インサイドセールスのKPI設定で商談化率アップ!目標設定と分析の方法とは
インサイドセールスとは、Web上や架電により、オンラインで行う営業活動です。受注までのプロセスをオンラインで行うことで、効率化と生産性の向上につなげる目的があります。
また、インサイドセールスは、見込み顧客となる層をいかに案件化につなげるかが大きな役割です。インサイドセールスで目標達成するには的確なKPI設定が必要なため、目的を明確にして取り組まなければいけません。
本記事では、ferret Oneのマーケティング担当者に、以下の内容についてインタビューを行いました。
- 正しいKPIの設定手順
- 設定したKPIの分析方法
- 成果が悪い場合の改善方法
インサイドセールスを行う際に重要なKPIについて、ferret Oneの事例も交えて解説しますので、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてください。
■合わせて読みたい資料:インサイドセールスを導入して受注効率を上げるには?について解説
→インサイドセールスメソッド
■合わせて活用したいシート:解説にそって記入するだけで簡単にできる!
→自社のマーケティング目標を決められるKPI設定シート
解説をするのはこの人!
元木 雄介(もとき ゆうすけ)
株式会社ベーシック マーケティング部 マネージャー
2015年CMS販売会社に新卒入社し、東京新卒年間売り上げ1位獲得。同社退職後、2017年ベーシック入社。BtoBのWebマーケティングツール「ferret One」に携わる。2017年からインサイドセールス、フィールドセールスを経験し、セールス部における10ヶ月連続の目標達成に貢献。
その後インサイドセールスのマネージャーを経て、現在はマーケティング部のマネージャーとして推進。
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インサイドセールスにおけるKPIとは
——そもそも、なぜインサイドセールスのKPI設定は重要なのでしょうか?
プロジェクトごとの成果の良し悪しを把握したり、判断したりするために必要だからです。業務の進捗状況や成果状況を把握して、改善すべき箇所を明確にできます。
——では、インサイドセールスにおいてどのような業務にKPIが設定されるのでしょうか?
主には、コール数やアポイント数、成約数などにKPIを置くのが一般的です。KPIの目標値は企業規模や売り上げ目標などで変動しますが、業務状況を把握してPDCAを円滑に回せるように、どの企業やプロジェクトでも共通の認識を持っているかと思います。
インサイドセールスで設定すべきKPI指標
——インサイドセールスで設定すべきKPIの指標には、どういったものがありますか?
弊社の場合は、インサイドセールスを経て実際の成約につながっているかを測る「メインKPI」と、成約や商談につなげるための架電業務の成果を測る「サブKPI」を設定しています。
——成約につながるかどうかは、インサイドセールスだけでなくフィールドセールスにも関わってくるかと思うのですが、どのように判断するのでしょうか?
商談につながった割合など、一部フィールドセールスと連携してKPIを設定しておきます。実際に成約につながったか判断するためにも、あらかじめフィールドセールスと連携しておくのは不可欠です。
メインKPI
——メインKPIの設定では、どのような指標を扱えばよいのでしょうか?
メインKPIの設定では「アポイント数」と「有効商談率」が指標になります。メインKPIはプロジェクトごとに必達すべきKPIです。インサイドセールスによって獲得したアポイントがきちんと成約に向かっているかを測るために設定しています。
——アポイント数だけでなく、有効商談率をメインKPIとして設定するのがポイントですね。
有効商談率は、獲得したアポイントの質を測るために設定されます。見込み顧客の確度により実際に商談できるかが変わり、最終的な成約数にも影響するからです。より確度の高い見込み顧客を獲得するためにも、常にアポイントの質を確認しておくことが重要です。
——有効商談率の進捗を判断する際には、フィールドセールスとの連携が必要になりますね。
はい。商談が有効かどうかは、フィールドセールスの定義によって異なります。どのような状態が有効化と判断されるかなど、事前に細かな情報共有をしておきましょう。
サブKPI
——サブKPIではどういった指標を設定するとよいのでしょうか?
サブKPIでは、メインKPIを達成する要因となる業務が設定されることが多く、主にはアポイント獲得までの過程が指標になります。具体的には、次のような指標を設定するのが一般的です。
- コール数:架電した数
- コネクト率:架電数に対して担当者と接続した割合
- アポイント獲得率:コネクトした数に対するアポイント獲得の割合
——サブKPIを設定する際の注意すべきポイントなどは何かありますか?
無理なKPI数値の設定をしないことです。インサイドセールスは、日々多くの方々とのコミュニケーションが発生し疲弊しやすい業務でもあるため、高い目標値にしすぎると離職につながる可能性もあります。また、無理なKPI設定により、アポイントに結びつけるはずがいつの間にかコール数ばかりを追ってしまい、コネクト率の低下や確度の低いアポイント獲得につながるリスクもあります。
——数値目標を無理に設定すると、架電することに追われてしまうんですね。
ただ架電すればいいという思考になると、メンバーのスキル向上にも悪影響を及ぼします。その結果、チームの成果が出づらくなってしまう可能性もあるので、育成面に置いても無理なKPI設定はしないようにしましょう。
インサイドセールスにおけるKPI設定の手順
——インサイドセールスのKPIはどのような手順で設定すべきなのでしょうか?
まずはメインKPIから設定します。メインKPIは「受注目標に対して必要なアポイント数を過去の受注率で逆算」して設定可能です。たとえば、月間受注目標が10件で、アポイント数に対する過去の受注率が50%の場合は以下のような計算になります。
月間受注目標10件 ÷ 過去の受注率50% = 必要なアポイント数20件
——なるほど、過去の受注率を参考にメインKPIを設定するんですね。では、サブKPIはどのような設定手順が必要でしょうか。
サブKPIは、メインKPIから逆算して必要な数値を算出します。たとえば、メインKPIのアポイント数が20件で過去のアポイント獲得率が40%であれば以下のように計算可能です。
アポイント数20件 ÷ アポイント獲得率40% =最低コール数50回
——50回全てのコールが担当者につながるわけではありませんよね?
はい。なので、コネクト率も踏まえて計算する必要があります。過去のコネクト率が60%の場合は、以下のように計算できます。
最低コール数50回 ÷ コネクト率60% =コール数KPI 83.3回
——どのKPIも、過去の数値から逆算して落とし込んでいくんですね。
設定すべきKPIの数値は、過去のデータをもとにしつつ、平均よりやや上目に設定するようにしています。先ほど、無理な目標設定はメンバーの疲弊につながるとお伝えしましたが、簡単に達成してしまえる目標もメンバーのモチベーション低下につながる可能性があります。
モチベーションが低い状態で業務を継続してしまうと、メンバーのスキルアップは期待できません。長期的な目線で見ても、高い成果を生み出せないチームになってしまうリスクもあります。
——成果を上げるためだけではなく、メンバーやプロジェクトチームの成長も考えると、目標数値をやや高めに設定する必要があるんですね。
受注目標からトップダウン式に逆算した数値のやや高めを設定することで、メンバーのモチベーション管理と高い成果の達成が可能になります。
インサイドセールスで設定するKPIの目安・平均値
——インサイドセールスを新規で立ち上げる場合は、過去の数値がありません。目安となるKPIはどのくらいでしょうか?
インサイドセールスのアポイント獲得率は、10%前後が目安と考えてよいでしょう。ただし、企業ごとの目標達成数や売上、ターゲットなどによって、目安の数値は大きく異なります。
——あくまで目安として考えるに留めておくほうがよいのですね。ちなみに、ferret Oneで設定しているインサイドセールスのKPIはどのようなものでしょうか?
弊社のインサイドセールスで設定しているKPI数値は、次の通りです。
■お問い合わせ経由で獲得したリードの場合
- コール数30〜40回
- コネクト率60%
- アポイント率40%
■ホワイトペーパー経由で獲得したリードの場合
- コール数50〜100回
- コネクト率20〜30%
- アポイント率10%
——お問い合わせとホワイトペーパーでKPIを分けているんですね。
はい。どこからリードを獲得したかによって見込み顧客の確度や温度感は変わるので、お問い合わせとホワイトペーパーの2つの導線に分けてKPIを設定しています。ホワイトペーパーとお問合せとでアポイント率に10倍以上の差が出ることもあるため、見込み顧客のアクションごとにKPIの数値を考えることは重要です。
——コール数について、お問い合わせの方がKPI数値が低いのはなぜなのでしょうか?
お問い合わせはコネクト率が高く、1件の通話時間も長くなるからです。そのためホワイトペーパーではコール数が50〜100のところ、お問い合わせでは30〜40に設定しています。
——コネクト率も、リードをどこから獲得したかによって変動させてるということですね。
そうです。お問い合わせ経由の場合、能動的に弊社とコンタクトを取ろうとしてくださる方が多いため、コネクト率も60%と高めに設定しています。
インサイドセールスでKPI指標を管理する方法
——インサイドセールスのKPIを管理するときは、どのような管理方法がおすすめでしょうか?
SalesforceとGoogleスプレッドシートの両方を使うのがおすすめです。ferret OneではメインKPIをSalesforceで管理して、細かな数値管理にGoogleスプレッドシートを活用しています。
——なぜSalesforceとGoogleスプレッドシートの両方がおすすめなのでしょうか?
Salesforceは、活動の記録やフィールドセールスとインサイドセールスの横断した顧客管理を行える点がポイントです。Salesforceで出せない数値などがある場合に、Googleスプレッドシートを活用して管理します。
——Salesforceをメインで使いつつ、Googleスプレッドシートで補完しているのですね。割り出したKPIの数値はどのくらいの頻度で管理すればいいのでしょうか?
弊社では、KPIの数値を週次と月次で管理するようにしています。具体的には、週に1回メンバーとの1on1ミーティングを設けて数値の現在の状況をヒアリングすることで、進捗状況や課題の把握に役立てています。
▼Salesforceの具体的な設計については、下記で弊社事例をご紹介しています
ferret OneのSalesforceダッシュボード公開!活用の鍵はマーケへのフィードバック?
インサイドセールスのKPI設定後の分析方法
——KPI数値を設定して管理まで行ったあとは、どのように分析すればよいでしょうか?
まず、メンバーごとにメインKPIを達成できているかどうかを確認してください。メインKPIを達成できている人の傾向と、達成できていない人の傾向をモニタリングして、サブKPIの数値の違いを分析します。分析するサブKPIは、主に次の通りです。
- コネクト率
- アポイント獲得率
- 有効商談率
——それぞれの傾向を見ることで、KPIが達成できなかった原因を探るんですね。
そうです。特に架電する際の時間帯やトーク内容の問題がKPI未達の主な原因になるため、モニタリングの際は注視しています。
——メインKPIとサブKPIの両方を達成するためにも、モニタリングが必要なんですね。
弊社では、メインKPIを達成できていれば、必ずしもサブKPIも達成していなければいけないというわけではありません。もちろん、目標未達の場合には原因を分析して徹底的に見直すようにしています。ただ、あくまでも第一に考えているのはメインKPIの達成なので、サブKPIはメインKPI未達の際に分析するようにして、PDCAを回しています。
インサイドセールスKPIの成果が悪いときの主な原因と改善方法
コネクト率が悪いときの主な原因と改善点
——メインKPIの成果が悪いときの主な原因として、具体的にどのようなものがあるのでしょうか?
メインKPI未達の原因の多くは、コネクト率の低さやトーク力にあります。架電した際にどこで見込み顧客が離脱しているかを明確にするために、アポイントにならなかった原因を主に次の6つに分けて分析しています。
- 忙しいと言われた
- 警戒心を解けなかった
- メリットを提示できなかった
- ニーズが合わなかった
- 継続的なアプローチが必要
- 現在は検討していない
——6つの原因に対して、改善方法はあるのでしょうか?
「忙しいと言われた」「警戒心を解けなかった」場合は、担当する業界ごとにコネクトしやすい時間帯のマトリクスを構築することや、受付経由で先方の担当者の方が戻ってくる時間をヒアリングするなどの施策が必要になります。「メリットの提示」は個人に合わせたトークの強化が必要です。
——「ニーズが合わなかった」場合や「継続的なアプローチが必要」な場合は改善が難しそうに思うのですが、どのような改善方法があるのでしょうか?
そもそもの見込み顧客を獲得する経路の見直しや、コールした際のトークスクリプトの強化が効果的です。特に獲得経路の見直しは根本的な改善が必要なため、一朝一夕にはできませんが、確度の高いアポイントを獲得するためには必須な改善方法といえます。
——インサイドセールスのKPI改善といっても、各業務や離脱段階の状況から改善方法は多岐に渡るんですね。
そうですね。KPIの成果が悪い場合の改善徹底は、細かく管理できていないケースも多いため、1on1ミーティングなどでメンバーと進捗状況をこまめに確認し共有し合うのも大切です。
有効商談率が悪いときの主な原因と改善点
——では、有効商談率が悪いときの原因はどういったことが考えられますか?
有効商談率が低い場合、ヒアリングが足りていないと考えられます。獲得したアポイントの条件が整っていない可能性もあるため、なぜ商談が有効化しなかったのか、フィールドセールスからフィードバックをもらうようにしてください。
——具体的にフィードバックや連携にはどういったことをするとよいのでしょうか?
まずはBANTのフィードバックを行うのが効果的です。BANTとは、以下4つのヒアリング項目のことを指します。
- Badget(バジェット):予算の有無
- Authority(オーソリティ):決裁権の有無
- Needs(ニーズ):必要としているかどうか
- Timeframe(タイムフレーム):購入や導入の時期が決まっているかどうか
BANTでフィールドセールスと見込み顧客の情報を共有するのが、有効商談率向上には重要です。情報共有の期間は1週間ごとや隔週くらいで振り返り、ミーティングを行って徹底的にフィードバックするのがおすすめです。
効果的なKPIの設定・運用のポイント
——KPIを効果的に設定するポイントは、どのようなものがありますか?
KPI設定では、目標をやや高めにしておくことです。過去の受注率やアポイント獲得率から、頑張らないと達成できない程度に設定すると、メンバーのモチベーションやスキルアップも期待できます。
——では、KPIの運用ポイントはいかがでしょうか?
KPI運用の場合は、各KPIの課題ごとに改善策を1on1ミーティングで振り返りを行うのがポイントです。1on1ミーティングを週次と月次でそれぞれ実施することで、課題への取り組み状況の共有を円滑にする狙いがあります。
——ありがとうございます。他にも受注数を増やすために押さえておくべきことはありますか?
受注数を増やすには、フィールドセールスとの連携も重要です。確度が高いアポイントかどうかの質を判断するために、BANTを中心としたフィールドセールスからのフィードバックを、積極的にもらうようにしてください。
——やはり効果的なKPI設定と運用だけではなく、フィールドセールスとの密な連携が成約数や受注数を増やすポイントなんですね。本日はありがとうございました!
まとめ:効果的なKPI設定でインサイドセールスの成果を向上させよう
インサイドセールスのKPIには、アポイント数や有効商談率を軸とする「メインKPI」とコネクト数やアポイント獲得率を軸とする「サブKPI」があります。
KPIの成果が悪い場合の多くは、担当者に対する理解度の低さやトーク力不足が原因です。まずは、個人ごとに1on1を週次で設定して進捗状況や課題点の洗い出しなどを行い、達成できているメンバーとの差異を見つけるようにしましょう。
また、フィールドセールスとの連携も密にし、アポイントの質にも着目して商談有効率も向上できるよう現状を分析してみてください。
まずは、自社のマーケティングのKPIを設定してみましょう!
簡単に設定できるテンプレートをご用意しました。ぜひ記事と合わせてご活用ください
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