SFAとは? CRMとの違い・導入のメリット・導入時期・運用失敗事例を解説
SFA(Sales Force Automation)とは、顧客情報・商談化案件のプロセスを一元管理するツールです。情報管理の他、どのようなマーケティング施策や営業活動が契約成立のために効果的だったのか分析し、次の施策に生かすこともできます。
ただ、初めて導入を検討している企業の方は、導入タイミングや運用の仕方など悩むことも多いはず。この記事では、SFAの基礎知識から、適切な導入タイミング、運用で失敗しやすいポイントとその改善策を解説します。
解説をするのはこの人!
元木雄介(もときゆうすけ)
株式会社ベーシック マーケティング部 インサイドセールスグループ
これまで、アウトバウンド、インバウンド、インサイドセールス、フィールドセールスと、まんべんなく営業を経験。現在は、ferret Oneインサイドセールスのリーダーとして活躍中。
目次[非表示]
- 1.SFAとは?
- 1.1.SFAとCRMの違い
- 1.2.SFAで管理できる情報
- 2.SFAを導入するメリットは?
- 2.1.メリット1:営業管理業務全般を効率化できる
- 2.2.メリット2:マーケティング施策の効果を、営業情報まで含めて分析できる
- 2.3.メリット3:営業に関わる情報を蓄積・共有することで属人化を解消
- 3.SFAの適切な導入タイミングとは?
- 4.SFA運用でつまずきがちなポイントと改善策
- 4.1.つまづき1:既存ツールからの移行が進まず、データが散在する
- 4.2.つまづき2:入力項目の設計が不十分で分析ができない
- 4.3.つまづき3:入力して満足してしまい、その後の活用や分析ができていない
- 5.見込み顧客の管理負担が大きくなってきたら、導入を検討するタイミング
SFAとは?
SFA(Sales Force Automation)は、顧客情報、商談化案件のプロセスを一元管理するツールです。日本語で「営業支援システム」とも呼ばれます。
その名の通りSales Force(営業部隊)の業務を支援するためのもので、商談から受注までを管理します。
SFAとCRMの違い
SFAとCRM(Customer Relationship Management)は共通する機能が多く、利用するシーンが重なることもあるため、違いがよくわからない方もいるかもしれません。
どちらもデータを見える化して共有したり、それを基に業務を効率化したりするのは同じですが、対象とする業務が異なります。
■SFA
SFAは「営業活動を支援するツール」です。主にセールス部門で、営業活動の効率のために利用されます。営業プロセスを管理するものなので、進捗管理や営業履歴、日報、活動分析などの「行動」を管理する機能がついています。
■CRM
CRMは「顧客管理のためのツール」です。「顧客」を管理するものなので、セールスだけでなくマーケティングやカスタマサポートなど、複数の部門にまたがって顧客情報を共有するために利用されます。メール一斉配信や個別プロモーションなどの「顧客」にアプローチする機能がついています。
SFAで管理できる情報
SFAで管理できる情報は、主に以下のようなものです。製品によって差異があります。
- 顧客属性
- Webから取得された情報
- 営業活動履歴
1.の「顧客属性」は、企業規模、決裁者の名前などの法人情報です。MA(マーケティングオートメーション)やCRMでも基本情報として管理できますが、MAでは製品によっては弱い部分もあります。
2.の「Webから取得された情報」は、サイト閲覧履歴、CV履歴などです。MAでも扱うことができますが、MAはマーケティング部門、SFAはセールス部門で主に利用されるという違いがあります。
3.の「営業活動履歴」は、架電履歴、訪問履歴、失注理由、再提案の時期(ネクストアクション)などです。営業活動履歴を管理できるのは、MAやCRMにはない(もしくはほとんどない)SFA特有の機能です。
SFAを導入するメリットは?
ここまでSFAの概要や主に管理できるデータをご紹介しましたが、SFAを導入すると具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
メリット1:営業管理業務全般を効率化できる
営業プロセス管理の専用ツールであるSFAを導入することで、リードや案件のデータを効率的に管理・共有できます。
リード数や案件数が少ないうちはExcelやGoogleスプレッドシートに表を作って管理することもできますが、数が増えてくるとそうはいきません。
導入することで業務を効率化でき、より少ない人数で実務を回せるようになります。また、今まで雑務に追われていた時間を、より詳細な営業分析やトークスクリプトの改善などの有益な業務にあてることもできます。
メリット2:マーケティング施策の効果を、営業情報まで含めて分析できる
BtoBは顧客の検討期間が長く、営業活動期間も長くなる傾向にあります。リード獲得から受注までの期間が長くなると、どの施策で獲得したリードが受注に結びついたのかを追いづらくなります。マーケティング施策の効果測定が困難になってしまうのです。
そこで活用したいのがSFAに蓄積される営業活動履歴です。
前項で解説したとおり、SFAには架電履歴や訪問履歴をはじめとする全ての営業活動の履歴を蓄積できるようになっています。この履歴を追っていけば、受注に結びついたリードはどのマーケティング施策で獲得したのか、どのような営業活動によって受注に結びついたのかを簡単につきとめることができます。
効果測定が困難だとPDCAの「C」の部分ができずサイクルが滞ってしまいますが、SFAでデータを一元管理することでPDCAを回せるのです。
メリット3:営業に関わる情報を蓄積・共有することで属人化を解消
SFAに蓄積されたデータは営業チーム内で共有されるので、「担当者じゃないと分からない」「特定の人だけが情報を握っている」という属人化を解消することができます。
また、営業プロセスを可視化することで、これまで各営業マンの経験と勘に頼っていた営業ノウハウを、メソッドやセオリーとしてチーム内で共有することができます。これにより、チーム全員の営業力強化につながります。
SFAの適切な導入タイミングとは?
リード数や案件数が少ないうちは、大きなコストをかけてSFAを導入する必要性はそこまで高くありません。SFAの適切な導入タイミングは、リード数や営業部メンバーが増えて部内で一元管理できなくなったときです。
業種や商材によって状況は異なるので、たとえリード数が目安より少なくても「営業情報が一元管理できていない」と感じるならば、SFAの導入を考えてみるとよいでしょう。
SFA導入タイミングの目安となる数字(一例)
総リード数 (展示会などでの名刺交換含む) = 1万件以上
架電対象となる有効リード数 = 2,000件以上
有効リードの条件は、「ホワイトペーパーダウンロード以上」「資料請求以上」など、あらかじめ基準を決めておきます。
現時点でリード数に課題がある場合は、まずはリードを増やす施策を行いましょう。
SFA運用でつまずきがちなポイントと改善策
SFA導入後につまずきがちなポイントと、それに対して有効な改善策をご紹介します。
つまづき1:既存ツールからの移行が進まず、データが散在する
スプレッドシートやExcelシートなどで営業情報を管理していて途中からSFAに切り替えた場合、移行がうまく進まないことはよくあります。
理由として多いのが、導入決定者と現場で使用する人との意識の乖離です。リーダーや管理職が決めてSFAを導入したものの、現場にはその重要性が伝わっておらず、「入力が面倒」「ほかの事で手一杯」という理由でせっかく導入したSFAが活用されない……という光景はよく見られます。
最悪の場合、SFAは使いたい人だけが使う営業メモと化し、元のツールとSFAにデータが散らばってしまうことになります。これでは分析も改善もできません。
▼改善策:データの重要性の認識とオペレーションの改善
スムーズなSFA導入のコツは、導入決定者と現場で意識のすり合わせをしてSFAの重要性をしっかり伝えることです。
導入を決めた人は、「SFAで何ができるのか」「どんなメリットがあるのか」「何のためにSFAを使うのか」を理解していますが、他のメンバーはそうではありません。
SFAの重要性と意義をしっかり現場にも伝えることが大切です。導入決定者が積極的にレクチャーしたり勉強会を開いたりして、社内理解を広げることが有効です。
それと同時に、「データ管理はSFAに一元化する」というルールを作り、各自が使い慣れた元のツールにデータやメモを残すことを防止します。入力の負担軽減のために、事前にデモ版などを試して使いやすいSFAを選ぶことも大切です。
つまづき2:入力項目の設計が不十分で分析ができない
SFAにデータを入力するのは記録のためでもありますが、後の分析に活用するためでもあります。せっかくSFAを導入しても、入力項目の設計がしっかりできていないと分析に使えるデータになりません。
入力項目に問題があるケースとしてよくあるのは、
- 自由記入にしたら書式がバラバラで分析に使えない
- 入力選択肢を途中で変更したために以前のデータと混ざってしまう
などです。
入力選択肢の途中変更で失敗した具体例を紹介します。たとえば、リード企業の従業員数の選択肢を次のように設定し、どれか一つ選んで入力できるようにしたとします。
- 「~50人」
- 「51~100人」
- 「101人~300人」
しばらくこの選択肢でデータを入力していたところ、ターゲット企業の従業員数の平均が想定よりも多いことがわかりました。そこで、下記のような選択肢に変更することになったとしましょう。
- 「~100人」
- 「101人~500人」
- 「501人~1000人」
この設定を変更する際に、今まで「~50人」になっていた項目を書き換えて「~100人」に上書きしてしまったらどうなるでしょうか。
変更前 |
変更後(上書き) |
「~50人」 |
「~100人」 |
「51~100人」 |
「101人~500人」 |
「101人~300人」 |
「501人~1000人」 |
以前に「~50人」と入力した企業のデータも「~100人」に書き換わってしまいます。「51~100人」→「101人~500人」、「101人~300人」→「501人~1000人」も同様です。
これにより、選択肢の変更以前に入力したデータが実態と異なるものになってしまいます。これでは分析に使えません。
▼改善策:時期を区切って選択肢を変更
上記の失敗を防ぐために、選択肢の内容を変更する際はそれまで使用していた項目を上書きして変更するのではなく、時期を明記して新規作成するとよいでしょう。
上記の例でば、元々使用していた「~50人」の選択肢は「~50人(YYYY年MM月まで使用)」に変更して残しておき、新規で「~100人(yyyy年mm月から使用)」という選択肢を作成するということです。
変更前 変更後 「~50人」 「~50人(YYYY年MM月まで使用)」 ※使わない 「51~100人」 「51~100人(YYYY年MM月まで使用)」 ※使わない 「101人~300人」 「101人~300人(YYYY年MM月まで使用)」 ※使わない 「~100人(yyyy年mm月から使用)」 「101人~500人(yyyy年mm月から使用)」 「501人~1000人(yyyy年mm月から使用)」
また、SFA導入初期は選択入力ではなくフリーテキストで記入する形にしておき、よく入力される傾向が把握できたら選択式に切り替えると、選択項目の変更が少なくて済みます。フリーテキストは入力する人によって言い回しが異なるなど分析には使いにくいため、バランスを見ながら選択式にできそうなものは切り替えていきましょう。
つまづき3:入力して満足してしまい、その後の活用や分析ができていない
営業活動の履歴などの情報を入力しただけでは、SFAを完全に使いこなせているとはいえません。蓄積された情報を分析し、営業プロセス改善に活かしてこそ大きな成果が得られます。
受注できた案件と失注した案件の履歴を分析し、成約につながりやすいパターンを見出す。営業成績のよいメンバーの営業履歴を分析し、効率化・成果向上につながるテクニックを発見する。などなど。
SFAに蓄積したデータを分析・活用し、PDCAを回しましょう。
見込み顧客の管理負担が大きくなってきたら、導入を検討するタイミング
SFAは顧客情報と営業プロセスを一元管理するツールです。営業活動のサポートだけでなく、営業履歴を利用した分析や改善活動にも活用できます。
SFAの導入が必要なタイミングは、リード数(見込み客)が増えて管理の負担が大きくなってきた頃です。現時点でリード数がそこまで多くない場合は、リードを増やす施策を優先しましょう。
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