【BtoB向け】顧客データ活用事例8選|データを活用するポイントと注意点も解説


自社の顧客データを正しく管理・分析して次のビジネスにどう活かすか、という課題に悩む経営者やマーケターは少なくありません。

顧客データを有効活用する企業は着実に増加しています。AmazonやFacebookのようなBtoC型のビッグデータではなくても、BtoB型で中小企業でも正しい戦略と運用方法を確立できれば経営の強い味方となることでしょう。

国内でもさまざまな業態で、顧客データの分析および活用の成功事例が多数報告されています。

この記事では、8社の事例を紹介するとともに、「自社でもこれから取り組みたい」というときの成功のポイントを解説します。

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目次[非表示]

  1. 1.BtoB事業の顧客データ分析の活用事例8選
  2. 2.事例から学ぶ顧客データを活用するためのポイント
  3. 3.顧客データを活用するときの注意点
  4. 4.顧客データの活用事例を参考に効果的な施策を検討しよう


BtoB事業の顧客データ分析の活用事例8選


BtoBの事業者で顧客データを活用している、または今後活用したいという動きは広まっています。

帝国データバンクが2021年4月に行った調査(※)によれば、BtoBマーケティングの強化ポイントとして約4割の企業が「顧客分析を強化したい」と回答しました。
関心が高い一方で、発展途上または着手できていない企業が多いこともうかがえます。

国内のBtoB事業者で、顧客データを活用する企業が着実に増えていく中、実際に成果を上げている事例を紹介します。

※参考:BtoBマーケティング、「顧客データのデジタル化」を強化したい企業が3割【帝国データバンク調査】


1.Sansan株式会社:MA導入で見込み顧客を抽出

Sansanは企業向けにクラウド型の名刺管理サービスを提供しています。

2015年から2016年にかけて行ったのはマーケティングオートメーション(MA)ツールの導入でした。人海戦術に頼っていた自社の見込み顧客のデータ整理やデータベース管理の課題解決に動いたのです。

受注見込みの高いセグメントを抽出でき、セールスパーソン1名が対応する見込み客を絞り込むことで受注率が上昇。その他の施策を組み合わせた結果、受注数が2倍に拡大できたと言います。

直ちに受注に至らなかった顧客にも、適切なタイミングでメールなど再アプローチできるようになりました。こうしたMAの強みも生かして、さらに受注率は向上したということです。


参考:MA導入3ヶ月で新規獲得3倍と受注率10%UP!Sansanが徹底するマーケティングの『当たり前』

▼MAについては、下記の記事も参考にしてみてください。
マーケティングオートメーション(MA)とは|メリットや活用方法・機能も解説


2.富士通クラウドテクノロジーズ株式会社:アクセス情報の解析からマーケティング体制を確立

富士通クラウドテクノロジーズは、スマホアプリの開発者支援サービスを提供しています。

会員数の伸び悩みを解決しようとMAを導入したところ、見込み顧客の個別の課題に合わせたコンテンツを提供できるようになり、課題だった会員数が増加しました。

ひとりひとりのアクセス情報や流入経路を分析し、見込み顧客の関心に寄り添ったマーケティング体制を確立できたことが大きな原動力だったと考えられています。

コンテンツの内容を充実させる際にも、配信後の見込み客の反応などを反映。PDCAサイクルの好循環が生まれ、その後も売上増加が継続しています。


参考:導入事例 - 富士通クラウドテクノロジーズ(旧ニフティ株式会社)様

3.株式会社カイエンシステム開発:顧客データを活用してタクシー業界にアプリ提供

カイエンシステム開発の開発したタクシー会社向けアプリは、ビッグデータを活用した顧客予想システムです。

タクシーが蓄積した過去のGPS情報に、リアルタイムの予測をかけ合わせることで、どこにタクシーを向かわせれば効率よく顧客に乗車してもらえるかを提案します。

タクシーにとって上客である長距離利用の顧客も探しやすくなったほか、顧客からの配車依頼を近くにいる車に素早く通知するなど、配車にかかるコスト削減にも貢献しています。

参考:ビッグデータ有効活用で売上はまだ伸びる!


4.パナソニックインフォメーションシステムズ株式会社:顧客データを活用して営業部のDX化を実現

パナソニックインフォメーションシステムズでは、従来から自社の営業データ管理にさまざまな課題を持っていました。
同社は松下電工(当時)の情報部門から独立したIT企業です。

これまでは顧客情報のルール整備ができていなかったため、商談中の案件の中身がうまく把握できず、社内の情報共有に大きな手間がかかっていたのです。

そこで顧客データ管理ツールを外部から導入し、営業部は一気にDXを成し遂げます。
資料作成などの業務時間が3割以上削減され、業務効率化が推進されました。
営業活動が「見える化」され、商談機会のロスや失注を防ぐことにもつながりました。

参考:部門や営業拠点の枠を超えたノウハウの共有で、よりユーザビリティの高いソリューション提案が可能に。


5.パーソルホールディングス株式会社:顧客データを統合して営業のDX化を実現

総合的な人材サービスを提供するパーソルグループには、30社を超えるグループ会社があります。
当初は、グループ各社それぞれがデータを管理していたため、膨大なデータの統合は困難と考えられていました。

そこでパーソルホールディングスは統合顧客データ基盤「DUKE」を立ち上げ、法人内のマスターデータベースを作成しました。

各社からのデータを集める中で生じた、データのクレンジング、重複データの突き合わせなどの問題も、外部のデータ管理プラットフォームを使ってクリアしていきます。

各社はDUKEから自由にデータを取り出し、営業やマーケティングに活用できます。
終了後、データをDUKEに戻すと最新のデータに置き換わる仕組みを実現しました。

グループ会社を悩ませていたデータ管理の煩雑さを軽減したことで、セールスパーソンが営業活動に使える時間が向上し、生産性も上がり始めているということです。


参考:パーソルが挑む営業DX!顧客データの統合とグループ各社が活用できる仕組みづくり


6.株式会社MonotaRO:顧客データをもとに顧客ごとに通知を最適化

作業工具や事務用品などのECサイト「モノタロウ」を手がけるMonotaROは、全国数百万の中小企業を顧客としています。

MonotaROでは、従来から顧客の行動履歴をビッグデータとして蓄積してきました。
さらに顧客体験(CX)プラットフォームと連携させることで取得できるデータ量が増え、顧客の行動パターンや心理を深く理解できるようになりました。

また頻繁かつ素早くABテストを実施できるようになった結果、顧客ごとに適切なメッセージを適切なタイミングで伝えられるようになり、顧客からのレスポンスも向上したということです。


参考:常識破りのデータドリブン企業・モノタロウが分析から施策までを直結させ、PDCAを3倍速にできた理由


7.富士フイルムビジネスイノベーション株式会社:コピー機からの顧客データで顧客満足度向上に活かす

富士フイルムビジネスイノベーション(旧社名:富士ゼロックス)では、顧客先に設置されているコピー機からの送信データに基づき、故障の検知や事前の手当を可能にしました。

顧客の申し出を受けた後に故障個所を特定してから修理するのが当たり前だったころと比較して、修理対応のスピードは大きく短縮されました。

なおコピー機から受け取るビッグデータは、製造部門にも反映されています。故障しやすい部品を見直しなど、製造プロセスの改善にもつながっています。

結果として、メンテナンスサービス、品質向上の両面から顧客満足度向上を果たしました。

参考:オフィスのIT環境を4つの視点で見える化


8.株式会社クエスト:ユーザーの状態に合わせたBtoBマーケティングで新規顧客開拓を達成

システム開発会社のクエストでは、新規顧客獲得に向けてBtoBマーケティングツールを活用しました。

営業現場の声を反映してターゲットのペルソナを明確化し、コンテンツマップを作成。結果として、ターゲットが明確になり、伝えるセールスメッセージを磨かれていきました。新たな営業ツールも誕生します。

こうした準備を行った上で、Webでのユーザー行動をマーケティングツールによって徹底的に分析した結果、新規顧客の開拓につながったということです。

「データドリブンな組織を目指す」ことを経営目標に掲げる同社の変革の一歩となりました。


参考:戦略設計からコンテンツ制作・リード発掘までBtoBにおけるマーケティングをワンストップで支援


事例から学ぶ顧客データを活用するためのポイント

顧客データの活用に成功している企業に共通する4つのポイントを整理します。

  • データを客観的に把握する仕組みを作る
  • データ収集の目的を明確にする
  • 過不足なくデータを収集する
  • すべての顧客データを一元管理する

高機能なツールを導入する前に、まずはデータをそろえることや運用ルールを決める設計が重要であることが分かります。


データを客観的に把握するための仕組みづくり

まず社内にデータマネジメントの仕組みを作ることが重要です。中でも「顧客データが重要な社内の資産である」ことを共通理解することが第一歩です。

顧客データは正確なものが大量にあれば、分析結果も信頼できるものが得られます。

そのためにどのような項目を残し、捨てるのか。これまで各担当者がバラバラに手持ちしていたデータをどう集めるのか。古いデータで、新しいデータを書き換えてしまわないようにするなど、さまざまな配慮が必要です。


データ収集は目的の明確化が重要

最終的に何のためにデータ収集するかを明確にしておくこともポイントです。

例えば営業やマーケティングの現場には、通常の業務があります。「顧客管理の工数が削減できる」「受注が取りやすくなる」など、データ収集や分析によって期待される成果を共有できれば、広く社内の協力が得られるでしょう。

新たな管理の仕組みを導入することは、一時的に現場の負担を増やすことも理解し、目的達成のための協力を求めましょう。


過不足のないデータ収集

社内に点在する顧客データは過不足なく集める必要があります。

メールアドレスは分かるけれど、部署がどこの人なのかも分からない、ということは起こりがちです。
同じ会社でも、営業部と総務部に送るメールの内容が同じでも構わないことは少ないでしょう。これでは顧客に対して適切なメッセージを送れません。

複数の社員が提出してきたデータ間の重複や表記ゆれなどで、同一人物が二重、三重に登録されてしまうことも、専門の顧客管理ツールでマージしていくべきです。

また、古いデータや手打ちの間違ったデータが残ることも、できるだけ防がなければなりません。顧客に不適切なメッセージを送って失注することにつながりかねないためです。


顧客データは一元的に管理

顧客データの一元管理を徹底しましょう。

社内で営業部門とマーケティング部門が別々のデータベースを作成しているケースがありますが、非効率です。

ある展示会で獲得したリード、問合せフォームに集まった顧客など、流入経路が違うとデータベースのファイルが異なるなどというケースは注意しましょう。

事例紹介でも登場した「MAツールを使って最適なタイミングで適切なメッセージを伝える」ためには、顧客データが一元管理されていることが不可欠です。

また複数のデータベースに同じリードが存在するケースは管理上も危険です。
例えば「退職したので今後、連絡をしないでほしい」と申し出を受けたにも関わらず、別のデータベースに残っていた同じリードに、別部署が再度アプローチをしたとします。

データベースを管理できない会社と見られて信用を損なうリスク、既存顧客からの解約につながる恐れさえあります。

効果的な営業、マーケティングを行うために、もしバラバラに管理されているデータがあれば、早期に統一を進めるのがよいでしょう。


顧客データを活用するときの注意点


顧客データの分析結果を活用する際の注意点も認識しておきましょう。

例えば、顧客データに偏りがあると思わぬ落とし穴にはまるケースもあります。
集めたデータがすべて「過去に一度自社製品を導入した経験のある企業」だった場合を想定してみましょう。

この企業群は、標準的なサンプルに比べ自社ヘの理解度も高く、導入までの商談スピードは大幅に早いことが想定されます。

「話が早い」企業の動向を分析し、仮に標準的な大多数の企業に同じアプローチを行っても、受注につながらないことが想定されます。

せっかく顧客データの分析を行ったのにもかかわらず、誤った行動、決定につながってしまうという例です。

データを扱うのはあくまでも人間であり、生身の人間はなかなかバイアスから逃れられません。
分析に使ったデータが客観的に正しいかというチェックも大切です。


顧客データの活用事例を参考に効果的な施策を検討しよう

顧客データを分析することで思わぬ事実が分かることがあります。ビジネス拡大の新たなチャンスが見つかることもあるでしょう。

今は何から手をつけたらいいか分からないという企業は、まずデータに関する課題を整理することが第一歩になるかもしれません。

事例で紹介した企業も、様々な課題を抱えていましたが、なんとか「克服しよう」というキーパーソンの強い決意からスタートしています。

ぜひ事例も参考に、効果的な施策を検討してください。


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One Tip編集部
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One Tipは、Webマーケティングツール「ferret One」から生まれた、「リード獲得の打ち手が見つかるメディア」です。 BtoBマーケティングにかかわる人にとって、価値あるコンテンツをお届けしていきます。 Twitter:@ferret_One_

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登録番号 IA180169 適用規格 ISO/IEC 27001:2013 / JIS Q 27001:2014