SIerのマーケティングは変化を狙う|既存ベンダーの壁を越える設計と事例5選

既存顧客やパートナーからの案件に頼っていて、新規のパイプラインが安定しない。特定の業界や技術で実績はあるのに、市場に伝わる形に整理できていない。AI・クラウド・セキュリティといった新しいサービスを育てたい。株式会社ベーシックが運営するferretには、SIer企業のマーケティング担当者から、こうした相談が多く寄せられています。
SIer業界では既存ベンダーの立場が強く、新規ベンダーへの切り替えはなかなか起こりません。技術力を伝えるだけでは選ばれにくいのはそのためです。顧客が直面している変化を、安全に前へ進められる会社だと認識してもらう必要があります。
この記事では、SIer業界のマーケティングを難しくしている構造を整理したうえで、狙うべき顧客、コンテンツとナーチャリングの設計、サイトのCTA設計を解説します。後半には、ferret Oneを導入したSIer・システム開発企業5社の事例と、自社の状況を確認するためのチェック項目を載せました。
※この記事は、ホワイトペーパー「SIer業界 BtoBマーケティング強化のヒント」の内容をもとに、記事向けに再構成したものです。
AI時代のBtoBマーケについてご相談ください

ferret Oneでは、市場環境の変化を踏まえたマーケティング戦略の見直しから、サービスサイトの改善、コンテンツ制作、ナーチャリング、マーケティングツールの活用まで、BtoB企業をご支援しています。
サイトや施策をどこから見直せばよいか、整理いたします。気軽にご相談ください。
目次[非表示]
SIer業界のマーケティングを難しくしている構造
この章のポイント
SIer業界の顧客は、ベンダーを比べる前に、そもそも移行するか現状維持にするかを考えています。SIは個別性が高く失敗コストも大きい商材なので、新規ベンダーは技術の優劣だけでは選ばれません。現状維持の安心や切り替えにかかるコストを上回る理由を示す必要があります。
市場は広がっているが、新規ベンダーが入り込める場面は限られる
DX、クラウド移行、AI活用、セキュリティ対応などを背景に、顧客のIT投資テーマは広がっています。一方で、競合は他のSIerだけではありません。既存ベンダー、大手SIer、コンサルティング会社、さらには内製やSaaSまで選択肢が広がっています。
SIer業界の特性を、マーケティングへの示唆とあわせて整理すると次のとおりです。
観点 | 業界の状況 | マーケティングへの示唆 |
|---|---|---|
市場・案件動向 | DX、クラウド移行、AI活用、セキュリティ対応などを背景に、顧客のIT投資テーマが広がっている | 新規ベンダーが入り込めるのは、既存ベンダーだけでは対応しきれない変化が起きた場面 |
競争環境 | 競合は他SIerだけでなく、既存ベンダー、大手SIer、コンサル・DX支援会社、内製・SaaS・クラウドまで広がる | 技術の優劣より、要件を定義し、失敗なく進め、責任を持って運用できるかという総合的な信頼で選ばれる |
商材の特徴 | 顧客ごとの業務・既存システム・規制に合わせる個別受託型で、導入前に品質を比較しにくい | 開発できることに加えて、既存資産を活かし段階的に成果を出せることを示す |
顧客は選定の前に、移行するか現状維持かを考えている
顧客が乗り換えを考え始める時点で、今のベンダーはすでにシステム・業務・担当者を理解しています。新規ベンダーの選定では、機能や価格を比べる前に、移行しても失敗しないかが大きな論点になります。
顧客が見ているのは技術力だけではありません。業界・業務への理解、既存資産を活かした進め方、移行・運用の安心感、導入後の成果までを含めて判断されます。新規SIerが比較の対象に入るためには、この会社なら新しい課題を安全に進められると納得できる実績と進め方、成果の見通しを、早い段階から示しておく必要があります。
SIは比較しにくく、失敗コストが高い商材
SIは、顧客ごとの業務・組織・既存システム・規制・データに合わせてつくる商材です。顧客は事前に品質を比べにくいため、知名度、過去の実績、担当者への信頼、既存取引の有無を判断材料にしがちです。
さらに、SIは導入後の事業や現場のオペレーションまで左右します。顧客が恐れているのは、障害なく移行できるか、現場が混乱しないか、社内で説明できるかといった点です。そのため新規SIerは、次の4点を伝える必要があります。
この業界・業務なら、何を変えるべきかが分かっている
既存資産を壊さず、段階的に進められる
失敗しやすい論点を先回りしてつぶせる
導入後に、どの事業KPIがどう変わるのかを説明できる
乗り換えを止める、見えにくいコスト
顧客がベンダーを乗り換えるときには、見積もりに表れないコストが発生します。既存の仕様や業務ルールをもう一度説明する手間、データ移行・連携・テスト・教育の負担、稟議・調達・部門間の調整、障害やセキュリティ事故が起きたときの責任リスクなどです。変えたことの責任を負う担当者個人の心理的な負担も見逃せません。
顧客が新規ベンダーへの乗り換えを決めるのは、次の関係が成り立ったときです。
新規ベンダーへ変える価値 > 現状維持の安心+切替コスト+失敗リスク
既存の付き合いがあるベンダーを変える強い理由がなければ、顧客はなかなか動きません。SIerのマーケティングは、この不等式の左側を大きくし、右側の不安を小さくする情報をどう届けるかを設計する仕事だといえます。
SIerの競争相手は他SIerだけではない
この章のポイント
SIerの競合は、既存ベンダー、大手SIer、コンサル・DX支援会社、内製・SaaSの4つに分けられます。なかでも既存ベンダーは、技術を比べるだけでは崩しにくい相手です。加えて、買い手がAIを使って候補を洗い出す動きが広がり、関係性だけで続く取引は維持しにくくなっています。
既存ベンダー・大手SIer・コンサル・内製の4つの競合
競争相手ごとに、顧客がその選択肢を選ぶ理由と、新規SIerにとっての壁は異なります。
競争相手 | 顧客が選ぶ理由 | 新規SIerにとっての壁 |
|---|---|---|
既存ベンダー | システム・業務・担当者を理解しており、説明や引き継ぎなど変更時のリスクがない | 最も強い競合。技術を比べるだけでは崩れにくい |
大手SIer | 信用力、対応範囲、責任能力、調達上の安心感 | 中堅SIerは規模では勝ちにくい |
コンサル・DX支援会社 | 経営・業務改革など、上流の課題から相談できる | 実装前の構想段階を押さえられてしまう |
内製・SaaS・クラウド | スピードと柔軟性があり、外注コストを減らせる。ノウハウを社内にためられる | 新規のSIを選ぶ理由そのものが部分的に解消される |
大手SIerと規模で競う場面や、既存ベンダーと技術力だけで比べられる場面では、新規SIerは不利です。どの競合を相手に、どの場面で選ばれるのかを先に決めておくことが、訴求を絞り込む前提になります。
AIが、顧客のベンダー評価を変え始めている
買い手の情報収集にも変化が起きています。HubSpot Japanの調査では、直近の購買活動を以前と比べて、生成AIサービスやAI検索が購買判断に与える影響が増えたと答えた人が41.6%でした。AIやAI検索の使い道として最も多かったのは、候補となる商品・サービスの洗い出し(50.3%)です。また、売り手に接触する時点で、複数の候補をリストアップする段階以降まで検討が進んでいた人は63.5%にのぼります。
出典:HubSpot Japan「日本のBtoB購買に関する意識・実態調査2026」2026年7月16日発表、n=1,573(直近12カ月以内にBtoB商材の比較・選定・稟議・承認・決裁などに関与した、従業員50名以上の企業に勤める人)
この調査はSIerに限ったものではなく、BtoB商材全般が対象です。ただ、営業が会う前に候補が絞られているという傾向は、紹介や既存取引に頼ってきたSIerにとって無視できません。
ferretでは、AIはSIerを直ちに置き換えるものではなく、顧客によるベンダー評価や調達判断を高度にするものだと考えています。関係性だけで続いてきた受託は維持しにくくなり、成果・専門性・透明性を説明できるSIerが選ばれやすくなっていくでしょう。SIer企業のスタンスとしても、保守ベンダーから経営課題を解決するパートナーへの転換が求められています。
狙うべきは不満企業ではなく、変化が起きた企業
この章のポイント
全面的なリプレイスは顧客にとってリスクもコストも大きいため、今のSIerに不満を持つ企業を探しても案件にはつながりにくいものです。狙うべきは、事業・技術・外部環境・関係の変化によって、既存ベンダーだけでは対応しきれない課題が生まれた企業です。訴求は、業界×業務課題×技術領域で絞り込みます。
新規ベンダーが入り込めるのは、課題が変わったとき
新規ベンダーが受注するきっかけは、顧客企業の課題に変化が生じたタイミングです。変化が起きた場面では、既存の関係性よりも、次の課題を解けるかどうかが評価されます。
狙う相手は、今のSIerを替えたい企業ではありません。既存ベンダーでは新しい経営課題に対応しきれない企業です。この発想に切り替えるだけで、発信するテーマも、追いかけるべき兆候も変わってきます。
事業・技術・外部・関係の4つの変化
変化は、大きく4つに分けて捉えられます。
1つ目は事業変化です。新規事業を始めた、海外展開を始めた、M&Aを行ったといった動きが当てはまります。2つ目は技術変化で、AI活用の普及、クラウド移行の増加、データ活用の進化などが挙げられます。
3つ目は外部変化です。法律や制度の変更、セキュリティ意識の高まり、拠点の統廃合などがあたります。4つ目は関係変化で、既存ベンダーの品質や提案の不足への不満、コストの変化などが含まれます。
関係変化だけを狙うと、既存ベンダーへの不満が表に出るまで待つことになるでしょう。ほかの3つは、ニュースリリース、採用情報、業界の制度改正などから外側でも兆候をつかめるため、マーケティングで先回りしやすい変化です。
情シス・事業部・経営層・購買部で、響く訴求は違う
SIの検討には複数の部門が関わり、立場ごとに知りたいことが違います。
担当者 | 抱えている課題 | 見せるべきもの |
|---|---|---|
情報システム部門 | システム移行、セキュリティ対応、運用体制 | 対応範囲と実績 |
事業部門 | 業務効率化、コスト削減 | 同じ課題を解決した導入企業の事例と、数値で示せる効果 |
経営層 | 投資判断 | 費用対効果や、導入後のROIを裏付ける情報 |
購買部門 | 発注プロセス | 費用感と進め方のイメージ。要件が未整理でも相談できること |
特に購買部門や検討初期の担当者に向けては、対応範囲、案件の規模感、要件が固まっていなくても相談できることを、サイト上ではっきり書いておくのがおすすめです。
技術紹介から、変える理由の設計へ
この章のポイント
対応技術や開発実績を並べるだけでは、他社との違いは伝わりません。現状維持のリスク、段階的に移行するための判断基準、業界ごとの失敗しやすい論点を伝え、顧客が新しく検討する必然性をつくります。そのうえで、顧客の検討フェーズに合わせて届ける情報と営業の入り口を変えていきます。
何ができるかではなく、なぜ今、何を変えるべきかから話す
従来のSIerのサイトは、対応技術、開発実績、提供メニューの紹介が中心でした。これでは他社との違いが伝わりにくく、顧客にとっても今検討する理由が見えません。
これからは、現状維持にどんなリスクがあるのか、段階的に移行するなら何を基準に判断すればよいのか、その業界ではどこで失敗しやすいのか、といった情報を発信していく必要があります。リプレイスを勧めるのではなく、既存資産を活かした次の一手を示すことが重要です。
意思決定を進める4種類のコンテンツ
顧客の不安を一つずつ解消していくには、役割の違う4種類のコンテンツを用意します。
気づきを与えるコンテンツは、現状維持にもコストがあることに気づいてもらうためのものです。題材の例は、操作が難しいことによる教育コスト、無駄な作業による運用コスト、属人化による施策の停滞などです。
解決方法を示すコンテンツでは、導入方法や進め方の選択肢に幅を持たせます。段階的にアップデートできる導入方法や、業務内容別・利用機能別のプランなどがこれにあたります。
業務理解を示すコンテンツは、顧客の業務や業界への理解の深さを伝え、信頼を得るためのものです。業界別に起きやすい失敗と、その回避策をまとめた記事が、その代表例になります。
比較・社内稟議を支えるコンテンツは、担当者が社内で検討を進めやすくするためのものです。ベンダー選定のチェックリスト、ベンダー比較資料、RFPのたたき台などが役立ちます。
顧客の変化に合わせて、届ける情報と営業の入口を変える
SIの検討期間は長く、関わる人も多くなります。短期で商談を急ぐより、長い検討のあいだ接点を保ち続ける設計が欠かせません。流れとしては、業界や事業の変化のシグナルを把握し、SEO・共催セミナー・ABMなどで課題を起点にした接点をつくり、フェーズ別のコンテンツで検討度を高め、現状診断や壁打ち相談といった入りやすい窓口を用意する、という4段階で考えます。
同じホワイトペーパーをMAで一斉に配信するのではなく、企業の状況に合わせて会話を進めることが大切です。検討フェーズごとの整理は次のとおりです。
フェーズ | 顧客の変化 | 届ける情報 | 営業の入口 |
|---|---|---|---|
新しいテーマが動いた | DX・AXに本腰を入れ始めた。新規事業が立ち上がった | 導入構想、PoCの進め方 | 構想の壁打ちの機会を案内する |
検討が始まった | RFPの提出を求められた。予算を決める時期になった | 判断基準、選定のポイント | RFPのレビューを行う |
移行を迷っている | 品質面・コスト面での壁に直面している | 段階的に移行できることの案内、失敗の回避策 | 現状診断を行う |
ここでのマーケティングの役割は、認知を取ることにとどまりません。営業が仮説を持って顧客に入り込める状態をつくるところまでが、マーケティングの仕事です。
サイト設計とCTA・オファーの考え方
この章のポイント
SIerのサイトでは、ベンダーを替える理由ではなく、既存資産を活かして前に進む方法を伝えます。CTAも、乗り換えの相談ではなく、現状の課題と次の打ち手を整理する相談として設計すると、検討初期の顧客が動きやすくなります。
替える理由ではなく、既存資産を活かして前進する方法を伝える
技術力の訴求だけでは、前の章で見た乗り換えの不等式を越えられず、顧客は既存ベンダーに流れがちです。狙うのは全面的なリプレイスではありません。新規事業、法改正、クラウド移行などの変化の兆候がある企業に、局所的な課題から入っていくことです。
優先して取り組みたいのは、紹介や既存顧客への依存度が高く、業界特化の実績はあるのに言語化と発信が弱い企業です。サイトには、既存ベンダーを替える前に確認すべき兆候のように、顧客が自分の課題に気づけるコンテンツを用意します。そのうえで、現状診断、構想の壁打ち、RFPレビューなど、低いリスクで相談できる入り口を設けておきます。
検討段階別のCTA・オファー
潜在層から顧客層まで、検討段階ごとに用意するCTA・オファーの例を図にまとめました。
ポイントは3つあります。変化の兆候がある企業を、チェックリストや業界別の課題コラムで獲得すること。段階移行の判断基準や業務課題別の導入事例で、既存資産を活かす進め方に納得してもらうこと。そして、現状診断や移行可否のレビューといったリスクの低い入り口から営業につなぐことです。
SIer・システム開発企業の成果事例5選
この章のポイント
ferret Oneを導入したSIer・システム開発企業5社の事例を、導入の背景、決め手、導入後の状態の順に紹介します。5社に共通するのは、新しい接点を増やすことより、すでにある接点やリードをどう深めたかという点です。
※各社の部署名・役職、導入の背景、成果の数値は、ホワイトペーパー「SIer業界 BtoBマーケティング強化のヒント」の掲載内容にもとづきます。
株式会社BFT|SFAの顧客データを、インサイドセールスの施策に生かす
株式会社BFT DxE事業部 インサイドセールスマネージャーの池上亮氏の事例です。
導入前は、SFAは活用できていたものの、MAのワークフローでは顧客を起点にした施策を実現できていませんでした。少人数のインサイドセールスでも、最適なタイミングで顧客とコミュニケーションを取りたいと考えていたそうです。
決め手は、顧客の行動を起点にナーチャリング施策を設計できることと、workrunを使ってMazrica Salesと柔軟かつ確実にデータを連携できることでした。導入後は、Mazrica Salesの更新情報をferret MAへ定期的に同期し、フォームでのCV時にはMazrica Salesへリアルタイムで連携する仕組みが動いています。
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社|自由に更新できるサイトで、目標の3倍以上の訪問数・PV
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 広域・社会インフラビジネス企画室の山本洋司氏の事例です。
コーポレートサイトは更新に承認フローが必要で、自由に情報を出せませんでした。迅速かつ継続的に発信できる媒体が必要だったといいます。
サイトの設計・制作から施策が軌道に乗るまで支援を受けられること、特別なスキルがなくてもページを簡単に作成・修正できることが導入の決め手になりました。初年度には訪問数4,000・PV6,000を達成し、目標の3倍以上の訪問数とPVを実現しています。
株式会社アイエスエフネット|CMSとMAを統合し、迷わず施策に取り組める状態へ
株式会社アイエスエフネット デジタルマーケティング部の田村拓麻氏、藤原將氏の事例です。
以前使っていたMAは設定が複雑で使いこなせず、運用が放置されて成果が出ているのかどうかも分からない状態でした。
CMSとMAを一つに集約して顧客データを一元管理できること、直感的なUIと充実したサポートでMAに取り組みやすいことが決め手でした。導入後は、情報の突き合わせやデータ確認にかかっていた工数が減り、MAの知識がなくても迷わず施策に集中できるようになっています。
事例の詳細:使いこなせなかった シナリオ・スコアリング機能… ferret OneにMAを統合し、シンプルな運用でCMSとの一元管理へ!
株式会社divx|教育コストをかけずに、全員が使えるMAへ
株式会社divx 代表取締役社長の物部英嗣氏、経営戦略室/広報室の木村冴花氏の事例です。
以前のMAはUIが複雑で、メンバーによって活用方法にばらつきがありました。教育コストの高さが壁になり、機能を使いこなせていなかったといいます。
必要十分な機能を備えたうえでCMSとMAを一つにまとめられること、ツールだけでなく施策の相談もできるサポートがあることが決め手になりました。導入後はレクチャーなしでメンバー全員が使えるようになり、約1万件のリードも約1週間でスムーズに移行できています。
コレオス株式会社(旧:アシストマイクロ)|コーディング不要で、サイト改善とリード獲得を自社で回す
コレオス株式会社 ビジネスソリューショングループ マーケティング担当の丁子亮乃氏の事例です。
以前はページの更新にHTMLやCSSの知識が必要で、コンテンツ更新のスピードが上がりませんでした。製品ごとに運用が分かれていて、サイトを一括で管理できないことも課題でした。
サイト制作だけでなく運用・施策までサポートを受けられること、SaaSなので常に最新の環境を使え、セキュリティ面でも安心できることが決め手です。導入後は、Webフォームの制作にかかる時間が約2分の1になり、資料請求のCVが1カ月で約10件発生しました。
5社に共通すること
5社の取り組みは、サイトの更新体制、MAの運用、SFAとのデータ連携とさまざまです。それでも共通しているのは、手元にある接点やリードをどう深めるかに取り組んだ点でした。新しいチャネルを増やす前に、すでにある接点を生かせる体制を整えることから始めています。
自社の状況をチェックする6項目
この章のポイント
ここまでの内容をもとに、自社のマーケティングを見直すための6つの項目をまとめました。1つでも当てはまれば、この記事で取り上げた打ち手のどれかが役に立つはずです。
チェック項目 | 当てはまるときに見直すこと |
|---|---|
サイトの更新を制作会社に都度依頼していて、自分たちですぐには変えられない | 発信と改善を自社で回せる更新体制。伊藤忠テクノソリューションズ様、コレオス様の事例が参考になります |
展示会で名刺交換した後の追いかけ(フォロー)が、ほとんどできていない | 検討フェーズに合わせて届ける情報と、営業の入口の設計 |
営業が商談で、自社にできることを見せられる資料や記事がサイトにない | 気づき・解決方法・業務理解・比較稟議の4種類のコンテンツ |
自社の強みや他社との違いを、一言でうまく説明できない | 業界×業務課題×技術領域での訴求の絞り込みと、狙う変化の明確化 |
MAやSFAを導入したのに、機能を使いこなせず活用できていない | ツールの集約と運用の簡素化。アイエスエフネット様、divx様、BFT様の事例が参考になります |
ChatGPTなどの生成AIでSIerの選び方を聞いたとき、自社がどう紹介されるかを確認したことがない | 実績・進め方・成果の見通しを、AIにも読み取れる形でサイトに載せているか |
出典:チェック項目はSIer業界 BtoBマーケティング強化のヒントより
明日からできること
何から始めるか迷ったら、営業の商談でよく話題になる顧客の組織課題を3つ選び、それぞれを記事や資料にしてみてください。営業が実際に使える素材になるうえ、同じ課題を持つ企業がサイトにたどり着くきっかけにもなります。
社内でマーケティングへの理解を得たり、予算を確保したりするところでつまずいている場合は、システム開発・ITソリューション業界のマーケティング担当者が集まったユーザー会のレポート「社内理解・予算が取れない環境を変えるには?システム開発・ITソリューション業界ユーザー会」もあわせてご覧ください。
まとめ|変える理由ではなく、選ばれる理由をつくる
SIer業界のマーケティングは、既存取引の壁があることを前提に設計する必要があります。
まず、既存ベンダーへの不満ではなく、新しい事業・技術・外部環境の変化を捉えること。次に、単なる技術紹介ではなく、現状維持のリスクと進め方の選択肢を示して、選ばれる理由をつくること。そして、短期のCVを追いすぎず、長い検討のあいだ関わり続けるためのコンテンツとCTAを用意することです。
目指すのは、この会社なら新しい課題を安全に前へ進められる、と顧客に思ってもらえる状態です。そのためには、技術力の説明から、顧客の変化に寄り添う情報発信へと軸足を移していくことが欠かせません。
- 資料のご紹介
この記事で紹介した内容は、資料「SIer業界 BtoBマーケティング強化のヒント」にまとめています。業界の特性、マーケティング強化のポイント、検討フェーズ別のCTA・オファー設計、SIer・システム開発企業5社の事例を確認できます。
- 関連記事のご紹介
SIer企業のマーケティングとあわせて、AI時代の買い手の選び方や、展示会リードの活かし方、他業界の事例も紹介しています。ぜひあわせてお読みください。
AI時代のBtoBマーケについてご相談ください

ferret Oneでは、市場環境の変化を踏まえたマーケティング戦略の見直しから、サービスサイトの改善、コンテンツ制作、ナーチャリング、マーケティングツールの活用まで、BtoB企業をご支援しています。
サイトや施策をどこから見直せばよいか、整理いたします。気軽にご相談ください。






















