ノバセル中野氏に聞く! BtoBにおけるマスマーケティングの効果的な活用方法とは?


近年、BtoB領域のスタートアップ企業がテレビCMに取り組む事例が増えています。リスティング広告やオウンドメディアをはじめとした、Webマーケティング施策のPDCAを回す中で、さらに多くのユーザーへとリーチするためにマスマーケティングに取り組む判断をする企業が多いようです。

一方で、一般的なWebマーケティング施策と比較すると、マスマーケティングは効果が可視化しづらく、投資対効果を最大化できるのか不安に感じるという担当者の方のお悩みもあるのではと思います。

この記事では、ラクスル株式会社で「ノバセル」のマーケティングを担当されている中野竜太郎様(@qtaro_marketing)による寄稿で、マスマーケティングの中でも「テレビCM」にフォーカスし、BtoB企業として成果を上げた具体的な事例に触れながら解説していきます。

解説をするのはこの人!

ラクスル株式会社
ノバセル事業本部 マーケティング部
中野 竜太郎 氏

Twitterアカウントはこちら:@qtaro_marketing

2017年、楽天株式会社に入社後ECコンサルタントとして200社以上を担当。その後、個人事業主でメディア運営、占い師、広告運用、マーケティング支援を行う。

2019年よりSaaSのマーケティング部門立ち上げを経て、2021年1月よりラクスルに参画。ノバセル事業のマーケティングを担当している。

目次[非表示]

  1. 1.Web広告市場が成長する中で「マス広告」にも注目すべき理由
  2. 2.テレビCMは効果が視えにくい?実施のハードルとは
  3. 3.ラクスルのテレビCMを用いたマーケティング成功事例
  4. 4.テレビCMの始めるタイミングとその理由
  5. 5.ラクスルの事例から紐解く、テレビCMの実施とテスト方法
  6. 6.マスマーケティングにおける効果測定の考え方
  7. 7.Webマーケティングと連動してマスマーケティングに取り組むことが重要

 

Web広告市場が成長する中で「マス広告」にも注目すべき理由

みなさんはテレビCMをはじめとするマス広告(※)に対して、どういった印象を持たれていますか?

日本の広告費の調査データによると、「Webに関する広告費」が、テレビをはじめとする「マスメディアの広告費」を上回っています。その事実はあるものの、BtoB領域において、「Web広告がマス広告よりも効果的だ」と断言するのは早計です。

※編集部注:マスメディアという媒体を通して掲載される広告のこと。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌広告のこと。



Z世代とよばれるような10〜20代のユーザーは、テレビよりもWebの方が圧倒的に視聴時間が長いと言われています。そのため、10〜20代のユーザーにアプローチする際はWebの方が効果的だと言えます。

その一方で、30代よりも上の世代は、依然としてテレビの方が視聴時間が長い傾向にあります。BtoB領域のビジネスのターゲットである決裁者層は40代以降が中心のため、BtoB領域のビジネスにおいては、テレビCMの方がより効果的だと言えそうです。

ターゲットがどの媒体に触れているのかに注目すると、「Webが良い」あるいは「マスが良い」といった議論ではなく、届けたいターゲットによって広告出稿媒体を検討するのが適切だということが分かります。


テレビCMは効果が視えにくい?実施のハードルとは

テレビCMの一般的なイメージについて、私が所属するラクスルが行った「テレビCMに対する世論」の調査データを参照してみましょう。



テレビCMを使わない理由は、ほとんどが「費用が高い」「効果が視えない」「わからない」に集約されます。

しかし費用について、実際は、認知を目的とした場合のCPM(編集部注:Web広告を1,000回表示するごとに発生する広告費のこと)を単位としてWeb広告の各種媒体と民放のテレビCMを比較すると、民放のテレビCMのほうが圧倒的に低コストです。

認知を目的とする場合、マス広告はWeb広告の各種媒体よりも低コストで実施でき、かつターゲットとなる決裁者層の多くが存在するため、BtoB領域においては特に注目すべき施策といえるのではないでしょうか。

「マス広告とWeb広告のどちらか一方で」と考えるのではなく、認知拡大にマス広告を利用し、その先のリード化からナーチャリング、獲得に対してのアプローチとしてWebマーケティング施策をかけ合わせていく考え方もあります。

また、効果測定について、実際にテレビCMに取り組んでいる企業において、「テレビCMについて正しい効果測定と投資判断ができているか」という設問に対して、「正しくできている」と回答したのは1/4程度という結果でした。


効果測定の考え方については、後ほどラクスルの事例のなかで詳しく触れていきます。

ラクスルのテレビCMを用いたマーケティング成功事例

次に、ラクスルが行った、テレビCMを用いたマーケティング施策の事例に触れたいと思います。

まずは、5年前(CMを始める前)の各キーワードの検索数を表したグラフをご覧ください。


当時、「ラクスル」というキーワードにおける検索ボリュームは5,000でした。また、「ネット印刷」というカテゴリワードは20,000で3倍、そして「競合他社のサービス名」はなんと、80,000と16倍もの開きがありました。これはつまり、認知度の差でもあります。

Webマーケティング施策の一般的な流れとしては、ボリュームが20,000ある「ネット印刷」というカテゴリワードを獲得して、最終的に「ラクスル」を知ってもらうというパターンもあるかと思います。しかし、当時の業界最大手企業との開きは16倍。キーワード獲得のために掛かる費用も膨れ上がることが想定され、Web施策としてカテゴリワードを狙っていくことが不毛だと判断しました。

そこで、手法を変え、テレビCMによるマスマーケティング施策によって「ラクスル」という純粋想起を取っていくという方針を立てました。

その結果、大きく分けて以下3つの成果を実現しました。

・7億円→210億円と30倍の売上成長

・累計57億円のマーケティング費用に投資しつつもCPAを半分に改善

・コロナ環境下においてもユーザー登録数が継続的に増加

施策実施前、Webマーケティング施策だけでリーチできる潜在層に一定リーチしきっており、新しいユーザーを増やすことができていない状況でした。広告費用を引き上げたところで、獲得できるリード数が頭打ちとなっているために、CPAの効率が悪くなっている状況です。そのなかで、より多くの潜在層へ純粋想起を獲得できる施策としてテレビCMがフィットしたのだと考えられます。

テレビCMの始めるタイミングとその理由

具体的にどういったタイミングでテレビCMを検討すべきなのか、またどのように始めるべきなのでしょうか。

一般的には、急激な事業成長を必要とする段階で検討し始めるケースが多いです。Webマーケティング経由の獲得が鈍化していき、潜在層にリーチを広げるタイミングでは、指名検索数の増加が事業成長にとって重要となります。

なかでも、BtoBのいわゆるSaaS型のビジネスを対象に考えると、ストック型のビジネスになっているため、「継続課金を続けていくユーザーの総数をいかに増やすか」が事業成長において重要となります。

ユーザーの総数を増やすにあたり、Webだけでは求めている事業成長に見合わなくなってくるフェーズがあります。それは、前述のラクスルの事例のように、「Webマーケティング施策に一定取り組んだのち、リーチできる母数が頭打ちとなり、結果CPA効率が悪化している」ような状況です。例えば、2,000万円投下しても7,000万円投下しても結果として獲得できる総数は変わらず、CPAが高騰するといったことも考えられます。

BtoBのSaaS型のビジネスの場合、テレビCMをはじめとするマスマーケティングに取り組むタイミングは、「Webマーケティング施策を一定の段階までやり切った」かつ、「それでもさらなる事業成長が必要」であり、「既にマス広告を行っているような高い認知度を誇る競合他社」が存在する状況を複合的に踏まえて決めるのが適切だと考えられます。


ラクスルの事例から紐解く、テレビCMの実施とテスト方法

次に、BtoBマーケティングにおけるマスマーケティングのテスト方法について、上記で紹介したラクスルの成功事例を検証手順から紐解く形でステップ形式で解説します。


① ローカルエリアからスタート



ラクスルのテレビCMは、富山県と石川県のローカルエリアから出稿を行いました。投資対効果の視えない状態で数億円の投資にはリスクがあり、判断ができないと考えたためです。

低コストで効果検証をしながら放映エリアを広げていくという判断を行い、結果として、関東エリアよりも富山県や石川県のようなローカルエリアのほうがCPAを安く抑えられることがわかりました。


② クリエイティブのABテストを実施



次に重視したのが「効果的なクリエイティブ」を見つけるための検証です。テレビCMは放映される番組の枠やCMの放映量ももちろん重要なのですが、それらと同じくらい重要なのが、ユーザーに認知しアクションを促すための「クリエイティブ」です。

ラクスルでは、大きくわけて「価格訴求」と「顧客満足度訴求」の2パターンのクリエイティブを制作し、ローカルエリアでのABテストを行いました。その結果、「価格訴求」のクリエイティブが、「顧客満足度訴求の」CPAの3/1以下になりました。

その後、関東関西での放映を開始するタイミングで、「価格訴求」をベースとし、更にCM効果を向上させるために、認知により効果的な著名なタレントを起用するクリエイティブへとブラッシュアップし、放映を行いました。


③ 効果の可視化と高速PDCAを実現するDX化

テレビCMに対して、先ほど調査データでも紹介した通り、「正しい効果測定と投資判断ができている」という感覚を持てなかったり、また「テレビCMの効果検証スピードは、Webマーケティングと比較して遅く粒度が粗い」という印象を持たれていたりする方が多いと思います。実際にテレビCM施策においては、認知度調査や好感度調査などを行ってのフィードバックが2ヶ月~3ヶ月先ということもあります。そのためPDCAが回りにくく、事業成長に繋がっているのか判断できないというのが、テレビCM施策を検討する際に、実施を躊躇してしまう原因となっていました。

そこで、ラクスルではテレビCMの放映とともに、顧客流入や会員登録、購入など流入から獲得までのデータをつねに比較しながら効果検証を行いました。そして、費用対効果を可視化することにより、Webマーケティング同様のスピードでテレビCMの高速PDCAを可能にしたのです。



Webマーケティングの検証スキームとテレビCMを統合させ、データ基盤を確立したことにより、少ない人数で効率的にテレビCMの運用をできる体制を構築しました。


マスマーケティングにおける効果測定の考え方

最後にテレビCMを始めとするマスマーケティングの効果測定の考え方についてお話します。

この記事でテレビCMを実施する「タイミング」や行うべき理由について触れてきましたが、実施する目的として忘れてはならないのが「事業成長」です。

例えば、「認知率が80%あがりました」という結果が出たとしても、売上が向上しなければCMを実施する意味がありません。とはいえ、効果が可視化できないテレビCM施策では、単なる認知向上で終わってしまうパターンがあるのも事実です。

そこで、ラクスルでは、Webマーケティングのデータと認知からサービスのユーザー登録、購買までの流れなどを掛け合わせてテレビCMの効果を検証する仕組みを整えました。これが運用型テレビCMサービス「ノバセル」が生まれた背景でもあります。

Webマーケターであれば日頃からWebサイトへのセッション数がどれくらい増えたのか、その結果、どれくらいリードが増えたのか、CPAが下がったのか測定しているはずです。

それはテレビCMを実施する上でも同様で、評価指標はビジネスにおいてインパクトのある指標に置くことが重要です。「売上」「新規受注」「リード獲得数」「CPA」などを指標として見るようにしましょう。


Webマーケティングと連動してマスマーケティングに取り組むことが重要

この記事では、BtoB領域でWebマーケティングに取り組んでいる担当者に向けて、マスマーケティングの役割やその効果についてお伝えしました。

繰り返しになりますが、テレビCMを実施するタイミングとしてお伝えしたように、Webマーケティングと連動してマスマーケティングに取り組むことが大切です。

単に認知拡大を目指すだけでなく、認知をもとにWebサイトやサービスページを訪れたユーザーをどのようにナーチャリングしリード化していくかの施策もあわせて。事業成長に関わる指標に注目しながらマーケティング戦略全体を設計するという観点から、マスマーケティングに取り組んでみてください。



以上、ラクスル株式会社 ノバセル事業本部の中野様に、マスマーケティングの効果的な活用方法についてご紹介いただきました。ラクスル様のマスマーケティングの例が、皆さまの施策の参考になりましたら幸いです。

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