マーケと営業の壁を崩す、仕組みとマインド - ferret Oneチームの場合
BtoBでは特に重要だと言われながら、なかなか上手くいかないマーケティングと営業の連携。マーケティング組織の立ち上げ期には、この壁に悩む企業も多いのではないでしょうか。
ferret Oneチームもこの課題に取り組み、試行錯誤しながら連携体制を作り上げてきました。インサイドセールスチームの一員として体制構築に取り組んできた元木が、ferret Oneチームの取り組みとそこから分かった連携成功のコツを解説します!
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解説をするのはこの人!
元木 雄介(もとき ゆうすけ)
株式会社ベーシック マーケティング部 インサイドセールスグループこれまで、アウトバウンド、インバウンドと、まんべんなく営業を経験。現在は、ferret Oneインサイドセールスのマネージャーとして活躍中。
Twitterのアカウントは@yusukemotoki15
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なぜBtoBではマーケと営業の連携が重要なのか
元木:BtoBではマーケと営業の連携が欠かせないと言われています。その理由は、BtoCではCVさせればゴールであるのに対し、BtoBマーケではCVがゴールではなく「営業活動の始まり」だからです。
獲得したリードの質やCVさせるために行った施策の内容など、マーケの活動すべてがその後の営業活動に影響します。逆に、どんなにマーケがいいリードを獲得しても、営業の活動内容次第で受注というゴールに至らない場合もあります。
どちらかの部門で完結するものではないため、マーケは営業KPIも加味して施策の効果検証をしなければならないし、営業はどのようなリードが受注に至ったかをフィードバックしなくてはなりません。これをしないことには、適切なリードを獲得し受注につなげるためのストーリーは描けません。成果を出すには、おのずと両者の連携が必要になるわけです。
マーケと営業の連携はなぜ難しいのか、なぜ進まないのか
元木:連携の重要性は理解していても、実際にはなかなか連携が進まない場合もあります。実は、ferret Oneチームも以前はそうでした。なぜ大事だとわかっているのに連携が進まないのか。試行錯誤しながら達した結論は「バリューチェーンにとらわれすぎているから」ではないか、というものです。
バリューチェーンは、事業活動全体を「生み出す価値の連鎖」として捉える分析フレームワークです。「リードを獲得するマーケティング」「リードを育成し商談化するインサイドセールス」「商談を行い受注を獲得するフィールドセールス」のように、それぞれが生み出す価値に着目します。
ただし忘れてはいけないのは、バリューチェーンはあくまで分析フレームワークだということです。管理者目線でリソースの調整や強み・弱みの把握に使うのはよいですが、「マーケの役割はリード獲得」というバリューチェーンにとらわれすぎると、獲得リード数のKPIしか目に入らなくなってしまいます。
同様にインサイドセールスはアポ数、フィールドセールスは受注数とそれぞれのKPIだけ見ていると、「自部門のKPIさえ達成できていれば役割は果たせている」という考えに陥りがちです。これでは連携のマインドは生まれません。
連携のためにferret Oneチームが実行したアクション
元木:ここからは、私たちがマーケと営業の連携強化のために実際に行った主な3つのアクション
- KPIの変更
- 組織体制の変更
- コミュニケーション設計
についてご紹介します。
KPIの変更:マーケのKPIにアポ数を追加し、インサイドセールスとの連携を促す
まず最初のアクションは、KPIの変更でした。元々マーケのKPIはリード数だけだったところ、インサイドセールスによるアポ獲得数もマーケの目標として持ってもらうようにしました。
この変更により、マーケでリード数を達成しても、そのリードの質がよくなければアポ数が未達になってしまいます。必然的にリードの質を意識するようになりますし、「どういうリードを送るとアポが取りやすいか」というインサイドセールスへのヒアリング等、連携も自発的に生まれるようになりました。
ここで併せて重要なのは「全員がKPIを見られる環境を整えること」です。共通KPIを常に意識することで、連携のためのマインドは醸成されます。KPI設定と、それを意識できる環境づくりは必ずセットですね。
KPIの変更は、部門の責任者同士がしっかり合意を形成し、トップダウンで進めることが重要だと思います。弊社では以前から「獲得リードがアポにつながりづらい」という課題感を持っていたので、この試みは割とすんなり受け入れられましたが、マーケとしては指標が増えることで負担が増えるので、同じことをやろうとしても反発されるケースもあるかもしれません。そうした反発や混乱を防ぐには、トップの意思決定が重要でしょう。
また、KPIは一度決めて終わりではなく、成果を出すための「最適な指標」を見つけるために、アップデートを重ねていくものです。弊社でも、試行錯誤しながら取り組んでいます。
組織体制の変更:インサイドセールスをマーケティング部に移動し、連携を強化
組織の変更も、連携のための重要なアクションでした。
ferret Oneチームでは、インサイドセールスをセールス部からマーケティング部に移動したことで、マーケとインサイドセールスの連携がしやすくなり、マーケが元々見ていた数値に定性情報を加えて新たな示唆を得られるようになりました。それと同時にインサイドセールスがマーケ施策に対してフィードバックを行うことで、施策改善のスピードも上がっています。
全てのリードに架電しているインサイドセールスは、明らかに一番多くお客様に接しています。そのインサイドセールスが持っている定性情報は、マーケの施策改善のために役立たないはずがありません。
情報共有やフィードバックは、イベント毎・LP毎のように施策単位で行っています。セミナーは月1、広告は週1の頻度です。アポ数や受注数の共有はもちろん、新規にナーチャリング対象になった顧客数など手前の段階の数値も共有するので、まだアポまでには至っていなくても施策の手ごたえを把握できるようになっています。
コミュニケーション設計:受注・失注ミーティングで理由を共有し、施策に活かす
コミュニケーションの場を設計することも、重要なアクションの一つです。
ferret Oneチームでは、定期的に「受注・失注ミーティング」を行い、「なぜ受注(失注)したか」をフィールドセールスから情報共有しています。これによってマーケとインサイドは「あの施策は〇〇という狙いだったけど刺さらなかったか~」「あらかじめ△△を聞いておくべきだったな~」と気付くことができます。
マーケとインサイドからも積極的に質問をしますし、そこから派生して「このお客様は最初は何を探していたんですか」「なんでセミナーに来てくれたんですか」と深堀りしたコミュニケーションに発展することもあります。失敗を責めるのではなく、気付きを得る場だと意識することがポイントです。
連携を成功させるためのマインド
元木:KPI設定、組織体制、コミュニケーション設計に加えて、連携に欠かせないのはそれぞれのマインドです。では、営業とマーケそれぞれで、どんなマインドがあるといいのか、自分が思っていることをお伝えします。
■営業部門に求められるマインド
営業は、リードの出どころを把握した上で、データに基づいてマーケに適切なフィードバックができるようになることが大切です。そのためにはデータを管理するSFAへの入力を欠かさず、KPIになっている指標を全員が見られるようにしなくてはなりません。
しかし、つい入力を怠ってしまったり、使い慣れた他のツールを使ってしまったりするのはよくあることですよね。
そこで、ferret Oneチームではスプレッドシートで顧客や商談のデータを管理するのを禁止しました。さらにマネージャーのチェック用に、入力されていない項目があるとエラーが表示されるダッシュボードも作りました。
この取り組みから2か月くらいで入力が徹底されるようになり、全員がKPIを見られる環境が整いました。
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■マーケティング部門に求められるマインド
マーケは、自分の施策が最終的に受注を生み出せているかを意識するのが大切です。はじめにもお伝えした通り、CVはあくまで受注までの通過点にすぎないからです。
獲得したリードのその後をSFAで確認する他、営業へのヒアリングも効果的です。ターゲット顧客であっても、タイミングや自社の状況によって成約まで至らないことはもちろんあります。失注の原因がマーケ施策ではない場合もあるので、適切なヒアリングをすれば判断を見誤らずに済みます。積極的にリードのフィードバックをもらいにいく、フットワークの軽さがあるといいですよね。
営業とマーケの連携があったからこそ、危機を脱出できた
元木:ferret Oneチームで連携が強化されたことで、目に見えた成果が出た事例をご紹介します。
2020〜2021年はコロナ禍で宣伝広告費を絞るお客様が多くなり、問い合わせがガクンと減った時期がありました。そんなピンチを救ったのも、マーケとインサイドセールスの連携です。
ferret Oneは多機能なツールなので、お客様のやりたいことによって訴求の切り口が異なります。限られた予算の中でお客様がやりたいことはなんなのか。いろいろな訴求軸でマーケ施策を試しても正解はなかなか見つかりませんでした。
そんな中で解決の糸口となったのは、インサイドセールスの架電時に得た「お客様が『リードを獲得したい』と言っていた」という情報です。この情報を基にしてマーケが『リード獲得』をテーマにしたLPを制作したり、リード獲得に関するセミナーを開催することで成果につなげることができました。インサイドセールスのフィードバックによって、「刺さるキーワード」を見つけることができたのです。
事例記事やホワイトペーパーにも随時インサイド/フィールドセールスからフィードバックを行っています。たとえばフィードバックによりホワイトペーパーのタイトルを変更したことでダウンロード数が伸び、そこから獲得したリードのアポ率も4.5%→11.8%と約2.6倍になりました。
連携を成功させるための3つのポイント
元木:ferret Oneチームによるマーケと営業の連携のための取り組みをご紹介しました。改めて、連携を成功できたポイントは次の3つです。
- KPI設計と、共有KPIを意識できる環境づくり
- 組織の作り方と役割の定義
- 気づきを得るためのコミュニケーション設計
これからの連載でそれぞれ詳しくご説明したいと思います。どうぞお楽しみに!
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