広告出稿とは?流れや費用をBtoBマーケターが徹底解説
(2021-03-27 更新)
BtoBの製品やサービスの広告を出稿する場合、まず考えなくてはいけないことは何でしょうか。
それは「どのような人・企業をターゲットとするか」と「広告の種類や媒体は何にするか」です。これらを検討する際の考え方と、広告形態や媒体の種類を解説します。
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広告出稿とは?
広告出稿とは広告を出すことです。英語では、「Advertising」と呼ばれ、Ad(アド)と略されることもあります。広告には、ネット広告やマス広告など複数の種類があり、掲載媒体を問わず「広告出稿」と呼ばれます。
BtoBにおける広告出稿とは?ターゲット層の考え方とBtoCとの違い
広告出稿にあたって最初に考えなければならないことは、「どのような人・企業をターゲットにするか」。
目的から逆算して広告のターゲットを選定するのは、広告出稿においてもっとも重要です。ターゲット選びをしっかり行わないと、費用をかけ広告を出しても本来の目的を果たせずに終わってしまうことになりかねません。
大まかなターゲットを定め、より明確にぺルソナ設定をすることで、どんなメッセージが刺さるのか、普段どんな媒体を活用しているのかまで具体的にイメージができるようになります。
ここでは広告のターゲットを以下の3つの層に分けて考えます。
1.潜在層 = 課題は抱えているがはっきりと認識していない、または漠然とした悩みを抱えているがソリューションを知らない(探そうとしていない)層
例)日常生活でいえば…… → 「今日は暑いな…」(喉がカラカラなことに気付いていない)
2.準顕在層 = 課題を解決したいというニーズはあるが、具体的な解決策は明確になっていない層
例)日常生活でいえば…… → 「喉が渇いたから何か飲み物を飲もうかな」
3.顕在層 = 課題の解決方針が明確になっていて、具体的な製品やサービスの検討に入っている層
例)日常生活でいえば…… → 「冷たい炭酸飲料を飲もう!○○ソーダにしようかな」
BtoBとBtoCではターゲットに違いがある
BtoCでは、準顕在~顕在層をターゲットとした広告出稿が圧倒的に多く見られます。
上記の飲み物の例でいえば、潜在層をターゲットとした「そこのアナタ、もしかして喉が渇いていませんか?」というようなニーズを掘り起こす広告はあまり見られません。「後味スッキリ!夏限定○○ソーダ」のように商品をダイレクトにPRにするものがほとんどです。
一方BtoBでは、準顕在・顕在層だけではなく潜在層もターゲットとし、3つの層それぞれへ向けて広告を打っていきます。
喉が渇いたときには飲み物を飲めばよいということを知らない人はあまりいませんが、BtoBだと、例えば「自社の業務効率が上がらないときにどうしたらよいか」を知らない人(=潜在層)がたくさんいるからです。
そして、同じ製品・サービスの広告でも、顧客の検討度合いによってアプローチが変わります。以下で具体的に解説します。
「潜在」段階のターゲットへの訴求イメージ
<発信すべきメッセージ>
潜在層のターゲットへ向けては、漠然とした課題感に気付かせるためのメッセージを発信します。「なんだか不便だ」「なんだか上手くいかなくてモヤモヤする」という状態の人に対して、「それはこういう課題があるからではないですか?」と提示するイメージです。
<メッセージの例>
「マーケティング業務のオペレーションに追われて、重要なことに時間を使えてないのでは?」
「中途採用のコスト、年収の1/3は高いと思いませんか?」
<CTA>
ホワイトペーパーダウンロードなど、ハードルの低いもの。
<出稿対象>
記事広告やタイアップ広告など、幅広い層が目にするもの。
「準顕在」段階のターゲットへの訴求イメージ
<発信すべきメッセージ>
課題に対して「この方法で解決して現状をこのように変えたい!」という欲求を明確化させるメッセージを発信します。たとえば、「暑い」という課題を抱えたターゲットに対して「上着を脱ぐ」「冷たい飲み物を飲む」「冷房を入れる」などのさまざまなソリューションが考えられる中で、自社が提供するソリューションを課題解決の具体策として想起してもらうイメージです。
<メッセージの例>
「マーケティング業務を効率化して、重要な戦略立案や分析にもっと時間を使おう」
「ダイレクトリクルーティングを導入して、中途採用のコストを半分以下にしませんか?」
※太字部分がソリューションに当たります。
<CTA>
ホワイトペーパー、メルマガ登録、サービス資料請求など
<出稿対象>
記事広告・タイアップ広告、リスティング、ターゲットが見ている媒体の純広告枠
「顕在」段階のターゲットへの訴求イメージ
<発信すべきメッセージ>
特定の製品・サービスの訴求メッセージを発信します。課題に対するソリューションとしてバイネーム(名指し)で社名やサービス名を想起してもらうことが目的です。自社サービスを導入した場合のメリットを具体的な数字や客観的な評価を交えて提示します。
<メッセージの例>
「このマーケティング効率化ツールを使えば、戦略立案・改善に時間を使えて売上がアップします」
「ダイレクトリクルーティングなら▲▲!◯円で◯人の採用に成功した事例も!」
<CTA>
お問い合わせ、デモ、無料トライアル、サービス資料請求など。多少ハードルが高くてもこちらからのアクションが起こしやすく案件化につながりやすいものを設定します。
<出稿対象>
サービス比較メディア、指名ワードでのリスティングなど、検討段階に入っているターゲットが利用しそうなもの
広告出稿の具体的な流れ
広告出稿は、以下のような流れで行います。
1:ターゲットを選定する
BtoCとは違い、BtoBでは準顕在・顕在層・潜在層の全てのターゲット層に、自社の強みをアピールできる広告を打つ必要があります。明確にターゲットを選定しペルソナを設定することで、アプローチ方法が明確になり、円滑な広告出稿に繋がります。
2:広告媒体を決める
広告媒体と言っても、Webマガジンや動画メディア、SNSまでさまざまな選択肢があります。狙っているターゲットが普段どのようなメディアやSNSを利用しているのかを把握し、より多くの人にアプローチ出来る広告媒体を選ぶようにしましょう。
3:媒体先への問い合わせ
いくつかの媒体に絞り込み、問い合わせが必要な場合は媒体先に問い合わせを行いましょう。更新頻度や予算などを確認し、その中から一社を選びます。
4:広告費の見積もりのすり合わせ
規模を大きくすれば多くの人にリーチできますが、その分費用がかかってしまいます。まずは、予算をもとに無理のない範囲で見積もりを行い、広告を打ち出すのが大切です。
5:広告デザイン・広告文の作成
広告を出す目的や、ターゲット、入れ込みたいテキストやキャッチコピーなどを明確にしておきます。何度も修正を行わなくていいように、参考になるイメージなどがある場合は事前に共有しておくのもいいでしょう。
6:広告出稿
広告を出稿するにあたり、校正や画像の確認など各媒体の審査が行われます。審査をクリアして、いよいよ広告出稿のスタートです。
BtoB企業の広告出稿先7パターン
次に、BtoBの広告出向先のパターンをご紹介します。自社のサービス形態やターゲットの属性によって使い分けてください。
①PPC広告(Pay Per Click広告)
PPC広告はPay Per Click広告の略で、1回クリックされるごとに広告料金が発生するWeb広告の総称です。クリックされた際に料金が発生するので、基本的に広告を掲載しただけでは料金がかかりません。1クリックごとの課金のほかに、表示された回数に応じた課金(CPM課金)を選べる場合もあります。
リスティング広告と混同されがちですが、PPC広告=リスティング広告ではなく、PPC広告の中の一形態がリスティング広告です。以降で詳しく説明します。
②リスティング(検索連動型)広告
ユーザーが検索エンジンでキーワード検索をした際、キーワードに応じて検索結果に表示される広告です。キーワードによって1クリックごとの料金が異なり、人気のあるキーワードは高額になります。
③ディスプレイ広告
Webサイトのサイドバーやオンライン記事の下部などに表示される広告です。検索結果ではなくコンテンツ自体に広告が表示されるのがリスティング広告との違いです。一度自社サイトから離脱したユーザーに対し、行動を追跡して他サイトで広告を表示させることで再訪を促すリターゲティング広告もここに含まれます。
(ディスプレイ広告の例)
④SNS広告
FacebookやTwitter、InstagramなどのSNS上に表示される広告です。SNS内でのユーザーの興味・関心によって表示される広告が変化します。
(facebook広告の例)
⑤記事広告・タイアップ広告
メディアと提携し、自社サービスの宣伝のために記事を制作、掲載してもらう広告です。記事中に必ず(Ad)や(広告)のように広告であることを明記する必要があります。ニュースサイトや情報系Webメディアなどのデジタル媒体でも、新聞や雑誌などのアナログ媒体でも、どちらでも利用できる手法です。
⑥BtoBメディアの純広告枠
メディアが用意している広告欄に自社広告を掲載してもらう手法です。これもデジタル/アナログどちらでも利用できます。
⑦交通広告
電車内の中吊り広告やラッピング車両など、交通媒体を利用した広告です。駅構内に掲載される広告も含みます。電車やバスに比べてタクシーは決裁権を持つ人物が利用する確率が高いので、タクシー後部座席の動画広告は決裁者の認知を獲得する手段として有効です。
広告出稿のパターン別の費用相場
広告出稿の費用は、広告の種類によって費用相場が異なります。各種広告の費用相場目安は下記を参考にしてください。
広告の出稿先パターン |
費用相場 |
PPC広告 |
クリック数に応じて料金が発生 |
リスティング広告 |
1クリック10円~500円前後 |
ディスプレイ広告 (アドネットワーク広告) |
月の予算によってクリック単価の変更が可能 |
SNS広告 |
1クリック1円~200円前後 |
記事広告/タイアップ広告 |
2万PVあたり100万円前後 |
BtoBメディアの純広告 |
10万~7000万(メディアによって掲載期間が異なる) |
交通広告 |
ホームドアステッカーへの掲出の場合100万円前後(1か月間) JRの中吊りポスター210万円前後(平日2日間) |
■参考サイト
Web広告の費用相場まとめ【完全保存版】
SNS広告の費用相場っていくらなの?出稿方法や課金形態を4大SNSで徹底比較
リスティング広告の費用はいくら?相場と実際の決め方を徹底解説
【まとめ】Web広告の料金相場一覧!費用対効果の高い媒体とは?
広告の種類ってなにがあるの?特徴や費用などを一覧で大公開!
BtoBの広告出稿先の選び方・考えるべきポイント2つ
ここまで紹介してきただけでも、Webサイトや検索結果ページなどのデジタル媒体から新聞や雑誌などのアナログ媒体までさまざまな広告出稿先があります。自社の広告をどこに出したらよいか、どうやって選べばよいのでしょうか。
基本的にはターゲットに合わせて出稿先を選びますが、その際に考えるべきポイントは以下の2点です。
潜在・顕在・準顕在のどの段階にいるターゲットが多いか
冒頭でお伝えしたとおり、BtoBでは潜在・準顕在・顕在の各層へ向けて広告を展開します。自社サービスであれば、その中でどの段階にいるターゲットが多いのかを考えてみましょう。
- 新しい概念を扱っているのでまだ潜在的な課題に気付いていないターゲットが多いのか。
- 一般的にそこそこ課題が認知されていて、準顕在段階にいる人が多いのか。
- すでにある程度サービスの知名度があり、顕在段階にいる人が多いのか。
潜在層のターゲットが多い場合は、幅広い属性の人が目にする可能性にある媒体を選びます。潜在層は積極的に情報収集をしていないので、検索結果や情報サイトまでたどり着いていないことが多いからです。
逆に顕在層が多いならば、具体的な検討段階に入っているターゲットが集まりそうな広告出稿を優先します。サービス比較メディア、指名ワードでのリスティングなどです。
聞き取り調査でターゲットの情報接触スタイルを知る
効果がでる出稿先を効率的に選ぶためには、ターゲットを知ることが重要です。そのためにはターゲット自身に聞くのが一番です。
既存顧客がいる場合は直接聞けばいいですし、ターゲットに近い属性の人が集まるコミュニティで情報収集するのもひとつの手です。普段どんな媒体で情報収集をしているか、どのSNSを利用しているかなど、ターゲットの情報接触スタイルを把握しておきましょう。
より多くのターゲットが情報収集をしている媒体を出稿先に選ぶことで、あまり成果がでない出稿を未然に防げます。業界の年齢層やITリテラシーによってはWeb広告よりもオフライン広告が効果的な場合もあるので、決めつけで判断せずにターゲットへの理解を深めましょう。
まとめ:ターゲットの段階や見ている媒体に合わせた広告出稿を
BtoBの広告は潜在・準顕在・顕在と幅広い層をターゲットとします。どの層にはどのような広告を展開すればよいのかを確認して、ターゲット層に合った広告を出稿しましょう。
広告媒体はターゲット層の情報接触スタイルに合わせて選択します。ここはWebメディアなのでWeb広告を考えている読者の方が多いかもしれません。しかしターゲットによってはオフライン広告が有効な場合もあるので、ターゲットの解像度を高めるための事前調査が重要です。
リスティング広告の改善については、こちらもご参照ください。
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