
「こだわりの企画」だけじゃ始まらない理由——実行力とのバランスをどう取るか
仕事終わりのBtoBマーケターが、日々の気づきやトピックをゆるっとお届けするポッドキャスト番組「しごおわ!ゆるっと12分ラジオ」。
「今月もウェビナーの参加者が全然増えない……」
「AIに企画を考えてもらったのに、なんかそれっぽくて刺さらない」
BtoBマーケターなら、こうした堂々巡りに一度はハマったことがあるのではないでしょうか。しごおわ!ゆるっと12分ラジオ ep61では、ferret Oneのマーケターである見山と後藤が、ウェビナー集客の失速から企画とAI活用の話まで、実行力と企画力のバランスについて語り合いました。企画にこだわるだけでは、成果は変わりません。では、何を変えればいいのでしょうか。この記事では、そのヒントを二つの視点から解説します。
面白い企画は、才能ではなく“4つの変数”で作れる
ウェビナーの集客が落ちているのは、あなたの会社だけの問題ではありません。業界全体でウェビナーの開催数が増え、参加者は日程の競合する複数の候補から一つを選ばなければならなくなっています。さらにAIの普及で情報収集の手段そのものが変わり、テーマの結論部分がどこも似通っていれば「それならAIに聞けばいい」という選択に流れるのも自然な結果です。実際、収録ではこんな言葉が漏れていました。
「なんかみんな今どうしても似通ってるなというか。わかんないけど聞いたことあるよなみたいなことが出てくるから、ああでも難しいよなと」
つまり、供給過多とAIの台頭という前提はもう変えられません。変えられるのは、自分の企画がその中でどれだけ差別化されているかです。差を生む手がかりは、企画内容・タイトル概要、登壇者、当日話す内容やスライド、その後のオペレーションという4つの変数に分解できます。上流にあたる企画と登壇者選びほどインパクトが大きいため、当日のトークを細かく磨くより先に、この2つに時間をかけるべきです。
「面白いというのは、お客さんにとって価値のあるコンテンツになるかという意味での面白いです」
つまり面白さの基準は好き嫌いではなく、「お客さんが価値を感じるか」という一点に尽きます。ここで実践してほしいのが、過去のアンケートや反応データを追うだけで終わらせないことです。自分自身が観客としてウェビナーやホワイトペーパー、広告に触れ、なぜ自分がそれに惹かれたのか、あるいは惹かれなかったのかを言葉にしてみてください。データの後追いだけでは拾えない、企画の輪郭を見直すヒントがそこにあります。
AIに企画を任せると、パンチラインが死ぬ
AIを企画作りの相棒として使うこと自体は問題ありません。ただし、企画そのものをAIに丸ごと作らせるのは避けるべきです。理由は、AIが出す企画やタイトルには独特の“ゴロの悪さ”があるからです。
「なんかこれさ、私が全然ふざけてないんだけど、なんて言うんだろう?ゴロ?タイトルとか企画とかのゴロがAIとマジで合わない」
AIが生成する文章は文脈をきちんと拾って整っている一方で、小難しい日本語が並んだり、逆に極端にはっちゃけた表現になったりして、人間なら選ばない極端なバランスに寄りがちです。これは、かつて一通のメルマガで100件のコンバージョンを生んだという伝説のエピソードとも重なります。当時その文体を再現しようと社内で専用のAIまで作られたものの、次のような感想が残りました。
「動かすものにはなってないっていうね」
「そう、やっぱバイブス大事」
だから、企画の“01”を生み出す部分——タイトルのゴロや文章のパンチライン——は、今のところ人の感性に委ねるべきです。AIには、音声入力のメモを整理させたり、論点をまとめさせたりする“受け皿”の役割を任せましょう。企画の骨子と言葉の切れ味は、自分の手で作り込むことが成果への近道になります。
こだわりが正義になるのは、実行力があるときだけ
企画に人の感性が必要だという話には、大きな前提が抜けています。そのこだわりが許されるのは、そもそも施策の実行数が圧倒的に多い組織だからです。3日でメルマガの原稿を6本、1日でウェビナー企画4本、サイトの要素を1日5箇所改善——このレベルの実行力があるからこそ、企画にこだわる時間を確保してもトータルの成果が出ます。実行力が伴わないまま企画へのこだわりだけを優先すると、成果はむしろ遠のきます。
一人マーケターが「AIの企画は面白くないので自分でやります」と言い、その結果、月の成果がメルマガ2本とウェビナー1本、ウェビナー参加者5人・アポ0件だったとしたら——それは、次のひとことで一刀両断されるべき状態です。
「いや、何やってんの?あんた、みたいになるじゃん」
こだわりが成果を食ってしまえば、本末転倒です。だからこそ、施策ごとに企画への依存度を見極め、こだわる場所と量で担保する場所を切り分ける必要があります。
チャネル | 企画への依存度 | 誰が担うべきか |
|---|---|---|
ウェビナー | 非常に高い(企画と登壇者で明暗が分かれる) | 人が主導し、こだわりを投資する |
メルマガの一斉配信 | 高い(文体とパンチラインで差がつく) | 人が骨子を作り、AIは整形補助に回す |
記事のインデックス取得・SEOの初動対応 | 低い(セオリー通りの型で十分) | AIや型に任せ、実行数を確保する |
この表からもわかるように、企画への依存度が高い施策ほど人の手をかけ、依存度が低い施策ほどAIや型に量を任せるのが合理的な配分です。ここまでの結論はシンプルです。
「だからやっぱ1に実行力、2に企画力なのかな」
実行力という土台があってはじめて、企画力というこだわりが活きてくる。まずは回すこと、そのうえで上流の企画にどれだけ時間を割けるかを設計することが、ウェビナー時代のマーケ戦略の現実的な落としどころです。
まとめ:今日から動かすアクション
アクション | ポイント |
|---|---|
ウェビナーやメルマガは自分がまず“観客”になって企画を磨く | データだけでなく、自分がN1として何に惹かれるかを言葉にする |
AIに企画そのものを任せず、骨子とパンチラインは自分で作る | AIは音声入力の整理・論点整理といった受け皿として使う |
企画への依存度が低い施策はAIや型に渡し、実行数を確保する | こだわりは「実行力という土台」の上でこそ効く |
まずは一本、今日中に手を動かしてみてください。こだわりは才能ではなく、実行力という土台の上に乗せてはじめて意味を持ちます。
収録の最後、こんな一言が漏れていました。
「12分でやろうとしたら面白くなくなるんだよね私たち」
効率と面白さは、いつもぎりぎりの綱渡りです。だからこそ、こだわりと実行力のバランスを、今日のあなたの企画にも一つだけ当てはめてみてください。
実行のボトルネックを解消したいなら、ツールの力を借りるのも一つの手です。ferret Oneなら、記事の修正やLPの文言変更、CTAの追加といった日々の実行をエンジニアや制作会社に頼らずマーケター自身の手でその場で回せます。企画にこだわる時間を捻出するために、まずは実行の足腰から整えてみませんか。
しごおわ!ラジオ ep61より











