セミナー「事例から学ぶ!成果に繋げる営業DX~いまさら聞けないリード獲得から育成、顧客管理~」開催レポート
2023年10月18日に、「事例から学ぶ!成果に繋げる営業DX~いまさら聞けないリード獲得から育成、顧客管理~ 」と題して、セミナーを開催しました。
「DXに向けてツールを導入したが、うまく活用できない」「活用はしているけど成果につながらない」とお悩みの方に、解決策を提示します。
セミナーでは、営業DXの3つの領域「顧客獲得」「顧客育成」「営業管理」について、失敗しないためのポイントから実施に必要な具体策まで解説しました。
登壇企業は国産ツールを提供して、各領域を支援している3社です。
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株式会社マツリカ
現場ファーストの迷わず使えるSFA/CRMツール「Mazrica Sales」を提供 -
株式会社Innovation X Solutions
だれでも、無理なく、かんたんに使えるMAツール「List Finder」を提供 -
株式会社ベーシック
パワーポイント感覚でサイト運用が実現できるCMS「ferret One」を提供
目次[非表示]
- 1.登壇者紹介
- 2.営業DXの実現イメージ
- 3.SESSION1- 脱「営業管理」の落とし穴 SFA/CRM導入プロジェクトの進め方
- 4.営業におけるDXの状況解説
- 5.SFA/CRM導入と「営業管理」の落とし穴
- 6.SFA/CRM導入プロジェクトの進め方
- 7.SFA/CRM導入後の運用のコツ
- 8.SESSION2- BtoB営業にオンラインによる”見込み顧客獲得”を取り入れる方法
- 9.これまでの営業手法と、現代を考える
- 10.「見込み顧客獲得」の始め方
- 11.BtoBマーケティングで「良いWebサイト」とは
- 12.Webサイトを起点に成功した取り組み事例とポイント
- 13.SESSION3- メールで始めるナーチャリング”はじめの一歩”の踏み出し方
- 14.リードナーチャリングの心得
- 15.リードナーチャリングを始める際の注意点
- 16.リードナーチャリングのはじめの一歩
- 17.リードナーチャリングで成果につなげるポイント
- 18.まとめ
登壇者紹介
株式会社マツリカ
マーケティング部 マネージャー
佐藤 風太 氏
横浜国立大学経営学部卒。マツリカ参画後はCS Ops、Rev Opsの立ち上げに従事した後、日本企業における営業組織の発展に貢献すべく「Japan Sales Report」プロジェクトの立ち上げを実施。同レポートの分析・執筆リーダーとして、国内営業組織の最新動向や課題をデータドリブンに分析。
現在はグロースマーケティング部のマネジメントに従事。
株式会社Innovation X Solutions
マーケティングテクノロジーユニット マーケティンググループリーダー
村田 充 氏
イノベーションに新卒で入社後、デジタルマーケティング部門にてクライアントのマーケティングを総合的に支援。その後、自社メディア「ITトレンド」のユーザー向けマーケティング、 MAツール「List Finder」のカスタマーサクセス業務などを通じて、顧客・ユーザーそれぞれの課題解決に向けた活動を行う。
現在は「List Finder」のマーケティング全体の戦略策定・遂行、新規サービス開発などを担当。
株式会社ベーシック
ferret One 事業部 マーケティング部
見山 悠妃
営業支援会社に5年間所属し、外資系クライアントのSMB向けサービス事業の営業組織を立ち上げ、以前の水準から受注数を1.5倍引き上げに成功。その後マネージャー業務を経験、「営業の型作り」を行いながら未経験メンバーの育成に従事し、チームでの通期目標達成に貢献。その後「1人マーケター」としてマーケティング部署を立ち上げ、サービスサイト制作・コンテンツ制作・ウェビナー施策の基盤を構築。
2021年にベーシックに入社。現在はBtoBマーケティングツール「ferret One」でフィールドセールスを経て、現在はマーケティング部にてセミナーやイベント企画を担当
営業DXの実現イメージ
営業DXとは、データ・デジタル技術を活用して、営業プロセス・営業活動を効率化し、営業戦略を見直すことです。この取り組みにより、競合優位性が生まれ、売上を上げていくことができます。
現在、多くのBtoB企業では、「見込み顧客獲得」「顧客育成」「顧客管理(営業管理)」の営業プロセスとそれに合った施策を実施していく体制を整えていくことが実現イメージとなっています。
本セミナーでは、各フェーズごとに営業DXの実現方法について解説いただきました。
▼そもそも営業DXとは?という方は、こちらで復習しましょう!
→営業DXとは?必要性を踏まえたBtoBの営業戦略を解説!
SESSION1- 脱「営業管理」の落とし穴 SFA/CRM導入プロジェクトの進め方
SESSION1では、株式会社マツリカ佐藤風太氏に「顧客管理」領域の営業DXについて、SFA/CRM導入プロジェクトの進め方を解説していただきました。
営業におけるDXの状況解説
まず営業DXを取り巻く環境を解説していただきました。
日本企業のDX推進状況
佐藤氏:
日本の企業のDX推進の取り組み状況を調べたデータをみると、特に300人以下の企業を中心にDX推進が遅れていることが分かります。
その主な要因が人材不足です。日本の企業では約8割の企業において、DX人材が不足しています。
DXに取り組んでいる企業の現状
佐藤氏:
当社が独自に行った調査「Japan Sales Report」では、過半数の営業組織がデジタル化の遅れを感じていることが分かりました。
「DX」が叫ばれる現代においても、まだ多くの営業組織において、デジタル化において改善の余地が残っているといえます。
ただ、DX推進が進んでいる企業では、業績が上がっている傾向が見られます。
つまり、多くの企業ではDXの取り組みがなかなか進んでいませんが、少数派である「DXが進んでいる企業」についてはどんどん業績を上げている状況にあるのです。
DXの取り組み状況の差によって、業績にも差が開いているという全体感が見えてきます。
セールステックツール導入状況
佐藤氏:
さらに、営業領域を支援するツール「セールステックツール」を導入している企業の方が、導入していない企業よりも業績が上がっているという傾向も見られます。
セールステック活用と売上向上に一定の相関があり、積極的な導入により営業生産性が向上する可能性があることを示唆しています。
SFA/CRM導入と「営業管理」の落とし穴
セールステックツールを導入して営業DXを推進することが、業績アップにつながる糸口であることが分かりました。
中でも、DX推進のために導入が増加しているのが営業管理ツール 「SFA /CRM」です。ただ、その導入には落とし穴があると佐藤氏は解説します。
SFA/CRMの導入状況と課題
佐藤氏:
導入が進んでいるSFA/CRMですが、導入が成功していない企業が多いのです。
これまで多くの企業で導入が進められていたSFA/CRMは、いわば「旧世代型SFA/CRM」です。こちらを使っている企業の約半数が、当初の目的を解決せず、満足していない上にデータの活用蓄積に失敗していると感じています。
なぜ、旧世代型SFA/CRMを導入した企業の過半数がデータ蓄積・活用に失敗しているのか?
当社では2つの要因があると考えています。
SFA/CRMの導入が失敗する要因①:管理者向けだから
佐藤氏:
1つ目のSFA/CRMの導入が失敗する要因は、旧世代型のSFA/CRMツールは管理者向けであり、現場活用に機能や使い勝手が適していないことです。
その結果、導入は進んでいくが、使いこなせないという状況が生まれました。
データ入力の壁
データを入力するのが難しく、手間がかかるため、現場の負担が大きいという問題があります。データがなかなか集まらない状況に陥ります。
データ活用の壁
頑張って入力しても、データの活用目的が曖昧なまま進めていたり、分析スキルがないために入力データを活用できないという状況に陥ります。
運用の壁
SFA/CRMのシステムの専門知識を有していない場合、導入後に設定を変更できず、運用していくことができないという状況に陥ります。
SFA/CRMの導入が失敗する要因②:目的が管理になるから
佐藤氏:
2つ目のSFA/CRMの導入が失敗する要因は、目的が管理になってしまっていることです。
管理者は、営業データ・営業パーソンを管理したいという思考のため、できる限り業務内容をデータで記録し蓄積するために、機能をカスタマイズしていきます。
その結果、現場ではデータの活用方法がわからず、単なる入力作業だけが求められる状況が生まれ、活用されないデータが大量に積み上げられます。
最終的には現場の負担が増え、生産性も低下してしまい、失敗につながるのです。
よくある失敗パターンに陥らないように注意
佐藤氏:
当社では、多くのお客様からSFA/CRM導入に失敗したというお問い合わせを受けています。
失敗パターンは3つに分類できます。自社で導入する際に同じような失敗をしないように、事前に確認しておきましょう。
- とりあえず導入型:導入目的が曖昧、全てを解決したいなど目的を正しく設定できずにとりあえず導入してしまうケース
- 孤軍奮闘型:社長がトップダウンで決めてしまったり、マネージャーだけで決めてしまうなど、検討方法が間違ってるケース
- 運用疲弊型:何でもできるツールが欲しい、とにかく高度な機能が欲しいなど、機能重視で選んでしまうケース
SFA/CRM導入プロジェクトの進め方
失敗しないSFA/CRMの導入方法を解説いただきました。
佐藤氏:
最終目的の「DXの成果創出」から逆算してSFA/CRMを導入すれば、最短のルートで成功していくことができます。
- SaaSを正しく活用する
- 推進チームを適切に組成する
- 課題を整理し、SFA/CRM導入の「目的」を定める
- 目的(ゴール)だけでなく、マイルストーンを持つ
1.SaaSを正しく活用する
佐藤氏:
おすすめのSFA/CRMはSaaS型です。
SaaSのメリットは、他の企業で成功している使い方を標準的な機能として搭載していることです。つまり、SaaSに合わせて業務をアップデートすることで、「集合知」を利活用する形で、しかも早く利用開始できます。
また、SaaSのもう1つのメリットは、システムの保守運用をツール提供者が行ってくれることです。システムの維持運用に費やしていたリソースを削減し、その分を戦略的なIT投資に活用できるようになります。したがって、リソースの大小に関係なく、DX推進に取り組むことができます。
2.推進チームを適切に組成する
佐藤氏:
役割や役職によって、解決したい業務課題が異なるため、ツール導入の目的も異なります。しかし、メンバー間で課題や目的のすり合わせをしないまま導入を進めると、「導入した現場メンバーと管理者の間で欲しい機能や運用方法が異なる」などの事態となり、失敗してしまうのです。
そのため、ツールを使い始める前の検討段階から、複数の役割・役職のメンバーを巻き込みながら、プロジェクトとして進めることが重要です。
3.課題を整理し、SFA/CRM導入の「目的」を定める
佐藤氏:
営業生産性を生み出す要素を分解して考えてみると図のようになります。
SFA/CRMを活用して営業生産性を向上させるために、どの変数に課題があるのかを特定し、改善する変数を明確にして、導入プロジェクトを進める必要があります。
課題が多く、迷ってしまうこともあるかもしれません。
まずは解決すべき問題(コストなど)を定め、それを解決するためにコントロールできる数値(情報検索時間、資料作成時間など)を改善していくと良いでしょう。
4.目的(ゴール)だけでなく、マイルストーンを持つ
佐藤氏:
目的(ゴール)だけでなく、マイルストーン(中間ゴール)を持つことが重要です。
目標を一気に達成するのは非常に難しいです。そのため、SFA/CRMを導入する目的を念頭に置きつつ、まずは営業の可視化やデータ活用などの適切なマイルストーンを設定し、段階的に活用することが非常に効果的です。
SFA/CRM導入後の運用のコツ
導入後にSFA/CRMを活用して施策を進めていくコツを解説いただきました。
佐藤氏:
SFA/CRMには、営業における様々な情報が蓄積されていきます。
その情報をリード育成、リード獲得を担当する部門にフィードバックしていくことで、お客様の課題感やニーズに合った施策を打つことができるようになります。
これらのフィードバックを上手に行うことで、営業DX全体の成果を成功に導くことができますので、運用時には部門間で情報を共有することも意識しましょう。
▼株式会社マツリカは提供するSFA/CRMツール「Mazrica Sales」はこちら
→https://product-senses.mazrica.com/
SESSION2- BtoB営業にオンラインによる”見込み顧客獲得”を取り入れる方法
SESSION2では、株式会社ベーシック見山悠妃が「リード獲得」領域の営業DXについて、Webサイトを土台に施策を展開する意義と取り組み方を解説いたしました。
これまでの営業手法と、現代を考える
現代で必要な営業手法を、顧客の購買行動モデルの変化から読み解きます。
購買行動モデルの変化
見山:
顧客の行動は、インターネットの普及前後で大きく変化しました。
BtoBの購買行動に当てはめてみましょう。図の青色の部分は、営業担当者が接触している段階を表しています。
インターネット普及前は、マス広告や展示会、知人からの紹介などにより認知された後、より詳細な情報を入手するために企業の営業担当者に連絡を取ります。その後、商談を経て購入に至る流れです。(AIDMAの法則)
インターネットが普及した現代では、顧客はホワイトペーパーやメルマガなどの様々なコンテンツを通じて、徐々に商品やサービスに興味を持っていきます。必要性を感じたら予算感や要件が満たされているかを調べた上で、営業に問い合わせて商談が進む流れです。(5A理論)
見山:
アメリカのマーケティングコンサルティング会社「シリウスディシジョンズ」の調査データによると、現代では購入までのプロセスの67%の意思決定が、営業に接触する前に行われているというデータがあります。
つまり、現代のBtoBマーケティングでは、顧客に認知されるだけでは十分ではなく、情報収集段階で顧客が求めている情報(コンテンツ)を提供し続けなければ、検討候補から外れてしまうのです。
現代はインバウンド営業×アウトバウンド営業
見山:
過去は、企業が顧客に商品やサービスを売り込むアウトバウンド営業が中心でした。しかし、現代では、アウトバウンド営業だけでなく、顧客に自発的に見つけてもらうようにするインバウンド営業も活用されています。
どちらの営業方法でも、認知から受注までのプロセスで欠かせないのが、Webサイトの活用です。
顧客の購買行動を考えると、マス広告(アウトバウンド営業)で認知した後、Webサイトを検索したり(インバウンド営業)、営業電話の着信履歴(アウトバウンド営業)をきっかけにWebサイトを検索したり(インバウンド営業)することも往々にしてあるのです。
Webサイトから見込み顧客を獲得することは、顧客の購買行動の変化に柔軟に対応し、営業効率を向上させる手段の1つであるとして捉えておきましょう。
「見込み顧客獲得」の始め方
見込み顧客獲得に向けて、どのように取り組み始めたら良いのか解説しました。
リード獲得では「Webサイト」に顧客を集めることを目指す
見山:
BtoBマーケティングの見込み顧客獲得で、まず取り組むべきは「良いWebサイト」の構築です。
Webサイトの役割はバケツ理論で考えることができます。Webサイトを大きなバケツ、集客チャネルを蛇口と考えてください。顧客は自然検索や広告、メルマガ、SNSなどのチャネル(蛇口)から、Webサイト(バケツ)に訪問するというイメージです。
もしもWebサイトが整っていない状況で集客チャネルを強化してしまったらどうなるでしょうか?
バケツに穴が開いていたら水が流れてしまうのと同じように、「Webサイトを見ても自分の求めている情報がない。興味がないな」と思われて、離脱してしまいます。
そのためにも、顧客に離脱されない「良いWebサイト」を構築しましょう。
Webサイト経由で受注を増やすための取り組みの順番
見山:
Webサイトを活用してリード獲得するためのマーケティング手順は以下の通りです。
- ターゲット・戦略設計
- Webサイト
- 集客チャネル
「誰にどのようなコンテンツを届けるか」 ターゲットと戦略を設計し、それをWebサイトにを反映することで、穴の開いていないバケツを準備することができます。
その後、蛇口をひねる。つまり集客チャネルを活用して顧客を呼び込むという順番で顧客を育成していく土台を作ることができるのです。
BtoBマーケティングで「良いWebサイト」とは
どのようなWebサイトが「穴の開いていないバケツ」なのか?具体的な要件を解説しました。
見山:
まず、WebマーケティングにおけるWebサイトの目的は「お問い合わせを増やすこと」です。
このためには、自社のターゲットに最適なメッセージを伝えられるWebサイトでなくてはなりません。それを実現するには、顧客の反響を受けて、掲載内容を素早く改修していくことができる環境づくりも必要になってきます。
Webサイトに掲載する情報
見山:
Webサイトに掲載すべきは、顧客が社内稟議に必要な情報です。
その際、顧客目線で「わかりやすいか」「欲しい情報が手に入るか」という基準で言葉選びにも気を付けて、情報を掲載することがポイントです。
Webサイトの内容も営業トークと同じように、顧客の反応を見ながらニーズに合わせてブラッシュアップし続けて、優秀な営業パーソンの代わりになるWebサイトを構築していきましょう。
Webサイトを起点に成功した取り組み事例とポイント
具体的な成功事例をもとに、見込み顧客獲得の成功のポイントを紹介します。
ケース1:サイトの管轄が異なるため動きにくい
見山:
トランスコスモス株式会社さんの事例です。
課題 |
企業のIR情報等が掲載されているコーポレートサイトの窓口からのお問い合わせのみという体制。 そのため、見込み顧客獲得のための情報発信の場合でも、別部署のコーポレートサイトの担当を通さなければならず、タイムリーな発信ができない。 |
施策成果 |
事業に特化したサービスサイトを新たに立ち上げ。 事業部単位でサイトの運営ができることで、記事の公開などのマーケティング施策をスピーディーに実施することができるようになり、セッション数コンバージョン数も前年比で2倍位以上と成長。 |
成功要因:Webサイトの役割を考える
トランスコスモス様の事例の成功要因は、Webサイトの役割に合わせた運用体制を構築できたことです。
コーポレートサイトのターゲットは株主やステークホルダー、求職者など。このようなターゲットにとって、新規顧客獲得のための商品・サービスの訴求は興味のない情報です。コーポレートサイトを担当する広報としても、Webサイトでそのような情報を発信したくないという気持ちもあり、運用がうまくいきません。
Webサイトは目的によって、サイトの種類と管轄部署を変える必要があるのです。
ケース2:中身が更新されていない
見山:
株式会社エフアンドエム様の事例です。
課題 |
15年前に作成したWebサイトを放置していた。 |
施策成果 |
顧客視点で情報提供するWebサイトへのリニューアルを実施。 結果として8ヶ月で40件の成約が発生。 |
成功要因:顧客が見て、分かる表現
エフアンドエム様の事例の成功要因は、自分ごと化しやすい情報を分かりやすく提供したことです。
自社のサービスがどのような課題を解決できるのか、利用用途を具体的に提案することで、お客様がイメージしやすくなっています。
実際にこのような形で情報を提供することを決めるまでには、営業がどのような顧客を受注したのか、失注したのかなど、顧客に関するヒアリングを重ねながら改善を進めていきました。
わかりやすい表現を見つけ出すことも、施策の一環です。
▼当社株式会社ベーシックが提供するCMS「ferret One」はこちら
→https://ferret-one.com/
SESSION3- メールで始めるナーチャリング”はじめの一歩”の踏み出し方
SESSION3では、株式会社Innovation X Solutions 村田充氏に「顧客育成」領域の営業DXについて、メールを活用したナーチャリングの始め方やコツを解説いただきました。
リードナーチャリングの心得
「自社がリードナーチャリングを始めるべきか?」「そもそもなぜ必要なのか?」
リードナーチャリングを始めるにあたって、知っておくべきポイントを解説いただきました。
リードナーチャリングを始めるべきタイミング
村田氏:
リードナーチャリングとは、メール配信施策の先の段階にあるものです。
メール配信をしている際のよくあるお悩みとして、以下のようなご相談をいただきます。
メルマガを一斉配信し続けてるんだけど、
最近どうも成果悪いなぁ・・・。
開封率も落ちてきてるし、だんだん配信数も減ってる気が・・・
このようなお悩みを抱かれる企業には「メールの送り先が1000〜2000を超えてきた」という共通点があります。
その場合、メールの一斉配信ではなく、ナーチャリングに移っていただくことをおすすめします。
なぜリード数が増えるとメール配信の成果が悪化するのか?
メールを一斉送信すると、興味のある人と興味のない人が現れます。そして、興味のない人にとっては不要なメールばかりを送ってくる企業というネガティブな印象が生まれます。
人間はネガティブな印象の方がポジティブな印象よりも心に残りやすい性質があるため、興味のないメールが送られてくると、その会社からのメールに対して2回目は無視したり、受信拒否をしたりしてしまいます。
ネガティブな印象を避けるための対策は、興味のあるメールだけを送ることです。これを実現するのが、リードナーチャリングという手法になります。
興味のあるメールだけが届くので、受け取った人はメールを読み続け、サービスを検討するタイミングが来たら、この会社のサービスを思い出して検討候補に入れてくれます。
リードナーチャリングの全体像
村田氏:
獲得をしたリードに対して、興味ある内容のメールを送り分けていきます。
そしてメールに反応したり、何らかのアクションを起こしてくれた人々をセールスに引き継ぎ、アポイント獲得、商談、受注と繋げていく。
このような流れがリードナーチャリング施策の全体像になります。
リードナーチャリングの必要性
村田氏:
リードナーチャリングが必要な理由は、メールの成果が悪くなるのを防ぐだけではありません。
アメリカのマーケティングコンサルティング会社「シリウスディシジョンズ」ではこのような調査データがあります。
- 獲得した見込み顧客のうち、直近での購買検討にならない割合は75%
- 営業フォローを止めてしまった見込み顧客のうち、2年以内に競合企業から製品を購入する割合は80%
つまり、リードナーチャリングをしなかった場合、1000件の見込み顧客のうち600件は競合に取られてしまうことになります。
この600件の機会損失を防ぐためにも、適切なコミュニケーションを続けて、再度の商談機会を狙う必要があるのです。
リードナーチャリングを始める際の注意点
リードナーチャリングを始める際によくある間違いや注意点を紹介いただきました。自分の認識と照らし合わせてみましょう。
リードナーチャリングでは「今、検討したい」をキャッチアップする
村田氏:
リードナーチャリングは「顧客育成」と訳されるため、見込み顧客の関心度を徐々に高めていく印象を持たれることがあります。
しかし、実際のBtoBマーケティングでは、見込み顧客の検討度が急に変動することがあり、狙った通りに動きません。
そのため、リードナーチャリングでは、見込み顧客の検討度を徐々に高めるのではなく、検討度の上がったタイミング「今、検討したい」をキャッチアップすることが重要です。
初めて取り組む場合はスモールスタートで
村田氏:
リードナーチャリングの手法はいくつかありますが、最初の段階では「一元管理とメール配信」「セグメントメール」に取り組むだけでも十分に成果が出せます。
一気に多くの手法に取り組むのではなく、成果の出るナレッジを少しずつ社内で蓄積し、手法を拡大していく方が、社内での評価が高まり、事業への影響力も大きくなります。
まずはスモールスタートし、小さな成功を積み重ねていくことが重要です。
シナリオ・スコアリングは初めて取り組む場合は不要
リードナーチャリングの初期段階では、「シナリオ」「スコアリング」に取り組む必要はないと考えています。
なぜなら、見込み顧客数が少ない状態の場合、シナリオやスコアリングをうまく組んだとしても、成果に繋がるような事象が起きにくいからです。
例
- 仮定:2000人にメール配信をし、「スコア3点超えたらアポ打診メールを送る」というシナリオを組む。
- 結果:「滞在時間が10分超」というスコア3点目が溜まるタイミングの人は0人になる。
あくまで例ではありますが、この場合はスコアが3点溜まるのを待つよりも、事例ページ見ている検討度の高そうな24人に対して、さっさと営業からアプローチした方が効率が良いのです。
リードナーチャリング初期段階のゴールは「この24人をどのように見つけるのか?」ということになります。
リードナーチャリングのはじめの一歩
リードナーチャリングを始めるための3つのステップを解説いただきました。
- 見込み顧客を"検討度合い"でグルーピングする
- 適切なコミュニケーションで"次"のアクションを後押しする
- "検討タイミング"に再アプローチする
1.見込み顧客を"検討度合い"でグルーピングする
村田氏:
顧客の購買プロセスを参考に、検討度合いに応じて、自社コンテンツをマッピングし、見込み顧客をグルーピングしていきます。
・自社コンテンツをマッピング
顧客の購買プロセスを考えると、顧客の検討度合いによって、顧客が欲しいと思う情報は少しずつ変わります。
検討度合いごとに、業界の最新情報や課題解決のためのノウハウ、サービス紹介事例、導入事例など、どのようなコンテンツが欲しいと思うのか、提供すべきなのかをマッピングしていきましょう。
例:MAツール「List Finder」を提供する株式会社Innovation X Solutionsの場合
実際の顧客の検討フェーズはもっと細かいですが、初めて取り組む場合は、このぐらいの粒度で十分です。
ここで重要なのは、社内で「顧客にどのようなコンテンツを提供すべきか」という共通認識を持つことです。
・見込み顧客の状況をグルーピング
自社の見込み顧客については、検討状況が同じ特徴を見つけ出し、グルーピングします。
例
- マーケ基礎知識系のコンテンツを閲覧した人たち
- メールマーケティング課題がありそうな人たち
- MA導入検討が進んでいる人たち
2.適切なコミュニケーションで"次"のアクションを後押しする
村田氏:
メールでは、顧客の購買プロセスに合わせて、1つ先の検討フェーズに進んでもらえるようなコンテンツを送ります。
例えば、無関心・認知ぐらいのフェーズの顧客には、課題喚起のためのセミナーやお役立ち資料を送る、などです。
先ほどグルーピングした顧客に対して、コンテンツを振り分けましょう。
例
- マーケ基礎知識系のコンテンツを閲覧した人たち→実務系ノウハウ系コンテンツ提供
- メールマーケティング課題がありそうな人たち→MAツールのご紹介 課題喚起セミナー
- MA導入検討が進んでいる人たち→比較表提供 アポイント打診
3."検討タイミング"に再アプローチする
検討タイミングに取る行動
村田氏:
検討タイミングにまで引き上げられた顧客に再アプローチします。
検討タイミングと判断できるのは、セミナー参加や資料ダウンロード、商材に関するページ閲覧などの行動を取った時です。
ただし、ページ閲覧は見つけづらいです。当社では、問い合わせなどの能動的なアクションは見られないが、実は検討している検討者を「隠れ検討者」と定義しています。
「隠れ検討者」を見つけることもリードナーチャリングでは欠かせません。
「隠れ検討者」を見つける方法
「隠れ検討者」を効率的に見つけるには、MAツールの通知機能がおすすめです。
例えば、このようにページを回遊して情報収集をしている顧客は検討度が高そうですよね。「隠れ検討者」と言えます。
トップページ閲覧(5分)→ 商品詳細ページ閲覧(8分)→事例ぺージ閲覧(5分)→価格ページ(10分)
MAツールは特定のページを閲覧した顧客がいた場合、営業担当にメールで通知してくれるため、「隠れ検討者」を見つけることができるのです。
閲覧通知を受け取った営業担当は顧客にヒアリングやアポイントの打診をすることができるようになり、その結果、「隠れ検討者」に対する機会損失を防ぐことができます。
リードナーチャリングで成果につなげるポイント
リードナーチャリングで成果をつなげるための、2つのポイントを解説いただきました。
小さく始めて成功を積み上げる
村田氏:
リードナーチャリングでは、スモールスタートして小さな成功を積み重ねることが重要だとお伝えしました。その理由の1つは、MAツールを使いこなすのに苦戦しやすいからです。
当社の調査結果によると、多くの企業がMAツールの導入時に機能を重視しているにもかかわらず、十分に活用できていないことが分かりました。
- MAツールの各機能を重視する割合80%以上
- MAツールの各機能を活用できているのは50%未満
主な要因は「難しさ」と「リソース不足」です。MAツールを初めて導入する場合、使いこなすのは容易ではありません。
最初は高望みせずに、使いこなせるレベルでスモールスタートをすることが重要です。会社からの評価を得て、リソースや予算を確保できるようになった後に、取り組みを拡大していくことが成果を出す秘訣です。
マーケとセールスで連携する
村田氏:
マーケティング部門とセールス部門が密に連携し、「隠れ検討者」の定義をブラッシュアップする必要があります。
マーケティング部門は、セールス部門がアプローチするためのリソースと商談の品質を確保できる「隠れ検討者」のリストを抽出しなければなりません。
どのように連携するのか?
例えば、閲覧したページの種類に基づいて顧客の検討度を測る場合、検討度が高まるにつれて顧客数(ボリューム)は減少する傾向がありますから、質と数のちょうどいい所を見つけていきます。
試しに「事例ページを閲覧した顧客」のリストを抽出したならば、セールス部門が業務時間内にアプローチできたか、商談の質はどうだったかなどを話し合いながら、リスト抽出の基準をPDCAサイクルで回すことが重要です。
▼株式会社Innovation X Solutionsが提供するMAツール「List Finder 」はこちら
→https://promote.list-finder.jp/
まとめ
本セミナーでは、営業DXの3つの領域「顧客獲得」「顧客育成」「営業管理」について、具体的な始め方と運用のコツをお話しいただきました。
- 顧客獲得:Webサイトを起点にした顧客獲得の始め方
- 顧客育成:メールを活用したリードナーチャリングの始め方
- 営業管理: 失敗しないSFA/CRMの導入方法
ぜひ本セミナーでご紹介した方法を明日からの打ち手に活かしていただければ幸いです。
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また、BtoBマーケティングマーケティングに関するご相談も受け付けておりますので、気軽にご相談ください。