営業DXとは?必要性を踏まえた営業戦略と成功事例を解説!
現代の営業活動を取り巻く環境は、デジタル技術の急速な進歩と競争の激化によって大きく変化しています。
「営業DX」しなければと思いつつも、「上から何か取り組むように言われた」や「売上が伸びないので何とかしないと」と危機感が先行してしまって、具体的な課題や解決方法が見えてこないとお悩みではありませんか?
この記事では、そうした方に向けて
- 「営業DX」とは何か
- なぜ営業DXが必要なのか
- 売上を伸ばすための、営業DXの具体的な方法
を解説します。
言葉の意味ではなく、現場を具体的にどのように変えていけば良いのかに着眼点を置いた記事になっておりますので、現場担当者の方はぜひ最後まで読んで参考にしてみてください!
■あわせて読みたい資料:“BtoBマーケティング”を本格的に行いたいという方向け
→BtoBマーケティング実践ガイド
目次[非表示]
営業DXとは。営業DX実現イメージ
営業DXとは、データ・デジタル技術を活用して、営業プロセス・営業活動を効率化し、営業戦略を見直すことです。この取り組みにより、競合優位性が生まれ、売上を上げていくことができます。
現在多くのBtoB企業では、上記の図のような「リード獲得、リード育成、営業管理」の営業プロセスとそれに合った施策を実施していく体制を整えていくことが実現イメージとなっています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
なぜ営業活動でデータ・デジタル技術を活用するのか
営業活動でデータ・デジタル技術を活用する理由は、営業活動の属人化を防ぎつつ、組織として営業戦略をブラッシュアップしていくことができるからです。
データ・デジタル技術を活用しない場合、営業活動が属人化しがちです。熟練の営業が独自のノウハウで顧客のニーズをくみ取り、受注してくる仕組みは継続性が見込めません。
データ・デジタル技術を活用すると、データが一元管理され、顧客のニーズが誰にでも見えるようになります。それにより、実施している営業活動の無駄や施策の効果が客観的に浮かび上がってきます。そうした情報をもとに、売上を上げるために、より効果的な営業手法や戦略が営業チームで立てられるようになります。
営業DXとデジタル化との違い
デジタル化は営業DXの一部です。デジタル化とは、紙などアナログなものを使って、手作業で行っていた作業をデジタル技術で行うことです。
具体的な方法としては、下記のように主にアナログツールを代用します。
- 営業がそれぞれ名刺で行っていた顧客管理を、MA・SFAで管理するようにした
- 郵送していた請求書をPDFでメール送信するようにした
- 書面を印刷し押印していた契約締結を、電子契約システムでオンライン上で完結するようにした
営業DXはこうしたデジタル化によって、情報共有がしやすくなったり、有効商談に充てる時間を増やしたりできるため、属人化の防止や組織の営業力向上が期待できます。
営業DXの必要性・目的
営業DXが必要とされている背景を解説します。「どの企業もDXをやっているから」ではなく、「なぜ自社で取り入れなければならないのか」を判断する材料になると思いますので、自社に当てはめてみてみましょう。
- 人口減少へ対応する必要がある
- 「2025年の崖」へ対応する必要がある
- 顧客行動の変化に対応する必要がある
人口減少へ対応する必要がある
日本は少子高齢化が進んでおり、生産年齢人口の減少が問題となっています。
ビジネスの観点からみると、顧客も働き手も減少している状況です。そうした状況で今後も売上を伸ばしていく方法の1つは、従業員ひとりひとりの生産性を向上させることです。
その手段として、デジタルツールを使った業務効率化や情報の一元管理による属人化防止があります。
「2025年の崖」へ対応する必要がある
「2025年の崖」とは、2025年にDXを取り巻く課題が一気に露出することを指して、経済産業省が提言している言葉です。もしも2025年までにDXに着手できなかった場合、2025年~2030年の間に最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じると算出されています。
※参考:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~
■懸念されている問題の例
- IT人材不足
- 21年以上稼働しているシステムが6割を超える
- SAP ERPサポート終了
これらの問題が企業にどのような影響をあたえるのでしょうか?
経済産業省の調査データによると、長年使用することで過剰なカスタマイズがなされているなどにより、複雑化・ブラックボックス化したシステム「レガシーシステム」を使用している日本企業は約8割といわれています。
システムの老朽化も相まって、レガシーシステムを扱える人材は退職によりどんどん少なくなります。つまり、システムの保守・運用を続けるほどに難しくなり、コストは膨れ上がっていきます。現在は問題が露見していなくても、2025年にレガシーシステムの維持管理費の高額化が待っているのです。
そうならないためにも、2025年までに、継続的に利用できるシステムへの乗り換えを検討していく必要があります。
顧客行動の変化に対応する必要がある
インターネットが普及し、企業の担当者もインターネットで情報収集するのが当たり前になりました。また新型コロナウイルス感染拡大にともなってテレワークが普及し、会社にいない従業員も増えています。
そうした変化を素早く察知して対応するには、顧客情報を一元管理して、定期的に分析できる仕組みを整えておく必要があります。
営業プロセス別DXのやり方
営業DXをどのように実現すればいいのか?営業DXに成功している企業が実施していることを、営業プロセス別にまとめました。
リード獲得のDX
DX前 |
テレアポ、飛び込み営業によるリード獲得
担当:営業チーム(フィールドセールス)
|
DX後 |
顧客がWebサイト経由でお問い合わせ・資料ダウンロードすることによるリード獲得 担当:マーケティングチーム |
インターネットが普及する前は、顧客が自分で商品・サービスの情報を得る機会が少なく、テレアポや飛び込み営業で新規リード獲得することが一般的でした。しかし、門前払いに合ってしまうことも少なくなく、時間と労力がかかる手法です。
インターネットが普及してからは、顧客自らインターネットで情報収集するようになり、興味をもった商品・サービスについて、Webサイトからお問い合わせや資料ダウンロードするように変わりました。そのため、現在リード獲得していくためには、Webサイトに来てもらい、商品・サービスが必要だと思ってもらえるように働きかけていく必要があります。こうした仕組みや体制を整えていくのが、リード獲得のDXになります。
Webサイトを使ったリード獲得は、主に下記のような施策が実施されています。
- オウンドメディア(企業ブログ)への記事掲載
- 導入事例記事の作成
- ホワイトペーパー(お役立ち資料)
- ウェビナー開催
- Web広告
こうした施策を素早く実施していくためにも、自社でWebサイトを素早く更新していけるようにCMSを導入する場合が多いです。
体制
リード獲得の施策を実施するのは、マーケティングチームになります。Webサイトをみて興味をもった顧客が自主的にお問い合わせをしたり、資料ダウンロードしてくれるため、この時点では営業が顧客に直接売り込むことはありません。
▼リード獲得の具体的な方法は、こちらで詳しく解説しています。
→リード獲得とは? BtoBで見込み顧客を増やす11の方法一覧
リード育成のDX
DX前 |
営業が季節のあいさつなどの折にアプローチなど、個人の判断
担当:営業チーム(フィールドセールス)
|
DX後 |
MAやインサイドセールスを活用したナーチャリング
担当:インサイドセールスチーム
|
リード育成(リードナーチャリング)とは、適切なアプローチにより見込み客の関心や購買意欲を高めていくことです。
主にメールを活用してアプローチしていくことは、DXが求められるようになる以前と変わりません。追加で取り組まなければならないことは、主に下記の3つです。
- MAツールを活用して、セグメント別に興味関心にあった内容のメールを送信したり、ステップメールを送るなど、より効率的かつ効果的にメールを送付できる環境を整えること
- MAツールを活用して、自動で顧客の検討度を図れるようにする(ホットリード抽出、スコアリング)
- リード育成を行う専門の部署としてインサイドセールスを設置すること。
体制
リード育成はインサイドセールスが担うのが効率的だとされています。インサイドセールスはリード育成により検討度の高まった顧客にアポを打診して営業へ引き継ぐ役割となります。
▼リード育成の具体的な手法については、こちらで詳しく解説しています
→リードナーチャリングとは?施策一覧と成功事例
営業管理のDX
DX前 |
Excelや営業個人で管理
担当:営業チーム(フィールドセールス)
|
DX後 |
SFA/CRMを導入 担当:マーケティングチーム、インサイドセールスチーム、営業チーム(フィールドセールス)
|
顧客情報や商談履歴の管理について、Excelや営業個人で営業管理を行っている企業も多いかもしれません。ただ、Excelだと情報の分析がしづらく、リアルタイム性が損なわれます。また個人で管理すると営業のやり方が属人化し、社内にノウハウが蓄積されません。
営業管理のDX方法としては、SFAやCRMを使った営業管理となります。
顧客情報や商談履歴など社内の情報をリアルタイムに一元管理できるため、属人化することがありません。さらに、案件化率や受注率を可視化したり、どのようなトークやコンテンツが顧客に好まれるかなど、顧客のニーズの分析が簡単にできるようになります。
体制
商談状況を管理するのは営業が中心になりますが、SFAやCRMは営業プロセスに関わる全部署が活用することが重要です。マーケティング・インサイドセールスにとっては、顧客に響く施策や訴求を見つけるのに役立つため、リード獲得やリード育成の施策改善に活かすことができます。
営業DXを成功させるポイント
営業DXを推進する上で、どのように進めればいいのか?成功させるためのポイントを手順ごとに解説します。
- 経営者のコミット
- 目的を明確にする
- 自社にあった営業プロセスに再構築する
- 営業プロセスに合った体制の再編成
- 営業プロセスに合ったツールを導入する
- 効果検証・改善を行う
①経営者のコミット
経済産業省が公表しているデジタルガバナンス・コードでは、企業のDXに関して経営者に求められる対応を取りまとめています。
DXを実現するためにまず最初に始めなければならないことは、経営者がDXの必要性を理解して、推進していくことです。DXを前提とした経営ビジョンを社員に共有することで、会社全体を巻き込んだ組織改革が実現できます。
②目的を明確にする
営業DXに取り組む目的を明確にしましょう。まず、「営業DXの必要性・目的」の章も参考にしながら、営業における現状の課題を洗い出すと自社に足りないものが見えてくるはずです。
「競合がDXを推進している」「国が推奨している」などの自社以外を主語にした目的ではなく、経営課題や業務課題、社内体制の課題点など、自社の課題から目的を明確することが重要です。
そうすることで、課題を解決するためにどのように営業DXしていけばいいのかという視点で、自社に必要なデジタルツールや体制を整えていくことができます。
③自社にあった営業プロセスに再構築する
現在の営業プロセスを棚卸した後、MAやSFA、CRMを活用して、効率化することを前提とした営業プロセスに再構築しましょう。
ただ、自社のターゲットは業界新聞やカタログ送付などアナログな接点がまだ多いなど、業界によって特徴があると思います。そうした場合に対応するためにも、あわせてカスタマージャーニーマップを作成しなおしておくことをおすすめします。自社のターゲットの購買行動の中で、新たに手を打つべきデジタルのチャネル、アナログで残しておくべきチャネルなどが見えてくるはずです。
- Webサイト経由のリード獲得に一本化するのか
- 従来の営業手法に加えて、Webサイト経由のお問い合わせを+αで獲得していくか
など、自社に合った方法を見つけましょう。
④営業プロセスに合った運用体制に再編成
マーケティング・インサイドセールス・営業の人員配置や体制がまだない場合、編成できそうかも検討します。人手が足りない場合、兼務で運用を始め、成果が上がった場合に部として人員強化されたという事例も多くあります。
人員配置は会社の方針が大きくかかわるため、会社全体を巻き込んで考えなければならない事項です。
⑤営業プロセスにあったツールを導入する
③④で明確にした営業プロセス・運用体制にあったツールを導入します。導入するツールの種類が決まったら、予算や運用する人材のスキルを考慮して、自社にあったツールを選定しましょう。
DXというと、デジタルツールの導入というイメージがあるかもしれませんが、ツール導入はあくまで手段です。ツール導入から始めてしまうとうまくいかない場合が多いので、順序に注意が必要です。
▼営業DXで導入されるツールの特徴をまとめた記事もあります。参考にしてみてください
→MA・SFA・CRMの違いとは?各ツールの特徴と連携するメリット
⑥定期的に効果検証・改善を行う
しっかりと準備をしても、実際に運用するまでは、上手くいくかどうかは仮説の段階に留まります。成功パターンを見つけ出すには、運用結果を確認し、改善するための効果検証が不可欠です。施策を実行するだけにならないように注意しておきましょう。
また、定期的な効果検証によって、顧客ニーズを常に把握しておくことも重要です。DXが推進される理由の1つは、企業がビジネス環境の激しい変化に対応するためです。集客方法や訴求内容がターゲットに合ったものかどうかを確認して、変化させていくことができます。
営業DXを実現した成功事例
営業DXを実現した企業の成功事例をご紹介します。営業DXの具体的な実現方法は、業界や企業の風土によって様々です。自社と同じような状況の企業の営業DX事例を見つけて参考にしてみましょう。
業界に先駆けてWebマーケティング施策を実施
課題 |
・紙媒体のみによるリード獲得手法からの脱却 ・見づらいWebサイトの改善が課題 |
DXの内容 |
・サイトリニューアル ・ナーチャリング体制の構築 |
導入ツール |
ferret One |
健康食品OEM/ODMを手掛けるアピ株式会社様の営業DX事例です。
健康食品受託製造の業界でのリード獲得方法は、業界紙等の紙媒体が広報や宣伝の主流となっています。アピ株式会社は、そうした状態や自社のWebサイトが見づらい点に課題を感じていました。
そこで、BtoBマーケティングに特化した「ferret One」を導入して、サイトリニューアルとWebマーケティング施策に実施する環境整備を行いました。
Webマーケティング施策としては、まずWeb広告の配信や既存顧客・休眠顧客へ向けてのメール配信などを実施しました。
合わせて営業プロセスも変更。休眠顧客や失注顧客へのナーチャリングは、各担当者に一任していたところ、メール配信後にコンバージョンした顧客を営業担当に引き渡すという体系立てた効率的なナーチャリングを実施する体制へと変えました。
展示会で名刺交換をしたリストへのメール配信で80件の問い合わせを獲得する等ど、成果を上げています。
時代の変化に合わせたDXで新たな顧客開拓に成功
課題 |
既存事業と新規事業を拡大したい |
DXの進め方 |
・サイトリニューアル、Webサイトの運用開始
・社内体制構築
・CMS・MA・SFA・CRMの導入
|
導入ツール |
ferret One、Salesforce、Pardot |
化学工業メーカーの株式会社新菱様の事例です。
既存事業の資源リサイクルについて、ゼロエミッション(廃棄物を減らす取り組み)により、廃棄物が少なくなり、ニーズが減少していました。また、新規事業にチャレンジするも顧客を獲得できず、どの業界にニーズがあるのか分からなくなってしまってる状況でした。
そこで、会社として、新規開拓のため、営業など各分野の人材で新規事業開発室を新設。SalesforceやPardotの導入により営業部門の業務改善と合わせて、デジタルツールを活用したニーズを拾い出す方法を模索することになりました。そこで、マーケティングチームではBtoB企業のリード獲得に特化した「ferret One」を導入し、Webサイトをリニューアル。BtoBマーケティングのノウハウ提供を受けてWebサイトの運用を開始しました。
その結果、Webサイト経由でリード数が増加し、これまでに想定していなかった業界からも問い合わせがあるなど新規開拓にも成功。また、Webマーケティングの成果が上がったことにより、これまでWebマーケティングに消極的だった他部署にも有効性が認められたりと、組織内で意識変革が起こっています。
リード獲得から受注まで営業DXを支援「ferret One」
弊社の提供する「ferret One」では、BtoB企業がリード獲得から商談管理までを効率的に行えるようにサポートします。
営業DXに向けた5つの立ち上げ・実行をサポート
- 戦略設計
- Webサイトの整備
- 集客施策のサポート(伴走サポート・コンテンツ制作・人材派遣)
- ナーチャリング体制の構築
- 営業管理体制の構築
営業DXに取り組む際に多い「立ち上げは工数と手間がかかるので大変」「何から取り組めばいいのか分からない」というお悩みを解決します。
BtoBマーケティングを支援してきた実績から導き出した成功パターンとノウハウで貴社にあった営業DXの具体的な方法をご提案します。
お使いのMA・SFA・を再インプリ
「営業DXを推進しようと導入したMA、SFA、CRMがうまく活用できていない」というお悩みも解決します。弊社コンサルタントが貴社の課題を特定して、再インプリいたします。
シナリオ設計や分析データ基盤の整備などの施策実行から、施策実行後のデータ分析による効果検証・改善施策立案まで、日々のマーケティング・営業活動に寄り添ってサポートします。
営業DXに取り組みたい方、取り組んだけれど上手くいっていない方はぜひご相談ください!
>ferret Oneサービス紹介資料のダウンロード【無料】はこちら
BtoBの営業DXは営業プロセスの再構築とツール導入で始めよう
現在の社会状況や顧客の購買行動を考慮すると、BtoBの営業DXは、下記の3つの営業プロセスを構築することを目指して行います。
- リード獲得
- リード育成
- 営業管理
ただ、営業DXの具体的な方法は企業によって異なります。企業として何を実現していきたいのか目的を明確にすることで、実現に向けて足りない部分を体制の再編成・デジタルツールの導入で補っていくことができます。
営業DX推進していくには、手間も工数もかかります。本当にうまくいくのか分からず、社内理解を得ることに苦戦して、断念してしまうこともあるかもしれません。
そうならないように、ノウハウのある外部に相談するのも一つの方法です。営業DXの推進に不安がある場合は、無理に自社だけで進めようとせず、寄り添ってくれるパートナーを探してみるとよいでしょう。
ferret Oneは、Web制作からリード獲得、顧客管理までBtoBマーケティングに必要な機能をそろえているマーケティングツールとノウハウを提供しています。
営業DXのノウハウも提供していますので、ご興味のある方はぜひ資料をご覧ください。