世界の中心で、顧客LOVEを叫ぶ! ferret Oneの「カスタマーサクセスとは何か」
カスタマーサクセスの「赤本」と言われている書籍をご存知でしょうか。
2019年の7月に発売された、「カスタマーサクセスとは何か」という一冊です。この本が最近カスタマーサクセス界隈で話題だとか。
そこで今回、「ferret One」カスタマーサクセスグループのマネージャーに、この本の魅力と、ferret Oneにおける「カスタマーサクセスとは何か」を語ってもらいました。
紹介するのはこの人!
塚本雄介(つかもとゆうすけ)
株式会社ベーシック SaaS事業部 カスタマーサクセス部
カスタマーサクセスグループ マネージャー2017年に株式会社ベーシックに入社し、Webマーケティングツール「ferret One」の導入支援や活用支援を担当後、カスタマーサクセスグループのマネージャーに就任。現在は2拠点に分かれたチームの意思をまとめるべく、チーム作りに奔走中。
Twitterアカウントは@kakusatellite
「カスタマーサクセスとは何か」は、どんな本なのか
この本は、一言でいうと「カスタマーサクセスの心構え」についての本です。
これまでにも、「カスタマーサクセス」についての有名な本は何冊かありますが、手法に寄ったものだったり、SaaSのビジネスモデルの一部として紹介されていたりしました。
それに対してこの本では、「そもそもカスタマーサクセスとは何を目指すものなのか」という本質について書かれています。
普段業務をしている中で、なんとなく感じていたことが言語化されていたので、「そうそう!そうだよね!!」と腑に落ちたところは多くありましたね。
この本の内容をグループ内でシェアしたく、先日、社内勉強会を開催したところです。
(社内勉強会の様子)
また、「実際にやってみると、つまづきやすいポイント」について示唆があるのもありがたいです。例えば、
「カスタマーの成功とは?」と同僚に質問してまわり、答えが部門や人によって全く違ったら、
「カスタマーの成功を正しく理解する」ことから行動し直す必要がありそう
と本には書かれています。
「カスタマーの成功を正しく理解する」とはどういうことか? これについては、私が社内勉強会で登壇した内容をご紹介します。
サービスを「利用している」ことが「成功」ではない
カスタマーサクセスとは顧客に「サクセス」、つまり「成功」を届けることです。
しばしば混同されますが、顧客が製品・サービスを「利用している」=「成功」ではありません。さらに言うと「満足している」=「成功」でもありません。
「カスタマーサクセスとは何か」という本にも書かれているように、
1.カスタマーの成功を正しく理解し
2.成功を届けられない相手には、売らない覚悟と仕組みを持つ
という正しい行動があって、はじめて成功を届けることができます。
「サクセスとは何か」を言語化できないとサクセスできない
この「カスタマーの成功を正しく理解」という点の難しさは、自分も感じています。過去には、うまく言語化できていなかったために、同じチームメンバー内でも、目指す姿が異なっていたことがありました。
例えば、「Webサイトのお問い合わせ数を増やしたい」というカスタマーと、「広告収入を目的としたメディアを作るのでとにかくアクセスを増やしたい」というカスタマーでは、求めるものが全く異なります。
カスタマーが求めるものを整理せずに、「もっとプロダクトを利用してもらおう」という思いが先行し、使わない機能を無理に利用してもらったりすることは、本質的な成功ではありません。
目指すべきは、顧客の事業が成長することに直結する、現実の成果です。そして、その具体的なサクセスの状態は、顧客ごとに異なります。
この認識がズレた状態では、いくら「サクセス!」と叫んでもサクセスを届けられないという悲しい事態になります。そうならないための示唆が、この「カスタマーサクセスとは何か」の本にも書かれていて、もう少し早く出会いたかった…という気持ちはあります(笑)
どうすれば、カスタマーはサクセスするのか
では、どうしたらカスタマーに成功を届けることできるのか? これについては、前提となる「リテンションモデル」について説明させてください。
(社内勉強会で使用したスライド)
「リテンションモデル」は「サブスクリプションモデル」に似ていますが、サブスクリプションモデルが「何に対してお金を支払うか」という視点で語られるのに対して、リテンションモデルは「何の価値に対してお金を払うか」の視点で語られるという違いがあります。
モノ買い切りモデル |
買った瞬間にプロダクトの価値が固定化される |
リテンションモデル |
買った後もずっとプロダクトの価値が最新・最適化され続ける |
サブスクリプションモデル |
モノを買い取るのではなく、利用権を借りて利用期間に応じて料金を支払う |
「リテンションモデル」は、ユーザーが成果に対してお金を払うモデルです。つまり、
「リテンションモデルを成功させる」=「顧客が成果を上げている状態を実現している」
ということになります。
では、「リテンションモデル」はどうやったら成功するのか? 本の中では次のように書かれています。
- ライフタイムバリューの最大化
- 買ってからが勝負
- 手放せない・外せないプロダクト
- データからカスタマーの未来を創る
ひとつずつ、解説しますね。
1.ライフタイムバリューの最大化
ライフタイムバリュー(LTV)とは「顧客生涯価値」のことで、一社の顧客が取引を始めてから終わりまでの期間(顧客ライフサイクル)内にどれだけの利益をもたらすのかを算出したものです。顧客との関係の長さ × 深さ=「ライフタイムバリュー」になります。
この最大化のためにすることは、さきほどお伝えしたように
1.カスタマーの成功を正しく理解し
2.成功を届けられない相手には、売らない覚悟と仕組みを持つ
そして、その相手を絶対成功させることです。
2.買ってからが勝負
その顧客のLTVが決まるのは買った後です。小さな価値でも、すぐに価値を感じれば、継続的利用につながりますし、逆にはじめに価値を感じなければ、そのまま利用されなくなるものです。つまり、全顧客を素早く成功させることが欠かせません。
3.手放せない・外せないプロダクト
いくらカスタマーサクセスチームが優れていても、そもそものプロダクトが優れてなければ勝てません。本には「リテンションモデルは、プロダクトに始まりプロダクトに終わる」と書かれているように、プロダクトチームとサクセスチームが強く連携し、プロダクトの機能と、プロダクトを使っての成功体験の差分を埋めていくことが必要です。
4.データからカスタマーの未来を創る
最新・最適化していくものを使い続けてもらうには、どういった使い方をされているのかを把握していなければできません。カスタマーひとりひとりを知り尽くし、データをもとにプロダクトを最適化していくことが求められます。
これらを実現することが、リテンションモデルを成功に導く、と本には書かれています。
カスタマーサクセスは、恋愛と似ている
ここまで読み進めてきたところで、この「リテンションモデルの成功要因」は、顧客を思う気持ち、いわば恋愛感情のようなものに近いのではと気づきました。
(社内勉強会で使用したスライド)
顧客との関係を長く、深くしていくことは、「この人とずっといたい」ということ。
買ってもらった後で価値を感じてもらうのは、「困らないようにしてあげたい」ということ。
そして、「手放せない・なくてはならない」と思ってもらえるように顧客に寄り添い、顧客データを集めることで、「もはや相手が何を考えているか予知できる」ほどになる。(少し怖いですね。笑)
「顧客LOVE」こそが、カスタマーサクセスの肝なのではないかと思った次第です。
ferret Oneの「カスタマーサクセスとは何か」
では、ferret Oneにおける「顧客LOVE」の形、すなわち「カスタマーサクセス」とは何なのか。
これまで紹介してきた本の内容にそって、ferret Oneのカスタマーサクセスでの取り組みをご紹介します。
ferret Oneのカスタマーサクセスは、主に3つの役割に分かれます。
アカウントマネジメント
導入したばかりの顧客に対して、ferret Oneでやりたいことを、いち早くできるようになるためのトレーニング(オンボーディングプログラム)を提供する。
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アカウントサクセス
導入時期を経過した顧客に対し、ferret Oneでの施策実行をサポートし、顧客が成功を手にしているかを確認する。
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カスタマーサポート
顧客から寄せられる、操作についての問い合わせに回答する。また、顧客の利用データを収集し、ferret Oneの使い方やWebマーケティングの知識を提供するオンライン上のセミナー(ウェビナー)を開催し、活用に困る前に解決を図る。
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「リテンションモデルの成功要因」で説明されていた項目ごとに、各人が担当領域をもって取り組んでいます。
1.ライフタイムバリューの最大化
成功を定義して、成功を保証できる顧客を選び、絶対成功させる。
<ferret Oneの取り組み>
顧客からの声をチームと事業部全体に共有する場を毎週開催(担当:カスタマーサクセスグループ全員)
2.買ってからが勝負
全顧客を素早く成功させる。
<ferret Oneの取り組み>
- ferret One導入後にの利用方法と施策実行をサポートするオンボーディングプログラム(担当:アカウントマネジメント)
- 導入してしばらく経過した顧客への定期訪問(担当:アカウントサクセス)
- 操作方法のサポート(担当:カスタマーサポート)
3.手放せない・外せないプロダクト
プロダクトの機能と、プロダクトを使っての成功体験の差分を埋めていく。
<ferret Oneの取り組み>
- 顧客からの声を共有する会(既出)
- マーケティングのTipsとferret Oneの操作についてレクチャーするウェビナーを月4回開催(担当:カスタマーサポート)
- プロダクトチーム側から、開発進捗について共有する会を毎月開催
▼ウェビナーについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
満足度92%!ウェビナーであなたに寄り添う、ferret Oneのカスタマーサクセス
4.データからカスタマーの未来を創る
顧客データをもとにプロダクトを最適化していく。
<ferret Oneの取り組み>
「LTVが長いお客様はどんな機能を使っているのか」をデータから導き出す。事例は定性的なデータだが、成功しているお客様はどの機能を使っているのかを定量的なデータからも見ていく。(担当:カスタマーサポート)
このように、ferret Oneのカスタマーサクセスでは、顧客の成功のために、各人が担当領域をもって取り組んでいます。また、最近ではカスタマーサクセス・プロダクト・マーケティングという部署を越えて、初めてのユーザー会を開催しました。
ユーザー会の様子は「先輩企業に学ぶ!ferret Oneはじめてのユーザー会レポート」の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
一つひとつ、誠実に対応していくだけ
今回は「赤本」こと「カスタマーサクセスとは何か」の本を読んで、カスタマーサクセスの肝は「顧客LOVE」だとお伝えしました。つまりは、相手を知り相手が求めていることを一つひとつ誠実に対応していくだけだと思っています。
受け身ではなく、「もっとこうした取り組みをした方がいいのでは」といった声が日々上がるような積極的な姿勢で、チーム全員が取り組めていることは嬉しいですね。
カスタマーに成功を手に入れてもらうために、今後も「顧客LOVE」で取り組んでいきたいと思っています。
(ユーザー会での集合写真)
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