Webサイトの競合調査とは?目的設定と分析フォーマットを使ったやり方
「BtoBサイトリニューアルで失敗しないための7つのポイント」を個別に解説するシリーズ、今回のテーマは「競合調査」です。
競合調査はさまざまな場面・目的で行われますが、目的を曖昧にしたまま競合調査をすると、分析やその後のプラン設計までつなげられず、調査を生かせないまま終わってしまいます。
そして、サイトリニューアル時の場合、目的として特に重要なのは「自社サービスのポジションを明確にするための競合調査」です。
自社のポジションを明確にすることがサイトリニューアルにどう影響するのか、どのような手順とやり方で競合調査を実施すればいいのかを解説します。
競合分析について詳しく知りたい方は、こちらの資料もご覧ください。
>他社に差をつける!競合分析の教科書
目次[非表示]
Webサイトの競合調査とは?
この記事で解説する競合調査とは、サイトリニューアルやサイト制作時にサービスの立ち位置や競合優位性を明確化することです。
競合他社を深く知り自社のポジションをはっきりさせ、それを自社サイトに活かすために競合調査を行います。
しかしながら、一口に「競合調査」といっても、目的によって手法や調査内容は異なるため目的を明確に整理することも必要です。
ここでは、サイト運営においてよく行われる競合調査の目的や違いを整理しながら、やり方や役立つフォーマットを解説します。
Webサイトの競合調査の目的とは?
サイトにまつわる競合調査の目的には、主に以下の2種類があります。
1. サービスのポジションを明確化するための競合調査
2. コンテンツ戦略のための競合調査
1の「サービスのポジションを明確化するための競合調査」は前述した通り、サービスそのものの立ち位置を明らかにしていくためのもの。対して2の「コンテンツ戦略のための競合調査」は、マーケティング上の競合を調査し、適切な戦略を選択するためのものとなります。
例えばサービスとしての類似性は低いものの、上位表示を狙う検索キーワードやリスティング広告のキーワードがかぶっていれば、1では競合にならないけれど、2では競合として扱う、といったこともあり得ます。
競合調査が必要な場面はさまざまで、その目的によって調査すべき対象も変わります。
「1.ポジションを明確化するための競合調査」と「2.コンテンツ戦略のための競合調査」はリニューアル時に同時に考えられるのが理想ですが、この記事ではより優先度の高い「ポジションを明確化するための競合調査」にテーマを絞って解説します。
Webサイトの競合調査のやり方とは?3つの手順
「自社サービスのポジションを明確にするための競合調査」は、以下の3つの手順で行います。
- 競合サイト(サービス)をピックアップする
- 調査内容を整理する
- 差別化した自社のポジショニングを設定する
以下でそれぞれの手順を解説します。
1.競合サイト(サービス)をピックアップする
まず、調査する競合サービスのサイトをピックアップします。ピックアップするのは、以下のような点で自社と共有するサービスです。
- 商品やサービス内容
- 訴求内容
- ターゲット
- 提供する価値や解決できる課題
まずは、商品・サービス自体が類似するものを優先的にピックアップしてみましょう。
サービス内容が異なっていても、提供する価値が近しい場合は競合になりえますので、必要に応じてピックアップをします。同じ課題を持ったターゲットにとって比較対象になるためです。
2.調査内容を整理する
1でピックアップしたサイトを調査し、以下のようなポイントで調査内容を整理します。
- 訴求ポイント(商品のセールスポイントや重要な点)
- 強み
- サービスを一言でどう表しているか
- ファーストビューの掲載内容
- サイトマップ(どのようなコンテンツがあるか)
比較しやすいように表にまとめて、サイトを見た際の所感も記入しておくのがおすすめです。その他、比較したい項目があれば追加していってください。
サービス名 |
A |
B |
C |
D |
E |
訴求ポイント |
|||||
強み |
|||||
サービスを一言で言うと |
|||||
ファーストビューの掲載内容 |
|||||
掲載しているコンテンツ |
|||||
所感 |
調査した競合サイトの情報とリニューアル前の自社サイトを比較し、サービスのどういった部分をサイト内で押し出していくべきかを探っていきます。
3.差別化した自社のポジショニングを設定する
競合の中での自社のポジションを明確にするため、2で整理した情報をもとに分類・分析していきます。2軸を設定して以下のようなポジショニングマップを作成すると、現在の自社の立ち位置やとるべきポジションがわかりやすくなるのでおすすめです。
たとえば、「B社とは得意な内容がかぶっているが、toBとtoCという違いがあるのでそこが顧客にはっきりわかるように伝えよう」というように、競合他社との間のポジショニングを視覚化することでリニューアルの方向性も定まります。
マップ設定の注意点①:似た軸は選ばない
注意すべき点として、ポジショニングマップの2軸を設定する際、似た軸や相関関係にある軸を選ばないようにしましょう。
例えば「価格帯」と「スペック」を軸にしても、一般的に価格とスペックは比例しますので2軸である意味がありません。
マップ設定の注意点②:軸を考えるときはターゲットなどから考える
2つの軸はそれぞれ独立性の高いものを設定しなければなりません。
軸を何にするか考える際は「顧客メリット」「商品仕様」「ターゲット」などから考えるとよいでしょう。
- 顧客メリット:商品やサービスを利用することで顧客が享受できるメリットを軸にする(例:節約できるコストの大小)
- 商品仕様:商品やサービスの特徴を軸にする(例:シンプル⇔多機能)
- ターゲット:ターゲットの種類を軸にする(例:BtoB⇔BtoC)
レポートにも使える!競合調査に役立つフレームワーク3選
前述した3ステップの他にも、自社のポジションを明確にする競合調査に役立つフレームワークがあります。
代表的なものは以下の3つです。
- SWOT分析
- 3C分析
- 4P分析
それぞれ競合他社のサイトと自社サイトの強みや弱みをそれぞれ分析するのに用いられるフレームワークです。
フレームワークを覚えておくと報告書や競合調査レポートの作成など、情報をまとめる際にも便利に使えます。
1:SWOT分析
SWOT分析は、以下の4つの英語の頭文字を取って付けられた代表的なフレームワークです。
- S:Strong(自社の強み)
- W:Weakness(自社の弱み)
- O:Opportunities(機会)
- T:Threats(脅威)
自社の強みと弱みだけを洗い出すだけでなく、外的要因から生まれるチャンスや機会損失の可能性を客観的に分析できます。
自社のポジションのリストアップをさらに踏み込んで考える際に有効です。
▼詳しくはこちらの記事を参考にしてみてください
→【図解&テンプレ付き】SWOT分析とは? 時代遅れにならないやり方を事例を踏まえ解説
2:3C分析
3C分析は、以下の3つの要素で構成されているフレームワークです。
- Customer:顧客
- Competitor:競合
- Company:自社
競合他社と顧客のニーズを分析して、自社の訴求するサービスの要素を考える際に有効です。
▼詳しくはこちらの記事を参考にしてみてください
→【5分でわかる】3C分析とは?テンプレートを使ったかんたんなやり方
3:4P分析
4P分析は、以下の4つの視点から構成されたフレームワークです。
- Product:製品
- Price:価格
- Place:流通
- Promotion:販売促進
自社のサイトやサービスと競合他社が取る販売戦略を比較する際に用いられるフレームワークです。4P分析をすることで競合分析シートが簡単に作成でき、自社と比較しやすい資料作りにも役立ちます。
▼詳しくはこちらの記事を参考にしてみてください
→4P分析とは?進め方とBtoBでの業態別の事例を解説
Webサイトの競合調査に役立つツール2選
Webサイトの競合調査でおすすめなのが以下の2つのツールです。
- SimilarWeb
- Dockpit
流入元やエンゲージメントを確認できる「SimilarWeb」
SimilarWebは、競合サイトの調査では代表的な無料で使えるツールです。
サイトの流入元やWebサイトのエンゲージメントなどを表示してくれるので、競合サイトと自社サイトの比較分析に利用できます。
世界中のWebサイトを分析できるため、海外サイトを参考にしたい際にも有効です。
ユーザーの属性を確認できる「Dockpit」
Dockpitは、無料でも利用できるサイト分析ツールです。
サイトのユーザー数だけでなく、訪問ユーザーの性別、年齢、エリアなどもグラフィック情報で取得できるので、詳細な競合分析ができます。
最大5サイトの結果を一括表示でき、ダッシュボードで分析できるため、初心者にも優しいツールとなっています。
それらの情報は、モニター登録に同意した国内最大規模約250万人のネット上での行動データを元に算出されます。
ユーザーの流入経路の全体像を確認したい場合はSimilarWeb、より詳細な分析へと深めたい場合はDockpitがおすすめです。
Webサイト立ち上げに競合調査が必要な理由とは
そもそも、サイトをリニューアルする際、自社サービスのポジションを明確化しなくてはいけないのはなぜでしょうか。
それは、数ある選択肢の中から「選んでもらうため」です。
顧客には複数の選択肢がある
顧客へ向けてメッセージを発信する際、企業側はターゲットを絞り、ペルソナを設定し、その層に合わせた伝え方を考えます。
これに対し、顧客側はその企業だけを見ているわけではありません。顧客側には競合他社を含めた複数の選択肢があります。
顧客は当然それらを比較検討しながら意志決定します。機能、価格、サポートなどを比較されたとき、勝ち抜けるポイント、つまりUSPを持っていないと顧客から選んでもらえません。
USPの記事でも解説しましたが、USPとは他社にはない自社独自のセールスポイントのことです。競合他社のことをよく知らないままでは、「他社にはないものが何か」「自社だけが持っているものは何か」はわかりません。
複数の選択肢の中から選ばれるためのUSPを考えるには、競合調査が必要不可欠なのです。
BtoBは特に競合調査が大切
特にBtoB商材は、以下のような要因によって顧客側がより一層厳しい目で比較・検討する傾向があります。
- 高価格な商品が多い
- 検討者=意思決定者ではなく、決裁者も含めての合意が必要
- 導入した場合に会社としてどの程度利益貢献するのかを合理的に判断される
複数人の厳しい目を通って選ばれるためには、しっかりと自社として前面に打ち出すべき強みを明確にしておかなければなりません。だからこそ、BtoBでは特に競合調査が大切なのです。
自社のポジションを明確化するには、まず競合他社を知ることから
サイトリニューアルの際に重要なのは「自社サービスのポジションを明確化するための競合調査」です。競合他社をよく知り、その強みや戦略を比較・分析することで、競合の中での自社のポジションやリニューアルの方向性が明確になります。
成果の出るサイトへリニューアルするために、今回紹介した3つの手順と分析例を参考にして競合調査にチャレンジしてみてください。
Webサイトの競合分析についてのさらに詳しい情報は、下記の資料をご覧ください。
>他社に差をつける!競合分析の教科書
BtoBサイトの作成・リニューアルをご検討中ならferret Oneがおすすめです。
BtoBマーケのプロがサイト運用者の視点で開発した圧倒的に使いやすいCMSで、日々のちょっとした更新や施策実行がすぐに行えます。CMS機能をベースに、メール配信やマーケティング機能は必要なだけオプションで追加していく安心の料金体系です。
ご興味のある方はぜひ資料をご覧ください。
>ferret Oneサービス紹介資料のダウンロード【無料】はこちら
▼あわせて読みたい「サイトリニューアル 」シリーズ
BtoBサイトリニューアルで失敗しないために 押さえておきたい7つのポイント
ポイント5:競合調査をしよう(この記事)