USPとは? 競合の中から「選ばれる」サイトの作り方
「BtoBサイトリニューアルで失敗しないための7つのポイント」を個別に解説するシリーズ、今回のテーマは「USPの設定」です。
USP(Unique Selling Proposition)とは、商品やサービスが持っている「独自の強み」のことです。サイトリニューアルを機に、改めて訴求ポイントを整理してみましょう。
この記事では、USP設定の手順と注意すべき点を解説します。
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USPは「この商品を選ぶべき理由」
USPは、「自分たちの強み」や「競合とは何が違うのか」を明文化したものであり、更には「顧客に対して、自社だけが約束できる利益」を指します。
サービスサイトでは、閲覧者に「自社が提供する製品・サービスを選ぶべき理由」が伝わるようにしなければなりません。つまり、USPの設定は、サービスサイトで伝えるメッセージの基礎になるものなのです。
どんなものがUSPになりうるのか
USPになりうるのは、一般的に以下のようなものです。
- サービスの特徴(他社にはない機能、自社独自のサービス)
- 価格(業界最安値、良好なコストパフォーマンス)
- 専門性
- 充実したサポート
- スピードの速さ(通信速度、短納期など)
- サービスの質の高さ
ただ「○○という機能があります」「サポートが充実しています」などではUSPにはなりません。競合のサポートと比べてどこが優れているのか、その機能があることで他社にはできない何ができるのかなど、他社と比べて抜きん出ている点を客観的に示さなくてはなりません。
気をつけたい、USP設定でありがちな間違い
USP設定の際にやってしまいがちな、よくある間違いをご紹介します。
1. 「サービス紹介」と「強み」を混同してしまう
サイトのメッセージにおいて「サービス紹介」と「サービスの強み」を混同してしまうことがよくあります。これらは必ず分けて説明しましょう。
ferret Oneが提唱している、BtoBサービスサイトの型では、必ず「サービス内容を紹介するページ」と「サービスの強みを伝えるページ」を別に設けています。
それぞれのページの役割は、以下の通りです。
■サービス紹介ページ
- 「このサービスはこんなことができます」という紹介ページ
- どのようなサービスかという全体像や付帯機能など、サービスについて詳しく知りたい人向け
詳しくは「BtoBサイト制作の型・サービスページ編」の記事で解説しています。
■サービスの強みページ
- 「このサービスを使うと、ほかではできないこんな問題解決ができる(だから選ばれる)」という解説ページ
- USPに紐づく課題や悩みを提示し、解決策としての自社サービスの強みや改善した先の未来・事例を見せる
- すでにサービスの概要を知った上で、このサービスを導入するかの検討や他社との比較検討段階にある人向け
詳しくは「BtoBサイト制作の型・強みアピール編」の記事で解説しています。
2. 「当たり前のこと」を「強み」だとアピールしてしまう
USPは自社独自のUnique(ユニーク)、つまり「唯一」なものですから、当たり前のことや他社でもやっていることはUSPではありません。
たとえば、オンラインで使うバックオフィス系ツールで「セキュリティ対策が万全」というポイントは、USPになるでしょうか?競合ツールが安全性に課題があるものばかりならUSPになりえますが、おそらくそんなことはないでしょう。他社も同じようにセキュリティに注力しているはずですし、一般的に「備わっていて当たり前」のものです。これは、USPとは言えません。
「どこでもやっている内容ではないか」「業界として当たり前の水準ではないか」はチェックしましょう。
USP設定の手順3ステップ
ここで、USP設定の手順をご紹介します。
USPはサービス設計の段階で考えるものなので、Webサイトのリニューアルを考えるような段階では設定済みという場合も多いでしょう。
ですが、設定したときから環境が変化しているケースや、上記で挙げた「間違ったUSP設定」に当てはまっていて見直す必要があるケースもありますので、改めてステップで見ていきましょう。
1. 商品・サービスの特徴を洗い出す
ミッション設定の記事で紹介した「ミッション設定の4つのヒント」と同様に、サービスの現状や顧客からの反応に関する情報を収集し、サービスの特徴や強みをキーワードとして書き出します。
<ミッション設定の4つのヒント>
- サービスの関係者を集めて話し合う
- お客様の声、悩み、課題から考える
- 営業資料やサービスのパンフレットから読み解く
- コンサルティングなど第三者を含めて整理する
サイトリニューアルを担当するメンバーだけではなく多くの関係者から話を聞くことで、様々な角度から見たサービスの特徴やセールスポイント、顧客から強みとして見てもらえそうな点が明らかになります。
2. キーワードを「サービスの強み」と「サービスの紹介」に分類する
1のキーワードを「サービスの強み」なのか「サービスの紹介」なのかに分類します。分類することで、上記で述べたような「サービス紹介」と「強み」を混同してしまう間違いを防ぐためです。
ここで強みとして分類されたキーワードが、USPを考えるヒントになります。
3. 競合との差別化ポイントを言語化する
「強み」のキーワードの中で、更に強い言葉を探していきます。競合サービスと並べて比較し、競合にはない、もしくは似たものはあっても明らかに優れている部分を洗い出し、言語化します。
- 競合と差別化できるか
- 独自性はあるか
- ペルソナのニーズを満たすか
をチェックしながら、強みとなるキーワードを磨き込みましょう。
USPを設定する際のポイント
最後に、USP設定の際に意識したいポイントを2つご紹介します。
1. USPは「ペルソナに刺さるのか」を常に意識する
USPは、設定したペルソナに刺さることが重要です。
たとえば、ITリテラシーがそれほど高くない層をペルソナとして設定しているのに「多機能で色々な課題が解決できる」「カスタマイズの自由度が高い」というUSPを打ち出しても、「難しそう」と逆に敬遠されてしまう可能性があります。この場合、ペルソナに刺さるのは「わかりやすいUI」「無料で付属する電話サポート」などでしょう。
どんなに便利で独自性の高い機能でも、顧客が求めていなければ強みになりません。USPを考える際は、顧客像として設定されたペルソナに求められているかを意識しましょう。
2. 無理にUSPをひとつに絞る必要はない
USP必ずしもひとつである必要はありません。もちろんひとつに絞り込めばピンポイントに刺さる可能性はありますが、複数の掛け算で新たな価値が生まれることもあります。
ひとつに絞ることにこだわらずに、ペルソナに伝わる価値を最大化することを意識しましょう。
USPの具体例:ferret Oneの場合
たとえばferret Oneでは、「Webサイトの制作/編集から、集客施策までがこれ1つでできる」をUSPとしています。
「サービスの特徴」をUSPとした例です。集客までを含めたワンストップ・ソリューションは他社のCMSにはない機能なので、他社との差別化できる「独自の強み」になっています。
競合と差別化し、選ばれるためのUSP
USPは他社にはない自社だけの強みです。これを明確にしてターゲットにしっかりと伝えることで、「なぜ他社製品ではなくこのサービスを選ぶべきなのか」「このサービスを選ぶとどんなメリットがあるのか」を強く訴求できます。
サイトリニューアルの際は、「サービス紹介」のページとは別に「USPをアピールする」ためのページを必ず用意し、サービスの魅力を伝えていきましょう。
▼あわせて読みたい「サイトリニューアル 」シリーズ
BtoBサイトリニューアルで失敗しないために 押さえておきたい7つのポイント
ポイント3:ペルソナを設定しよう
ポイント4:USPを見つけよう(この記事)
ポイント6:キャッチコピーを磨き込もう