【イベントレポート】BtoBナーチャリング解体新書vol.1.0 メルマガ止まりのMAから卒業する方法

MAツールを導入してもメール配信中心の運用から抜け出せず、商談につながるリードが増えない──そんな悩みを抱えるBtoB企業は少なくありません。
本記事は「メルマガ止まりのMAから卒業する方法」を解説したセミナーレポートです。セミナーでは、少人数でも回るナーチャリング運用を、シナリオより先に決めるべきことから、2社の実例とともに整理しました。
- この記事の要点
ナーチャリングは「シナリオを作ること」から始めない
MAを活用しようとすると、「どんなメールを送るか」「何ステップに分けるか」といったシナリオ設計から考えがちです。
しかし、先に決めたいのは、「誰を対象にするのか」「今どんな状態なのか」
「次にどこへ進んでもらいたいのか」です。
起点行動・顧客状態・次のゴールを揃えてから施策を考えることで、複雑なシナリオを作り込まなくても、商談につながる導線を設計しやすくなります。
分岐を増やすより、「次の一歩」までの導線を短くする
丁寧にナーチャリングしようとして分岐やステップを増やしすぎると、進むほど対象者が減り、運用や改善も複雑になります。
最初から多段階のシナリオを作るのではなく、顧客の状態に合わせて、次に取ってほしいアクションまでをシンプルにつなぐことが重要です。
メール配信で終わらず、営業が動けるところまで設計する
ナーチャリングの目的は、メールを開封・クリックしてもらうことではありません。
料金ページの閲覧など、検討が進んだ行動を捉え、営業・インサイドセールスが適切なタイミングで動ける状態を作ることが、商談につなげるポイントです。
そのためには、メールの配信指標だけでなく、顧客行動・営業接続・商談といった事業成果まで含めて運用を設計する必要があります。
この記事では、FanGrowthとferret Oneの実例をもとに、少人数でも無理なく回せるナーチャリング設計と運用のポイントを解説します。
登壇者紹介

エキサイト株式会社(FanGrowth)
FanGrowth マーケティングマネージャー
村尾 慶尚 氏
MAベンダーである株式会社シャノンにて、マーケティング・インサイドセールス部門を立ち上げ責任者としてマーケティング全体を統括。
2025年7月にエキサイト株式会社に入社。
FanGrowthのマーケティング責任者としてマーケティングファネル全体を担当。自社でも「売上に繋がるウェビナーが開催できる」というFanGrowthのミッションを達成すべく奮闘中。

株式会社ベーシック
マーケティング部 マネージャー
見山 悠妃
営業支援会社にて現場営業からマネージャーを経験。
その後「1人マーケター」としてマーケティング部署を立ち上げ、
サービスサイト制作・コンテンツ制作・ウェビナー施策・MA活用の基盤を構築。
2021年にベーシックに入社し、BtoBマーケサービス「ferret One」のインサイドセールス、フィールドセールス、イベント企画登壇などを経て、現在はマーケティングマネージャーとして、マーケティング・事業部を横断した戦略立案/企画/オペレーション設計を担う。
はじめに MAが「メルマガ止まり」になりやすい理由
MA運用が伸び悩むときに起きがちなのは、「何を配信するか」「どう分岐させるか」といった設計の細部が先に立ち、 営業接続までの道筋が曖昧なまま施策が積み上がる状態です。
特に注意したいのは、次の2つです。
- 分岐やステップを増やしすぎる(丁寧に見えても、ステップが進むほど対象の母数が減り、改善の打ち手が効きにくくなります)
- コンテンツから逆算してしまう(「この資料があるから送る」という起点だと、顧客の状態や次のアクションにつながりにくく、結果として商談化が伸びません)
シナリオより先に決める3つの軸
少人数でも回るナーチャリング運用にするためには、最初に「設計の軸」を揃えることが重要です。
具体的には、次の3点をセットで決めます。
- 起点行動(何をした人を対象にするか)
- 顧客状態(その行動から推測できる検討フェーズはどこか)
- 次に進めたいゴール(個別相談・デモ・日程調整など、次の一歩を何にするか)
この3点が揃うと、「誰に」「何を」「なぜ届けるか」がブレにくくなり、分岐を増やさなくても成果につながるシナリオを作れます。
全体像は次の図のように、起点とゴールが明確な設計に絞ることがポイントです。

例えば、特定の資料をダウンロードした人に対しては、いきなり多段階の育成に入るのではなく、「次に進めたいゴール」を先に決め、そのゴールに必要な情報だけを短い導線で届けていく考え方が有効です。
事例で見る 少人数でも回るシンプル設計の作り方
FanGrowthの事例(カテゴリから入り、商談に直結する導線を短くする)
FanGrowth事業では、立ち上げ期にウェビナーを多数実施してリードを蓄積し、一定のリード母数が整った段階でナーチャリングを本格化させました。

ナーチャリングでは、自社サービスをいきなり打ち出すのではなく、まず「カテゴリ」を前面に出して認知を作り、課題理解を進めていく方針を置きました。課題を感じたときに、最初から特定製品の比較検討に入るとは限らないためです。

そのうえで、導線はあえてシンプルにしています。まず「次に進めたいゴール」を営業の日程調整に置き、対象をWebアクセスが発生したターゲット業種に絞り、ゴールに必要なオファーとしてシミュレーションの提示を組み込みました。
- ゴールは営業の日程調整
- ゴールに進む理由としてシミュレーションを提示
- 対象はWebアクセスがあったターゲット業種
設計変更後の推移を見て、商談発生数の伸びを確認しながら改善を進めています。

運用上の要点は、「最初から分岐を増やさない」「顧客との関係性とオファーを磨く」をセットで徹底することです。
村尾 氏:多段階シナリオは最初から作り込まず、顧客との関係性とオファー(CTA)を磨くのを
優先しています。
見 山 :そのためにも、まず「次に進めたいゴール」を決めて、必要な情報だけを短い導線で
届ける設計が効きますよね。
村尾 氏:そうなんです。ゴールから逆算して対象を絞ると、運用も改善も速くなります。
ferret Oneの事例(フェーズの学びを踏まえ、行動検知で営業接続を速くする)
ferret Oneのマーケティングでは、リード獲得を最優先に進めた時期を経て、ナーチャリング強化へ
移行しました。フェーズごとの学びを積み上げた結果、複雑なスコアリングを作り込むよりも、「動いた人」を逃さず営業接続につなぐ運用に重心を置いています。
まず全体の変遷を整理すると次のとおりです。

- 接点維持のメルマガ中心期(送るだけでは商談化につながりにくい課題が見えました)
- シナリオ設計の強化(CV後・失注後・休眠顧客といった対象を想定して設計を進めましたが、複雑な設計は形骸化しやすい点にも直面しました)
- 行動検知を起点にした運用(料金ページ閲覧などのホットな行動を検知したタイミングで、インサイドセールスへ即座に通知する方向へ移行しました)
- 商材の増加に合わせた接続設計(すべてのリードを営業に渡すのではなく、対象・状態・接点・渡し方を整理し、優先順位を明確にしました)
特に重要な転換点が、行動検知の活用です。スコアを貯める発想よりも「検討が進んだ兆候を拾う」発想に切り替えることで、少人数でも商談化に近いところへリソースを寄せやすくなります。
見 山 :料金ページ閲覧などの行動を検知したら、スコアを貯めるより先にISへ通知して動ける
状態を作ります。
村尾 氏:検討が進んだ兆候を拾えると、少人数でも商談に近いところへリソースを寄せやすい
ですよね。
見 山 :商材が増えるほど、対象・渡し方・優先順位のルールを先に整えるのが効きました。
また、商材が増えるほど運用の負荷は上がるため、体制は商材ごとではなくファネルごとに担当を置く形へと柔軟に変え、運用を深める方向を取りました。

失敗しがちなポイントを先に潰す(分岐過多・コンテンツ起点)
施策を始める前に「失敗パターン」を押さえておくと、作り込みに時間を使わずに済みます。
分岐を増やすほど、改善できる対象が減る
分岐やステップを増やすと、開封・クリックなどの遷移ごとに対象の母数が減っていきます。
結果として、改善してもインパクトが出にくくなります。
コンテンツが先に立つと、ゴールに接続しない
「この資料があるから送る」の順序になると、顧客状態の見立てや次のゴールが置き去りになりやすくなります。起点行動・顧客状態・次のゴールを先に揃え、必要なコンテンツだけを当てはめていく順序にすると、導線が短くなりやすいです。
少人数チームで成果を出す運用(ハウスリスト・営業連携・KPI)
商談につながるハウスリストを作る(量より「アクティブ」を増やす)

成果を出すためには、ハウスリストの「量」だけでなく「アクティブな状態のリードがどれだけいるか」を追う必要があります。新規流入の量と、既存リードが動く状態を維持できているかを合わせて捉えると、商談につながる改善点が見えやすくなります。
ターゲット情報を揃え、営業が動ける形で渡す
運用を進めるほど、「動いてくれる人」に最適化してターゲットからズレていくリスクが出てきます。業種や従業員規模などのターゲット情報を整え、ターゲットに合う人へ優先的に届けられる状態を
作ることが重要です。
コンテンツは「フェーズ別」に揃え、ウェビナーを資産化する

コンテンツは、認知・興味/関心/比較検討といったフェーズごとに必要な情報が異なります。少人数チームでは、ウェビナーを複数回展開し、それを動画やイベントレポートとして再活用することで、制作工数を抑えつつ継続接触を作れます。
KPIは4段階で捉え、どこで詰まっているかを特定する

運用のKPIは、メールの開封率・クリック率といった配信指標だけで終わらせず、顧客行動、営業接続、事業成果までを段階で区別して見ます。
段階ごとにボトルネックを特定できるため、改善が速くなります。
複数商材では、目的でナーチャリングを切り替える
複数商材を扱う場合は、商材の特性に応じて目的を明確に分け、ナーチャリングの役割とコンテンツを切り替える考え方が有効です。
- 需要創出(デマンドジェン)型(課題認識を作ることを重視し、成功・失敗パターンや課題整理につながる情報を届けます。次のアクションは診断・相談などが適します)
- 見込み顧客獲得(リードジェン)型(検討を前に進めることを重視し、比較・事例・料金・機能・導入手順などを届けます。次のアクションはデモ・料金表・個別相談などが適します)
まとめ
MAがメルマガ配信中心になってしまう背景には、分岐を増やしすぎたり、コンテンツ起点で設計してしまったりして、営業接続までの道筋が曖昧になる問題があります。ここを解消する鍵は、シナリオの作り込みではなく、 起点行動・顧客状態・次のゴールを先に揃え、短い導線で「次の一歩」へつなぐ設計に切り替えることです。
今日から始めるアクションは、次の3つに絞ると進めやすくなります。
- まずは「次のゴール」を1つに決め、対象となる起点行動を絞る
- ターゲット情報を整え、営業が動ける形で渡す(通知・優先順位・ルールの明文化)
- KPIを4段階で切り分け、ボトルネックがある段階にだけ改善を集中させる
この3つを起点に運用を組み直すことで、少人数でも「配信するだけ」を脱し、商談につながるナーチャリングへ移行できます。
MAを「メルマガ止まり」から変えたい方へ
ここまでご紹介したように、ナーチャリングを改善するために、必ずしも複雑なシナリオを作り込む必要はありません。
まずは、
・どの行動を起点にするのか
・その顧客は今どんな状態なのか
・次にどこへ進んでもらいたいのか
を整理し、営業接続までの導線をシンプルに設計することが重要です。
とはいえ、
「自社では、どの行動をホットと判断すればいいかわからない」
「今あるハウスリストを、どう商談につなげればいいかわからない」
「シナリオやスコアリングを作っているものの、うまく運用できていない」
「マーケと営業の連携を、どこから見直せばいいかわからない」
という方も多いのではないでしょうか。
ferretでは、現在のMA運用やハウスリストの状態、営業との連携方法などを整理しながら、自社に合ったナーチャリングの進め方を一緒に考えるご相談も受け付けています。
「新しいツールを入れるべきか」を決める前の段階でも問題ありません。
まずは今の運用のどこにボトルネックがあるのか整理したい、メルマガ配信中心の状態から次の一歩へ進みたいという方は、ぜひお気軽にご相談ください。










