顧客分析とは?フレームワークとテンプレートを活用した分析方法
顧客分析とは、見込み顧客の購買行動や顧客属性を過去の履歴などから分析することです。
事業戦略やマーケティング施策を考えるうえで重要な情報を抽出するのに欠かせない業務です。しかし、顧客分析の目的や方法が理解できないまま分析を行うと、成果を出すのが難しくなってしまいます。
そこで、本記事では誰でも簡単にできるように、フレームワークとテンプレートを活用した顧客分析の方法をご紹介します。
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目次[非表示]
顧客分析とは?
顧客分析とは、見込み顧客の購買行動や顧客属性を過去の履歴などから分析することです。
顧客分析を行えば顧客のインサイトを理解できるようになり、成約までの購買行動に応じた最適なマーケティング施策が可能になります。
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商談につながる顧客を見つけるための顧客データ分析の方法を解説した記事もございます。こちらもあわせてご覧ください。
関連記事:BtoBにおける顧客データ分析とは?商談につながる顧客を見つける方法
顧客分析の重要性
分析を行い、顧客の考えや行動を予測して事業戦略を練ることは、企業の売上に直結します。そのため、顧客分析は重要度の高い業務といえます。
事業戦略を考える際に必要な要素は以下の3つです。
- Who:ターゲットは誰か
- What:何を提供するのか
- How:どうやって提供するのか
上記3つのうち最も重要なのが「Who」です。顧客について理解していなければ、どのような戦略や施策を実施しても成果は出ません。顧客が求めているものを正しく理解して、誰に・何を・どうやって届けるのかを導き出すためにも、顧客分析は欠かせないのです。
顧客分析の活用法
顧客分析を行えば、以下のような活用が可能です。
- 自社の現状把握
- 課題とその原因の把握
- 改善策の提案
顧客分析は自社の売上や成約状況に加えて、マーケティングや営業の課題・原因の把握にもつなげられます。また、反応の良い企業に対し、より成果を出すためのアプローチ最適化も可能です。
マーケティングリソースを優良顧客だけに絞って経費削減を推進したり、商品・サービスの品質向上を促したりなど、顧客分析から生まれる情報から幅広い改善策が提案できるようになるでしょう。
顧客分析で扱う5つのフレームワーク
顧客分析で扱われる主なフレームワークをご紹介します。
- デシル分析:初心者はまずここから!売上から優良顧客を見つける
- RFM分析:購買行動をもとに優良顧客を見つける
- CTB分析:顧客の好みを明らかにできる
- セグメンテーション分析:共通項見つけてターゲットを明らかにできる
- 行動トレンド分析:販売戦略に生かせる季節要因を見つける
それぞれのフレームワークはどれか一つを使えばいいというわけではなく、複数を自社の状況に応じて使い分けることで、より詳細な分析が可能になります。
各フレームワークをどのように扱うのかを以下で解説します。
デシル分析:初心者はまずここから!売上から優良顧客を見つける
「デシル」はラテン語で10等分を意味しており、デシル分析は全顧客を売上額に応じて10等分でグルーピングする手法です。10のグループに分けることで、自社にとっての優良顧客を見分けやすくなります。
手順の例
-
エクセルやスプレッドシートに顧客ごとの合計購入額を一覧にする
売上貢献度の高い顧客を見つけたいので、合計購入額に限らずLTV総計など売上額が分かる項目を出せばよいです。 -
合計購入額の高い順に並び替え、10等分にグループ分けする
例えば、30企業の顧客リストがある中で、売上額の多い順に3企業ずつ10グループに分けます。 -
区分けした10のグループがそれぞれ売上に何%貢献しているのか算出する
売上への貢献度の高い企業をマーケティングのターゲットとすることで、リソースを効率的に使ったマーケティング戦略を描くことができます。
デシル分析は簡単ですが、ざっくりとしたターゲットの割り出し方法になります。
例えば、上位グループが必ず優良顧客であるとは限らない場合があるのです。商材によって売上金額は異なり、また成約からしばらく取引がない場合は優良顧客とはいえないためです。
より正確にターゲットをあぶりだしたい場合は、RFM分析など、より分析項目の多い分析方法をおすすめします。
RFM分析:購買行動をもとに優良顧客を見つける
RFM分析とは、以下3つの指標で顧客を分析する手法です。
- Recency:最新成約日
- Frequency:成約頻度
- Monetary:累計売上金額
RFM分析で優良顧客を見つけ出すことで、優良顧客のみのキャンペーンやセールの施策がたてられます。特別な対応を受けられた顧客は、高い満足感を得られ、他社への流入を防ぐことにも繋がります。
また、それぞれの指標の状況に適したマーケティング施策を実施することで、より良い優良顧客に引き上げることができます。
手順の例
-
エクセルやスプレッドシートに顧客ごとに3つの指標を一覧にする
-
3つの指標ごとにグループ分けし、点数を付ける
業種や商材によってどの部分に重点を置くかは変わってきますので、自社に合わせたグループの分類と点数を決めましょう点数
3点
2点1点
Recency:最新成約日
最新成約日から
1ヵ月以内最新成約日から
3ヵ月以内最新成約日から
3ヵ月以上Frequency:成約頻度成約回数
12回以上成約回数7~11回成約回数1~5回Monetary:累計売上金額累計売上金額
120万円以上累計売上金額
36万円以上120万円未満累計売上金額
36万円未満 -
各指数の点数の合計を算出する
点数が高ければ、優良顧客と位置付けられます。
デシル分析では売上額の多さでグループ分けを行っていましたが、RFM分析では成約日と成約頻度も踏まえて分析を行います。デシル分析では「ターゲットが絞れない」「もっと顧客について詳しく分析した」という方はRFM分析も行ってみましょう。
CTB分析:顧客の好みから販売戦略を立てる
CTB分析とは、3つの指標をもとに顧客の購買予測を行う手法です。
- Category(カテゴリ):商品・サービスの分類
- Taste(テイスト):色や形状などの趣向
- Brand(ブランド):メーカーやキャラクターなどによる付加価値
どのような商品を好むのか、顧客の趣向明らかにできます。主にBtoCで、パーソナライズされた商品の開発や販売戦略の際に活用されています。
各指標について、傾向が似ている顧客のグループを作り、各グループで効果がありそうな販売戦略を立てていくのが分析の流れです。
手順の例
- 顧客の情報と購入履歴のデータを洗い出す
-
商品をカテゴリ分けを行う
対象の顧客の購入履歴から購入品を洗い出し、大分類・中分類・小分類に分けます。
例:大分類:衣服 中分類:ブラウス 小分類:商品名
例:大分類:食品 中分類:菓子 小分類:商品名 -
テイスト分析を行う
各カテゴリについて、色、サイズ、デザインなどテイストについて、共通する点を見つけて、顧客の好みを分析します。 -
ブランド分析を行う
顧客が好むメーカーやキャラクターなどがあるかどうかを分析します。 - 分析した「顧客の好み」を販売戦略に生かす
セグメンテーション分析:共通項見つけてターゲットを明らかにする
セグメンテーション分析とは、既存顧客に共通する要素を抽出し、類似する顧客をグルーピングすることで自社がターゲットとするべき顧客像を分析する手法です。
共通する項目を見つけるのが、この分析の難しいところです。見つけられないと悩む方も多いでしょう。共通する要素は、主に以下のような指標があるとされていますので、ヒントにしてみてください。
- 地理的変数:会社住所・周辺の競合企業など
- 人口動態変数:業種業態・社員数など
- 心理的変数:企業風土・経営理念・経営状況など
- 行動変数:購買頻度・直近成約日・購買額など
顧客情報をもとに詳細な分析ができ、グループごとに最適なマーケティング施策を実施することが可能です。
手順の例
-
共通項がありそうな項目を洗い出す
今までのマーケティング経験や「共通する要素」をヒントに、共通しそうだという仮説を立てて項目を決めましょう - 既存顧客について、「1」で決めた項目のデータを抽出する
-
各項目のデータから共通する要素を見つけ出し、グルーピングする
昇順・降順に並び替えたり、各項目をピポットテーブルでかけ合わせたりと、多方面からデータを見比べてみましょう。
また、BtoB向けに既存顧客をセグメント分けして「商談につながる顧客を見つける」方法を解説した記事もございますので、合わせてご覧ください。
→BtoBにおける顧客データ分析とは?商談につながる顧客を見つける方法
関連記事:顧客セグメントとは?マーケティング成功に欠かせない分類の方法やポイント
行動トレンド分析:販売戦略に生かせる季節要因を見つける
行動トレンド分析とは、過去に成約した時期やシーズンで顧客をグルーピングして共通する特徴を分析する手法です。
例えば、ゴールデンウィークや夏休み期間中は、イベントが多くなるためイベントプロモーターや運営業者は購買が活発になります。また、決算時期に成約率が高くなったり売上が伸びたりする企業もあるでしょう。
購買行動の時期やシーズンによって顧客がどのような行動を取るのかを分析すれば、最適のタイミングでキャンペーンやオファーを仕掛けるのも可能です。
SNSで有効な手法で、「X(旧:Twitter)」ではモーメントカレンダーを配布していますので参考にしてみるといいでしょう。
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顧客分析テンプレートを活用した分析方法例
顧客分析のテンプレートを活用して、実際にどのように分析を行うのかを解説します。
例えば、今回の分析の目的を「商品・サービスをリピートしてくれる優良顧客を明確にする」こととします。
使用する顧客分析のテンプレートは、デシル分析・RFM分析、セグメント分析です。
- デシル分析またはRFM分析で「優良顧客の候補」を決める
- セグメント分析で「優良顧客」を絞り込む
1.デシル分析またはRFM分析で「優良顧客の候補」を決める
既存顧客の中でも、商品・サービスをリピートしてくれる「優良顧客」を見つけるために、顧客ごとの成約状況を確認しましょう。
この時に使えるテンプレートがデシル分析、またはRFM分析です。
先に解説したように、デシル分析の方が項目が少なく簡単です。初めての分析で簡単に出したい方は「デシル分析」、より精度高く詳しく分析したい方や長期的な顧客関係を分析したい方は「RFM分析」をおすすめします。
デシル分析の場合
売上貢献度の高い顧客順に、10グループに分類します。
各グループがそれぞれ売上に何%貢献しているのか算出し、その中から、「優良顧客の候補」となるグループを決めてください。
例)売上の80%を占める上位3グループを「優良顧客の候補」とする。
RFM分析の場合
「Recency:最新成約日」「Frequency:成約頻度」「Monetary:累計売上金額」の3つの指標のグループの基準を決めて、それぞれの点数を決めましょう。それぞれの点数の合計をみて「優良顧客の候補」となる企業を決めてください。
例)3つの指標の合計点が6以上の企業を「優良顧客の候補」とする。
2.セグメント分析で「優良顧客」を絞り込む
「優良顧客の候補」について、業種・従業員数・関連部署・関連部署の予算など、購買行動に影響する項目で各グループをさらにセグメントします。
この時に洗い出す項目は、仮説をもって選ぶのがおすすめです。
例)特定の業種や規模(従業員数、資本金)が売上に影響するかもしれない
→業種、従業員数、資本金の項目を洗い出す
なお、BtoBでは、購入・成約に至るまでに複数の人がそれぞれの役割をもって関わり、決定までが慎重で時間がかかるなどの傾向があります。そのため、決済権の有無や社風、事業内容などの観点から会社単位でグループ分けを行いましょう。
ここまで行えば、売上貢献度の高い企業の中で共通する傾向を洗い出せるため、優良顧客となり得る企業の傾向が見えてくるはずです。自社の商品・サービスによりニーズを感じてもらえる企業がピックアップできるでしょう。
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顧客分析を正しく活用するための3つのポイント
顧客分析の結果を活かすために、次の3つのポイントをおさえておきましょう。
- 顧客分析の結果をチームに共有する
- 「顧客の生の声」をできるだけ多く集める
- 市場の成長性を理解しておく
顧客分析の結果をチームに共有する
顧客分析の結果は、必ずチーム全体で共有しましょう。
ペルソナやカスタマージャーニーに落とし込むことで、チーム内でマーケティング戦略の共通認識を持つことができます。これにより、施策の方向性が一致し、効果的な取り組みが可能になります。
ペルソナシートを作成する
ペルソナとは、成約につなげるべきターゲットを詳細にイメージして作る顧客像のことです。
ペルソナは既存顧客のデータに加えて、アンケートやインタビューなどを行ってから作成するのをおすすめします。空想だけで作成したペルソナは、自社にとって都合の良い顧客像になりがちです。そのため、マーケティング施策やキャンペーンを実施しても、想定する効果が得られない可能性もあるからです。
また、既存顧客からヒアリングを行えば、データでは見えなかった自社の商品・サービスに好印象を持ってくれる顧客の共通点や特徴を発見できる場合があります。新たに見つけた顧客の共通点や特徴をもとに、ペルソナをブラッシュアップすることで、より効果の高いマーケティング施策やキャンペーンを実施できるというメリットもあります。
関連記事:ペルソナシートの作り方|情報収集や項目設定から丁寧に解説【無料テンプレート付き】
カスタマージャーニーマップを作成する
カスタマージャーニーマップとは、を作成して、成約までの見込み顧客の購買プロセスを図示したものです。
特にBtoB事業は成約までの検討期間が長いため、カスタマージャーニーを作成して成約までのプロセスを把握しておかないと、最適なタイミングでアプローチできずに成約を逃す可能性があります。
また、資料請求や問い合わせの相手先が決裁者かどうかによっても制約までのプロセスは異なるため、見込み顧客に合わせた行動把握を分析しておくのが重要です。
関連記事:カスタマージャーニーマップの作り方とは?弊社の作成手順を解説
▼ペルソナとカスタマージャーニーのテンプレートをご用意しました!ぜひご活用ください
→Webサイトの戦略設計に欠かせない!カスタマージャーニーマップの作成・活用4ステップ
「顧客の生の声」をできるだけ多く集める
顧客ニーズを正しく把握することも重要なポイントです。
ニーズを正しく把握するには、「顧客の生の声」をできるだけ多く集めることです。
例えば、顧客分析後のペルソナ作成の際の既存顧客からヒアリング、またSNSや口コミサイトでの情報収集もニーズ把握に役立つでしょう。
自社商品・サービスにニーズをあまり感じない見込み顧客に対してリソースを割くよりも、成約への確度が高そうな企業に時間と予算を配分した方が、売上は伸びやすくなります。
さらに顧客が抱える課題と、それに対する解決策として自社の商品・サービスを提示できれば、マーケティング施策の効果を高められます。
マーケティング効果を最大化させるためにも、商品・サービスで解決できる課題や悩みを深掘りしつつ、見込み顧客のニーズがどこにあるのかを探ってみてください。
市場の成長性を理解しておく
市場の成長や競合の状況を分析しておくと、今後の自社商品・サービスの展開を予測できるようになります。
ペルソナの作成や顧客ニーズ・購買行動の分析は、過去の履歴や指標から分析される情報ですが、市場は未来を予測する分析です。市場の成長性を把握できなければ、自社の商品・サービスの将来性を潰してしまう可能性もあります。
市場の成長性は外的要因のため、自社でのコントロールは難しいですが、業種業態の動向を調査・分析しておけば、顧客の動きをある程度予測できるようになり、事前の対策も可能です。
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顧客分析のテンプレートでマーケティング成果を最大化
顧客分析は自社にとっての優良顧客に応じたマーケティングを行い、売上を増加させるために必要な業務です。
ただ、膨大なデータから分析結果を導き出すのは、マーケティング上級者でも難しい作業といえます。テンプレートをうまく活用して、効率的に顧客分析を行いましょう。
- デシル分析:初心者はまずここから!売上から優良顧客を見つける
- RFM分析:購買行動をもとに優良顧客を見つける
- CTB分析:顧客の好みを明らかにできる
- セグメンテーション分析:共通項見つけてターゲットを明らかにできる
- 行動トレンド分析:販売戦略に生かせる季節要因を見つける
顧客ニーズと購買行動、市場の成長性も把握しながら顧客分析を行えば、優良顧客に対してより最適なマーケティング施策を実施できるようになるはずです。
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