
タレントマネジメントシステム「カオナビ」の開発・提供 |
提供している情報 |
人事に関わるお役立ち情報 |
実施している施策 |
自社サービスの紹介 ホワイトペーパーの提供 |
「カオナビ人事用語集」は、人事評価やタレントマネジメントなど、人事に関わるお役立ち情報を提供しているBtoBオウンドメディアです。人事評価の効率化を可能にするツールを提供する株式会社カオナビが運営しています。
コロナ禍によるテレワークやオンライン会議など人事のあり方が大きくシフトチェンジしたことで需要が伸びています。ただ、コロナだけが伸びた要因ではなく、そもそも「カオナビ人事用語集」のスタートは2016年と長期的な施策として運営されているメディアです。2020年5月には200万PVを記録している成果をあげています。
サービスサイト内にあるオウンドメディアで、グローバルナビには、提供するタレントマネジメントシステム「カオナビ」のサービスサイトやホワイトペーパーダウンロードページへの導線が作られており、集客したリードを獲得する仕組みも作られています。
⑨ メルラボ :幅広い検討層がねらえるコンテンツを提供して、リード獲得に成功
URL |
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運営元 |
株式会社ラクス |
主な事業 |
メール配信システムや経費精算システムの開発・提供 |
提供している情報 |
メールマーケティングの手法や活用術 |
実施している施策 |
メルマガ登録 ブランディング |
「メルラボ」は、法人向けにメールマーケティングの手法や活用術を紹介しているBtoBオウンドメディアです。メール配信システムや経費精算システムを開発・提供している株式会社ラクスが運営しています。
お役立ち記事に加えて、導入事例記事も豊富で、ラクス社が提供するシステムを使用することで得られる効果をダイレクトに発信しています。さらに、記事から一歩踏み込んだお役立ち情報をホワイトペーパーやセミナー情報で提供することで、リード獲得する仕組みを作っています。
また、メールに関する意識調査を定期的に実施して記事として発信するなど最新情報の提供も行い、最新のトレンドを抑えているブランディングにも役立っているといえるでしょう。
⑩ ばね探訪 :ニッチ産業は専門性を活かしたコンテンツで高いCVRが狙える
URL |
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運営元 |
東海バネ工業株式会社 |
主な事業 |
金属ばねの設計・製造・販売 |
提供している情報 |
東海バネ工業株式会社のバネが活躍しているものづくりの現場をレポート |
実施している施策 |
コーポレートサイトへの導線 |
「ばね探訪」は、東海バネ工業株式会社のバネが活躍しているものづくりの現場の情報を発信しています。金属ばねの設計・製造・販売を行っている東海バネ工業株式会社が運営するBtoBオウンドメディアです。
BtoB製造業のニッチなジャンルですが、部品メーカーや製造会社など、自社のターゲットに需要のあるコンテンツを制作しています。製造業系のオウンドメディアはニッチで一見需要がないように思われがちですが、専門性を活かしたコンテンツはアクセス数こそ多くないものの、リード獲得などの効果は十分あります。
「ばね探訪」では、自社製品のばねがどのように活用されているのかに絞って発信し、商品を直接アピールすることで、リード獲得を狙っています。
オウンドメディアとは何か?コンテンツマーケティングとの違い
オウンドメディアとは、owned=「所有する」、media=「媒体」という名称が表すとおり、自社が所有する媒体のことです。もう少し詳しく説明すると、自社が構築・保有し、自社の情報を発信するための媒体のことを指します。
広義では、広報誌やダイレクトメールなどを含めることもあります。一般的には、自社が運営するWebサイトやブログのことを指します。
オウンドメディアはコンテンツマーケティングの一環である
「オウンドメディア」と「コンテンツマーケティング」は似たシーンで使われることが多い用語のため、区別が曖昧になってしまうケースも見受けられます。
コンテンツマーケティングとは、プラットフォーム問わず「ユーザーに価値のあるコンテンツを提供することで、ファンになってもらい購買行動に繋げる」マーケティング手法のことです。
コンテンツマーケティングは「手法の名称」で、オウンドメディアは「媒体の分類」です。コンテンツマーケティングという「手法」を実践するために利用する「媒体」のひとつとして、オウンドメディアを使うことがある、というのが正しい認識と言えます。オウンドメディアは、コンテンツマーケティングの一環なのです。
▼「オウンドメディアとは?」という概要を詳しく知りたい方は、こちらで詳しく解説しています
→【超入門】オウンドメディアの意味とは?編集部が伝えたい運用メリット
BtoBのオウンドメディアを運営するメリットとデメリット
オウンドメディアにはメリットだけではなくデメリットも存在します。両方をよく理解した上で、オウンドメディアの構築に取り組むかどうかを判断しましょう。
オウンドメディアのメリット
オウンドメディアのメリットには以下のようなものがあります。
1.潜在層にアプローチできる
コンテンツマーケティングの特徴として、「まだニーズが顕在化していない潜在層にアプローチできる」ということが挙げられます。
今すぐ購入を検討している層だけではなく、「まだ課題に気づいていない」「課題はあるが解決方法までたどり着いていない」段階の人にも読んでもらえるコンテンツを発信することで、潜在層へアプローチできます。
2.SEOによる集客が行いやすい
オウンドメディアは、インターネット検索の結果表示において上位表示されやすいという特徴があります。
Googleはユーザーに役立つ優れた内容を持つページを優先して表示しています。ユーザーにとって有益な情報を発信してファンを増やすことを目的としているオウンドメディアは、上位表示されやすく、SEOによる集客も行いやすくなります。
3.顧客のニーズが育てられる
ニーズが顕在化していない段階から接点を持ち続け、情報を発信し続けることによってニーズを育て、顕在顧客へと育成していくことができます(リードナーチャリング)。その結果、自社にマッチしたニーズを持つ顧客と、その場限りではない中長期的な関係を築くことができます。
4.長期的な費用対効果が高い
広告のように一時的にアクセスをお金で購入し集めてくるものと違い、オウンドメディアで質の高いコンテンツを発信していると、Googleが良質なコンテンツとして上位表示してくれるようになり、コンテンツは資産化します。資産を長期保有することができ、長期的な視点で見ると費用対効果が高いといえます。
5.専門家としてのブランディングに役立つ
ユーザーの知りたい情報やノウハウを提供することで「この会社は専門的な知識を持っている」「安心して任せられる」という信頼を獲得することができます。
オウンドメディアのデメリット
オウンドメディアには、デメリットや向いていないこともあります。しかし、BtoBのWebマーケティング施策としてのメリットは、それを補ってなお大きいものです。
以下のデメリットを理解した上で、目的をしっかり設定して取り組みましょう。
1.即効性はない
オウンドメディアを利用したコンテンツマーケティングは、ユーザーの興味関心に合わせたコンテンツを提供し続けることで信頼関係を築いていく手法なので、関係構築にはそれなりの時間がかかります。一般的に効果が出てくるまでには3〜6ヶ月程度かかると言われています。
即効性は期待できず、短期での費用対効果が低いので、すぐに目に見える効果を出したい場合には不向きです。
2.運営に手間と時間がかかる
オウンドメディアとして成果が出るまでには時間がかかるとともに、コンテンツを作ること自体にもある程度時間とコストがかかります。
また、BtoB企業の場合はコンテンツ作成担当を専任で置くのは難しい場合も多いでしょう。コンテンツを作り続ける体力と、見合うだけの成果が得られそうか、という点は見極めたいところです。
3.リーチ力が弱い
メディアという特性上、コンテンツを用意してユーザーが見てくれるのを待つ「待ちのスタイル」になります。見てくれるかどうかはユーザーの興味関心次第というわけです。自らユーザーに働きかけるわけではないので、どうしてもリーチ力が弱くなります。
知名度がなくファンも少ない立ち上げ初期のうちは、広告施策と組み合わせるなどして流入増に努める必要があるでしょう。
BtoBオウンドメディア構築7ステップ【事例あり】
オウンドメディア構築の流れとやるべきことを、以下の7ステップでご紹介します。
- 目的を明確にする
- KPIを明確にする
- テーマの決定
- ターゲット設定
- シナリオ設計
- コンテンツ作成
- システムの準備
1.目的を明確にする
BtoBのオウンドメディアは「自社の事業やプロダクトに貢献する」ことが目的の場合がほとんどです。その中でも、特にどのような効果を重要視しているのかを決めておきましょう。
<目的の例>
- 自社プロダクトをよく知ってもらい、問い合わせを増やす
- 業界のノウハウを提供し、専門家としてのブランディングを行う
- ユーザー・見込み顧客とのコミュニケーションの円滑化をはかる
「オウンドメディアを立ち上げる」=「記事を書くこと」ではありません。オウンドメディアは、事業や組織にどう貢献するかから設計するものです。
組織のビジョンや事業コンセプトから考えて、何を目的とするかを明確にしましょう。目的を明確にすることで、コンテンツの方針が決まります。
2.BtoBオウンドメディアのKPIを明確にする
オウンドメディアを運営するにあたって重要なのがKPIの設定です。KPIとは事業やプロジェクトの最終的な目標に対しての中間達成目標を意味します。
KPIの設定では必ず数字で目標値を明確化させるようにしましょう。KPIがなぜその数値なのかを論理的に説明できるように、仮説に基づいて設計を行うと設定しやすくなります。
仮説立てが難しい場合は、最終目標である「KGI」に必要な途中数値を「暫定これくらい」と仮定し、事業を進めていくうえで徐々に修正していくのがおすすめです。
SEOは成果が出るのに時間がかかるため、各運営フェーズごとで以下のようにKPIを変えていくと目標管理しやすくなります。
- 運用初期:月間と年間のコンテンツ制作数
- 運用中期(記事数60〜100):アクセス数や検索順位
- 運用後期:リード獲得数と関節CV数
オウンドメディアの最終目標は商品・サービスのコンバージョンですが、運営しはじめてすぐの成果は難しいのが現状です。オウンドメディア運営では中長期的なスパンで計画を立て、各フェーズで適切なKPIを設定するようにしましょう。
3.テーマの決定
次にメディアのテーマを決めます。ここで言う「テーマ」とは、これからメディアを作り上げていくにあたって指針や軸になるものです。
具体的には以下のものを決めていきます。
■メディアコンセプト
メディアコンセプトとは、1で決めた目的を達成するためのコンテンツの方向性や枠組みのことです。これがコンテンツ作成のベースとなります。
たとえば、このブログ「OneTip」のメディアコンセプトは「リード獲得の打ち手が見つかるメディア」です。このコンセプトに沿って記事制作をしています。
■メディア名
メディア名は
- 企業や商品の名前が入った名称
- メディアコンセプトを表す名称
- 読者とコミュニケーションをとりやすいキャッチーな名称
など、メディアの目的と照らし合わせて検討しましょう。
このブログ名称「OneTip」は、「リード獲得の打ち手が見つかるメディア」というメディアコンセプトと表すことを重視しつつ、弊社の提供するWebマーケティングツール ferret One の「One」と、助言・ヒントという意味の「Tips」を組み合わせて生まれました。
■ドメイン名
Web上で情報発信するメディアの場合、ドメイン名を決めます。オウンドメディア専用のドメインを新たに取得するか、既存のサイトの一部として運用するか、2つの選択肢があります。
専用ドメイン
- 中立性を保った、デザインの自由度が高いホームページを作ることができる
- 充分な量の記事が蓄積されるまでは、検索されにくい
既存ドメイン
- 新たにドメインを取得する必要がない
- 既存サイトとデザインをある程度統一する必要がある
いずれの場合も暗号化された形でのデータ送受信(SSL)が求められるため、httpsから始まるドメインの利用が必須となります。必要があれば証明書を取得しましょう。
■デザイン
オウンドメディアの目的や趣旨に叶う、統一されたトーンやデザインにしましょう。(例:ITノウハウ系ならば先進的でシャープなイメージ、堅い業界ならば安心感のあるイメージ、など)
4.ターゲット設定
どのような層をターゲットにするかの設定と合わせて、ターゲットを具体的な人物像に落とし込んだペルソナ設定、上位表示させたいキーワードの設定も行います。
■ターゲット設定
業種、企業規模などで企業をセグメントし、どのセグメントが自社のターゲットであるのかを決定します。オウンドメディアでは、このターゲットが興味・関心のありそうなコンテンツを提供していくことになります。
■ペルソナ設定
ターゲットをより具体的にするため、ペルソナの設定も行います。BtoBのペルソナ設定ではtoCほど個人的な趣味嗜好を掘り下げずに、社内での立ち位置やビジネス上の課題などを中心に設定するのが重要です。
BtoBマーケティングは、担当者、起案者、決裁者など複数の関係者へのアプローチが必要です。その中でも、オウンドメディアでは、情報収集のために継続してメディアをチェックすることが多い担当者をペルソナとすることが多いです。
▼ペルソナ設定については、こちらで詳しく解説しています
→BtoBマーケティングのペルソナ設定で、押さえるべきポイントとは?
■キーワード選定
どのようなキーワードで検索したときに上位表示されたいのかを明確にします。
検索数が多い単一キーワードである「元素ワード」と、それを拡張した「検索キーワード」を組み合わせて考えていきます。
▼キーワード選定について、こちらで詳しく解説しています
→【基本】SEOはキーワード選定が9割!すぐ実行できる手順とツール
5.シナリオ設計
ユーザーがどのような意図をもってメディアへ流入し、どのような経路で意思決定をしてコンバージョンに至るかのシナリオを設計します。そして、それを基にしてカスタマージャーニーマップを作成しましょう。
<シナリオの簡単な例>
社内の課題解決を指示される
→ いくつかのキーワードでインターネットを検索
→ オウンドメディアを発見し熟読する
→ 商品紹介セミナーに参加
→ 競合商品を比較検討する
→ 購入を決定
同じコンテンツでも、対象がそれを切実に必要としているときに差し出すのと全く興味がないときに差し出すのでは受け取られ方に大きな差があります。コンテンツ内容も大切ですが、コンテンツを提供するタイミングも大切です。
カスタマージャーニーマップを作成することにより、ユーザーが現在どのような状態に置かれておりどのような情報を必要としているかを時間軸で明確に把握することができます。
6.コンテンツ作成
ここまでに設定した内容を踏まえた上で、オウンドメディア上に掲載するコンテンツを作成します。
コンテンツの例には以下のようなものがあります。ターゲットやペルソナが何を求めているのかを検討し、コンテンツのタイプを決めましょう。営業担当や既存顧客へのヒアリングも有効です。
<コンテンツの例>
■ 開発の背景:商品に寄せる想い、開発の目的、経緯、開発秘話など
■ 基礎知識:課題や商品に関する基礎知識
■ 統計データ:課題や商品に関する調査統計資料の紹介
■ Q&A:顧客の様々な疑問への回答
■ ニュース:商品に関する最新のニュースや業界のトレンドなど
■ 事例:導入して利用している顧客の事例など
また、サイト全体の統一感を保つため、タイトル・見出しの文字数や文調、改行・段落の区切り方などのレギュレーションも決めておきます。
7.CMSの準備
多くの場合、オウンドメディアはCMS(コンテンツマネジメントシステム)を用いて運用されます。CMSはWebサイトの構築を手助けし、サイト内のコンテンツの追加・更新を一元管理できるシステムのことです。
CMSは世の中には非常に多くの種類があります。
- 費用
- 管理画面の使いやすさ
- ほしい機能があるか
- サイト規模に合っているか
- セキュリティ対策
などを参考に、自社にあったものを選びましょう。
▼BtoB企業におすすめのCMSをこちらで比較しております。ご検討に活用ください。
→BtoB企業向け!CMS比較ガイド
事例で解説!BtoBオウンドメディア運用のポイント
弊社の事例をご紹介しながら、BtoBオウンドメディア運用のポイントを時期別に解説します。
①立ち上げ期
立ち上げ期は知名度がない状態なので、検索エンジンからの流入はそれほど多くありません。PR活動や広告媒体を利用した宣伝などを行ない、流入数を補います。
<PR活動の例>
- コーポレートサイトへの情報掲載
- プレスリリースの配信
- メールの署名欄にメディアの情報を記載する
- FacebookやTwitterなどソーシャルメディアでの告知
同時に、定期的なコンテンツ更新も行います。
立ち上げ当初は、最低でも週に1回の新規記事の作成と更新を目指したいところです。コンテンツが蓄積されてきて閲覧数もある程度の規模になれば、ペースを落とすことや、更新を止めるという選択肢もあります。
立ち上げ時にはスタート時から掲載するある程度の分量の記事と、週一更新で1ヶ月もたせられる程度のストック記事をあらかじめ用意しておくと安心です。
②運用期
運用期は、ある程度の知名度を獲得し検索エンジンからの流入も増えてきた段階です。検索エンジンからの自然流入を増やすSEOやソーシャルメディアからの流入を増やす施策を中心に行いましょう。
コンテンツ更新は、立ち上げ期と同様の更新ペースを維持するか、コスト的に無理があるようならば、ある程度ペースを落とすことを検討します。
BtoBのオウンドメディアの主な目的は、潜在顧客の開拓とその顕在顧客化、有望顧客化です。ページビュー数に一喜一憂することもあるでしょうが、新規問い合わせ数など「事業に貢献していると言える数字」を運営の指標としましょう。
検索エンジンのための施策
構築時に計画した流入キーワードが期待通りのアクセスを得ているかどうかを確認します。同時に、想定していなかったキーワードからの流入があるようならば、そこから新たなユーザーニーズを汲み取ります。
常に効果測定と改善を行い、検索エンジン経由の来訪ユーザーの期待に応えるコンテンツを計画的に公開していきましょう。
▼検索エンジンからの流入を増やすSEO対策のやり方について、こちらで詳しく解説しています
→【5分でわかる】SEO対策とは?編集部が初心者にわかりやすく伝える基本
SNSのための施策
検索エンジン経由でアクセスを得やすい記事と、SNSでアクセスを得やすい記事は異なります。SNSで拡散されることで、検索行為をしない潜在層にまでアプローチすることができます。メディア運営のコストが許せば、コンテンツ制作のSEOとは別に、SNSで拡散されやすいコンテンツも企画し、制作していきましょう。
たとえばこのブログ「OneTip」では、以下の記事がSNSで多く拡散されました。
▼3日間で2,000件以上のターゲットリード獲得!ferret Oneが展示会で実施した「鬼速PDCA」とは
▼成果の出ないホワイトペーパーを作り直す!CVを2.5倍にしたferret Oneの改善事例
SNSでは、タイムリーな話題や、インタビュー記事、実例をもとにしたストーリーが好まれる傾向があります。逆に、検索エンジン経由でアクセスを得ている記事は、ノウハウ・Tips系といった「時期を問わず検索される有益な情報」です。
▼SNSのマーケティング活用について、こちらで詳しく解説しています
→BtoB向けSNSマーケティングの効果的な活用手順を徹底解説【事例付】
BtoBオウンドメディアの立ち上げと運用でかかる費用は?
BtoBのオウンドメディアの立ち上げと運用にかかる費用をご紹介します。
オウンドメディアの立ち上げにかかる費用
オウンドメディアの構築費用は、目指す規模によって千差万別です。オウンドメディア単独の構築を想定したケースで標準的と思われる数字をご紹介します。
- オウンドメディア構築費用:50,000円~500,000円
(※初期の立ち上げ費用として、ドメイン獲得費、デザイン料などを含んでいます)
- 記事制作費(外注の場合):30,000円~100,000円/1記事
クラウドソーシングなどを活用すればもっとコストを抑えられるかもしれませんが、記事の質を担保するにはそれなりのコストが必要になります。特にBtoBの場合は信頼性が大切になるので、ある程度予算をかけたいところです。
オウンドメディア運用代行にかかる費用
BtoBのオウンドメディアは、可能ならば自社による運用を行うのが望ましいです。しかし、割くことができる人手や時間、コストと相談して、自社で行うのが難しければ必要に応じて外部の手を借りるのは悪いことではありません。
自社でできることとできないことを切り分けて、外部リソースを上手に活用しましょう。
運用代行やコンサルに依頼するときの費用相場は以下の通りです。
- オウンドメディア運用代行の費用:200,000円~500,000円 / 月額
- オウンドメディアコンサルの費用:~100,000円 / 月額
外注する際は、メディアの目的やコンセプトをきちんと伝えて信頼できる業者に依頼することが大切です。
BtoBオウンドメディアの目的を考え、最適なコンテンツド導線を作る
オウンドメディアで、ただお役立ち情報を提供するだけでは、便利なWebサイトという印象だけで終わってしまいかねません。
オウンドメディアを立ち上げ・運用する際には、目的を明確にして、KPIやテーマ、ターゲットなどの戦略をしっかり練る必要があります。
BtoBのオウンドメディアで一番多い目的は、「自社の事業やプロダクトへの貢献」です。その中でも、リード獲得が目的の場合は記事に流入した後の導線設計が重要です。ただ、自社ターゲットの検討度合いを上げるための記事やCVポイント、CVへの誘導方法などを見つけるのは容易ではありません。
本記事で紹介した成功事例をもとに、自社に合いそうな方法を試すところから始めてみるとよいでしょう。これからオウンドメディアを立ち上げる皆さんの、ヒントになれば幸いです。
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