【弊社営業に聞く】インサイドセールス向けトークスクリプト作成方法
インサイドセールスとは、成約や購入につながる商談を創出する部隊のことです。ferretにおいては、リードナーチャリングの一環と定義しています。また、トークスクリプトとは限られた担当者だけでなく、チーム全員が一定のパフォーマンスを出せるようにするための台本の役割も果たします。
インサイドセールスのトークスクリプトは、インサイドセールスを行うにあたって必要不可欠と言えるでしょう。
そこで今回は、ferretの担当者に、インサイドセールス向けのトークスクリプト作成方法についてインタビューを行いました。弊社の事例を交えながら解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
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→ferretのノウハウを詰め込んだ「インサイドセールスメソッド」
解説をするのはこの人!
元木 雄介(もとき ゆうすけ)
株式会社ベーシック マーケティング部 インサイドセールスグループ マネージャー
2015年CMS販売会社に新卒入社し、東京新卒年間売り上げ1位獲得。同社退職後、2017年ベーシック入社。BtoBのWebマーケティングツール「ferret One」に携わる。2017年からインサイドセールス、フィールドセールスを経験し、セールス部における10ヶ月連続の目標達成に貢献。現在は、インサイドセールスグループおよびマーケティンググループのマネージャーを兼務。
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テレアポとはどう違うの?
——そもそも、インサイドセールスとテレアポとの違いはどこにあるのでしょうか?
どちらも目的は、商談の創出にあります。
テレアポは、とにかくリストに電話をかけて、アポイントを取ることを優先して動きます。インサイドセールスは基本的に、オウンドメディアなどを経由して自発的に資料ダウンロードなどのアクションをした見込み顧客に対して、アプローチするものです。成約につながる可能性の高いお客様をフィールドセールスに渡すために、橋渡し役を担います。
——テレアポは、アポイントを取ることがゴールなんですね。
はい。一方でインサイドセールスの場合、テレアポとは違い、お断りされたお客様に対しても適切なコンテンツの案内を行います。お客様の態度変容を起こすためのナーチャリングも、インサイドセールスの役割のひとつです。
——テレアポのトークスクリプトとの違いを教えてください
着地ポイントが違います。テレアポは、電話をかけた相手とアポイントを約束するための構成になっています。インサイドセールスは、アポイントではなく、お客様ごとにあった適切なコミュニケーションを想定した構成になっています。
なぜトークスクリプトが必要なのか?
——トークスクリプトは必ずつくった方がよいのでしょうか?
はい。絶対に作った方がよいです。属人化せず、チーム全員が一定のパフォーマンスを出せるという大きなメリットがあります。主に新卒の社員を指導する場合、トークスクリプトがあるのとないのとでは大きな差が出ます。
——ferret Oneでも、トークスクリプトを活用していますよね。
弊社でも、トークスクリプトを活用することで、営業スキルのないインターン生や新卒社員が初日からアポイント獲得などの成果が出せた事例があります。こういった成果は、トークスクリプトがなければ難しいはずです。
——トークスクリプトをつくらないと、どのようなデメリットがありますか。
やはりインサイドセールス経験の浅いメンバーが、アポイントを獲得できるケースが大幅に減るでしょう。インサイドセールスで成果を出すためには、大枠の構成があります。営業スキルのないメンバーが初めてチャレンジすると、この構成を無視して進めてしまうため、アポイントに繋がりにくくなるのです。本来アポイントに繋げるべき段階のお客さまに対して、機会損失が生まれてしまいます。
トークスクリプトに必要な要素①受付突破
——トークスクリプトには大枠の構成が必要なんですね。各構成と、必要な理由をそれぞれ教えてください。
はい。まずは「受付突破」です。こちらは、コンバージョンの種類によって受付トークを変えないと、受付突破率が下がるために必要とされます。
——たしかに、コンバージョンが資料のダウンロードだったとしても、ダウンロードした資料の内容によって、想定される課題が違いますよね。
はい。例えば、リード獲得に関するホワイトペーパーをダウンロードしたお客さまは、「うまくリード獲得をするための良い方法」を探しています。
——その場合は「リード獲得」に合わせたトークスクリプトになるわけですね。
そうです。トーク例としては、「いろいろマーケティング施策をやってる中で、なかなかリードが増えないという課題をお持ちのお客さまが多く……。そのあたりの課題があれば、弊社でお役に立てそうなセミナーのご案内やご提案ができそうかなと思い連絡させていただいたんですけれども。」
——たしかに「リード獲得」に合った、トーク内容ですね。
他にも、例えばgoogleアナリティクスや解析系のホワイトペーパーをダウンロードしたお客さまは、そもそもサイトの現状の良し悪しが判断できず、「サイトの改善施策」を探しています。
——こちらも、その課題に合わせた内容にすると。
はい、そうです。トーク例としては、「こちらの資料をダウンロードをいただく方は、アクセス数があっても問い合わせに繋がりづらいという課題を抱えていらっしゃる方が多かったので、ご状況次第では追加情報やセミナーなどのご案内もできそうだったのでご連絡させていただいたんですが……。」
——なるほど。最終的な着地は似ていますが、お客さまに合わせてニュアンスを変えることが大切なんですね。
トークスクリプトに必要な要素②現状と課題のヒアリング
——お客様が話を聞く体制になってくださったあとは、どのようなトークをするのでしょうか?
次に必要なのは、「現状と課題のヒアリング」です。
SPIN話法というコミュニケーションのフレームワークがあり、それに沿ってトークを進めます。SPIN話法とは、4種類の質問をすることで、相手が抱えている課題を解決したときの効果に気づきやすくなるよう導く話法です。4種類の質問は、状況質問(SituationQuestions)・問題質問(PloblemQuestions)・示唆質問(ImplicationQuestions)・解決質問(Need-payoffQuestions)で構成されています。
——「S:状況質問」とは、どんな質問になりますか?
状況質問は、相手の現状を理解する質問ですね。例えば「御社のWebマーケティングの状況をお伺いできますか?」などです。
——現状を理解した後は、「P:問題質問」なんですね。
そうです。現状を踏まえた上で、顧客の抱える問題や不満などを知るために質問します。例えば「御社が目指す理想の状態に対して、今課題になっていることはなんですか?」のような質問です。
——なるほど。現状と課題が見えてきました。その後は「I:示唆質問」ですね。
示唆質問とは、顧客が抱える問題が引き起こす結果や影響についての質問です。例えば「その課題を解決せずに目標達成はできますか? 解決しない場合どんな影響がでますか?」などですね。
ここまでくると、SPINの最後の要素は、次の構成に入ります。
トークスクリプトに必要な要素③課題にあったソリューションの提案
——そこまで見えてくると、SPINの最後の「N:解決質問」。
はい。解決質問は、顧客に提案した商品の有効性や価値を認めてもらう質問のことです。例えば「弊社サービスであれば、御社の課題を解決できそうですが、どう思いますか?」のような質問です。
このとき、②でヒアリング・示唆したお客様の状況と、自社のソリューションの強みを絡めて提案することがポイントです。
トークスクリプトに必要な要素④日程調整
——ヒアリングと提案が終わりましたが、トークスクリプトの次の要素はなんでしょうか。
次の要素が最後で、「日程調整」です。
——日程調整も、トークスクリプトの構成において重要なのですね。 ヒアリングや提案がしっかりできていれば、あとは日程を合わせるだけなので、スクリプトはそれほど重要ではないかと思っていました。
日程調整をうまくやるだけで、アポイントの数がかなり変わってくるんです。質問の仕方で、結果に大きな違いがでます。
——ちなみに、どのような日程調整だと「よくない」のでしょうか。
よくない例としては「お打ち合わせさせていただくとするといつがいいですか?」など、お客様にアポイントの日程を委ねることです。
営業経験の浅いメンバーの場合、「お客様の空いている時間に合わせたほうがよいのでは……?」と考え、つい先方に日程を委ねてしまいがちです。しかし実際は、自由に答えられる質問より、回答範囲を狭くした質問の方が返答を得やすくなります。
——たしかに、自分に置き換えてみると「いつでもいい」と言われると困ってしまうかもしれません。
よい例は、「来週の月曜日と水曜日であれば、どちらがよろしいでしょうか?」「午前と午後だと、どちらの方がご都合よろしいですか?」など、日時を絞ってこちらから提示することです。
——なるほど。細かな点ですが、意識するだけでかなり違いますね。
トークスクリプトの作成方法
——トークスクリプトを作成する前にやっておくべき準備があれば、教えてください。
まずは、トップセールスのトークを文字起こししてみましょう。
——やはりトップセールスのトークは参考になるんですね。
実際にインサイドのトップセールスの取り組みを型化していくと、大きな成果が出やすくなります。インサイド立ち上げ時の場合、現場で一番営業力がある人を参考にするとよいと思います。
——その後は、どのような手順でトークスクリプトをつくるとよいのでしょうか。
文字起こししたものを4つの構成に分けます。「受付突破」「お客様の現状と課題のヒアリング・課題にあったソリューションの提案」「日程調整」です。
——スクリプトをつくるにあたって、お客様によって話す内容が違いますよね。そこはどのように対応するんですか?
お客様の課題によってトークが分岐するので、想定されるパターンごとに分岐したトークスクリプトを作成します。
——やはりさまざまなパターンのスクリプトを考えなければならないんですね。
4つの構成全てにおいて考える必要があります。新たなパターンが増えるごとに、随時パターンを追加することも大切です。
——実際に、手直しすることも多いのでしょうか。
よくあります。以前、お客様に対して一方通行になってしまうトークスクリプトをつくってしまったことがあって。原因はトークスクリプトが長すぎることだったんです。
——なるほど。トークスクリプトがあればいいというわけではないんですね。
あまりにもトークスクリプトが長いと、一方的になりやすく、不快感を与える可能性もあります。とくに新卒メンバーのように慣れていない場合は、台本のように息つぎなしでひたすら読み上げるような形になってしまいます。
——その状態だと、コミュニケーションは難しいですね。
トークスクリプトを短めに、シンプルに改善したところ、お客様と話せる時間が伸びましたね。
——他に、トークスクリプトの改善事例があれば教えてください。
以前、Googleドキュメントで縦長に作っていたトークスクリプトを、Googleスプレッドシートに作り変えたことがあります。
——ドキュメントをスプレッドシートに……? どのような意味があったのでしょうか。
ドキュメントだと、縦長なので必要なページを飛ばし飛ばしで見ていかなくてはならず、メンバーにあまり使ってもらえなかったんです。そこで、スプレッドシートに変更して、会話の分岐をフローチャートで表現しました。その結果、スクリプトが使いやすくなり、日々活用しながらトークしてくれるケースが増えました。
——トークスクリプトは内容だけではなく、使いやすくするための改善も必要なんですね。
都度お客様にあわせた対応が必要になるため、使いやすさは重要ですね。
ここまでお話しした内容を踏まえて、実際に作成した弊社のトークスクリプト例がこちらです。
受付挨拶
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弊社は、〇〇と言う会社になります。△△の資料をダウンロードいただきましてありがとうございました。 その件で、今お電話よろしいでしょうか。 |
担当者突破(ホワイトペーパーダウンロードの場合) |
△△の資料をダウンロードをいただく方は、「サイトを運営しているけれど、なかなか流入が増えない」といった課題をお持ちの方が多くいらっしゃいます。 そのため、ご状況次第ではお役立ちできそうな追加資料のご紹介やご提案もできるかと思い、ご連絡させていただきました。 よろしければ、今回ダウンロードされたきっかけをお伺いできますでしょうか? |
→相手が課題をあまり話してくれない場合 |
サイト運営されている方のお悩みは、大きく2つに分かれるかと思います。 「〇〇〇〇」というケースか、「◇◇◇◇」ケースのどちらかに分かれることが多いのですが、御社の場合どちらに当てはまりそうでしょうか? |
現状と課題のヒアリング・提案(SPIN) |
S:「御社のWebマーケティング状況をお伺いできますか?」 P:「御社が目指す理想の状態に対して今課題になっていることは何ですか?」 I:「その課題を解決せず目標達成はできますか? 解決しない場合どんな影響がでますか?」 N:「弊社サービスであれば、御社の課題を解決できそうなのですがどう思いますか?」 |
日程調整 |
「来週の月曜日と水曜日であれば、どちらがよろしいでしょうか?」 「午前と午後だと、どちらの方がご都合よろしいですか?」 |
4つの構成と、想定される分岐パターンをフローチャート化しています。
トークスクリプト作成後の活用ポイント
——トークスクリプト作成後はどう活用していけばいいのでしょうか?
ferret Oneでは、レベル別チェックシートというシートを使ってロープレを行っています。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
→インサイドセールスの効果的なロープレ手法とは?ferret Oneでの実施内容を公開!
また、1on1でその日話したお客様との会話内容を確認することで、トークスクリプト通りのストーリーで話せているかどうかチェックし、話せていない場合はロープレで修正しています。
——トークスクリプトをより効果的に活用するポイントはありますか?
まずは、スクリプト通りのトーク展開ができるようになってもらうことが一番大事です。そのうえで、間のあけ方や、トークスピードについて突き詰めていくとうまく話せるようになります。
——練習あるのみですね。
つくって終わりではなくて、それがきちんとできてるか、レベル別チェックシートでのチェックは欠かせません。実践でチェックしながら、できてなければアドバイスし修正していく。その繰り返しですね。
——なるほど! 本日は貴重なお話をありがとうございました。
▼インサイドセールス立ち上げ時、失敗しないためのポイントは7つあります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
→インサイドセールス立ち上げ、失敗しないための7つのポイント
弊社「ferret」はBtoBマーケティングを総合的にサポート。マーケティングツールやコンサル・代行支援など、幅広いサービスの中から貴社に最適な解決策を柔軟にご提案します。
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