インハウスSEOとは?内製化の方法と難しい場合の対処法
外注費のコストカットを目標としたSEO施策の内製化は、専門的な知識や経験が必要で難しいと感じていませんか。インハウスSEOで成果を挙げるには、実施すべきSEO施策についての理解や、注意しなければいけない要素を抑えておく必要があります。
この記事ではインハウスSEOとはなにかというところから、インハウスSEOの手順まで解説します。ぜひ参考にしてください。
■合わせて読みたい資料:「集客」に効果的なコンテンツの作り方がわかる
→BtoB向け!コンテンツSEO 集客ガイド
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SEO(Search Engine Optimization)とは?
SEOとは、「Search Engine Optimization」の略称で、日本語では「検索エンジン最適化」と訳されます。SEOは、主に以下3つの施策に分けられます。
- コンテンツSEO
- 内部SEO(テクニカルSEO)
- 外部SEO
どれか1つだけ行えばいいというわけではなく、3つの施策それぞれのSEO施策をしっかりと対策することが重要です。
以下では、それぞれ具体的にどのようなSEO施策を行うのかを解説します。
コンテンツSEO
コンテンツSEOとは、保有するサイトやメディアに記事コンテンツを作成し、ユーザーの流入や商品・サービスへの誘導・成約を目的とする施策です。ユーザーにとって役に立つ情報や課題解決に効果的な情報を提供することで、自社への信頼感を高め、購買へのハードルを下げられます。SEOでは代表的な施策のひとつです。
▼詳細はこちらの記事で解説しております。ぜひ参考にしてみてください。
→コンテンツSEOとは?コンテンツマーケティングの違いとメリットと成功事例を解説
内部SEO(テクニカルSEO)
内部SEOは、自社が運営するサイトやメディアの内部構造をプログラミングで最適化させる施策です。施策の実行には技術的なスキルが必要になる場面が多いため、プログラミングの知識や経験が必要になります。テクニカルな内容のため内部SEOが進まないケースも見受けられますが、SEO評価はGoogleのAIによって行われるため機械的な要素の改善は重要です。
内部SEOでは、主に以下のような施策を行います。
- タグを最適かつ効果的に用いてコンテンツの内容を正しくGoogleのAIに伝える
- サイトやメディアのページ表示速度を速めてユーザーにストレスを与えないようにする
- データの構造化を行い検索結果に表示させてユーザーに内容を伝える
- サイト構造をGoogleのAIが巡回しやすいように設計する
自社内でテクニカルな対応が難しい場合は、タグを正しく付与したりページ表示のスピードを改善したりと、できる範囲の施策から始めてみましょう。
外部SEO
外部SEOとは、他サイトやSNSなどの外部からの評価を得ることで自社サイトやメディアの価値を向上させる施策です。
自社内でコントロールができないため難易度が高いのですが、外部からの評価が得られればGoogleから自社サイトの価値を認めてもらえる可能性が高まります。
外部SEOの具体的な施策とは、主に以下のような内容です。
- 外部メディアから被リンク(外部サイトからのリンク)をもらう
- 各SNSの投稿から被リンクをもらう
- ウィキペディアや公的機関などから被リンクをもらう
代表的な外部SEOとして、他社サイトやSNSから被リンクを獲得する施策が挙げられます。被リンクを獲得することで、外部サイトから評価を得られたと判断されて自社サイトへの評価が高まります。被リンクを獲得するためにも、信頼性・権威性・専門性のあるサイトやメディアを目指しましょう。
▼被リンクについては、こちらの記事でも解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
→被リンクとは?チェックする方法とSEOに有効な獲得方法
インハウスSEOとは?
インハウスSEOとは、SEO施策を社内で内製化させ業務を完結させることです。施策の実施だけではなく、あわせてPDCAを回しての改善も自社内で行います。
インハウスSEOは、SEOノウハウの蓄積、外注費のコストカットなどのメリットがあります。
インハウスSEOのメリット
インハウスSEOのメリットでは、主に以下2つが挙げられます。
- 社内にSEOのノウハウと経験を蓄積できる
- SEOの外注費コストカットが可能になる
具体的にどのようなメリットがあるのか、以下で詳しく解説します。
社内にSEOのノウハウと経験を蓄積できる
インハウスSEOのメリットは、SEOの知見を社内に蓄積できることです。SEOは中長期的なマーケティングのため、ノウハウや経験が蓄積されることでより最適な施策を提案できるようになります。外部に委託している状態のままでは、ノウハウや経験が社内にたまらず、委託先に依存してしまうという可能性もあるので注意です。
SEOの外注費のコストカットが可能になる
SEOで成果を出すためには、時間と予算が必要です。SEOを外注化することで社員の時間的リソースは軽減されるかもしれませんが、その分予算がかかってしまいます。
コンテンツ制作だけでも1本20,000円〜60,000円が必要となり、コンサルティングも依頼すると毎月100万円近くの外注費が必要になるケースもあるでしょう。
インハウスSEOで業務を内製化できれば大きな外注費カットが可能となり、より効率的な予算配分が可能です。
インハウスSEOのデメリット
インハウスSEOのデメリットは、主に次の2つが挙げられます。
- SEOに知見のある人材を獲得する必要がある
- 社内理解を得る必要がある
インハウスSEOは自社の体制やリソースなど環境によってデメリットが異なりますが、どのフェーズでも起こり得るデメリットが以上の2つです。
具体的にどのようなデメリットがあるのか、解決策について以下で解説します。
SEOに知見のある人材を獲得する必要がある
SEO施策で成果を出すためには、専門的な知識と経験を持った人材が必要です。
SEOに知見のある人材を確保しなければ、SEOの方向性や具体的な施策を進められません。そのため、SEOの人材を求人で募集するか社内育成が必要です。
社内育成をする際は最初の3ヵ月間ほどSEOのコンサルティングに入ってもらい、伴走してもらうなどして自社の社員に知識と経験を積ませるのが効果的です。
ただし、人材の獲得や育成に成功しても外注化と比較すると離職するリスクもあるため、常に人材を確保するための施策が必要になります。
社内理解を得る必要がある
SEOはGoogleのアルゴリズムや細かなユーザー行動によって成果が変動するため、定量的な成果で仮説を立てるのが難しく、社内理解を得にくいというデメリットがあります。
また、施策の成果が出るまでに時間もかかってしまうため、短期間で成果を求められる場合は、さらに理解を得づらくなるでしょう。
社内理解を得てSEO施策に取り組む際は、ある程度の定量的な仮説立てと細やかな報告が必要です。例えば、SEOの指標として重要なサイト内のページスピードを上げたい場合は、以下のような社内提案が可能となります。
- ページ速度が遅くなるごとにサイト離脱率が〇〇%低下するという調査結果が出ている
- 自社のページ速度も該当しているため、〇〇%のユーザーが離脱している可能性がある
- ページ速度を改善することでサイト離脱率が〇〇%改善する見込みがあり、現状のCVRだと成約数が〇〇件増加する可能性が高まる
- よって、ページ速度の改善施策を今期中にも行うべきである
このように調査結果の数字を用いて定量的に改善案を提案できれば、社内理解を得やすくなるでしょう。
インハウスSEO実施に向いている企業の特徴
インハウスSEOに向いている企業には、以下のような特徴があります。
- すでにSEOの専門的知識のある人材を有している
- SEOの重要性について社内の理解がある
もちろん以上の2つに該当していなからといって、インハウスSEOをしない方がいいというわけではありません。あくまでも、インハウスSEOを進めやすい企業の特徴となります。
以下では、具体的な特徴について解説します。
すでにSEOの専門的知識を有している人材がいる
SEOの知見を持った人材がすでに社内にいる場合は、SEOをインハウス化するのに向いている企業です。専属のSEO担当者がいると、施策提案や具体的な業務の推進力が上がるため、別途責任者を外部から呼ぶ必要はなくなります。
ただし、担当者が1人だとリソースが足りなくなる可能性もあります。コンテンツ作成を一部外注化するなど、SEO施策の進みが遅くならないように担当者やリソースを確保し、作業を分担するのもおすすめです。
SEOの重要性について社内の理解がある
SEOの重要性に関して社内理解があると、施策を進めやすい企業です。SEOで成果を出すには時間がかかるため、社内理解があると予算の確保や事業プランの設計がしやすくなります。
また、他部署でもSEOの重要性に理解があると連携がスムーズになります。SEOは自社サイト内のプログラムを修正したり、営業部隊に被リンク獲得をお願いしたりと、他部署との連携が不可欠です。
「SEOが自社にとって重要である」という意識が社内全体で共有されていれば、SEO施策の幅は広がり、業務にもスピード感が生まれます。その結果、SEOによる成果が出やすくなり、さらに重要度が増すという好循環が生まれます。
インハウスSEOに向いていない企業
インハウスSEOに向いていない企業は、SEOに割く人員リソースがない企業です。SEOは予算と時間と工数が必要になるマーケティング施策のため、自社に人材や予算などのリソースがない場合は他の施策を優先させるのも手です。
すでにSEOに知見のある人材が社内におり、重要性についても理解があれば、成果が反映されるまで時間がかかるコンテンツ制作や被リンク獲得の営業活動などを少しずつ行いましょう。
いきなり大規模に施策を始めるのではなく、限られたリソースの中で少しずつSEOを行いましょう。
インハウスSEOの業務7ステップ
インハウスSEOを業務として行う場合、以下の7つのステップが必要です。
- ペルソナの設定
- コンセプトの設定
- KGI・KPIの設定
- SEOツール導入の打診
- 自社サイトの改善
- SEOコンテンツの制作
- 被リンクやサイテーション施策の実施
以下では、それぞれの業務内容について詳しく解説します。
1.ペルソナの設定
SEOでもっとも重要な要素のひとつがペルソナの設定です。SEOはユーザーの悩みや課題を分かりやすく伝えなければいけません。そのためにも、どのようなユーザーに対して問題解決するのかを明確にする必要があります。
ペルソナを設定する際は、自社のターゲット顧客を軸にどのような悩みを抱えたユーザーを対象にするかを考えておきましょう。
▼すぐにペルソナ設定が作れるワークシート付の資料もぜひ参考にしてみてください。
→Webの戦略設計に欠かせない!BtoB事業のためのペルソナ設定ガイド
2.コンセプトの設定
設定したペルソナを軸に、発信する情報や自社メディアのコンセプトを決めます。コンセプトの軸は、以下の3つを意識して考えるのがおすすめです。
- 誰の
- どのような悩みを
- 何の情報で解決するのか
コンセプトを明確にしておけば発信する内容がブレなくなるため、発信する情報に専門性と権威性が生まれ、ユーザーから信頼されやすくなります。
3.KGI・KPIの設定
マーケティング活動全般に言えますが、SEOでもKPI(中間達成目標)とKGI(事業達成目標)の設定は大切です。しかし、SEOはGoogleのアルゴリズムによって成果が大きく変動するため、定量的な仮説立てが難しいのが実情にあります。
そのため、KGIはSEO単体ではなく営業活動も踏まえた成約数の増加に設定して、そこまでに至る細かなKGIは以下のような順番で設定するといいでしょう。
- 月毎の記事の作成本数
- ユーザーのセッション数
- リード獲得によるCV獲得
KPIの設定は自社である程度コントロールできる指標を軸に、想定される数値を設定するのがおすすめです。
上記は、まず3〜6ヶ月ほど記事制作数をKPIとし、7〜12ヶ月で見込み顧客となるユーザーのセッション数を目標数値に設定します。最後に13〜24ヶ月ほどでCV数の想定値をKPIに設定してPDCAを回すプランです。
SEOは成果が出るまでに時間がかかるため、中長期的なスパンで目標設定しましょう。
▼KPI設定については、下記の記事もぜひ参考にしてみてください。
→BtoBマーケティングにおける「KPI設計」とは?フェーズごとの具体例を紹介
4.SEOツール導入の打診
SEOを実施する際は、さまざまなツールが必要です。例えば、KPIを正しく測定するための検索順位測定ツールや、コンテンツを作成するための競合分析ツール、改善箇所を可視化する校閲ツールなどです。
より良いコンテンツ作成や効果的な競合分析を行うには、有料ツールの導入も検討しなければいけません。
インハウスSEOを実施するうえで最低限導入しておきたいツールは、以下のとおりです。
- Googleキーワードプランナー:キーワード選定ツール
- Googleサーチコンソール:キーワード分析ツール
- Googleアナリティクス:サイト分析ツール
- ラッコキーワード:キーワード選定ツール
- Ahrefs(またはSEMRUSH):競合分析ツール
- GRC(またはRankTracker):検索順位測定ツール
特にAhrefsやGRCなどは有料ツールではありますが、SEOではほぼ必須ツールのため導入の打診を行いましょう。
▼SEOツールについては、下記の記事もぜひ参考にしてみてください。
→【編集部厳選】便利なSEOツールおすすめ26選
5.自社サイトの改善
SEOツールの導入まで完了したら、自社サイトの改善を行っていきます。サイトの改善とは、主に以下のような内容です。
- 既存情報の更新
- 既存記事のリライト
- 不要なページを削除または404設定
- ページ表示スピードの改善
- ユーザーが回遊しやすいサイト構造やデザインに再設計
今すぐできる既存情報の更新や記事のリライトから始めるのがおすすめです。既存記事などがまだない場合は技術的な改善を行う必要がありますが、スキルがなく難しい場合は作業者の確保を進めましょう。
6.SEOコンテンツの制作
自社サイトの改善と同時進行するのが新規のコンテンツ作成です。もし、まだコンテンツを作成していない場合は、以下の順番で記事作成するのがおすすめです。
- 顕在層の見込み顧客(ロングテールキーワード)
- 準顕在層の見込み顧客(ミドルテール〜ロングテールキーワード)
- 潜在層向けの見込み顧客(ミドルテール〜ビックキーワード)
まずは、具体的で明確な課題を持って検索する顕在層向けにコンテンツを作成しましょう。検索されるボリュームは少ないですが、ビッグキーワードよりも検索順位上位を狙いやすく明確な悩みを持っているため、コンバージョンにも結びつきやすいという特徴があります。
ロングテールキーワードで上位表示されるようになってきたら、徐々に1,000回程度の検索回数であるミドルテールキーワードでコンテンツ作成していきましょう。
7.被リンクやサイテーション施策の実施
コンテンツ作成に加えて重要なのが、被リンクやサイテーションといった外部SEO施策です。SEOにおけるサイテーションは、「サイト名や企業名などの情報が、他サイトに掲載されること」を意味します。サイテーションされるためにも、普段からSNSの運用を行って情報を発信することが重要です。
被リンクは外部サイトなどから自社に向けてリンクを獲得する施策のことで、昨今のSEOでは重要な指標と言われています。
被リンクを獲得するためには、自社サイトに対して「信頼性・権威性・専門性」があると認識されるようなコンテンツの継続した制作が必要です。さらに、コンテンツ制作に加えて、各企業サイトなどに被リンクしてもらえるように営業活動も積極的に行うとより効果的になります。
▼被リンクについては、下記の記事もぜひ参考にしてみてください。
→被リンクを獲得する方法とは?SEO対策に有効な評価を高める増やし方
意味のないSEOにならないために注意すること
インハウスSEOでは、常にGoogleのアルゴリズムとユーザーにとって有益であるかを意識して施策実行する必要があります。自社のSEOの価値を決定しているのはユーザーでありGoogleだからです。
よくある事例に、コンテンツの作成段階で効果の出にくい意味のないSEOコンテンツになってしまうというケースがあります。
例えば、以下のようなユーザーが求めていないコンテンツはインハウスSEOの成果が上がりにくい可能性が高いため、注意しなければいけません。
- 自社の良いところや自社製品のアピールを主張したコンテンツ
- 商品・サービスを比較するコンテンツで競合他社を比較紹介しない記事コンテンツ
- タイトルタグやHタグなどのタグが最適化されていないコンテンツ
- 競合記事をマネしただけのようなコピーコンテンツ
SEOを内製化しているからといって自社の好きなようにコンテンツを掲載するのではなく、ユーザーの課題解決や分かりやすさを意識し、Googleにも正確に伝えるために必要な内容を意識しましょう。
インハウスSEOが難しそうであれば「ferret One」がおすすめ
インハウスSEOでは、技術的な内部施策や専門的な知識を用いたコンテンツ作成などが必要になるため、難しく感じる担当者も多くいます。そのような担当者におすすめなツールが「ferret One」です。
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まさに、これからインハウスSEOを始める企業にピッタリのツールです。
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インハウスSEOには専任の人材と社内理解が大切
インハウスSEOとは、コンテンツ制作・内部SEO・外部SEOなどの施策を自社内で完結させることです。SEOで成果を出すためには、予算・時間・人材だけでなく社内のSEOへの理解も必要となります。
そのほか、SEOへの知見や、人的リソースも必要となります。社内理解を得ながら、同時にインハウスSEOが実行できる体制を、少しずつ整えていくと良いでしょう。
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