ペルソナシートの作り方|情報収集や項目設定から丁寧に解説【無料テンプレート付き】
Webマーケティングでの「ペルソナ設定」は、事業を成功に導く重要なカギとなります。ペルソナを設定する上で有効なのが「ペルソナシート」です。
本記事では、BtoB事業で使えるペルソナシートの作り方について解説します。初めての方でも使いやすいテンプレートもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
■合わせてよく読まれている資料
→Webの戦略設計に欠かせない!BtoB事業のためのペルソナ設定ガイド
目次[非表示]
BtoB事業における「ペルソナ」とは?
マーケターにはお馴染みの用語「ペルソナ」。用語の意味に加えて、BtoCとBtoBでのペルソナの違いを理解しておくことも重要です。BtoB事業におけるペルソナについて、基本情報を解説します。
ペルソナとは「具体的な顧客のイメージ像」
ペルソナとは、自社の商品やサービスを提供する「顧客の具体的なイメージ像」「典型的な架空のユーザー像」の詳細を指します。
商品やサービスを売るためには、顧客の悩み・課題を正確に捉え、解決していくプロセスを分かりやすく魅力的に伝えられるかが重要です。顧客がどのような悩み・課題を抱えていて、何を求めているのかが明確に理解できると、自社が訴求提供すべき商品やサービスの魅力がみえてきます。そのため、マーケティングを始める前に、リアリティを感じられるほど具体的にペルソナを設定する必要があるのです。
ペルソナとターゲットの違い
似た意味で「ターゲット」と表現することがあります。ペルソナとターゲットの違いは、具体性の違いです。
ペルソナはターゲットよりも当てはまる対象を絞り、顧客属性や悩みを詳細に書き出します。具体性があることで、顧客が商品・サービスを導入するメリットを明確に訴求できるようになります。
BtoBでは「個人」「組織」2種類のペルソナを設定する
個人のユーザーに対しアプローチするBtoCと違い、BtoBは企業や会社が顧客となるビジネス形態です。BtoBビジネスでは、顧客企業の担当者が独断で商品やサービスを導入・利用するのではなく、背後に意思決定・承認する“企業”が存在する点を見落としてはいけません。
そのためBtoBでのペルソナ設定は、顧客企業の担当者など企業に所属する人に着目した「個人」のペルソナと、担当者が所属する企業に着目した「組織」のペルソナ、2つの観点から設定します。これにより、顧客企業が抱えている課題やニーズをより正確にキャッチでき、悩みに応えられる適切な施策を企画・検討することが可能です。
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BtoBでペルソナシートを作成する目的
ペルソナはBtoC事業で作成するイメージが強いかもしれません。なぜBtoBでもペルソナシートを作成したほうがいいのか、目的について解説します。
- チームでどのような顧客を狙っていくか共通認識を持つ
- 顧客理解を深めて、訴求を強められる
チームでどのような顧客を狙っていくか共通認識を持つ
ペルソナシートでペルソナを可視化することで、自社の組織内で「どのような顧客を狙っていくべきか」認識をすり合わせられます。マーケティングチームで獲得すべきリードと営業チームが商談・受注しやすいリードが一致することで、効率的にビジネス活動が推進できます。
マーケティングチームと営業チームで顧客の課題感やニーズを出し合って、より具体的なイメージ像に落とし込んで、自社のチームに共有するようにしましょう。
顧客理解を深めて、訴求・施策を強められる
ペルソナを設定するにあたり、顧客理解が深められ、顧客ニーズを訴求や施策をブラッシュアップできます。
ペルソナを設定するには、自社の商品やサービスが、顧客企業のどのような悩み・課題をどのように解決できるのかというニーズを顧客目線で正確かつ明瞭に把握する必要があります。そして、顧客ニーズが分かれば、顧客に自社の商品・サービスを導入してもらうために心に響く訴求、その訴求を伝えるための施策を考えられるようになります。
ペルソナシートの作成は、顧客と向き合う絶好の機会になります。
BtoB事業でのペルソナシートの作り方
BtoB事業でペルソナを設定するには、必要な項目ごとに情報を整理できる「ペルソナシート」を活用するのがおすすめです。
ここでは、ペルソナシートを作成する手順について紹介します。
- ペルソナシートの項目を決める
- 顧客企業のデータを収集する
- 情報の整理・カテゴライズをする
- ペルソナを項目に沿って具体的に書きだす
- メンバーにフィードバックをもらう
- 事業や施策の企画・立案に活用する
1.ペルソナシートの項目を決める
まず、ペルソナシートの項目を決めます。
一から作るのは手間なので、ペルソナシートのテンプレートを元に、なぜ自社の商品・サービスを導入してくれるのかが分かる項目を取り入れることをおすすめします。
BtoBで考えるべき項目をまとめたペルソナテンプレートをご用意しておりますので、ぜひご活用ください!
→【ペルソナ設定シート付】BtoB事業のためのペルソナ設定ガイド
テンプレートでよく使われる項目は「ペルソナシートの項目例 」の章で紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
2.顧客企業のデータを収集する
まずはペルソナの土台となる顧客企業の情報を集めます。ペルソナは、具体的な顧客の『イメージ』像のことです。ただし、想像したイメージだけでペルソナを設定するのは危険です。設定した顧客のイメージ像が現状とかけ離れないよう、ペルソナの根拠となる実際のデータを収集し、集めた情報からイメージを膨らませるようにしましょう。
自社の事業で提供する商品やサービスが利用される状況をイメージし、利用しているのがどのような企業かを想像してください。イメージした企業が、実在する企業でいくとどれに近いか考え、同じ業態・業種の企業を調べていくと、よりペルソナにリアリティが出てきます。
データ収集の方法はアンケートやインタビューが一般的です。詳しくは「」の章で解説します。
3.情報の整理・カテゴライズをする
情報を収集した後は、集めた情報を整理しカテゴライズしていきます。個別にアンケートをとると、回答者によって回答内容に違いがあるはずです。それらの回答を整理し、最終的には『具体的な顧客のイメージ像』として、架空の企業および企業担当者にまで落とし込みます。
ポイントは、複数の回答から共通点を見つけることです。情報を細分化していき、どの企業も共通してもっている価値観や課題意識をキャッチすることで、求めるペルソナのイメージがより明確になっていきます。共通点への気付きが重要なので、行き詰ったときは自社のチーム内で議論しながら整理・カテゴライズするのも有効です。
4.ペルソナを項目に沿って具体的に書きだす
情報の整理・カテゴライズができると、ペルソナの輪郭が徐々に形づくられているはずです。今度は項目ごとに言語化しながら、「個人」「組織」のペルソナシートを作成する段階に入ります。
集めた情報から、想像した架空の企業および企業担当者の情報を書き出してみましょう。最初はうまく書けずに戸惑うかもしれません。ですが、書き始めは正しく書けているかどうかに固執せず、思い切ってどんどん書き出していくのがおすすめです。後々見直すこともできますので、とにかく細かく、具体的に、たくさん書くことを意識してください。
5.メンバーにフィードバックをもらう
項目に沿って言語化すると、ペルソナシート自体は完成します。より多角的な視点で具体的にしたり、精度を高めたりするためにも、シートを埋めたら自社のチームメンバーに見てもらって、フィードバックしてもらうようにしましょう。フィードバックしてもらうことで、自分ひとりでは気付けなかった観点を見つけたり、データに基づいていないペルソナ要素を修正したりできるメリットがあります。
フィードバック時に注意すべき点は、常に率直な意見を述べる/受け取ることです。変な気を遣わず、率直にやり取りするのが理想的です。チーム内で実践するときは、できる限り穏やかな気持ちで参加できる空間で、目的意識をしっかり共有してから望むとよいでしょう。「相手の言葉を批判せず、出たアイデアを大切にする」など、議論する上でのコミュニケーションルールをあらかじめ決めておくのもおすすめです。
6.事業や施策の企画・立案に活用する
チーム内で出た意見をもとに修正が完了したら、ペルソナシートは完成です。完成したシートは事業に関連するすべてのメンバーに共有し、認識を揃えるようにします。また、事業や施策の企画・立案にも積極的に活用するようにしましょう。
具体的には、事業の集客アップにつながるアイデアの創出・各種販促のツールづくり・メディア発信のコンテンツ・新サービスの開発といった場面で、顧客視点の企画・立案ができるようになります。営業や商品開発、Web運用といった幅広い部門で活用できるので、会社全体の事業推進に寄与できるでしょう。
ペルソナシートの項目例
テンプレートでよく使われる項目を下記にまとめています。ぜひ参考にしてください。
「個人」のペルソナ項目
個人ペルソナの項目と具体的な内容の一覧です。
項目 |
内容 |
---|---|
現在の役職 |
担当者の役職は?企業内でどのようなポジションで仕事しているか? |
役割・ミッション |
普段はどのような仕事をしているのか?企業内での役割やもっている権限は? |
組織の体制 |
担当者が所属している企業の組織図は?どのような部署に所属している? |
業務上の課題・現状の解決手段 |
業務上でどのような課題がある?いまある課題の解決方法は? |
困っていること |
業務上の課題に対しどう感じている?どのような悩みや困りごとをもっている? |
情報収集の手段 |
普段どうやって情報収集している?自社の商品・サービスにどうやって辿り着いた? |
商品の関連領域におけるリテラシー |
どうやって悩みを解決しようとしている?どのような能力・経験値をもっている? |
商品についてペルソナに一言で説明するなら |
担当者に自社の商品・サービスの良さを何と伝える?担当者は何を魅力的だと感じる? |
「組織」のペルソナ項目
組織ペルソナの項目と具体的な内容の一覧です。
項目 |
内容 |
---|---|
業種 |
どういう業種・業態の企業なのか?どのような商品・サービスを提供しているのか? |
従業員規模 |
何人くらいの従業員が所属している企業なのか?正社員・派遣社員の割合はどうか? |
売上規模 |
売上の規模はどのくらいか?ここ数年での売上の推移はどうなっているか? |
事業のフェーズ |
立ち上げ期・拡大期など、顧客企業が推進している事業はどの段階にあるのか? |
予算 |
事業に投資する予算はどのくらいか?ここ数年での予算の推移はどうなっているか? |
決裁者の役割/役職 |
決裁を出す人の役職は?どういう仕事をしていて、どのようなフローで決済に至るか? |
事業課題 |
顧客企業が推進している事業の課題は?その課題の本質的な原因は何か? |
組織課題 |
顧客企業がもっている組織の課題は?その課題の本質的な原因は何か? |
課題解決を通して実現したいこと |
顧客企業が望んでいる理想の状態は?何が実現できると顧客企業の業績が伸びる? |
ペルソナシートを作成する際の情報収集のやり方
ペルソナシートを作成するにあたり、どのように顧客の情報を集めればいいのか?いくつか方法を解説します。
見込み顧客情報・既存顧客情報を集計する
ターゲットが曖昧だと、作るべきペルソナも定まりません。まずは自社が狙うべきターゲットを明確にしておきましょう。
見込み顧客と既存顧客それぞれのデータを様々な軸で集計して、どのような顧客が自社の顧客になりやすいのかを探ります。例えば以下のような軸でデータを集計します。
- 従業員数規模別×業種別×役職別のデータを集計
- さらに各分類ごとのCVR、商談化率、成約率まで集計
「300名以上の製造業企業は、お問い合わせが多く、その後の商談化率も高い」など、お問い合わせや資料請求、ホワイトペーパーダウンロードなどCVしやすい顧客、さらにその後商談に繋がりやすい顧客が、どのような企業・担当者になるのかを見つけられるはずです。
アンケートやインタビュー
自社で既に付き合いのある顧客企業がいるなら、商品・サービスを導入するにに至った経緯や抱えていた課題についてヒアリングしてみましょう。
導入事例インタビューを実施する場合は、この際にヒアリングしておくと、顧客の手間を減らすことができるのでおすすめです。
求めている業種の企業担当者を対象にしたアンケート結果がネットに公開されているケースもありますので、検索してみるのもおすすめです。
関連記事:効果的な導入事例の書き方とは?弊社の構成テンプレートで解説
営業担当へのヒアリング
自社の商品・サービスの既存顧客だけでなく、商談に繋がる顧客について知ることも重要です。
その情報は、商談を担当する営業担当が一番よく知っています。営業担当へ商談時によく相談される課題感やその課題を持つに至る背景などをヒアリングすると、顧客が自社の商品・サービスを知って検討に至るきっかけを明らかにすることができます。
ペルソナシート作成する際に気を付けるべきポイント
ペルソナシートを作成する際に気を付けるぺきポイントについて、4つ解説します。
- ペルソナの参考にする企業を絞り込む
- ペルソナはデータを元にイメージする
- できるだけ具体的に設定する
- 作って終わりでなく、定期的に見直し、改善する
ペルソナの参考にする企業を絞り込む
ペルソナを実務レベルで活用できるほどに精度を上げるためには、参考とする企業をある程度絞り込んで、具体性を持たせる必要があります。
絞り方としては、まず商品・サービスが利用される状況をイメージし、利用しているのがどのような企業かを想像してみてください。
その企業が、実在する企業でいくとどれに近いか考え、同じ業態・業種の企業を調べていくと、企業が絞り込まれて、ペルソナにリアリティが出てきます。
ペルソナはデータを元にイメージする
ペルソナはイメージ像ですが、想像だけでペルソナを設定すると実際の顧客とかけ離れてしまう可能性があります。
そうならないために、根拠となるデータを収集し、データをもとにイメージを膨らませるようにしましょう。
できるだけ具体的に設定する
ペルソナが抽象的だと、チームメンバーで解釈が異なるということになりかねません。
「従業員数が多い」など、人によって解釈が異なるような表現については、「従業員数が300人以上」というように数字で表記するとよいです。
また、ペルソナが具体的に設定されるほど、顧客に響く訴求の文章やコンテンツ案が思いつきやすくなるメリットもあります。どれくらい具体的に設定すればよいのかについては、この視点も合わせて精査するとよいでしょう。
作って終わりでなく、定期的に見直し、改善する
ペルソナはあくまでイメージ像です。ペルソナを元に作成したコンテンツや訴求文が本当に響いているのか?など、実際に打った施策の効果を見て修正していくことで、精度が上がっていきます。
また、顧客のニーズは時代とともに変化します。定期的に見直すことで、顧客へのアプローチ方法を柔軟に変える対応が可能になります。
関連記事:BtoBマーケティングのペルソナ設定で、押さえるべきポイントとは?
【無料配布】誰でも簡単!BtoB向け・ペルソナ設定シート
ペルソナシートは、どういう項目に沿って情報を書き出していくかで出来栄えが左右されます。誰でも簡単に、精度が高いペルソナ設定を実践できるよう、無料で使えるシートをご用意しました。
BtoB事業で使えるよう「個人(担当者)」「組織」2種類のシートを用意しています。必要な情報を収取・整理した後に、シートの項目を埋める形で具体的なペルソナを書き出してみてくださいね。
→【ペルソナ設定シート付】BtoB事業のためのペルソナ設定ガイド
シートやツールを活用し、解像度の高いペルソナを設定しよう!
ペルソナとは「具体的な顧客のイメージ像」です。BtoBでは個人と組織の2種類のペルソナを作る必要があります。
BtoBマーケティングに必須のペルソナは、ペルソナシートを活用することで簡単に、かつ精度高く設定できます。ペルソナシートのテンプレートを元に、なぜ自社の商品・サービスを導入してくれるのかが分かる項目を取り入れながら作成してみましょう。
BtoBにおけるペルソナの特徴も踏まえつつ、設定までの手順をおさえて、事業推進に役立ててみてください!
弊社「ferret」はBtoBマーケティングを総合的にサポート。マーケティングツールやコンサル・代行支援など、幅広いサービスの中から貴社に最適な解決策を柔軟にご提案します。
コンサルティングでは、まず貴社の「ターゲット」「競合」「サービス訴求」それぞれの設計を通して、どのような訴求をすればターゲットに貴社の魅力が伝わるかを整理します。
マーケティングにお困りごとがある方はぜひ資料をご覧ください。