【イベントレポート】【ferret 15min TIPS】LLMO、そもそもうちはやるべきなんですか?

LLMOが話題になる一方で、「限られたリソースで今どこまで投資すべきか」「何から着手すれば成果に近づくのか」「何を成果として見ればよいのか」が曖昧なまま、判断に迷うケースは少なくありません。
本記事は「LLMO、そもそもうちはやるべきなんですか?」をテーマにしたセミナーレポートです。
ferret Oneの検証データをもとに、取り組むべき優先順位と成果の見方、投資判断の基準を整理します。読み終える頃には、自社が今どのレベルまでLLMOに取り組むべきかを判断し、最初の打ち手と測る指標を具体化できます。
- この記事の要点
LLMOは、まず「顕在層が判断できる情報」を整える
LLMOというと、AIに引用される記事を増やしたり、AI検索での露出を増やしたりする施策をイメージしがちです。
しかし、まず優先したいのは、製品・サービス、料金、対象顧客、導入事例、FAQなど、比較検討に必要な情報を正しく伝えられる状態を作ることです。
AI経由で自社を知ってもらえても、比較検討に必要な情報が不足していれば、コンバージョンや商談にはつながりません。まずは成果に近い顕在層向けの情報から整えることが重要です。
「AIに引用されたか」より、コンバージョンや商談につながったかを見る
LLMOでは、AIからの引用数やAI経由の流入数が注目されやすいですが、それだけで成果を判断するのは十分ではありません。
重要なのは、AIをきっかけに自社を知った人が、問い合わせや資料ダウンロード、商談といった次の行動につながっているかです。
引用数や記事本数は施策の進捗を見る指標として捉え、最終的にはコンバージョンや商談化まで含めて評価する必要があります。
LLMOへの投資は、自社サイトの整備状況に合わせて決める
すべての企業が、いきなり独自調査やAI引用を狙ったコンテンツ制作に投資する必要はありません。
料金や対象顧客、機能、事例などの基本情報が不足しているなら、まずはサイトの土台を整える。基本情報はあるものの「誰に、なぜ選ばれるのか」が伝わっていないなら、事例や比較情報を充実させる。
そのうえで余力があれば、独自データや専門知見など、AIから引用される情報への投資を検討します。
「LLMOをやるか・やらないか」ではなく、自社が今どこまで取り組むべきかを判断することが重要です。
この記事では、ferret Oneの検証データをもとに、LLMOの優先順位や成果指標、自社に合った投資レベルの考え方を解説します。
登壇者紹介

株式会社ベーシック マーケティング部 マネージャー
見山 悠妃
営業支援会社にて現場営業からマネージャーを経験。その後「1人マーケター」としてマーケティング部署を立ち上げ、サービスサイト制作・コンテンツ制作・ウェビナー施策・MA活用の基盤を構築。
2021年にベーシックに入社し、BtoBマーケサービス「ferret One」のインサイドセールス、フィールドセールス、イベント企画登壇などを経て、現在はマーケティングマネージャーとして、マーケティング・事業部を横断した戦略立案/企画/オペレーション設計を担う。

株式会社ベーシック マーケティング部 リーダー
後藤 大貴
2022年にベーシックに入社し、ferret Oneカスタマーサクセスとして顧客の「BtoBマーケティング」の立ち上げ支援から関わり、担当社数は約100社にも及ぶ。製造業・ITサービスから人材業界まで幅広い業界を担当し、中長期的な戦略からサイト改善やコンテンツ制作までの、マーケ施策の提案と伴走支援を行う。
現在はマーケティング部に異動して、商材を横断したナーチャリングファネルの戦略立案/企画/オペレーション設計を担う。
まず押さえる結論|LLMOは「情報基盤づくり」であり、優先度は顕在層から
LLMO(大規模言語モデル最適化)は、AIに引用されるための小手先の施策ではなく、 AIにも顧客にも自社の価値が正しく理解される情報基盤を作る取り組みです。成果を「引用数」や「AI流入数」だけで判断すると、本来つながるはずのコンバージョンから逆算した改善が後回しになりがちです。まずは、比較検討に必要な情報(製品・サービス、料金、対象顧客、事例、FAQなど)を整え、顕在層の意思決定を前に進めるところから着手します。
Step1|LLMOの目的を定義する(AIにも顧客にも伝わる状態を作る)

LLMOで目指す状態は、大きく次の3つに分けて考えられます。
- 独自調査や専門的な解説がAIに引用・参照されること。
- 特定の業界や課題について相談された際に、自社が選択肢として推奨されること。
- 製品・料金・対象顧客の情報が正しく伝わり、比較検討時に候補から外れないこと。
例えば「引用」を狙う場合は一次情報を作り続ける工数が必要になります。一方で「比較検討で正しく説明される」ことを狙うなら、製品ページやFAQなど既存の情報整備から始められます。何でも同じ打ち手に寄せるのではなく、目的ごとに投資対象を分けて考えることが、無駄な遠回りを防ぎます。

Step2|優先順位はファネル下流から(顕在層の情報整備を最優先にする)
LLMO対策は、マーケティングファネルの考え方で優先順位を付けると整理しやすくなります。まず手を付けるべきは、顕在層(明確層)が比較検討で参照する情報です。

顕在層に対しては、 製品・サービス、料金、対象顧客、事例、FAQといった「判断に必要な基本情報」を整備することが最優先です。ここは自社でコントロールしやすく、商談に近いコンバージョンに直結しやすいためです。
次に準潜在層(準顕在層)へ向けて、業界別の課題解決、導入事例、比較観点、ユースケースなどを具体化し、「なぜ選ばれるのか」を言語化します。
潜在層(情報収集層)へ向けた取り組みは、独自調査や専門知見など引用され得る一次情報の蓄積が中心になります。短期のコンバージョンとは距離があるため、土台の整備が進んだ段階で投資判断を行うのが現実的です。
Step3|よくある誤解を検証データでほどく(指標の見誤りを防ぐ)
LLMOは「AI検索で上位表示されるためのテクニック」と誤解されやすく、指標設定を誤ると成果につながりません。ここでは、検証結果を手掛かりに誤解を整理します。
誤解1|引用されればそのまま成果につながる

AIに引用されること自体は重要ですが、引用が直接コンバージョンに直結するとは限りません。検証では、 AI経由のコンバージョンが製品・サービス系ページ、資料ダウンロード、料金、問い合わせなど「検討終盤に近いページ」に集中していました。ブログ記事のセッション比率が増えてもCVRへの貢献は限定的で、反対に製品・サービス系ページはセッション比率が低くても高いCVRを記録しています(例:15.38%)。

つまり、AI経由の流入を増やす前に、検討者が製品・サービス情報へ到達したときに迷わず次の行動へ進めるか(導線・情報・回答の揃い具合)を整える必要があります。
誤解2|AI流入が増えればよい

AI経由の訪問数が増えることと、コンバージョンや商談化が同じように伸びることは別問題です。流入数だけを追うと、営業部門から見た事業インパクトが伝わりにくくなります。入口別のコンバージョンや商談化まで含めて「質」を追い、改善対象を絞り込みます。
誤解3|ブログ記事を増やせばよい

ブログ記事を増やすこと自体が悪いわけではありませんが、優先順位を誤ると成果に近づきません。検証では、AI経由のコンバージョンが問い合わせや製品情報など、検討に近いページへ集まりやすい傾向が確認されています。まずは顕在層向けの土台を整え、その上で「引用される一次情報」や「選ばれる理由」の発信へ投資する順番が現実的です。
また、AIの回答において第三者サイトの情報が参照されるケースも見られました。自社サイトの情報整備に加えて、第三者サイト上の記載と自社の主張にズレがないかも確認ポイントになります。
Step4|成果指標を決める(引用より先にコンバージョンを測る)

成果は、AI流入に直接表れる指標だけでなく、事業成果につながる指標で判断します。直接計測できる指標としては、 AI経由の訪問数、入口別のコンバージョン数・CVR、追跡可能な範囲での商談化数が中心になります。
一方で、AIが購買行動に与える影響には直接計測が難しいものもあります(AIで比較検討した後に社名で指名検索し、オーガニック経由で問い合わせるなど)。このギャップを埋めるには、以下のような運用が有効です。
- フォームで認知経路を確認する(AI経由を把握できるようにする)
- 営業と連携して商談時の情報収集プロセスを確認する(AI利用の有無を拾う)
引用数や記事本数は、施策が進んでいるかを把握する補助指標として扱い、最終的なコンバージョンと商談化に結びつくかを主軸に評価します。
Step5|自社はどこまでやるべきか(投資判断の基準と進め方)
LLMOへの投資判断は、自社サイトの整備状況に応じて段階的に考えるとブレません。

判断の目安は次の3段階です。
- 料金・対象顧客・機能・事例が不足している、または情報が古い
まずはサイトの土台整備が最優先です。重要なサービスページやFAQの修正から着手します。 - 基本情報はあるが、「誰に、なぜ選ばれるか」が伝わらない
業界別・課題別ページ、導入事例、比較観点などを充実させ、検討材料を揃えます。第三者レビューサイト上の説明と整合しているかも確認対象になります。 - 上記が整い、独自データや専門知見も発信できる
追加投資を検討し、独自調査や専門的な解説を継続して公開・検証し、AI上での露出を広げます。

取り組みの進め方は、次の4ステップで整理できます。

- AIに質問を投げかける
自社名に加えて「おすすめ」「比較」「評判」など、顧客が使いそうな問いでAIに聞き、現状の見え方を把握します。 - AIの回答を分析する
自社や競合がどのように紹介され、どんな理由で選ばれているかを確認し、自社サイトや第三者サイトの記載と突き合わせます。 - AI流入とコンバージョンを確認する
入口別コンバージョンと、可能な範囲で商談化まで追い、改善の優先順位を付けます。 - 基礎情報を修正する
製品、料金、事例、FAQなどの不足や古い情報から順に直し、顕在層が迷わない状態を作ります。
まとめ|「やる・やらない」ではなく、成果に近い順に投資する
LLMOは、流行に合わせて一律に取り組むものではなく、 自社の情報整備状況に合わせて投資配分を決める施策です。最初に整えるべきは顕在層の比較検討を前に進める基本情報であり、評価も引用数ではなくコンバージョンと商談化を主軸に置きます。
本記事の考え方に沿って、(1)自社がAI上でどう見られているかを確認し、(2)顕在層向けの土台を整え、(3)入口別コンバージョンで成果を判断する流れを作ることで、LLMOへの投資判断と打ち手の優先順位を迷わず決められるようになります。
「LLMO、うちはどこからやるべき?」と迷ったときは
ここまでご紹介したように、LLMOは「とにかくAIに引用されるコンテンツを増やす」といった一律の施策ではありません。
まずは、自社の製品・サービス情報が十分に整っているか、比較検討に必要な情報が伝わっているかを確認し、そのうえで次に投資する領域を決めることが重要です。
とはいえ、実際に取り組もうとすると、
・自社サイトのどこから見直せばいいかわからない
・SEOやサイト改善とLLMO、どちらを優先すべきか決めきれない
・AI上で自社がどう見られているのか、どう評価すればいいかわからない
といった悩みも出てきます。
そんなときは、LLMO施策だけを切り出して考えるのではなく、現在のサイトやコンテンツ、リード獲得の状況まで含めて、一度優先順位を整理してみるのもひとつの方法です。
ferretでは、BtoBマーケティング全体の状況を踏まえながら、サイトの情報設計やコンテンツ、SEO・LLMOを含めた施策の優先順位を整理する支援を行っています。
LLMOにどこまで投資すべきか、まず何から整えるべきかなど、具体的な施策がまだ決まりきっていない段階からでもご相談いただけます。
自社に合った進め方を一度整理したい方は、ぜひお気軽にご相談ください。











