PDCAとは?古いと言われる原因と失敗しないサイクルの回し方
業務改善・効率化の手法として、多くの企業が活用している「PDCA」。しかし「考え方が古い」「代わる手法が必要だ」という意見があります。
この記事では、PDCAがどのようなものか理解しつつ、古いと言われる原因や失敗しないサイクルの回し方を紹介します。
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PDCAとは?
PDCA(別名:PDCAサイクル)とは、生産性の向上を目指し、業務改善・効率化の促進を図る手法です。
「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」それぞれの頭文字を取ったものであり、多くの企業やビジネスパーソンが活用しています。
Plan→Do→Check→Actionを繰り返し、継続的に業務改善や生産性の向上を達成することが目的です。
PDCAのプロセス
PDCAは下記のプロセスで実行します。それぞれ具体的に解説します。
①「Plan(計画)」
設定した目標や目的を達成するための、業務計画を立てる段階です。スケジュール管理や評価の基準をわかりやすくするために、期日・定量的なものなど数値で示せる目標立てが重要です。
数値目標の設定には「5W3H」のフレームワークが活用できます。
▼数値目標設定のための「5W3H」
- When(いつ・時間)
- Where(どこで・場所)
- Who(誰が・人)
- Why(なぜ・理由)
- What(何を・課題)
- How(どのように・手段)
- How much(いくら・価格)
- How many(どのくらい・規模)
「Plan」の段階では、具体的かつ現実的な目標・目的や業務計画の設定が大切です。
②「Do(実行)」
「Plan」で立てた計画に沿って業務を実施する段階です。この後取り組む「Check」を意識した実行・業務が求められます。
この段階では実行のプロセスや結果など、内容の記録が欠かせません。実行中に発生した問題や課題は詳しく記録しておくことが重要です。
「Do」は計画を実行すると同時に、有効性を検証する段階です。実行の際は計画のすべてを一気に実施せず、ほかに有効な方法がないか考えながら、少しずつ実行しましょう。
③「Check(評価)」
計画通りの実行ができたか、設定した目標や目的が達成できたかを評価する段階です。
単に「できた」「できない」と結果のみを評価するものではなく、「Plan」で立てた数値的な目標をもとに達成率や進捗を具体的にまとめます。
達成できた部分については成功要因を、達成できなかった際には原因を分析・検証することが大切です。
④「Action(改善)」
「Check」で分析・検証した内容をもとに、改善を検討する段階です。
達成できなかった部分は、修正すべき箇所を補うための改善案が求められます。成功した部分も、次のサイクルでさらに高い成果を出すために、改善を図る必要があります。
改善案が複数出てくる場合は、優先順位をつけて順位の高いものから改善を図ることが重要です。
「Action」で出てきた改善案をもとに「Plan」に戻り、新たな目標・目的を設定します。場合によっては計画の中止・延期を視野に入れた判断が必要です。
PDCAのメリット・デメリットとは?
PDCAはどのような状況でも活用できる、ただ導入すれば成果が出るという万能なものではありません。
PDCAの導入には、以下のようなメリット・デメリットがあります。
PDCAのメリット
まずメリットとして下記の3点が挙げられます。
やるべきことや目標を明確にできる
業務の際に目標が明確でないと、とるべき行動が具体的になりません。曖昧な目標で闇雲に実行すると、本来達成すべきことからズレが生じます。
PDCAは、組織・個人が明確な目標を立てられる点が特徴です。サイクルを一周すると、次にやるべきことや目標を定めやすい傾向があります。
課題や不足部分を明らかにしやすい
PDCAでは「Plan」の段階で数値的目標を設定するので、実行したことに対する成果や失敗の判断が容易です。進捗や達成度が明確になり、立てた目標と実行に生じたギャップが見えやすくなります。
その結果得られるのは、改善するために求められる行動の指針や、成果や達成度を向上させるための改善策です。
生産性の向上につながる
「Plan」で業務計画を立て、細かくタスクを明確にしていれば、組織・個人が日々何をやるべきか理解できます。
やるべきことや数値的な目標が明確だとモチベーションや集中力がアップするため、生産性の向上につながります。
PDCAのデメリット
続いてデメリットとしては、下記の2点が考えられます。
PDCAの形骸化
PDCAは業務改善などの目標の達成より、サイクルを回すこと自体が目的化しやすいデメリットがあります。
目標や課題への理解がないままPDCAサイクルを回しても、業務改善は達成されません。サイクルを回すことが優先され、改善が伴わないようになるおそれがあります。
PDCAを活用する際は、達成すべき目標・目的や、行動を常に意識することが必要です。
イノベーションを起こしにくい
PDCAの強みは、継続的な業務改善や生産性の向上です。課題や目的は過去のPDCAから生じるため、既存の課題などを解決することに向いています。
一方で、新しい価値や切り口を作り出すことには向いていません。新商品開発・新規事業には活用しにくいデメリットがあります。
PDCAは古いのか?失敗する原因とは
PDCAがサイクルを効果的に回せていない状況が続くと、「PDCAは古い」と認識される傾向があります。
ここでは各プロセスで陥りがちな、PDCAサイクルに失敗してしまう原因を紹介します。
「Plan」で失敗する原因
「Plan」で失敗するのは、計画や目標に原因があるパターンが多くあります。
目標が高すぎる
成果を重視し、適切な現状分析・把握ができていないまま高すぎる目標を設定すると、計画倒れになる可能性が高まります。加えて、高すぎる目標設定は「Do」の精度の低下につながります。
具体的な業務計画を立てられていない
何を実行すればよいか明確でない業務計画だと、課題や目標に沿った実行ができません。その後の「Check」で、適切な分析や検証が困難になる可能性があります。
「Do」で失敗する原因
「Do」で失敗するのは、実行計画の拙さや記録が適切でないことに原因が多くあります。
実行に計画性がない
現場の実態を踏まえず「見切り発車で実行する」「できることからやる」状況では、計画的な実行ができません。
サイクルを進めると進捗が見えにくく、効果的な結果が生み出せない可能性があります。
適切な記録が行われていない
適切な記録ができていないと、正確な「Check」ができません。
記録の管理方法が担当者ごとに異なったり、記録すべき内容が欠けていたりすると、評価が曖昧になり、それ以降の精度が低下します。
「Check」で失敗する原因
「Check」で失敗するのは、適切な評価が行われていないことに問題があります。
評価が行われていない
計画を立ててその通りに実行しても、評価が行われないと計画や実行自体が適切なものか判断できません。
形式的な評価のみでは、計画の達成度や進捗の把握が困難です。
評価基準が曖昧
1人の担当者のみの主観だと、漠然とした評価しかできない可能性があります。
数値的な目標、定量的な観点からの評価でなければ、有効な改善案は生まれません。
「Action」で失敗する原因
「Action」で失敗するのは、改善案の内容に問題があるかもしれません。そもそも実行できない計画になっていないかについても、要注意です。
改善案が適切でない
評価に基づいておらず、前例や慣習から改善案を検討すると、課題の本質的な解決に結びつきません。
さまざまな視点での評価がない場合、適切な改善案が出てこない可能性があります。
改善案が実行されない
改善案が実行されない場合、次のPDCAサイクルに移行できません。
改善案を参考にした、新たな「Plan」がなければ、PDCAサイクルによる継続的な改善・向上は見込めません。
PDCAの効果的な回し方
PDCAで失敗しないためには、以下のポイントを押さえて効果的な実践をすることが大切です。
数値を用いた明確で具体的な目標・計画の設定
「営業の成績が落ちてきているから成績を上げよう」といった目標の設定では、モチベーションの向上や次の行動につながりません。
「○年で、売り上げを現在の○○%アップさせる」など、数値を用いた具体的な目標を設定することが大切です。
目標や計画・期限を数値で示すことで、これからとるべき行動を具体的なものにできます。
計画通りの実行と適切な管理・記録
実行が計画通りのものでなければ、計画の善し悪しについての検証ができません。実行した内容についての記録がなければ、正確な検証が困難です。
定期的に進捗の管理ができていると、その都度、改善策を出すことが可能です。計画通りの実行ができていない部分が生じても、適切な管理下であれば、より良い改善ができます。
定期的な評価・確認
実行の部分で手一杯となり評価ができないと、計画が適切か判断できないままです。そのまま実行を続けると、誤った結果をもとにサイクルし続ける可能性があります。
失敗を防ぐためには、評価・確認をする時間を意識的に設けることが大切です。「月曜日に前週の評価を実施する」「毎月の最終金曜日には全体で進捗確認」など、定期的な評価や確認をするとPDCAの好循環につながります。
継続的・段階的に向上するサイクルを回し続ける
PDCAは、サイクルを一度回しただけで終了するものではありません。サイクルを継続的に回して、改善点を見つけながら成果を高めていくのが、理想的な状態です。
一度のサイクルで成果が出たことをゴールと考えず、常に課題を見つける視点を持ちつつ改善を繰り返し、PDCAの質を向上させる意識が重要です。
▼サイクルを回し続ける方法については、こちらの記事を参考にしてみてください。
→Webマーケティングの効果的なPDCAサイクルとは?販促内容別の具体的な運用方法
PDCAと比較される「OODA」とは?
PDCAに「代わる」メソッドとして、しばしば比較対象に出てくるのが「OODA」です。OODAはPDCAに代わるものではなく、それぞれ異なる部分があります。
OODAとは
OODAとは「Observe(観察)」「Orient(状況判断・方向づけ)」「Decide(意思決定)」「Act(実行)」それぞれの頭文字を取ったものです。
Observe(観察)
市場・業界、顧客、競合他社や、自社の社内環境など、内外の状況を観察し情報収集する段階です。
経験による推測・判断などはせず、客観的な情報を幅広く集めます。
Orient(状況判断・方向づけ)
収集した情報について、経験や知識を用いて分析し、現状を判断する段階です。判断した状況から、行動の方向性・手段を考えます。
Decide(意思決定)
「Orient」で考えた方向性・手段から、具体的にどのような計画を実行するか決定します。
この段階で不足があれば「Observe」に戻って観察し直す場合があります。
Act(実行)
「Decide」で決定したことを実行する段階です。
実行後は次の「Observe」に戻り、一連のプロセスを繰り返します。
一連のプロセスを繰り返すことを「OODAループ」と呼びます。
OODAループは、必要に応じて前の段階に戻ったり再度「Observe」から仕切り直したりできる、自由度の高さが特徴です。
PDCAとOODAの違い
PDCAは中長期的な視点で、継続的に業務改善・生産性の向上に取り組む手法です。
特徴は、数値的な目標や具体的な業務計画をもとに、サイクルを回していくことです。目標や先の見通しが明確な既存の業務に対して、高い効果を発揮します。
OODAは短期的な視点で、迅速に観察や状況判断、意思決定に取り組む手法です。変化に対して柔軟な対応ができることが特徴で、状況が変わればすぐに前の段階に戻ることが可能です。
先の見通しが立たないものや新規事業の開拓に対して、高い効果を発揮します。
PDCAに失敗したからOODAに切り替えるのではなく、取り組みの内容やそれぞれのメリット・デメリットに応じて、2つの手法を使い分けることが重要です。
▼詳しくは下記の記事もぜひ参考にしてみてください。
→OODAとは?PDCAとの違いをBtoB目線で簡単に解説
PDCAのポイントを改めて理解し、効果的な業務改善を
PDCAはサイクルを回すことで、中長期的に業務の改善・効率化や、生産性の向上を図る手法です。
効果的に回すための、主なポイントは以下の4つです。
- 数値を用いた明確で具体的な目標・計画の設定
- 計画通りの実行と適切な管理・記録
- 定期的な評価・確認
- 継続的・段階的に向上するサイクルを回し続ける
課題や目標に対して、PDCAを使う場面として適切かどうか見極め、効果的に業務改善に取り組んでいきましょう。
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