サイトリニューアルの進め方とは? 目的設定に重要な要件定義と3つの手順
前回の記事では「サイトリニューアルで失敗しないための7つのポイント」をご紹介しました。
BtoBサイトリニューアルで失敗しないために。押さえておきたい7つのポイント
この記事ではそのポイントの中のひとつ「目的・目標の設定」に焦点を絞って、なぜ、サイトリニューアル時に目的と目標設定が重要なのかと、その設定方法を解説します。
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Webサイトリニューアルの目的は要件定義で明確化
要件定義とは「誰に」「何を」「どうしてもらう」という目的を明確に決めることです。
- 「誰に」→どのような人をターゲットをするのか
- 「何を」→どんなコンテンツを見せるのか
- 「どうしてもらう」→サイトを見た後にどのような行動を起こしてもらいたいのか
以上の3つの観点から、リニューアルするための「目的」を明確化することが、サイトリニューアルにおける要件定義です。
要件定義で目的を明確化させる
サイトリニューアルの構築を進めていくときに、各所の要望をむやみやたらに取り入れることは、トラブルの原因となります。
トラブルや追加コストがかかることを防ぐためには、「要件定義の明確化による共通認識」が役立ちます。
認識のズレが起こらないように具体的に要件定義を設定・共有しておくことは、後々の作業の効率化も図る役割を果たすのです。
要件定義で決めるべきこととは?
要件定義で決めるべきことは大きく4つあります。それぞれ詳しく説明していきましょう。
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現状の把握と課題の整理
現在のサイトの分析を行い、問題点や課題の洗い出しを行います。
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仮説の立案
ペルソナやカスタマージャーニーマップなどを作り「誰に、何を、どうしてもらう」という仮説をたてます。リニューアル後のゴールを決めることで、具体的な施策も思いつきやすくなります。
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最終決定
社内了承のことです。リニューアルに関わる他部署も巻き込んだワークショップを開くことで、あらかじめ色々な意見を聞くことができるので認識のズレも起きにくくなります。
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要件定義書の作成
リニューアルの目的、ターゲット、施策などを文書化することで、この後の制作段階で迷わず進めることができます。
以上の4点が要件定義で決めるべきことです。
Webサイトリニューアルの目標を設定する3つの手順
ferret Oneにお問い合わせをいただく企業様の場合、お話をうかがっていくと多くの方が「サイトからの問い合わせ(リード)数を増やしたい」という目的を持っていらっしゃいます。
この場合は、具体的な目標数値からKGI、KPIに落とし込んでいくのが次のステップです。
では、目的が「お問い合わせ数の増加」である場合を例にして、目標設定の手順を解説します。
手順1:目的達成の基準とする受注件数を決める
「Web経由での受注数増加」だけでは漠然としているので、どのくらい増えたら目的達成とするのかを明確にします。
これはリニューアル担当だけで決めるのではなく、社内にヒアリングして設定する必要があります。事業として目指している数字や現状など、関係各所に確認しましょう。現実的な成果数値を設定するためには、実際にお客様と接している営業担当とのすり合わせは必須です。
手順2:受注に必要なリード件数を算出する
営業担当にヒアリングして、現在の「問い合わせからのアポ率」「アポからの商談化率」「商談からの受注率」などの転換率をそれぞれ確認します。
問い合わせ
|
100件 |
アポ |
アポ率 20% |
案件化 |
商談化率 50% |
受注 |
受注率 20% |
例えば、アポ率20%・商談化率50%・受注率20%で、月の受注目標が2件だった場合
問い合わせは、月100件必要だという計算になります。(100×0.2×0.5×0.2=2)
手順3:リード獲得数から、サイト訪問の目標数を算出する
手順1で決めた数値から目的達成に必要な「アクセス数」「CVR」「リード獲得数」をなど算出し、これを目標数値とします。
CVRの平均は1~2%、会社名やサービス名などのブランドワードでも10%程度です。仮に1%だとすると、100件のリードを獲得するには、月間10,000セッション程度が目安になります。(10,000×0.01=100)
このセッションを獲得するために、どのようなWebマーケティング施策を行うかをセットで考える必要があります。
Webサイトリニューアルの目標を立てる際の注意点
ここでは、サイトリニューアルの目標設定で気をつけたいポイントを紹介します。
リソース不足にならないか?
目標を達成することばかりに気を取られて、リソースが足りない組み立てをしないか、は気をつけるポイントです。例えば、サイト訪問数の目標を達成するために、作成するコンテンツの目標数が膨大になってしまうなど、現実的でない計画を立てられているケースがあります。
計画に無理がある場合は、「目標を修正する」か「リソースを増やす」のどちらかをする必要があります。
無謀な目標になっていないか?
また、そもそも無理な目標を立ててしまうケースもあります。例えばですが、目標のリード件数を獲得するために月間100万セッション必要、というような目標です。
BtoCと比較してそもそものパイが狭いBtoBサイトでは、狙えるアクセス数にも限りがあります。あまり大きな数値を目標にしても、達成不可能になってしまいます。専門家に相談したり、SEO集客を狙う場合は検索キーワードの月間検索数を調べたりして、現実的な目標にしましょう。目的とする数値もあわせて調整しましょう。
Webサイトリニューアルが完成するまでの進め方
サイトの目的や目標が明確になってはじめて、サイトリニューアルに着手します。以下では、リニューアルサイトが完成するまでの手順を4つに分けてご紹介します。
1.サイトマップの作成
サイトマップとは、これまでの分析をもとに、どんなページをどれくらい作成するのか?どんなコンテンツを盛り込んでいくのか?など、サイト全体の構成をまとめた一覧表のことです。
サイトリニューアルには必要なものなので、必ず作成するようにしましょう。
2.ワイヤーフレームの作成
ワイヤーフレームでは各ページの構成要素を整理していきます。
各ページのレイアウトはどうするのか?TOPページはどんな内容にするか?など、主要となるページのワイヤーフレームを決めておくだけでも、今後の作業が進めやすくなります。
3.デザイン・コンテンツ作成
デザイン作成ではサイトに合わせたフォントや写真や画像の選定、コンテンツ制作では、原稿や写真の準備を行っていきます。
この作業は途中でデザインを変更することや、コンテンツを他社に依頼する場合もあるでしょう。どちらもコミュニケーションを取りながら進めていくことが重要になるので、余裕をもってスケジュールを組んでおくことをおすすめします。
4.コーディング
デザインのイメージが完成したら、プログラミング言語を用いてソースコードを作成するコーディング作業に移ります。
テストを行いながら問題がなければ、リニューアルの予定日を設定し、公開となります。
Webサイトリニューアルで失敗しないためのポイントとは?
せっかく行ったサイトリニューアルを失敗で終わらせないためにも、以下3つのポイントは押さえておきましょう。
1.デザインばかりに目を向けない
見た目のデザインを変更することで目新しくなりますが、Webサイトに訪れたユーザーが利用しやすいかどうかが大切なポイントです。
始めに設定したぺルソナのイメージをふまえて、どんなサイトなら慣れ親しんでいて使いやすいのかまで考慮してサイト設計を行いましょう。
2.SEOを加味したサイトになっているか
サイトを検索エンジンで上位に表示し、たくさんのユーザーがサイトに訪れてもらうためには、SEO対策が必須です。ここをおろそかにするとアクセス数や問い合わせが増えず、リニューアルの効果を発揮できません。
SEO対策はこれだけしておけば大丈夫というものはなく、タイトルやタグ、コンテンツの質など複合的にSEOを意識してリニューアルを進めていくことで、多くのユーザーの目に留まるようになります。
3.リニューアル後のサイト運用
サイトのリニューアルは公開して終わりではありません。このまま数年間はサイトを使い続けていくことになるので、継続的に新しいコンテンツを追加したり、改善が必要になります。
また、コラムやブログなど定期的にコンテンツをアップできるように作ったものの、利用していないケースは多くあります。現実的に運用していけるのかまで考えて設計することも大切です。
なおこれら3つも、リニューアルの「目的・目標」が明確で、社内で共通認識を持てていることが大前提のポイントとなります。
Webサイトリニューアルでリード獲得を果たす2つのポイント
よくある誤解として「Webサイトをリニューアルしたら自然とお問い合わせが増える」というイメージを持たれていることがあります。しかし残念ながら、サイトをリニューアルした「だけ」ではお問い合わせは増えません。
お問い合わせを増やすには
- サイトへのアクセス数を増やす
- アクセスしてきたユーザーが、問い合わせなどの行動を起こしてくれる率(CVR)をあげる
の2つのアプローチがあります。
サイトへのアクセス数を増やす
サイトへのアクセス数を増やすには、広告、PR、コンテンツSEO、SNS発信などの方法があります。リニューアル後に何の手も打たなければ、アクセスを増やすことは困難です。サイトリニューアルと同時に、「アクセスをどう増やすのか」のWebマーケティング施策まで同時に考えていきましょう。
サイトのCVRを上げる
サイトのCVRをあげるには、ランディングページ(LP)の改善、お問い合わせフォームの最適化、「お問い合わせ」や「資料請求」などのCTAといわれる部分の最適化、ABテストなどの方法があります。アクセス数とは違って、サイトリニューアルでは「CVRの改善」は見込めます。
そのためには、まずは今のサイトの問題点を見つけることからです。トップページの直帰率はどうか、離脱されているページはどこか、見られていないページはどこか、などアクセス解析を見たり、伝わりやすいメッセージになっているかをチェックし、サイトリニューアル時に改善しましょう。
サイトリニューアルは目的への最適化【事例あり】
ferret Oneでは、これまで様々な企業さまのサイト制作・リニューアルを実施してきました。
サイトリニューアルを検討されるきっかけとしては、以下のようなものが挙げられます。
- サイトオープンから時間がたち、内容やデザインが古くなってきた
- つぎはぎでサイトをつくってきたため統一感がない
- これまで簡素なページだけだったので、サイトとして充実させたい
「見た目を変えたい、だからサイトリニューアルをしたい」というケースは多いです。ただ、それだけではサイトリニューアル自体が目的化してしまう恐れがあります。
「見た目を変えてどうしたいのか?」「その結果、どんな効果を期待するのか?」を掘り下げて考えることで、その先にある「サイトリニューアルの目的」を明確にしてみてください。
せっかく時間とお金をかけてサイトリニューアルしても「デザインだけ新しくなったけど、本質は以前と変わらないサイト」が出来上がってしまうことがないよう、まずはリニューアル後のあるべき姿を設定しましょう。
Webサイトリニューアルが必要でないこともある
現在の課題や、サイトリニューアルの目的を改めて考え直してみると、そもそもサイトリニューアルが最適解ではないケースもありえます。
例えば、「受注数が伸びない」ことが課題ならば、サイトリニューアルよりも先に営業プロセスを改善して商談化率や受注率を高めたほうがいい場合もあります。もちろん、だからといってサイトリニューアルをしなくていいわけではありませんが、優先度は変わるでしょう。
目的を達成するため本当にサイトリニューアルが最善策なのか、も考えてみましょう。
「何のためにリニューアルするのか」を見失わないことが大切
サイトリニューアルの目的・目標を明確にすることで、「目的を達成するためにはどこをどのようにリニューアルするべきか」が見えてきます。逆に目的・目標が明確になっていないとサイトリニューアル自体が目的になってしまい、ただ見た目を綺麗にしただけのリニューアルに終わります。
サイトリニューアルの先にある本来の目的を見つけ、そこから逆算して適切な目標数値を設定することで、リニューアルの方向性が定まり、成功確率が高まります。まずは、目的と目標の設定から始めましょう。
その上で、サイトリニューアルが必要であれば、外部への依頼も検討してみてはいかがでしょうか?
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