
新規事業マーケティングの進め方|認知ゼロからPMF達成までの実行戦略
既存事業の成功体験があるからこそ、新規事業で「これまでの勝ちパターンが通用しない」という現実に、焦りを感じていないでしょうか。
展示会や広告でリードは取れても、商談に繋がらない
施策が場当たり的で、全体像(ストーリー)が見えない
限られたリソースで、何から手を付けるべきか正解がわからない
認知度のない新規事業の立ち上げは、既存事業とは戦い方が根本的に異なります。戦略なき施策の連打は、リソースを浪費し、組織を疲弊させるだけです。
今必要なのは、点の施策を「商談・売上」まで一本の線でつなぐ全体設計です。
本記事では、2,000社以上のBtoBマーケティングを支援してきたferretの知見に基づき、新規事業を軌道に乗せるための「実行戦略」を解説します。不確実な環境下で、いかに予算を配分し、再現性のある勝ち筋を作るべきか。その具体的なステップを紐解きます。
この記事の要点
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新規事業マーケティングが陥る「3つの失敗パターン」

新規事業のマーケティングは「未知の市場で需要を創出する」活動です。既存事業の延長線上で考えてしまうと、多くの企業が以下の3つの罠に陥ります。まずは自社の状況と照らし合わせてみてください。
1. 既存事業の成功体験をそのまま適用してしまう
既存事業には長年のブランド認知があるため、「指名検索」での流入や、展示会での既存顧客との接触が自然と発生します。しかし、認知度のない新規事業で同じ手法をとっても成果は出ません。
新規事業では指名検索はほぼ発生せず、展示会で接点を持てたとしても、顧客はまだ価値を理解していません。「待ち」や「刈り取り」に偏った既存の施策をそのまま持ち込むと、リード獲得単価(CPA)が高騰する一方で、商談にはつながらないという事態に陥ります。
2. 戦略が曖昧なまま「手段」が目的化する
「まずはWebサイトを作ろう」といった、戦略不在のままツール導入や制作を優先してしまうケースも散見されます。
「誰の、どんな課題を解決するのか」というターゲットと提供価値が不明確なまま制作されたサイトは、誰の心にも響きません。結果として、一定の予算規模を投じながらもリソースを浪費することになり、経営層からの信頼を失う要因となります。
新規事業の成功には、ターゲットの明確化が不可欠です。上記の資料はferretソリューションのターゲット分析サービスの例ですが、「組織ターゲット」と「個人ターゲット」の2つを設定しています。このようなターゲット設定を通じて顧客のニーズや課題を深く理解するプロセスが重要であるとされています。特に、ターゲットを絞り込むことで、無駄なリソースを削減し、効果的な施策実行が可能になることが示唆されています。
3. リソース不足により「戦略」と「実行」が分断される
BtoBの新規事業では、担当者が「ひとり」または「他業務との兼務」であることも少なくありません。
戦略の重要性は理解していても、日々の社内調整や運用実務に追われ、肝心の「考える時間」が確保できないのが現実です。その結果、戦略は形骸化し、「とりあえずメルマガを送る」「とりあえず記事を書く」といった目の前のタスク消化に終始してしまいます。これでは、いつまでたってもPMF(Product Market Fit:顧客に求められる状態)にたどり着くことはできません。
成功確率を高める「全体設計」の4ステップ
闇雲な施策の乱れ打ちを防ぐには、正しい順序でマーケティングを進める必要があります。特に新規事業においては、初期ステップでの「仮説検証」がその後の命運を分けます。
STEP 1:顧客定義とスモールスタートによる検証
最初に行うべきは、大規模なサイト構築や広告出稿ではなく、「誰に(ターゲット)」「どんな価値(バリュー)」を提供するのかを言語化することです。
新規事業ではこの定義自体が「仮説」です。最初から予算を投じすぎるのではなく、LP(ランディングページ)と少額の広告運用で反応を見る「スモールスタート」を推奨します。「この訴求に反応があるか」を検証し、勝ち筋が見えてから本格的な投資へとシフトしましょう。
STEP 2:リードの「質」を重視した母集団形成
ターゲット仮説が固まったら、リード獲得フェーズへ進みます。ここで意識すべきは、数よりも「質」の担保です。
リソースが限られる新規事業において、商談化率の低いリードを大量に集めてもインサイドセールスの工数を圧迫するだけです。ホワイトペーパーや共催セミナーを通じて、自社の解決策に強い関心を持つ層に絞ってアプローチし、効率的な母集団形成を行います。
STEP 3:検討度を引き上げるナーチャリング
獲得したリードがすぐに商談へ繋がらない場合でも、放置してはいけません。メルマガや追客コンテンツを通じて継続的に情報提供を行い、検討度を高める「仕組み」を作ります。
特にMAツールを導入済みであれば、「顧客のフェーズに合わせたコンテンツ配信の型化」を行うことで、属人性を排除した再現性のあるナーチャリングが可能になります。
STEP 4:MQLの定義と営業連携のループ
マーケティングのゴールは「受注」です。マーケティング部門と営業部門の間で、「MQL(営業に渡すべき有望リード)の定義」を合意しておくことが不可欠です。
「企業規模・役職・行動履歴」などの基準を明確にし、営業側からは「商談の質」をフィードバックしてもらう。この循環(フィードバックループ)を回すことで、ターゲティングの精度は飛躍的に向上し、受注確度の高い案件を安定して創出できるようになります。
事業成長の成否を握る、Webサイトの「真の役割」
戦略設計を終えた後、まず着手すべきはWebサイトの最適化です。ferretでは、BtoB事業の成長においてWebサイトを「単なる会社紹介」ではなく、「事業成長を左右する最重要ポイント」と定義しています。
フェーズが進むほど、Webサイトの重要性は増していく
新規事業が成長していく過程で、Webサイトが関与する施策は加速度的に増えていきます。以下の画像の赤字が、Webサイトが何かしら関わる要素になります。
上図の通り、プロダクトの検証(SPF)から市場導入(GTM)、規模拡大(Growth)へとフェーズが進むにつれ、赤い字で示された「Webサイト関連施策」が急増します。
戦略策定やコンテンツマーケティング
MA(マーケティングオートメーション)による自動化
KPI設定とデータ管理
これら主要施策の多くがWebサイトを起点としているため、サイトが未整備な状態では、どんなに優れた戦略も実行段階でボトルネックとなってしまいます。
全施策の「約7割」にWebサイトが関わっている
ferretの分析では、BtoB事業における主要施策のうち、セールス&マーケティング関連が全体の約7割を占め、さらにそのうちの7割以上においてWebサイトが関連しているというデータが出ています。

Webサイトには、単なる集客窓口を超えた6つの重要な役割があります。
24時間営業: 営業担当がいなくても、訪問者に対して常に情報提供と提案を行う。
データの可視化: ユーザー行動を数値化し、施策の有効性を検証する場所となる。
ナーチャリング(追客): 獲得したリードを商談へと引き上げる土台となる。
ABM戦略の実行: 特定のターゲットに最適化したLPやコンテンツで攻める。
「戦略設計」に投資した予算を最大化させるためには、これら全ての役割を果たす「器」としてのWebサイト構築が不可欠なのです。
「ひとり・兼務」を乗り越えるリソース確保と予算配分モデル
理想的なステップは理解できても、それを実行する「手」が足りないのが新規事業や中堅組織の常です。限られたリソースと予算をどう配分すべきか、成果を最大化するための具体的なモデルを解説します。
コア業務(戦略)とノンコア業務(制作)の切り分け基準
すべてを自社内で完結させる必要はありません。業務を「コア(競争力の源泉)」と「ノンコア(実務作業)」に明確に分けることが、組織を停滞させない秘訣です。
区分 | 具体的な業務内容 | 判断基準 |
コア業務(内製) | ターゲット選定、提供価値の定義、社内調整、KPI設計、顧客インタビュー | 事業の方向性を決める意思決定に関わる部分 |
ノンコア業務(外注) | 記事執筆、バナー制作、広告入稿、ホワイトペーパー制作、リスト作成 | 専門スキルが必要な「作業」や「実行」の部分 |
「戦略なき制作」は無駄になりますが、「制作なき戦略」もまた無価値です。 担当者はコア業務に集中し、実行部分は信頼できる外部リソースをフル活用するのが鉄則といえます。
一定の予算規模における戦略設計と実行への投資配分例
例えば、新規事業や特定部門の年間マーケティング予算を運用する場合、多くの失敗例では予算の大半をいきなり「広告費」や「展示会出展費」などの集客施策に投じてしまいます。
成功確率を高めるための推奨配分は以下の通りです。
戦略設計(初期投資):【目安】予算全体の約10〜15%
ターゲット調査、ペルソナ設計、カスタマージャーニー策定、KPI設計など。ここで「勝てる地図」を正確に描くことに投資します。
施策実行・コンテンツ制作:【目安】予算全体の約60〜70%
LP制作、ホワイトペーパー制作、SEO記事制作、Web広告費など。戦略に基づいた具体的な武器を揃えます。
ツール・システム・運用維持:【目安】残りの予算
MAツールの運用費や、効果測定に必要な最小限の仕組み。
最初の1割〜1.5割を惜しんで戦略をおろそかにすると、残りの予算の大部分をドブに捨てることになりかねません。 「急がば回れ」の精神で、戦略設計への投資こそが最もROI(投資対効果)を高める近道です。
フェーズに応じた外部パートナー(コンサル・伴走)の活用法
外部パートナーを選ぶ際は、「戦略だけ提案して去っていくコンサル」や「言われたものしか作らない制作会社」ではなく、「戦略と実行を一気通貫で支援してくれるパートナー」を選びましょう。
特に新規事業や組織立ち上げ期では、戦略を立てた直後に「ターゲットを微修正する」といったピボット(方向転換)が頻繁に起こります。この変化に柔軟に対応し、時にはチームの一員として実務を代行してくれる伴走型の支援が不可欠です。
自社内に戦略設計のノウハウがない、あるいは実行リソースが圧倒的に足りない場合は、戦略設計からコンテンツ制作、インサイドセールスの立ち上げまでをトータルで支援するサービスの検討を推奨します。
社内稟議を通し、全社体制を築くための「共通言語」作り
マーケティング投資を継続させ、営業部門の協力を得るためには、感情論ではなく「数字」と「共通言語」による説明が必要です。
経営層を説得するための試算とベンチマーク活用
経営層が最も重視するのは「いつ、いくら回収できるのか」です。「やってみないとわからない」という回答を避けるため、LTV(顧客生涯価値)とCAC(顧客獲得コスト)を用いた試算モデルを提示しましょう。
「LTV > 3 × CAC」の原則 SaaSやBtoBのストック型モデルの場合、LTVがCACの3倍以上になるユニットエコノミクスを目指すのが基本です。「現在は立ち上げ期でCACが高いが、チャネル最適化により〇ヶ月後にこの水準へ改善する」という、他社事例(ベンチマーク)を交えたシミュレーションが説得力を持ちます。
営業部門との対立を防ぐ「共通KPI」とSFA連携
マーケティングと営業の対立は、「見ている数字が違う」ことから起こります。
マーケが「リード数」だけを追う
営業が「今月の売上」だけを追う
このズレを解消するために、両者をつなぐ共通KPIとして「商談創出数」や「受注貢献額」を設定してください。SFA(営業支援システム)を活用し、「どの施策から生まれたリードが、最終的にどれだけ受注に貢献したか」を可視化することで、組織が一丸となって成果を追える体制が整います。
【まとめ】予算と人員が限られる新規事業こそ、「戦略」が成否を分ける
新規事業マーケティングの成功は、決して「運」や担当者の「センス」だけで決まるものではありません。
正しいステップで「勝てる戦略」を設計する
適切な配分で「実行リソース」を確保する
データを「共通言語」にして組織を動かす
これらを着実に実行することで、PMF(プロダクト・マーケット・フィット)への道筋は確かなものになります。
もし現在、以下のような壁に直面しているのであれば、社内リソースだけで解決しようとせず、外部の専門知見をレバレッジ(活用)することも重要な戦略的判断です。
「戦略を描くための時間も専門ノウハウも足りない」
「現場の実行リソースが圧倒的に不足しており、施策が止まっている」
「経営層を納得させ、予算を継続させるためのロジックが構築できない」
貴社のフェーズに合わせた伴走型支援を行います
ferretソリューションでは、一定の予算規模を最大限に活かす「戦略設計」から、リソース不足を補う「実務実行」まで、数多くの支援実績に基づきトータルでサポートします。
「何から手をつけるべきか」という課題整理の段階から、貴社のパートナーとして伴走します。まずは、現在の状況をお気軽にご相談ください。
ferretソリューションのサービス資料ダウンロードはこちら。 https://sol.ferret-one.com/













