ドッグフーディングとは?アイスクリーミングとの違いとメリット・デメリット
ドッグフーディングは、快適に製品をユーザーに届けるために重要な施策です。日本だとあまり馴染みはありませんが、世界ではGoogleやMicrosoftなどが導入しています。
そこで本記事では、世界の大手企業が導入するドッグフーディングとは何か、実施するメリットなどについて解説します。
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ドッグフーディングとは
ドッグフーディングとは、リリース前の製品の品質やUXを自社社員でテストする施策のことです。開発した製品を日常的に利用することで改善点を発見して、より良い製品へとアップデートできます。ユーザーについて深い理解を得られるため、マーケティングに効果的な施策です。
ドッグフーディングの由来
ドッグフーディングの由来は、ドッグフード販売企業の社員が、実際に開発したドッグフードを食べて製品の良し悪しをテストしていたというエピソードが語源です。
1980年代にMicrosoftの経営者がテスト責任者に対して、"Eating our own Dogfood”(自分たちのドッグフードを食べる)というタイトルでメールを送ったことが、IT業界で広く使われるようになったきっかけと言われています。
ドッグフーディングとアイスクリーミングの違い
ドッグフーディングとアイスクリーミングの施策に違いはなく、同じ意味で使われます。
そもそもアイスクリーミングとは、元Microsoft CIOのTony Scott氏が、Microsoftに在籍していた際にドッグフーディングを「アイスクリーミング(Ice-creaming)」と呼んだことが由来です。
Tony Scott氏は「顧客が食べたいと思うようなアイスクリームを作ろう」という意図で発言し、そこからアイスクリーミングという言葉が広まります。
施策の呼び方が異なるだけで、製品を社内リソースでテストして改善に役立てるという本質的な意味合いは同じです。
ドッグフーディングのメリット
ドッグフーディングのメリットは、主に以下の3つが挙げられます。
- 自社製品を社員自身が把握できる
- 課題抽出から改善までの時間が短縮可能
- 改善への取り組みがしやすい
具体的にどのようなメリットなのかを解説します。
自社製品を社員自身が把握できる
ドッグフーディングを行うと、開発部門だけでなく幅広い部署で自社製品について理解を深められ、製品詳細を把握できます。
見込み顧客にとって有益となる製品情報を明確に伝えられることは、販売戦略や顧客サポートにおいて重要な要素です。
特に製品販売を進めるマーケティング部門・営業部門や、顧客との関係性を深めるカスタマーサービス部門などは、重要性が高くなります。
マーケティング・営業・カスタマーサポートの部署がドックフーディングに取り組むことで、成約やリピート数への影響が大きくなり、売上や利益向上に貢献する可能性があるのです。
課題抽出から改善までの時間が短縮可能
ドッグフーディングは、製品の課題抽出と改善にも大いに役立ちます。
通常、製品リリース後は顧客へのアンケートやインタビューなどを行い情報収集します。そのため、製品の課題抽出に時間がかかるのです。
ドッグフーディングを行えば社員のフィードバックを短期間で受けられ、課題や改善点を素早く把握しつつ迅速に製品のアップデートが可能になります。
改善への取り組みがしやすい
ドックフーディングは社内で行われるため本音が聞きやすく、改善への取り組みがしやすいというメリットがあります。
製品のフィードバックを顧客に求めると、本音で話してくれなかったり製品が抱える重要な改善点を引き出せなかったりする可能性があるのです。
顧客へのフィードバックが十分でないと、改善も中途半端になりアップデートしても満足度の改善に至らないという結果になる場合もあるでしょう。
ドッグフーディングを行うことで、製品の抱える本当の課題や製品の企画意図とズレていないかなどを明確に探れる機会になり、改善が十分に行われやすくなります。
ドッグフーディングのデメリット
ドッグフーディングの注意点は、製品を導入したあとのUXにだけ焦点を当ててしまうことです。
ドッグフーディングは社員が行うため、製品をすでに扱った際の使用感について語られがちです。そのため製品を導入するまでの視点が抜け落ちることもあり、改善すべき点を見落とす可能性があります。
製品を継続的に利用することを前提に考えられた視点でドッグフーディングを行うと、本当の意味でユーザー視点になれません。必ず、製品を導入する前と導入後で使用感がどうなのかを検討しましょう。
ドッグフーディングを実施している企業
ドッグフーディングは、国内だけでなく海外の大手企業も導入している施策です。具体的にどのような企業が実施しているのかを解説します。
Microsoft
Microsoftはソフトウェアの開発・販売を行っている世界有数の大企業です。世界的な企業であるMicrosoftによってドックフーディングがより認知されたとされています。
Microsoftでは、ドッグフーディングを開発の早い段階で導入することで、バグを早期で発見・改善できる有効な手段だと考えています。機能の要件がほとんど固まったあとにドッグフーディングを行っても、バグを変更できない場合もあるからです。
Microsoftは、完成後にドッグフーディングを行うのではなく、開発途中から導入してバグや改善点を早期発見することが重要だと提唱しています。
参考:https://docs.microsoft.com/ja-jp/archive/blogs/vbteamjp/matt-gertz-2
検索エンジンや「YouTube」を開発している大手企業のGoogleも、公式サイト「Google Testing Blog」でドッグフーディングの重要性を語っています。
Googleは、開発テスト段階でドッグフーディングを行います。もちろんドッグフーディングの実施前にもバグや改善点の発見は行っていますが、最終的なチェックとしてドッグフーディングを導入しているのです。
テスト段階では発見できなかった細微な修正点を改善することで、より良い製品を顧客にリリースできるのがドッグフーディングの最大のメリットといえます。
参考:https://testing.googleblog.com/2014/01/the-google-test-and-development.html
Nota
日本のNota株式会社ではドッグフーディングを導入して、社員同士が自律的に協働して製品の磨き上げを徹底する風土を築きました。
Nota株式会社は「Gyazo」や「Helpfeel」「Scrapbox」などのアプリケーションを開発しており、開発時にはドッグフーディングを社内で徹底して行い、製品の質を向上させています。
社員同士で不便なところや実装してほしい機能・仕組みを気軽に言い合えるため、利用者の不満の根底がどこにあるのかを掘り下げられるのが、ドッグフーディングの強みです。
参考:https://logmi.jp/tech/articles/326800
ferret One
弊社提供しているBtoBマーケティングツール「ferret One」も、ドックフーディングが導入されているサービスです。
マーケティングチームではサービスサイトやLPを「ferret One」で制作・運用し、その結果を開発チームにフィードバックしています。
自社のサービスを使用することで、バグの早期発見はもちろんのこと、いちマーケター目線でよりよいツールにするためのフィードバックも行なっているため、本当に現場が欲しい機能の拡充や使いやすいデザインへのアップデートができています。
具体的にどのように「ferret One」を活用しているのか、下記の記事にてご紹介しております。よろしければご覧ください。
▼Webサイト制作に時間を割かれないように、簡単にWebサイトを制作できる機能を強化
→3時間で完成!? ferret Oneのテンプレートで「ウェビナーページ」を作成してみた
▼Webサイト施策のPDCAが高速に回せるように、CTAを追加・変更などWebサイトの更新が簡単にできる機能を強化
→【担当者解説】オウンドメディアのコンバージョン率改善方法を共有します
ドッグフーディングでより良い製品を顧客に届けよう
ドッグフーディングは、開発する製品をリリース前に社員同士が利用することでバグや改善点を洗い出す施策です。リリース後にも導入できるため、どの企業もドッグフーディングを実施して製品の品質向上に役立てられます。
顧客から製品のフィードバックをもらうよりも、迅速に課題を発見でき対応できるのが大きな強みです。ただし、開発者視点でドッグフーディングを行うと利用者の不満を洗い出しきれない場合があるため、必ず顧客視点で行うようにしましょう。
▼顧客視点で商品・サービスを分析する方法として4C分析もおすすめです。
→4C分析とは? 4P分析・3C分析・SWOT分析との違い
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