なぜインサイドセールスが重要なのか?その役割と運用方法
インサイドセールスとは、お客様先に訪問せず、電話やメールなどで営業する手法の総称です。
最近では、インサイドセールスのチームを設置するBtoB企業が増えてきました。
ただ、これからインサイドセールスに取り組む企業にとっては、どのように体制を構築し、運用していくかイメージが湧きにくい部分もあるでしょう。今回は、インサイドセールスの役割やマーケティング、フィールドセールスとの連携について解説します。
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→インサイドセールスメソッド
解説をするのはこの人!
元木 雄介(もとき ゆうすけ)
株式会社ベーシック マーケティング部 インサイドセールスグループ
これまで、アウトバウンド、インバウンド、インサイドセールス、フィールドセールスと、まんべんなく営業を経験。現在は、ferret Oneインサイドセールスのリーダーとして活躍中。
Twitterのアカウントは@yusukemotoki15
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なぜインサイドセールスが必要なのか?
BtoB商材は、インサイドセールスとの相性がよいと言われています。それは、BtoB商材が次のような特性を持つためです。
- 価格が高い
- 検討期間が長い
最近では低価格のものも増えていますが、BtoB商材は一般的にBtoC商材よりも高価な傾向があります。営業担当者が訪問してどんなに魅力的なトークを繰り広げたとしても、その場での即決買いや衝動買いはほぼありません。高価な買い物だからこそ、「信頼できる相手と取引したい」という買い手側の心理もあります。
また、BtoBでは買い手が企業となるため、購入の意思決定には担当者のほかにも、その上長や決裁者など多くの人が介在します。一人を納得させることができてもほかの人の意見を待たなければいけないことが多く、ゆえに検討期間が長くなりがちです。
以上のような理由から、BtoB商材の取引では中長期での関係構築が大切になります。この間のリードとのコンタクトをすべて訪問営業で行っていたら、遠方の場合はもちろん近距離でも多大なコストがかかります。
インサイドセールスならば、何度も客先を訪問する必要がなく、電話やメールを使って効率的に多くのリードとコンタクトを取ることができるのです。
インサイドセールスのタイプは4種類
冒頭でお伝えしたとおり、インサイドセールスは客先を訪問せず遠隔で行う営業手法です。ただ、一口にインサイドセールスと言ってもさまざまなタイプがあります。
BtoB企業で運用されているインサイドセールスチームは、主に4つのタイプに分かれます。
- リード発掘型:リストを入手して架電するなどして商材に関心がある人を探し出す、いわゆるテレアポ部隊
- リード育成型:マーケティングチームが獲得したリードを、商談できる状態まで育成(ナーチャリング)してフィールドセールスに渡す
- 営業クローズ特化型:既に十分に見込み度合いが高まったリードにアプローチし、具体的な提案と契約までを担う
- 訪問営業協業型:フィールドセールスと連携しながらリード創出からクロージングまでを行う
(2018年 ダイヤモンド社 水嶋 玲以仁『インサイドセールス 究極の営業術』より)
「インサイドセールスチームを立ち上げる」といっても、この中のどのタイプを目指すのかを共通認識として確認しておきましょう。
インサイドセールスチームの業務内容 -ferret Oneの場合-
私たち、ferret Oneのマーケティング部でも、インサイドセールスのチームが活躍しています。
ここからは、ferret Oneのインサイドセールスが、具体的にどのように業務に取り組んでいるのかをご説明します。
リードの優先順位付け
ferret Oneにおけるインサイドセールスチームは、上記の表でいう「リード育成型」です。
まず、マーケティングチームが獲得したリードを、獲得経路によって優先順位付けします。ferret Oneでは、現在は下記のようにランク分けをしています。
Aランク(最優先):問い合わせ・資料請求・無料デモ・事例集ダウンロード
Bランク:セミナー
Cランク:ホワイトペーパーダウンロード
Dランク(優先度低):展示会
優先順位を付けたら、優先順位が高いリードから架電してコンタクトを取り、ヒアリング、アポイント設定していきます。この際、ヒアリングする内容はリードソース(リードの種別)によって変わります。
ニーズが顕在化しているリードへの架電(Aランクの場合)
Aランクのリードは多くの場合ニーズが顕在化しており、見込み度合いや優先順位も高くなります。ヒアリングするのは主に「お問い合わせいただいた経緯」「BANT条件」などです。お客様の課題やニーズも確認しながら整理します。
※BANT条件:顧客の見込み度合いを判断する基準になる4つの条件のこと
- Budget(予算)
- Authority(決裁権)
- Needs(ニーズ)
- Timeframe(導入時期)
これらをヒアリングした上で、提供サービスとのマッチ度を考慮の上、アポイントを設定します。
ニーズが顕在化していないリードへの架電(B、C、Dランクの場合)
B、C、Dランクのリードはニーズが顕在化しているかどうかわかりません。Aランクで行うようなヒアリングの前に、まずニーズが顕在化しているかどうかを確認します。そして、お客様の中で課題が明確化されていないようであれば、対話や質問を通して現在抱えている課題を明らかにしていきます。
課題の明確化のための質問は、相手が答えやすいクローズドクエスチョンから始めるようにしています。「現在どのようなことで困っていますか?」と問いかけても答えに詰まってしまったり、話が続かなかったりしてしまいがちです。
そこで「この資料をDLされる方は〇〇と▲▲の課題を持たれていることが多いのですが、御社はどちらに当てはまりますか?」のように答えが限定された質問をすることで、相手の反応を引き出しやすくなります。
インサイドセールスと各部署の連携 -ferret Oneの場合-
インサイドセールスは、フィールドセールスやマーケティングチームとの連携が欠かせません。ferret Oneでは、次のような形で連携をしています。
インサイドセールスとフィールドセールスの連携
顧客へ訪問をせずに営業活動をしていくインサイドセールスに対し、主に訪問による営業を行うのがフィールドセールスです。
(2019年 翔泳社 福田 康隆『THE MODEL』より)
ferret Oneではリードを育成し、アポイントを設定するまでをインサイドセールスが担います。そこからフィールドセールスにバトンタッチし、フィールドセールスがクロージングします。
「アポイントを設定する」といっても、ただ「○月○日の△時に訪問します」という約束をするだけがインサイドセールスの役割ではありません。
リード育成の中では
- 課題やニーズだけではなく決裁ルートなどもヒアリング
- スムーズにクロージングするための情報を集め
- 見込み度合いや提供サービスと課題感のマッチなども検証
した上でフィールドセールスにバトンを渡します。
インサイドセールスのミッションは「良質な商談の最大化」です。フィールドセールスが良質な商談をできるよう、最善を尽くしています。
インサイドセールスとマーケティングの連携
もうひとつ、インサイドセールスの重要なミッションは「リードの質のフィードバック」です。
マーケティング担当が、直接の個々の見込み顧客と接するケースは多くありません。電話やメールでお客様の生の反応を見ているインサイドセールスが、マーケティング担当にフィードバックを送り、見込み顧客が実際にどういう人であったかを伝えます。
このフィードバックをすることでマーケティング施策の精度が上がり、より質の高いリードを獲得できるようになります。
ferret Oneでは、定例MTGやSlack上の会話で常にマーケティング担当とインサイドセールス担当が情報交換をしています。インサイドセールスからは、Web上で流入チャネル・行動履歴を分析しているだけでは分からないお客様の声や、より潜在的なニーズやインサイトを発掘しやすくなるような定性的情報を提供しています。
新しいマーケティング施策を始めた場合、初期段階はそのリードに対して優先的に架電し、インサイドセールスが温度感や効果を確かめるという連携もしています。
まとめ:自社に合ったやり方のインサイドセールスを
電話やメールで実践するインサイドセールスは、BtoB商材と相性のよい営業手法です。マーケティングやフィールドセールスと連携することで、より大きな成果を上げることができます。
今回はその具体的な業務内容をご紹介しました。組織によって、適切なインサイドセールスの形態は異なります。自社にあったセールス形態や役割分担を模索していきましょう。
ただし、インサイドセールスを立ち上げるには、アプローチできるだけのまとまったリード数(見込み客)が必要です。現時点でリード数に課題がある場合は、まずはリードを増やす施策を行いましょう。たとえば、Webマーケティングの見直しを行ったり、展示会で名刺獲得をしたりといったことが挙げられます。
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