CVRの平均はどれぐらい? 業界別・経路別に平均値と傾向を解説
CVR(コンバージョン率)は、広告やWebサイトがどれほど目的を果たしているかを知るうえで重要な数値です。その平均値がわかれば、自社のCVRの状況把握や目標値設定に役立ちます。
この記事ではCVRの平均値や低くなる要因を解説し、CVR向上につながるよう改善策や役立つツールを紹介します。
■あわせてよく読まれている資料:Webサイトのセルフチェックに効果的!
→BtoBサイトのCVRを改善する15のチェックリスト
目次[非表示]
業界別:CVRの平均値と傾向
業界別にCVRの平均値と傾向をお伝えします。CVRは商材の単価や顧客の購買行動によっても異なりますので、業界特性と合わせて確認しておくことが重要です。
BtoB:CVRの平均値と傾向
WordStream社の調査によると、BtoBの検索広告・ディスプレイ広告のそれぞれでCVRの平均値は検索広告が2.41%、ディスプレイ広告が0.46%と低い傾向があります。
参照:Google Ads Benchmarks for YOUR Industry [Updated!]
ECサイト:CVRの平均値と傾向
業界の中でもコンバージョンのハードルの高い「ECサイト」の平均CVRは、WordStream社の調査では検索広告で2.81%、ディスプレイ広告で0.59%です。Adobeの「Digital Index Consumer Electronics Report 2020」の調査結果によるとCVR平均は3%でした。ECサイトの平均値は他の業界と比べると低い数値です。
大手ECサイトのAmazonは違った特徴がみられます。Raymond James社の調査結果によると、消費者の約半数がAmazonで最初に商品検索を行っています。また、Millward Brown Digital社の調査では、Amazon非会員で13%、プライム会員で74%と、高いCVRを誇っています。
参照:Amazon’s Conversion Rates - Make Their Results Your Own
※参考:その他業界のCVRの平均値と傾向
WordStream社の調査から様々な業界のCVRを見てみましょう。検索広告・ディスプレイ広告のそれぞれでCVRの平均値が高い業界は以下のようになっています。
検索広告からのCVR
- 「デート・出会い」9.64%
- 「法律」6.98%
- 「消費者サービス」6.64%
ディスプレイ広告からのCVR
- 「デート・出会い」3.34%
- 「法律」1.84%
- 「雇用サービス」1.57%
検索広告、ディスプレイ広告ともに「デート・出会い」は他の業界と比べて数値の高さが際立っています。
参照:Google Ads Benchmarks for YOUR Industry [Updated!]
業界別に見た時に特徴が顕著に現れるのは、検索からのCVRです。検索広告の業界別CVRは2021年に最新のデータが報告されています。
- 「動物とペット」19.19%
- 「医師と外科医」19.15%
- 「自動車の修理、サービス、部品」15.23%
以上が上位を占めています。緊急性の高いもの、コンバージョンのハードルが低いものはCVRが高い傾向があります。
「家具」は3.25%、「アパレル/ファッションおよびジュエリー」は3.6%、「不動産」は3.93%となっており、購入までに何度も悩むような高価なものや、緊急性の低いものは、CVRが低くなります。トップとの差は約16%もあります。
参照:2021 Paid Search Advertising Benchmarks for Every Industry
■あわせてよく読まれている資料:Webサイトのセルフチェックに効果的!
→BtoBサイトのCVRを改善する15のチェックリスト
経路別:CVRの平均値と傾向
経路別にCVRの平均値と傾向をお伝えします。各施策の目標値設定の参考にしてみてください。
検索広告:CVRの平均値と傾向
広告最適化ツールを提供するWordStream社が、2017年8月〜2018年1月に調査したデータによると、「検索広告」からのCVR平均は3.75%で、「ディスプレイ広告」からのCVRは0.77%です。ニーズが明確で、ユーザーの成約に対する意欲の高い検索広告の方がCVRは高くなります。
検索広告の中でも、企業名やサービス名といった指名キーワードで検索したユーザーはコンバージョンにつながりやすく、CVRも上がります。
参照:Google Ads Benchmarks for YOUR Industry [Updated!]
動画広告:CVRの平均値と傾向
YouTube広告のような「動画広告」はCVRが高い傾向があります。WordStreamの調査「Google Mobile Benchmarks」では、GoogleディスプレイネットワークとYouTube広告に配信した結果、CVRはディスプレイ広告が0.56%、YouTube広告が2.06%でした。
静止画よりも動画の方がユーザーの印象に残りやすく、コンバージョンにつながります。
参照:Google Mobile Benchmarks – by Ad Type! [DATA]
DM:CVRの平均値と傾向
「DM」の効果測定の目安となる数値は反応率です。DMを開封し、サービスの利用・問い合わせ・資料請求・インターネットでの検索などの行動をとった割合を数値化したものです。
一般社団法人 日本ダイレクトメール協会の「DMメディア実態調査2022」によると、自分宛DMの行動喚起率は19.3%と高いCVRとなっています。
参照:
「DMメディア実態調査 2022」報告|(一社)日本ダイレクトメール協会
平均値をどう捉える?CVRの特徴
CVRの平均値は、自社の広告やWebサイトの効果を知るための目安として捉えましょう。
例えば、業界の平均が5%で自社の広告やWebサイトのCVRが3%の場合、業界の平均を超えていなくても、コンバージョンポイントが成約であれば、CVRとしては高いこともあります。
業界や商材、検索からかディスプレイ広告からか、何をコンバージョンとしているかなど、さまざまな要因でCVRは変わります。
下記は、BtoBのランディングページにおける、コンバージョン種別ごとのCVRの目安をまとめたものです。
コンバージョン種別 |
コンバージョン率(CVR)目安 |
ホワイトペーパーダウンロード |
5.0〜8.0% |
サービス資料請求 |
1.0%〜2.0% |
問い合わせ |
0.5%〜1.0% |
※ferret Oneで提供する「BtoBグロースステップ」一部抜粋
CVRの平均値をそのまま捉えるのではなく、自社の広告やWebサイトと似ているものと比較し、全体のどのあたりなのかを判断するのがポイントです。
■あわせてよく読まれている資料:Webサイトのセルフチェックに効果的!
→BtoBサイトのCVRを改善する15のチェックリスト
CVRが低くなってしまう理由とは?
ユーザーに寄り添っていない広告・WebサイトはCVRが低くなってしまいます。構造と内容がユーザーに寄り添えていない点が問題です。特に以下のような状況は離脱を招きやすいので注意しましょう。
- 欲しい情報がどこにあるかわからない
- 契約までの手続きが複雑
- 企業が伝えたい情報しかない
- 表現を大袈裟にしすぎてずれが起きる
- ターゲット・ペルソナ設定が不十分 など
また、環境・市場・季節の変化もCVRに大きく関係し、気を配る必要があります。
例えば、法人向けの保険を扱う企業が契約をコンバージョンにしている場合、新入社員が入社する春の時期にはコンバージョンにつながりやすくCVRは高くなりますが、他の時期はCVRが上がりづらくなります。
似た商品を扱う競合他社のキャンペーンや、新しい企業の参入によるユーザーの分散も、CVRを下げる原因です。CVRを下げている原因を知り、対策することが急務です。
では、CVRを改善するためにはどのような施策が有効なのでしょうか。次章で主な改善策を6つ選定しましたので、ぜひ試してみてください。
平均よりもCVRを上げるためには?6つの改善策
平均値よりもCVRを向上させるために重要なことは、どのようなことなのでしょうか。改善策をお伝えします。
- ターゲットの明確化
- 訪問者のニーズに合ったコンテンツのCVポイントへの変更
- LPO(ランディングページ最適化)
- EFO(エントリーフォーム最適化)
- Webサイトのページ構造の改善
- ユーザーの導線を見直す(CTAの改善)
▼より詳しく解説した記事もありますので、ぜひご覧ください!
→CVR改善の打ち手を解説!マーケティング施策の見直しに。サイト・LP・広告・フォームなど
ターゲットの明確化
多くの人に広く届けるのではなく、Webサイトや広告を届けるターゲットを明確にしましょう。
高性能で専門的知識を要するようなサーバー契約を、知識があまりないWeb担当者をターゲットにアピールしてもコンバージョンにはつながりません。有料の解析ツールの契約をコンバージョンにしているのに、設定キーワードを「無料 解析ツール」にしても、ユーザーに需要がないので、CVRは向上しづらいでしょう。
CVRを上げるためには、達成したいコンバージョンのターゲット設定をしっかり行い、適切なキーワードを選択することが重要です。
顕在顧客に的を絞ることでもCVRは上がります。顕在顧客はサービスに関心があり、自発的に検索行動を行っている需要の高いユーザーなので、自然とコンバージョンへつながります。
ただし、きっかけ次第では顕在顧客になる可能性がある潜在顧客も多くいるため、絞りすぎには注意が必要です。
▼BtoBのターゲット設定方法を解説した記事もありますので、見直し時にはぜひご活用ください。
→ターゲットユーザーとは?BtoBでの設定方法
訪問者のニーズに合ったコンテンツのCVポイントへの変更
コンバージョンポイントをハードルの高いものから、低いものへと変更するとCVRが上がります。
問い合わせをするのは躊躇してしまう場合でも、無料のセミナー申し込みや資料請求は気軽に行動を起こせます。
ハードルの低いコンバージョンポイントを設定して、まずはサービスを知ってもらうことから始めましょう。段階を踏むことで最終的に成約につながります。
他にも「セミナー申込者には当日の資料をプレゼント」など、付加価値となる特典をつけることも効果的です。
▼コンバージョンポイントの工夫については、下記の記事で紹介しています。
→【担当者解説】オウンドメディアのコンバージョン率改善方法を共有します
また、CV先となるセミナーやお役立ち資料が凡庸なものになっていないかも確認しておきましょう。
そもそもここでなくても手に入るオリジナル感のないサービスや商品は、そのままではユーザーの関心を惹きつけられず、CVRも上がりません。ここでしかできないサービス・他には真似できない価格設定など、唯一無二のものを提供することでコンバージョンへとつながります。
▼コンテンツ作成の実践的な手法が知りたい方は、下記の資料を参考にしてみてください。
→コンテンツマーケティングを始める前に知っておきたい!BtoB向け・9つのコンテンツ手法
LPO(ランディングページ最適化)
ランディングページを、短い時間でユーザーの関心を惹きつけるようなページに改善することで、CVR向上が狙えます。
ランディングページが魅力的でなければ、ユーザーの約半数は離脱します。画像やキャッチコピーを変えてサービスを上手くアピールしたり、求められている必要な情報をしっかりと入れ不安を解消すると、ユーザーからの信頼が得られて印象が良くなります。
導入されたお客さまの声を掲載したり、「業界支持率98.2%」のように具体的な数字で示すのも、信頼を得る手段として有効です。
また、広告文やバナーなどの、「ランディングする前のページ」に記載している内容と、相違がないようにするのもポイントです。
わかりやすく、魅力の伝わるランディングページを目指しましょう。
▼BtoBのランディングページ改善については、下記の記事で詳しく解説しています
→LPOとは?手順や問題点の見つけ方・対策を事例もふまえて解説
▼広告のランディングページ改善については、こちらの資料で詳しく解説しています。
→広告運用の重要なカギ!?ランディングページ改善ガイド
EFO(エントリーフォーム最適化)
入力しやすいフォームを用意しておくことは、CVR向上に欠かせません。
入力内容が多岐にわたるお問合せフォームは、企業にとってはユーザーの情報が多く手に入り有益ではありますが、ユーザーにとっては手間となってしまい、途中で離脱しかねません。
特にスマートフォンからでは入力内容の多いフォームは見づらくなります。自社に必要な情報を選択しましょう。
郵便番号を入れたら自動で住所が入力される、エラー部分をフォーム送信前に知らせるなどの対策で、ユーザーの手間を減らすことも効果があります。
▼お問合せフォームについては、下記の記事で紹介しています。
→EFOでよくある7つの疑問 BtoBの入力フォームを最適化し離脱を防ぐには?
Webサイトのページ構造の改善
ユーザーがスムーズにコンバージョンの行動を起こせるようなページ構造が、CVR向上につながります。
わかりにくかったり、手間がかかるようなWebサイトは、ユーザーが離れる原因になります。Webサイトの構造をユーザーの目線で見直すことが必要です。
BtoBのWebサイトには、CVをしてもらうために必要なページがありますから、それが揃っているか確認し、ないものは補充するようにしましょう。
▼必要なページについては、こちらで詳しく解説しています。
→BtoBのWebサイト構成の考え方とは?制作時に必要なページ一覧
ユーザーの導線を見直す(CTAの改善)
ユーザーがコンバージョンに至るまでの導線に問題がないかを見直しましょう。
唐突に「おすすめです」と紹介されても、ユーザーは困惑します。商品やサービスのさまざまな情報を得ることでコンバージョンにいたるので、ユーザーの求める情報を網羅することが必要です。
Webサイト制作ツールであれば「3ヶ月かかるWebサイト制作がたった1日でできる」「制作から運用までサポートするので人件費を20%カット」のように、具体的な数字を示すなど、商品やサービスにより得られる利益をしっかり伝えます。
悩みが解決できると認識できるよう、ユーザーの気持ちに寄り添った導線を意識することが重要です。
また、「資料請求はこちら」といったようなCTAボタンがわかりやすいか確認しましょう。ボタンの複数設置、見やすい中央への配置、大きさや色の変更など、ユーザーの使いやすさを基準に変更します。
導線の問題点はツールを使って探れます。ユーザがどこのページから離れてしまうのか、どこでクリックするのかなど、ユーザーの行動から問題点を知り、改善に役立てましょう。
→PVを増やさずにCVを増やす秘策!BtoBサイトのCTA設計の重要施策まとめ
平均以上にCVRをアップさせるために役立つツールとは?
ここでは、CVRの改善に役立つツールを紹介します。
- Google Analytics(アクセス解析ツール)
- ヒートマップツール
- チャットボット導入
Google Analytics(アクセス解析ツール)
Google Analyticsは無料で使えるアクセス解析ツールで、Webサイト運用では必要不可欠なツールです。
閲覧ユーザーのデータやサイト内の行動を把握できます。
具体的には、性別・年齢層・デバイス・滞在時間・閲覧ページ・コンバージョン数といった解析データを見られます。CVRの数値もGoogle Analyticsで管理できます。
解析データによりターゲット層に興味を持ってもらえているか、興味があったのはどこか、離脱したのはどこかを確認でき、改善箇所を発見できます。
ヒートマップツール
ヒートマップツールは、ユーザーのクリックやマウスの動きを色や色の濃さで表すことで、ユーザーの行動がひと目でわかるツールです。
ユーザーの関心の高い場所は赤、関心が低くなるにつれ青で表示されます。
興味を持った場所、離脱した場所、クリックした場所、スクロールされた範囲などが把握可能です。
興味を持った場所はさらに情報を詳しくしたり、ページの上部に持ってくるなどコンテンツ内容の改善に繋げたり、効果的なCTAボタンの場所を探るのにも役立ちます。
Google Analyticsと似たツールですが、Google Analyticsは数値で解析するのに対し、ヒートマップはユーザーの情報を視覚的に把握するので、初心者におすすめです。
▼ヒートマップツールについては下記の記事もぜひ参考にしてみてください。
>ヒートマップ分析は必要?Webサイト運営における活用方法とおすすめツール
チャットボット導入
チャットポットはユーザーからの問い合わせに、テキストや音声を使ってチャット形式で自動的に返答を行うツールです。
24時間365日対応可能なので、その場ですぐにユーザーへの返答ができ、顧客を取りこぼす可能性が低くなります。
ユーザーは選択肢から選んだり、テキストを入力するだけで知りたい情報を得られるので、お問合せフォームよりも気軽に利用できます。
企業側もユーザーの関心が高いうちにアプローチが可能です。
ユーザーのサービスに関する知識を増やし、成約に対する意欲を高めることで、無理なくコンバージョンへと誘導できCVRも上がります。
▼チャットボットについては下記の記事もぜひ参考にしてみてください。
>チャットボット導入のメリットは?BtoBマーケティングでの活用事例
平均を知り、CVRの目標設定に役立てよう
CVRの平均値は業者や商材、流入経路、何をコンバージョンとするかなど、さまざまな要因に左右されます。CVRが高いか低いかを知るには、自社と似た広告やWebサイトと比較して目標設定しましょう。自社業界を取り巻く環境を理解し、ターゲットを明確にすることが重要です。
ツールを上手く活用しながら改善策に取り組み、ユーザの目線に立った広告・Webサイト作りを心がけてください。CVRを上げて売り上げアップに繋げましょう。
また、WebサイトのCVRを改善据えるためのセルフチェックができるリストを配布しています。早速診断に活用ください!
→BtoBサイトのCVRを改善する15のチェックリスト
弊社「ferret」はBtoBマーケティングを総合的にサポート。マーケティングツールやコンサル・代行支援など、幅広いサービスの中から貴社に最適な解決策を柔軟にご提案します。
CMSやMAなどのツール、戦略設計、Webサイト制作、コンテンツ制作など、マーケティングにお困りごとがある方はぜひ資料をご覧ください。
>ferretサービス紹介資料のダウンロード【無料】はこちら