【ferret活用 マーケ成功事例】― IR運用まで進化させたマーケ改革 ―「自走力の高い組織」を育てた仕組み(株式会社エルテス様)

BtoBマーケティング現場のリアルなお悩みをテーマに具体的な成功事例を紹介する「BtoB Marketing SUCCESS」シリーズ。2025年8月8日開催のセミナーでは、株式会社エルテス様をお迎えしました。
マーケティング未経験の状態からスタートし、いかにして自走力の高い組織を作り上げたのか。また、その知見を活かしてIR運用まで改革を進めたプロセスについて、ディスカッション形式で深堀っていきました。
本レポートでは、セミナーの内容を抜粋してご紹介します。
>本セミナーで登場するferretサービス紹介資料のダウンロード【無料】はこちら
目次[非表示]
- 1.セミナーアーカイブ動画
- 2.登壇者紹介
- 2.1.パネリスト
- 2.1.1.株式会社エルテス様の事業紹介
- 2.2.モデレーター
- 3.サマリー
- 3.1.エルテス様の成果
- 3.2.1. Webマーケティングに関する社内課題
- 3.3.2. 挑戦×スピードを両立させる運用体制の仕組み化
- 3.4.3. 自走力の高い組織をつくる、KPI設計と育成ポイント
- 3.5.AFTER STEP マーケティング視点で考えるIR運用
- 4.1. Webマーケ取り組み以前の『社内課題』
- 4.1.Webマーケ取り組み以前の『社内課題』
- 4.2.サイトの更新の属人化
- 4.3.課題への打ち手とCMS導入の壁
- 5.2. 挑戦×スピードを両立される運用体制を仕組み化
- 6.3.自走力の高い組織をつくる、KPI設計と育成ポイント
- 6.1.個人と組織の成長を促進するKPI設計
- 6.2.得られた成果
- 7.TOPIC 経営層を巻き込む「全体最適」と「IR運用」への進化
- 8.エルテス様も使っている「ferret」資料ダウンロード
セミナーアーカイブ動画
登壇者紹介

パネリスト
株式会社エルテス
経営企画部 部長/マーケティング部 部長(2025年8月当時)
奥村 高大 氏大学卒業後、金融機関、人材紹介ベンチャーを経て、2018年に株式会社エルテスに入社。
人材紹介企業では、大手企業の役員クラスの人材紹介なども手掛ける。
エルテスでは、マーケティング業務に従事し、デジタルリスクラボの立ち上げ、運営、執筆なども行ってきた。現在は、経営企画部長/マーケティング部長として広報・IR・マーケティングの責任者を務めている。
株式会社エルテス様の事業紹介

「安全なデジタル社会をつくり、日本を前進させ続ける。」をミッションに、インターネットやSNS、テレワークなどの普及で進化し続けるデジタル社会に潜む新たなリスクから企業を守るソリューションを提供する「デジタルリスク事業」に加え、従来型の人的警備にデジタル技術を融合して新時代の安全保障をつくる「AIセキュリティ事業」、デジタルを活用した人に優しい社会への変革を目指す「DX推進事業」、スマートな街づくりで地方創生への貢献を目指す「スマートシティ事業」を展開しています。
私たちは、これらの事業を通じて、デジタル社会の発展をサポートしています。
▼BtoBマーケティングツール「ferret One」で運営している株式会社エルテス様のWebサイトはこちら。
サービスサイト:https://eltes.co.jp/service/
コーポレートサイト:https://eltes.co.jp/
モデレーター
株式会社ベーシック
SLG事業部 ferret セールス部 責任者
神田 智貴 氏2017年新卒にてベーシックに入社。ferret One事業のインサイドセールス・カスタマーサクセスを経て、同事業のフィールドセールスを8年担当。これまで延べ300社を超える企業様のBtoBマーケティングのご支援を実施。マーケティングの施策提案にとどまらず、初めてデジタルマーケティングに取り組む企業の組織体制構築や目標設計などのコンサルティングを通した全体を俯瞰した提案に定評がある。
株式会社ベーシックのサービス「ferret」のご紹介

「ferret」は、BtoBマーケティングに必要なツールとコンサル・代行支援を提供するサービスです。
課題に合わせて貴社に不足している要素を過不足なく提供。使いやすいツール、Webサイト、伴走サポート、制作代行など、必要な要素をまるっと揃えることができます。ツールだけ、コンサル・代行支援だけ、あるいはその両方。貴社に合ったサービスをご提案いたします。
株式会社エルテス様には、サービスサイトとコーポレートサイトの両方にて「ferret」のサービスをご活用いただいております。
>本セミナーで登場するferretサービス紹介資料のダウンロード【無料】はこちら
サマリー

「忙しくて全部は読むのは大変…」という方に向けて、本セミナーの重要なポイントをまとめました。関連する章へのリンクもつけておりますので、気になるところだけでもぜひ詳細をお読みいただき、マーケティング活動にご活用ください!
エルテス様の成果

マーケティング未経験者を含む少人数の若手チーム体制でありながら、ツール導入と組織改革により劇的な成果を創出しました。
- ツール導入前後で人員数は変わらないまま、ホットリード数やターゲットリード数は約2倍。
- 営業部門との連携強化により、ターゲット企業のリード含有率が想定(30〜40%)を大きく上回る60%以上を達成。
- 以前はWebサイト更新に1ヶ月かかっていた作業が、数日〜即日で完了するスピード感を実現。
- マーケティングで培ったノウハウをIR活動にも応用し、投資家向け情報発信の改革に成功。
1. Webマーケティングに関する社内課題
- マーケティング組織がなく、ノウハウが不足していた
- 代理店経由の案件が主軸だったため、自社マーケティングへ期待値が低かった
- サイト更新は社内エンジニアへの依頼が必須で、施策が実行しづらい環境
Webマーケティングに取り組むにあたっての壁
- ノウハウ不足の不安:社内にノウハウがなくても、成果が出るのか?
→解決策:外部のマーケティング支援サービスの活用(「ferret」の導入) - セキュリティの不安:情報システム部門からセキュリティリスクの指摘あり。
→解決策:詳細なセキュリティチェックシートへの対応で理解を得た。 - 現場定着への不安:実際に手を動かすメンバーが使いこなせるか不安があった。
→解決策:メンバーに意見を聞き、「自分たちが責任を持って運用できるツール(ferret One)」を選定。
詳しくはこちら 1. Webマーケ取り組み以前の『社内課題』
2. 挑戦×スピードを両立させる運用体制の仕組み化
Webサイトの更新に1ヶ月かかっていた状態から、どのようにしてスピーディーな運用体制へと変化させたのかを伺いました。
- ノーコードCMSによる脱属人化エンジニアへの依頼フローを撤廃。自部署で修正が可能になり、施策実行までのリードタイムが「1ヶ月」から「数日〜1週間」に短縮。
- レビューフローの高速化
チャットツール(Slack)上で作成したテストページを共有し、即座にフィードバックを行うことで、承認プロセスの停滞を解消。 - 「まずやってみる」文化の醸成
若手メンバーからの自発的な提案や実装を歓迎する雰囲気を作り、挑戦しやすい環境を作った。
詳しくはこちら 2. 挑戦×スピードを両立させる運用体制の仕組み化
3. 自走力の高い組織をつくる、KPI設計と育成ポイント

半数が入社2年以内の若手社員というチームで、高い自走力を生み出している工夫について伺いました。
- 3軸でのKPI設計
縦割りの弊害(ポテンヒット)を防ぐ「共通目標(チーム)」に加え、個人の「結果指標」とプロセスを評価する「行動指標」を組み合わせて評価。 - メンバー自身による計画策定
上から降りてきた数字ではなく、「目標達成のために何が必要か」をメンバー自身が考え、アクションプランを立てることでコミットメントを高めた。 - インプット・アウトプットの習慣化
外部セミナーへの参加や情報収集をKPIに組み込み、週次ミーティングでチーム内に横展開することで、個人の知見を組織の知見へと昇華させた。
詳しくはこちら 3.自走力の高い組織をつくる、KPI設計と育成ポイント
AFTER STEP マーケティング視点で考えるIR運用
マーケティングで培った「自走する組織」の力は、さらに経営層を巻き込んだ全社的な活動や、IR領域へと広がっています。
WebマーケとIRの共通項
「ターゲットに適切な情報をタイムリーに届ける」という本質は同じと考え、マーケティングの手法をIRに応用。
- 情報の見やすさ改善:決算情報などをトップページに配置し導線を設計。
- コンテンツの資産化:決算FAQなどを蓄積しWebサイトを充実化。
- スピード決裁:経営会議で「こういうページを作りたい」とテストページを直接見せることで、「翌週公開しよう」と即決されるスピード感を実現。
詳しくはこちら TOPIC 経営層を巻き込む「全体最適」と「IR運用」への進化

1. Webマーケ取り組み以前の『社内課題』
2018年の入社当時、株式会社エルテス様ではWebマーケティングに関して大きく3つの課題を抱えていました。
- マーケティング組織がなく、ノウハウが不足していた
- 紹介案件が多く、自社マーケティングへの期待度が低かった
- サイト更新を他部書に依頼しており、施策が実行しづらい環境
これらの課題を抱える中、Webマーケティングに取り組むに至った経緯を詳しく伺いました。
Webマーケ取り組み以前の『社内課題』

神田氏:
まず始めに、2018年当時の「Webマーケティングに関する社内課題」について教えていただけますか。
奥村氏:
入社当時は大きく3つの課題がありました。
1つ目は、「マーケティング組織がなくノウハウが不足していた」ことです。当時は「事業推進室」という部署で、営業事務や営業企画などを包括して事業を推進しており、Webマーケティングを専任で行う人材がおらず、ノウハウも蓄積されていない状況でした。
2つ目は、当時は代理店様からの紹介案件で成果を出していたため、経営的にも自社でリードを獲得することへの期待値が低かった点です。そこに人と予算を投資することの費用対効果という考え方が、なかなか根付いていませんでした。
3つ目は、これらが起因して「Webサイトの更新に1ヶ月ほどかかってしまっていた」ことです。HTMLやCSSといった専門知識がないと動かせない部分があり、一つ間違えるとサイトが崩れてしまうリスクもありました。そのため、施策を一つ行うにも社内調整をしてエンジニアに手伝ってもらう必要がありました。
サイトの更新の属人化

神田氏:
当時で言うと、まだマーケティングチームというものがなくて、結果としてノウハウ不足や社内の期待値の低さがあったということですね。
特に「サイト更新の属人化」によって、現場ではどのようなことが起きていたのでしょうか?
奥村氏:
社内のフロントエンジニアの方々に部署を超えてお願いをしに行き、「この施策をなんとかやりたい」「これをやればこれだけの成果が出ます」といった社内営業を行っていました。
「このタイミングなら少し余力があるからやるよ」と言ってはもらえるものの、細かい色や大きさの調整などで何度もやり取りが発生し、お互いに工数がかかってしまっていました。
私自身やメンバーにとっても、エンジニア側との調整が必須のため、Webサイトへのテコ入れに対する心理的ハードルが高くなってしまい、施策が回しにくい状況がありました。
神田氏:
1つ1つの施策が非常に貴重な状況ですよね。1つの施策に1ヶ月かかるとなると、今月何をやるべきかを慎重に考えなければならないと思います。当時の優先順位付けはどのようにされていたのでしょうか。
奥村氏:
受注や売上など、成果につながりやすい施策を優先していました。ただ、「まずは自分たちでできることからやってみよう」ということで、CMSでコンテンツを投下したり、ウェビナーを開催したりすることから始めました。
しかし、ホットリードを増やし、メルマガも頑張ったけれど、最後にCVR(コンバージョン率)を上げたいという段階で、やはりWebサイトの問題に直面しました。
セミナーの申込者を増やしたいという、「80点から100点に行く施策」の段階で、Webサイトの細かい修正が必要になり、それが目の前の壁として立ちはだかりました。これを何とか解決しなければならない、いわば「最後の壁」のような印象でした。
神田氏:
その状況を最終的にどのように打破されたのでしょうか。
課題への打ち手とCMS導入の壁

奥村氏:
大きく2つの打ち手があると考えていました。「マーケ組織に専属のエンジニアを採用する」か、「エンジニアがいなくても使えるノーコードCMSを導入して環境を作る」かです。
当時の私たちの規模感などを踏まえて検討した結果、ノーコードCMSを導入し、自分たちでPDCAを回していこうという意思決定をしました。
全員がマーケティング初心者のチームにおいて、「成功体験を積み、失敗から学べる環境」を作るためには、エンジニアに依存せず、自分たちで自由にPDCAを回せる環境が必要だと判断したからです。
神田氏:
そのタイミングで弊社のferret Oneを導入いただきましたが、CMSの導入にあたって難しかったエピソードなどはありますか?
奥村氏:
大きく2つありました。1つ目はセキュリティです。WordPressなどもメンテナンスしなければリスクが高まる中で、ノーコードCMSはどうなのかという議論がありました。そこはインフラチームから提示された細かいセキュリティチェックシートをクリアしながら理解を得ていきました。
2つ目は、実際に使うのはメンバーであるという点です。メンバーにとって使いやすい、触ってみたいと思わないとPDCAは回らないので、当時のメンバーからしっかり意見を聞いて、「どのツールが一番使いやすいか」「自分が責任を持って導入できるか」というコミュニケーションをとりました。
神田氏:
実際に使われる方々が「使いやすい」「使いたい」と思って導入いただけたのは、改めて聞くと感慨深いです。
2. 挑戦×スピードを両立される運用体制を仕組み化
ノーコードCMS「ferret One」の導入は、単なるツール変更にとどまらず、マーケティングチームの働き方そのものを大きく変える転機となりました。ここでは、どのようにして施策のスピードと量を最大化させたのか、その運用の仕組みに迫ります。

神田氏:
若手でチームも作りたてという状況で、運用体制を仕組み化できた秘訣は何でしょうか?
奥村氏:
「チャレンジできる環境をどれだけ作ってあげられるか」が重要だと考えていました。
CMS導入によって、エンジニアの方にパワーポイントで説明する必要がなくなり、実際にちょっといじってみて「このボタンの色、こっちの方が押しやすそうだけどどう思います?」と画面を見せながら聞けるようになりました。
以前は1ヶ月かかっていたものが、今は朝ミーティングで「こういうことしようよ」と話したら、夕方には新卒の子が反映していたりします。メンバーからも「1日でできますよ」という言葉が出るようになり、組織としてのスピード感が全く違います。
神田氏:
実際には1ヶ月が数日になっているということですよね。
奥村氏:
そうですね。PDCAを回すスピードが速くなり組織として強くなったなと思いますし、メンバーのスピードに対する意識も大きく変わりましたね。
心理的ハードルを下げる「まずはやってみよう」の文化

神田氏:
「自走する組織を作りたい」というのは多くの企業様の願いですが、実際には難しいものです。具体的にどのような工夫をされたのでしょうか?
奥村氏:
とにかく「心理的なハードルを下げる」ことに注力しました。
CMSなら修正も簡単なので、「まずはテストページを作ってみてよ」と気軽に指示を出します。実際に画面を見ながら「このボタンの色、こっちの方が良くない?」といったフィードバックをその場で行うことで、承認フローも高速化しました。
Slackなどでもラフに確認依頼を投げ合える空気を作り、「いいじゃん、やってみよう」と背中を押すことで、メンバーの当事者意識が高まっていきました。
3.自走力の高い組織をつくる、KPI設計と育成ポイント
株式会社エルテス様のマーケティングチームは、半数が新卒入社2年以内という若手主体の構成です。経験の浅いメンバーでも高いパフォーマンスを発揮し、自走できる組織を作るための「KPI設計」と「育成の仕組み」について伺いました。

個人と組織の成長を促進するKPI設計
奥村氏:
活動してもらうためには「何を評価するのか」の設計が非常に大事かなと思っています。
4つのポイントを挙げていますが、
1つ目はKPI設計でしっかり「頑張り(アクション数)」を評価してあげること。
2つ目は「達成計画」を自分たちで立ててもらうこと。上から言われた「100」という数字と、自分で「これくらいやらないと厳しいよね」と考えた「100」ではイメージが違うので、コミットメントが変わります。
3つ目は役割分担、そして4つ目はインプット・アウトプットの習慣化ですね。外部のセミナーに参加したり本を読んだりするインプットを、基礎行動としてKPIに入れています。
神田氏:
「達成計画はメンバー自身が立てる」という点について、詳しくお聞かせください。
奥村氏:
会社として追っている案件数(アポイント数)などの他に、各チャネルの流入元(Webサイト、セミナー、イベントなど)について、各チャネルの責任者であるメンバーに「達成するためにどれくらい施策量が必要か」「どのイベントに出るべきか」などの具体的な行動計画を立ててもらっています。
神田氏:
この4つの中で、自走力を高める上で一番の「肝」はどこでしょうか?
奥村氏:
KPIですね。KPIは、個人の目標と共通の目標を設けています。
どうしても縦割りのミッションだと「セミナー担当とWeb担当のどっちなんだ」というポテンヒットが生まれやすいので、それを防ぐために「共通目標(部署としての目標)」を入れています。その上で、個人のチャネル責任として「結果」と「行動量(プロセス)」を見て、失敗も含めてたくさん打席に立ってほしいと考えています。
神田氏:
例えばメンバーが作ってきた達成計画が、KPIに届かなさそうな場合や、結果たどり着かなかった場合はどうされていますか?
奥村氏:
分解してどこが悪かったのかを認識合わせすることが一番重要かなと思います。セミナーなら集客数が悪かったのか、ターゲット企業の含有率が低かったのか、コンテンツの中身なのか。どこにボトルネックがあったのかを一緒に深掘りして、「じゃあ次はこれしようね」と次につなげることしかないと思っています
神田氏:
若手メンバーのマネジメントにおいて、工夫やコツはありますか?
奥村氏:
難しい質問ですが、マネージャーや部長の中では「プランB」を持っていないといけないのかなと個人的には思っています。メンバーが出してくれた案を進めつつ、「数字がなかなかいかないよね」と分かっている中でもチャレンジさせて、途中で軌道修正する時にしっかりプランB、プランCを準備しておいて、そこに導いていく。それを元に成功体験を積んでもらうことが大事だと思っています。
神田氏:
横連携についてもご説明をお願いします。
奥村氏:
ポテンヒットを防ぐためにも横連携は重要です。週次ミーティングで情報共有の時間を設け、「セミナーで得た知見をWebサイトでも活用できるのでは」「それなら私ができます」といった会話が生まれるようにしています。
インプットとアウトプットを繰り返してもらうことで、若手メンバーも早期に戦力化しています。また、顧客を知るために商談同席もKPIに入れ、顧客を想像して仕事ができるようにしています。

得られた成果

神田氏:
このような取り組みの結果、どのような成果が得られましたか?
奥村氏:
営業とマーケティングの連携が強化され、ターゲット企業の含有率が60%以上、ホットリード獲得数2,500件以上(3ヶ月合算)という成果を創出しました。
神田氏:
人数が変わらない中で、成果が倍増しているのは驚きです。
奥村氏:
人数は変わりませんが、「企画のための時間」「能動的に動いてくれる時間」の比率が爆発的に上がっています。昔はマネージャーが考えて実行させていたのが、今は「みんな考える組織」「みんな自ら行動する組織」に変わっているのが最大の要因だと思います。
神田氏:
ターゲット含有率が60%以上というのも非常に高いですね。
奥村氏:
当初は30~40%いけば良いと思っていましたが、蓋を開けてみれば60%でした。
これは営業チームとのコミュニケーション量を増やし、彼らがどのようなリードを求めているのか、顧客がどのような課題を持っているのかをヒアリングし、「彼らが売りたいものを軸にセミナーを企画する」という基本を再徹底したことがポイントだったと思います。
TOPIC 経営層を巻き込む「全体最適」と「IR運用」への進化
マーケティング部門で培った「自走する組織」の力とデジタルの知見は、経営層を巻き込んだ全社的な活動や、IR(インベスター・リレーションズ)領域へと波及しています。
「部分最適」から「全体最適」へ。経営企画視点での投資判断

神田氏:
これからの展望について教えてください。
奥村氏:
大きく3つあります。
まず1つ目は、営業チーム、特に事業責任者が考えていることを体現できる組織であり続けることです。営業サイドと密に連携し、彼らの戦略をマーケティングとしてどう実行するか、コミュニケーションをさらに深めていきたいと考えています。
2つ目は、経営層との共通認識の形成です。「これだけ投資してもらえれば、ここまで事業成長に貢献できます」という投資対効果を明確に伝え、合意形成を図っていくことです。
神田氏:
なるほど。単に予算をもらうのではなく、事業成長のための投資として提案していくわけですね。
奥村氏:
はい。特に弊社の商材によっては、受注までに1年かかるようなものもあります。
神田氏:
BtoBだと、リードタイムが長い商材は多いですよね。
奥村氏:
そうなんです。だからこそ、「数年先の事業成長」を見据える必要があります。
1年後に数字を作るためには、今なにをすべきか。ゴールから逆算して、「今このタイミングでマーケティング組織にリソースや投資が必要です」ということを経営層に理解してもらい、実行に移していく。これが重要だと考えています。
神田氏:
そこで3つ目のポイントとして、奥村さんが兼務されている「経営企画」の視点が活きてくるわけですね。
奥村氏:
おっしゃる通りです。これまではマーケティング部門の中だけでの「部分最適」になりがちでしたが、これからは会社としての「全体最適」で計画を立てる必要があります。
例えば、同じ予算を使うにしても、「営業の人員を増やすのがいいのか」、それとも「マーケティングの出展コストを増やすのがいいのか」。どちらが全社としての成果(利益)に繋がるのかは、全体を俯瞰しないと判断できません。
神田氏:
確かに。「営業を増やすか、マーケティングを強化するか」という議論は、縦割りの組織だとなかなか難しいですよね。
奥村氏:
はい。ですので、事業部長クラスや幹部と「今はこういう意図で、ここに投資をしているんだ」という認識を揃えることが重要です。マーケティングが単なる一部署の活動ではなく、全社の成長エンジンとして機能するよう、全体最適の視点で推進していきたいですね。
その上で、認知拡大などの施策にも力を入れていきたいと考えています。
神田氏:
マーケティングが全社を支えていくという文脈で、今後も進化されていくのですね。非常に納得感のあるお話です。
マーケティングの知見を活かした「IR運用改革」

神田氏:
アフターステップとして、現在奥村さんが管掌されているIR運用体制についてもお聞かせください。
奥村氏:
今は業務の8割ほどを経営企画として行っており、グロース市場上場企業として時価総額を向上させ、正しく評価されるための情報発信がメインミッションです。
課題としてはWebマーケティングと非常に近くて、タイムリーな情報発信や、投資家に分かりやすい事業説明が求められています。
神田氏:
そこで「IR運用改革」として、コーポレートサイトにもferret Oneを導入されたわけですね。ただ、コーポレートサイトは直接的な売上に直結しないため、投資判断が難しい側面もあるかと思いますが、その点はスムーズでしたか?
奥村氏:
現在、東証の市場改革などで「投資家に知ってもらうこと」が重要視されており、上場廃止リスクの回避や企業価値向上という観点から、経営課題としての優先順位は非常に高いと判断しました。
神田氏:
具体的な取り組みとしてはどのようなことをされていますか。
奥村氏:
クォーターごとの決算に合わせてトップページを見やすく改修したり、中期経営計画(成長可能性レポート)を目立つ場所に配置したりしています。「これから3年間こういうことやりますよ」と気づいてもらうために、意図的に読んでほしい情報をユーザーの目につく場所に置く。この情報の優先順位付けは、マーケティングと全く同じ思考です。
神田氏:
どのIRページを見ても画一的なフォーマットが多い中で、「見やすさ」や「伝わりやすさ」を重視されているのは素晴らしいですね。IR運用でつまずきやすい点や、乗り越え方はありますか?
奥村氏:
やはり「経営層への説得」かなと思います。これは、マーケティングでエンジニアを説得するのと同様に、「このようなページを作ります」と見せた方が早い時があるんです。
直近でも、経営会議で「こういうページを作りたいんですけど」とテストページを提示し、「内容に問題ありません。翌週、公開しましょう」というようなスピード感で承認を得て、公開に向けて進めることができました。
神田氏:
テストページを即座に作れる環境があるからこそ、経営判断もスピードアップするんですね。
奥村氏:
はい。また、株主総会の事前質問フォームを作ったり、投資家向けにメールマーケティングをして「今のエルテスはこんなことをしています」と発信したり。マーケティングで培った「フォームを作ってサンクスメールを送る」といった知識やツール活用が、そのままIRにも活かされています。
神田氏:
Webマーケティングを通してターゲットにアプローチすることと、IRを通して投資家にアプローチすることは、本質的に同じなんですね。
奥村氏:
そうですね。認知度も含めて上がっていくことなので、切っても切り離せないものだと考えています。
さいごに
神田氏:
最後に、視聴者の皆様へメッセージをお願いします。
奥村氏:
本日は貴重な機会をいただきありがとうございました。これもマーケティング組織としてのチャレンジの一つであり、新しい経験をさせていただきました。
ferret Oneを導入して良かったのは、単にツールを入れたことではなく、組織の文化を変え、メンバーを育成できたことです。自分自身だけでなく、組織全体が強くなっていく過程にツールや皆様の協力があったからこそ実現できたと感じております。
まずはチャレンジできる環境を整え、失敗を恐れずに「打席に立つ」回数を増やしていくことが大切だと思います。
神田氏:
本日は貴重なお話をありがとうございました。
エルテス様も使っている「ferret」資料ダウンロード

株式会社エルテス様がご活用くださっていた「ferret」は、BtoBマーケティングに必要なツールとコンサル・代行支援を提供するサービスです。
マーケティングの知識がなくても、誰もがカンタンにマーケティングが実行できるように各企業の課題に合わせたサポートを行います。
BtoBマーケティングに関するご相談も受け付けております。ご興味のある方はぜひ資料をご覧ください。













