化学メーカーのマーケティング戦略|採用判断を進める情報設計と事例4選

規格も品質も満たしているのに、技術の良さや供給の安定性が新しい顧客に伝わらない。既存顧客には選ばれていても、新しい用途や業界での採用、サンプル評価につながらない。安全性や規制、評価への不安が先に立ち、商談の前に候補から外れてしまう。株式会社ベーシックが運営するferretには、化学品メーカーのマーケティング担当者から、こうした相談が寄せられています。
化学品は、完成品の目立つ部位に使われていなくても、性能・安全・生産性を左右する商材です。そのぶん素材の切り替えには、規制対応、安全性、品質、工程への適合といった裏付けが欠かせません。製品スペックを並べるだけでは新規採用されにくいのは、そのためです。化学品メーカーのマーケティングでは、品質や技術の強みを、顧客が採用を判断できる価値に変えていく必要があります。
この記事では、化学品メーカーのマーケティングを難しくしている構造を整理したうえで、汎用品と特殊・機能性化学品の違い、狙うべき顧客、担当者別の情報設計、CTAと営業連携の考え方を解説します。後半では、ferret Oneを導入した化学・素材メーカー4社の事例と、自社の状況を確かめるチェック項目を紹介します。
製造業全般のWebマーケティングの基本は「【マーケターが解説】製造業が行うマーケティングの基本とは?必見の成功事例3選」で解説しています。この記事では、化学品に特有の論点に絞ってお伝えします。
※この記事は、ホワイトペーパー「化学品メーカー BtoBマーケティング強化のヒント」の内容をもとに、記事向けに再構成したものです。
AI時代のBtoBマーケについてご相談ください

ferret Oneでは、市場環境の変化を踏まえたマーケティング戦略の見直しから、サービスサイトの改善、コンテンツ制作、ナーチャリング、マーケティングツールの活用まで、BtoB企業をご支援しています。
サイトや施策をどこから見直せばよいか、整理いたします。気軽にご相談ください。
目次[非表示]
化学品メーカーのマーケティングを難しくしている構造
この章のポイント
化学品の新規採用や切り替えには、研究開発から品質保証、購買、下流顧客まで、多くの関係者による評価と承認が必要です。顧客は製品が優れているかどうかに加えて、評価から量産立上げまでを安心して進められるかを見ています。マーケティングに求められるのは、問い合わせを増やすことより、顧客社内の評価と承認を前に進める情報を用意することです。
市場は広がっているが、素材はスペックだけでは採用されない
サーキュラーエコノミーや低炭素化を背景に、再生材やバイオマス原料、環境価値への需要は広がっています。ただ、需要が広がることと、新しいサプライヤーが採用されることは別の話です。
化学品メーカーを取り巻く状況を、マーケティングへの示唆とあわせて整理すると次のようになります。
表の右の列を見ると、どの観点でも、顧客が確かめたいのは製品単体の優劣ではないことがわかります。採用した後に問題なく使い続けられるか、社内で説明できるか。そこに答える情報があるかどうかで、候補に残れるかが変わります。
新規採用には、研究開発から下流顧客までの評価と承認が要る
素材を切り替えるとき、顧客企業の中では多くの確認が走ります。研究開発は物性や用途への適合を確かめ、生産は工程への影響を見ます。品質保証やEHS・法務は安全性と規制への対応を、購買は供給体制や価格を確認するでしょう。さらに、顧客の先にいる下流顧客の承認が必要になることもあります。
これだけ多くの人が関わるため、既存品の置き換えには慎重になりがちです。一方で、新製品の開発、設備の更新、環境規制への対応、調達リスクの顕在化といった場面では、顧客のほうから新しい素材を探し始めます。
こうした場面で選ばれるには、顧客社内の研究開発・品質保証・購買が評価と承認を進められる情報を、こちらから先に用意しておくことが重要です。採用しやすい素材メーカーとして認識されているかどうかが、問い合わせの数より先に問われます。
汎用品と特殊・機能性化学品では、競争の軸が違う
この章のポイント
汎用化学品は規格を満たすことが前提で、価格と安定供給で比べられやすい領域です。特殊・機能性化学品は、顧客の製品や工程の成果にどれだけ寄与するかで評価されます。どちらにも共通して必要なのは、顧客が安全に評価・採用できる情報ですが、用意すべき中身と、検討を主に進める担当者は異なります。
品目によって、比べられるポイントが変わる
同じ化学品メーカーでも、汎用品を扱うか、特殊・機能性化学品を扱うかで、顧客が比べるポイントは変わります。
汎用品では供給と品質への安心を、特殊・機能性化学品では用途・評価・技術支援を中心に、情報を組み立てるのが基本です。両方の品目を扱う企業は、サイトの導線を品目ごとに分けて考えると整理しやすくなります。
汎用品は差がないのではなく、差を説明しにくい
汎用品では、顧客が求める規格を満たすことが参入条件になります。そのうえで、価格、納期、ロット、供給能力、品質の安定性で選ばれる領域です。供給能力の増加や需給の変動によって価格競争が起きやすく、製品スペックを訴求するだけでは選ばれにくくなっています。
それでも、差をつける余地は残っています。有事を含めて供給を続けられる体制(複数拠点、在庫、代替生産)は、その代表です。ロット間の品質の安定性や、顧客の不良・歩留まりへの影響も比べられます。物流や容器回収、納入形態を含めて顧客の運用負荷をどれだけ減らせるか、再生材やバイオマス原料、マスバランス方式、CFP・LCAといった環境価値を示せるかも判断材料になるでしょう。規制対応情報やSDS、各種証明書をどれだけ速く正確に出せるかも、調達担当者にとっては見逃せない違いです。
汎用品の差別化では、製品スペックだけでなく、供給・品質・運用まで含めた採用後の安心を価値として伝えることが重要です。
特殊・機能性化学品の競合は、代替材料・内製・設計変更・工程変更
特殊・機能性化学品の価値は、成分そのものでは決まりません。顧客の最終製品や製造工程にどんな変化が起きるかで決まります。歩留まりの改善、薄型化、軽量化、耐久性の向上、消費電力の低減、規制対応、リサイクル適性などがその例です。
そのため競争優位は、技術力だけでは完結しません。顧客の用途や工程を理解して配合や仕様を詰める力、サンプル提供から評価、量産立上げまで伴走するアプリケーション技術力が問われます。品質保証・規制対応・供給体制を含めて採用リスクを下げる力や、顧客の次世代製品の構想段階から関われる関係性、共同開発で得た知見や知財も差になります。
注意したいのは、競合が同じ材料を扱うメーカーだけではないことです。顧客の内製、代替材料、部品設計の変更、工程の変更も、同じ目的を達成する選択肢になります。自社の素材が優れていると伝えるだけでは足りません。顧客が代替案より早く、確実に目的を達成できることを示す必要があります。
配合や製法など、公開できない情報が多い製品の強みをWeb上でどう伝えるかは、「製造業の製品の強みの打ち出し方!企業秘密の多い製品をWeb上でどう訴求すればいいのか?」で解説しています。
サーキュラーエコノミーで、競争の軸がもう一段変わる
循環型経済や低炭素化への対応では、従来の性能・価格・供給に加えて、比べられる点が増えます。まず問われるのは、再生・バイオマス由来の原料を安定して確保し、性能・品質・安全性を維持できるかどうかです。再生材比率やCO₂削減量、トレーサビリティを証明できることも求められます。さらに、顧客の環境目標や開示要請に使えるデータの提供や、回収・選別・再資源化まで含めた連携づくりも評価の対象になるでしょう。
ここでの競争力は、製品単体では決まりません。調達、製造、品質保証、顧客との共同開発、データ開示まで含めた、サプライチェーン全体での対応力が問われます。環境価値を数値やデータで示せるようにしておくことは、今後の新規採用で欠かせない準備です。
狙うべきは不満企業ではなく、変化が起きた企業
この章のポイント
顧客が比べているのは、他社の素材だけではありません。今の素材を使い続けるという選択肢です。今の材料に不満を持つ企業を探すより、既存品だけでは新しい要求に応えにくくなった企業を狙うほうが、新規採用につながりやすくなります。
比べられているのは他社ではなく、現状維持
化学品メーカーが選ばれる理由は、素材性能の高さだけではありません。顧客が評価・承認・量産立上げにかける負担を上回る価値と、安心して進められる道筋を示せるかどうかで決まります。
今の素材は、すでに評価と承認を通過しています。工程条件や品質基準にも合わせ込まれているはずです。新しい素材を採用すれば、その確認をもう一度やり直すことになります。顧客にとって切り替えは、性能の比較である前に、社内の手間とリスクの比較です。新しいサプライヤーに求められるのは、その負担を引き受けてでも進める理由と、負担を小さくする進め方を示すことだといえます。
製品・用途/生産・品質/外部環境/取引関係の4つの変化
狙うべきは、今の材料に不満を持つ企業ではありません。既存品だけでは新しい要求に応えにくくなった企業です。顧客に起きる変化は、大きく4つに分けて捉えられます。
1つ目は製品・用途の変化です。新製品の開発、高機能化や軽量化、再生材・バイオマス材への切り替えなどが当てはまります。2つ目は生産・品質の変化で、量産化や増産、歩留まりの改善や不良品の低減、工程変更や設備更新が挙げられます。
3つ目は外部環境の変化です。REACHや化審法などの規制対応、CO₂削減や環境開示への対応、原料の調達難、サプライチェーンの再編がこれにあたります。4つ目は取引関係の変化で、品質のばらつきや不具合、納期遅延やコスト上昇、供給停止や既存品の終売などが含まれます。
取引関係の変化だけを待っていると、顧客の不満が表に出るまで動けません。残りの3つは、顧客企業の新製品発表や設備投資のニュース、規制改正の動きなど、社外からも兆候をつかめる変化です。マーケティングで先回りしやすいのは、この3つだといえます。どの変化に対して、自社のどの製品と情報で応えられるのかを整理しておくと、発信するテーマも、営業が追うべき兆候も決めやすくなります。
AI検索で見つかった後、採用判断できる情報がサイトにあるか
この章のポイント
発注先を探す段階でAI検索を使う担当者が増え、それまで知らなかった企業がAI経由で候補に入るようになっています。ただし、AIで見つけた企業の情報は、最終的に公式サイトで確かめられることが多いのが実情です。そのとき、用途・評価条件・規制対応・供給体制といった採用判断に必要な情報がサイトに揃っているかどうかで、候補に残れるかが分かれます。
発注先探しにAI検索が使われ、最後は公式サイトで確かめられる
株式会社Pifteeの調査では、BtoBの発注先・外注先の選定や検討に関わった担当者のうち、選定・検討の過程で生成AI検索を使ったことがある人は75.0%でした。業種別に見ると、製造業は78.4%です。
AI検索の利用経験者147名のうち82.3%は、AI検索を通じてそれまで知らなかった企業・サービスを発見したことがあると答えています。一方、AI検索で得た情報をどう確かめるかという質問では、その企業の公式サイトを確認するが70.7%で最も多くなりました。
出典:株式会社Piftee調べ「BtoB発注先選定におけるAI検索活用の実態調査2026」2026年6月9日発表。調査期間2026年5月22日〜6月5日、インターネット調査、有効回答196名(過去1年以内にBtoBの発注先・外注先の選定・検討に関わった担当者)。82.3%と70.7%はAI検索の利用経験者147名が対象で、70.7%は複数回答。
※業種横断の調査で、化学品の調達に限った結果ではありません。製造業の回答者数は公表されていません。
化学品の調達では、これまで既存の取引先や専門商社が入口になることが多く、関係性が強い構造でした。素材の切り替えには品質・工程・規制・安定供給の確認が伴うため、関係性だけを崩すことは今も簡単ではありません。
それでも、AI検索によって、取引のなかった企業が候補に入る機会は増えています。問題は、その後です。化学品の新規採用は、物性データやSDS、規制適合性の確認、サンプル評価、量産性の検証を経て進みます。AI経由でサイトを訪れた担当者が、採用の可否を判断できる情報を見つけられなければ、そこで候補から外れてしまいます。
製品紹介から、用途と採用時のハードルを起点にしたサイトへ
従来の化学品メーカーのサイトは、製品・グレードの一覧、物性値の一覧、製造拠点や設備、会社概要が中心でした。これでは、初めて訪れた研究開発や品質保証の担当者が、自社の用途で評価から採用まで進められるかを判断しにくくなります。
これからのサイトに求められるのは、顧客起点の情報です。業界別・用途別の採用事例や評価事例、求める物性・使用条件・評価条件、SDSや規制対応、安全性・品質保証の情報、サンプル評価から量産立上げまでの進め方、供給体制・BCP・環境価値のデータ。何をつくっているかだけでなく、どの用途・条件なら安全に評価・採用を進められるかを見せることが大切です。
研究開発・品質保証・購買・経営層に、それぞれ何を用意するか
この章のポイント
化学品の採用判断には、研究開発、品質保証・EHS、購買、経営層がそれぞれの立場で関わります。担当者ごとに知りたい情報は異なるため、案件が動いたときに、どの担当者も相談できると判断できる情報を漏れなく用意しておく必要があります。
担当者ごとに知りたい情報は違う
用途別の提案、物性データ、規制対応、サンプル評価から量産までの進め方など、各担当者が知りたい情報を揃えておくと、顧客社内の評価と承認を前に進めやすくなります。
多くの企業のサイトでは、研究開発向けの製品情報は充実していても、品質保証や購買、経営層向けの情報が手薄になりがちです。どれか1つでも欠けると、顧客社内の検討はそこで止まります。自社サイトを4つの立場から見直し、足りない情報がどこにあるかを確かめてみてください。
規制・安全性への不安は先回りして解消する
顧客が化学品の調達先を切り替えるときには、REACHや化審法などの規制対応、品質や安全性の検証に手間がかかります。切り替えても問題なく使えるのかという不安に、先回りして答える情報が欠かせません。
研究開発向けには、物性データや用途別の提案などの技術情報を用意します。品質保証向けには、REACHや化審法などへの規制対応と安全性データを明示しておきましょう。購買や生産の担当者に向けては、サンプル評価の進め方や供給体制をわかりやすく示します。こうした情報を、各担当者の判断軸に合わせてサイト全体の導線に組み込むことが重要です。
CTA・オファー設計と、問い合わせを採用案件へ進める営業連携
この章のポイント
化学品メーカーのサイトでは、まず物性データやサンプル評価依頼など、研究開発担当者向けのCTAを優先して置きます。そのうえで、資料の閲覧やサンプル依頼といったサイト上の行動から、顧客の関心用途や評価段階を読み取り、営業・技術担当が次に何を返すべきかを判断できる状態をつくります。
まず研究開発担当者向けのCTAから置く
興味・関心から採用後の支援まで、検討段階ごとに用意するCTA・オファーの例を図にまとめました。
ポイントは3つあります。1つ目は、基礎知識コンテンツや業界レポート、展示会・学会情報で、潜在層の見込み顧客を獲得することです。2つ目は、物性データや用途別事例、SDS・規制対応・安全性資料で、比較検討段階の規制・安全性への不安を解消すること。3つ目は、サンプル評価依頼や技術相談で得た商談・採用情報を、見積や量産条件の相談、購買へとつなぐことです。
化学品は、採用後も品質保証書や最新版SDSの提供、追加用途や継続供給の相談が続きます。採用後の顧客向けの窓口も、サイト上に用意しておくとよいでしょう。
サイト上の行動から、用途・評価段階・規制要件を読み取る
マーケティングの役割は、問い合わせの数を増やすことだけではありません。自社の営業・技術担当が、顧客がどの用途で検討していて、評価のどの段階にあり、自社が何を返すべきかを判断できる状態をつくることも含まれます。そのためには、マーケティング施策で生まれたサイト上の行動や接点を、営業と連携しながら採用案件に育てていく必要があります。
表の最後の行は、前の章で整理した4つの変化とつながっています。一度失注した顧客でも、規制や仕様、調達環境が変われば、再び検討が始まる可能性があります。変化をきっかけに接点を持ち直せるよう、過去の商談情報とサイト上の行動を営業と共有しておくことが大切です。
化学・素材メーカーの成果事例4選
この章のポイント
ferret Oneを導入した化学・素材メーカー4社の事例を、導入の背景、決め手、導入後の状態の順に紹介します。4社に共通するのは、人脈や紙媒体、外注に頼っていた情報発信を、自社で続けられる形に切り替えた点です。
※各社の部署名、導入の背景、成果の数値は、ホワイトペーパー「化学品メーカー BtoBマーケティング強化のヒント」と各社の事例ページの掲載内容にもとづきます。
荒川化学工業株式会社|人脈頼みの新規開拓から、Webで新しい市場とつながる仕組みへ
荒川化学工業株式会社 経営企画本部 経営企画部 経営企画グループの中島綾香氏の事例です。
導入前の新規開拓は、ベテラン社員の人脈が中心でした。コロナ禍でその方法に限界が見え、Webで顧客との接点をつくりたいと考えたものの、社内に知見がなく手探りの状態だったといいます。
決め手は、誰でも簡単にサイトを作れて、マーケティング施策まで伴走して支援を受けられることでした。必要な支援範囲と価格のバランスが最も合っていた点も評価されています。導入後は、新製品や技術情報を自社で手軽に発信できる場ができ、Webサイトが新しい市場との接点を生むようになりました。
株式会社新菱|サイト訪問数35倍、Web経由の商談が0件から累計40件以上に
株式会社新菱 情報システム部 DX推進グループの秋本健作氏と、新規事業開発室 デジタルマーケティンググループの田中新吾氏の事例です。新菱は三菱ケミカルグループの企業で、サーキュラーエコノミー事業やファインケミカル事業、半導体製造装置部品などの精密洗浄、シリコンウェハの再生など、幅広い事業を展開しています。
新規事業のニーズを探るためにWebを使いたいと考えていたものの、方法がわかりませんでした。古いサイトでは、データを活かした改善や集客もできていなかったそうです。事例ページでは、当時の状況が「以前は年間30件くらい問い合わせがありましたが、サイト経由で発生する商談は0でした」と語られています。
決め手は、デザインに偏らない、サイト戦略そのものへの提案と、既存のSFA・MAとシームレスに連携できることでした。導入後はサイト訪問数が35倍に増え、Web経由の商談は0件から累計40件以上になっています。想定していなかった業界から問い合わせが入り、新たな顧客ニーズの発見にもつながりました。
事例の詳細:株式会社新菱様の導入事例
株式会社ナストーコーポレーション|年3〜4回だった更新を、誰でもいつでもできる体制に
株式会社ナストーコーポレーションのWebサイト運用ご担当者様の事例です。
以前はサイトの更新を外注しており、手間とコストの面から更新は年3〜4回が限界でした。営業情報が個人に偏り、拠点間での共有にも課題があったといいます。
特別なスキルがなくてもページを更新できること、公開前のページを社内で共有できるプレビュー機能、手厚いサポートが決め手でした。導入後は、ITに不慣れなスタッフでもサイトを更新できるようになり、キャンペーンや新商品、展示会のページを素早く作れるようになっています。
アピ株式会社|メール配信で、3か月に80件の問い合わせ
アピ株式会社 新規戦略開発部 新規戦略企画課の中島敏貴氏の事例です。アピは、健康食品・サプリメントの受託製造を主な事業としています。
紙媒体が中心の業界で、Webマーケティングへの取り組みが遅れていました。既存のサイトも、情報や導線が整理されておらず見づらい状態だったそうです。
決め手は、商談の場で課題の本質を捉え、解決策を的確に提案したことでした。ツールだけでなく、担当者の知見と伴走する姿勢も信頼につながっています。導入後はメール配信を活用して3か月で80件の問い合わせを獲得しました。休眠顧客や失注顧客を組織的に育成し、営業へ渡す流れもできています。
事例の詳細:アピ株式会社様の導入事例
4社に共通すること
4社の課題は、人脈頼みの新規開拓、新規事業のニーズ探索、外注に頼った更新体制、紙媒体中心の営業とさまざまです。共通しているのは、技術や製品の情報を自社で発信し続けられる状態をつくったことでした。発信を続けられるようになって初めて、想定外の業界からの問い合わせや、休眠顧客の掘り起こしといった成果が生まれています。
自社の状況をチェックする6項目
この章のポイント
ここまでの内容をもとに、化学品メーカーのマーケティングを見直すための6つの項目をまとめました。1つでも当てはまれば、この記事で取り上げた打ち手のどれかが役に立つはずです。
チェック項目 | 当てはまるときに見直すこと |
|---|---|
品質の良さを訴求しているが、既存のお客様以外からの反応が薄い | 品質を、物性・評価条件・規制・品質保証・供給という採用判断の情報に置き換えているか。担当者別の情報設計を見直す |
今の主力製品・素材が、他のどんな業界・用途で使えるか書き出したことがない | 用途の棚卸しと、業界別・用途別の採用事例ページ。新菱様の事例が参考になります |
二次加工技術・量産性・短納期など、品質以外の強みを言葉にできていない | 汎用品は供給・品質・運用面の安心として、特殊・機能性化学品は用途実装を支える力として言葉にする |
切り替えに伴う規制対応(REACHや化審法)や安全性の裏付け情報を用意していない | SDS・規制対応・安全性資料と、切り替え時のチェックリスト |
自社サイトが今のお客様向けの内容ばかりで、新しい業界の担当者に響かない | 製品紹介中心から、用途と採用時のハードルを起点にしたサイト構成へ。荒川化学工業様の事例が参考になります |
AI検索で未知の企業が発見されるという話は聞いたことがあるが、対策は特にしていない | AI検索で候補に入った後、採用判断に必要な情報を公式サイトで確かめられるか |
出典:チェック項目は化学品メーカー BtoBマーケティング強化のヒントより
明日からできること
何から手をつけるか迷ったら、最も伸ばしたい用途を1つ決めてください。そのうえで、その用途で顧客が確認する情報を棚卸しします。物性、評価条件、規制・安全性、品質保証、供給体制のうち、足りない情報から1ページにまとめてみましょう。
1ページできれば、営業が商談で使える資料になります。同じ用途で素材を探している企業が、検索やAI経由でサイトにたどり着くきっかけにもなるはずです。
まとめ|品質を、顧客が採用判断できる情報に変える
化学品メーカーで選ばれるのは、高い性能を持つ素材メーカーだけではありません。顧客が物性・安全性・規制・品質・供給の不安を解消し、社内で評価と承認を進められる状態をつくれる会社です。
そのためにまず必要なのは、汎用品と特殊・機能性化学品で異なる競争の軸を踏まえ、用意すべき情報を決めることです。次に、今の材料に不満を持つ企業ではなく、製品・用途、生産・品質、外部環境の変化が起きた企業に向けて発信すること。そして、研究開発・品質保証・購買・経営層それぞれが判断できる情報をサイトに揃え、サイト上の行動を営業と共有して採用案件へ育てていくことです。
AI検索で見つけられる機会が増えるほど、公式サイトで確かめられる情報の差が、候補に残れるかどうかに直結します。製品の良さを語る前に、顧客が採用を判断するために何を確かめたいのかから、サイトとコンテンツを組み立てていきましょう。
- 資料のご紹介
この記事で紹介した内容は、資料「化学品メーカー BtoBマーケティング強化のヒント」にまとめています。業界の特性、マーケティング強化のポイント、検討段階別のCTA・オファー設計、化学・素材メーカー4社の事例を確認できます。
- 関連記事のご紹介
化学品メーカーのマーケティングとあわせて、AI時代の買い手の選び方や、製造業のマーケティング立ち上げ事例、展示会リードの活かし方も紹介しています。ぜひあわせてお読みください。
AI時代のBtoBマーケについてご相談ください

ferret Oneでは、市場環境の変化を踏まえたマーケティング戦略の見直しから、サービスサイトの改善、コンテンツ制作、ナーチャリング、マーケティングツールの活用まで、BtoB企業をご支援しています。
サイトや施策をどこから見直せばよいか、整理いたします。気軽にご相談ください。




























