リードナーチャリングとは?注目されている理由とメリット、実施のためのステップを解説!
リードナーチャリングとは、獲得したリードを自社サービスに興味がある状態へ引き上げるための施策です。中長期的につながりを持ち、興味・需要が高まった最適なタイミングでアプローチしやすくなります。
今回は、リードナーチャリングへの理解が曖昧で自社の施策として活かしきれていない方に向けて、「リードナーチャリングの意味」「注目されている背景」「実施のメリット」「実施のステップ」について解説していきます。
目次[非表示]
リードナーチャリングとは?
ナーチャリングとは、英語で「育成」を意味します。BtoBビジネスで「リードナーチャリング」という時は、お問い合わせや資料請求などで獲得したリードを、自社サービスに興味がある状態に引き上げるための一連の流れを指します。潜在層から顕在層へ引き上げるための施策とも言えます。
リードナーチャリングが注目されている背景
なぜリードナーチャリングが注目を浴びているのでしょうか。その要因は大きく分けて3つです。
- ユーザーが主体的に比較検討できる時代になった
- BtoBビジネスは検討期間が長い
- リード獲得経路の多様化
ユーザーが主体的に比較検討できる時代になった
一昔前までは、売り手である企業が一方的に情報発信や営業を行い、ユーザーとしてはそれを受け入れるしかないという状態が一般的でした。しかし現代はインターネットが社会に浸透した時代です。検索やSNSを通じてユーザーが能動的に情報を手に入れられるようになったことで、ユーザーがサービスを手軽に比較できるようになりました。
これにより、1〜2回営業活動を行っただけでは購入には至らない、あるいはまともに商談に取り合ってくれないユーザーが増えました。
BtoBビジネスは検討期間が長い
1に付随して、ユーザーが購入するまでの検討期間が長期化しています。選択肢が増えたことにより、ユーザーが購入に対して慎重になっているのです。購入に至るまでの意思決定や稟議のプロセスに関わる人たちがそれぞれ独自に収集した情報をもとに判断を下すため、組織としての選択を決定するまでに長い時間がかかるようになっていると言えます。
リード獲得経路の多様化
インターネットの普及により、今までよりも幅広い範囲からリードを獲得できるようになりました。その中には「ホワイトペーパーをダウンロードした」「資料をダウンロードした」のように、「自社サービスに全く興味がないわけではないが、直近で案件化できるほど切実な導入欲求があるわけではない」リードも含まれます。
これらのリードは、インターネットユーザーの購買心理プロセス「AISCEAS(アイシーズ・アイセアス)」でいうと、まだ「Interest(興味・関心)」「Search(検索)」の段階です。この段階のリードに購入を促しても受注確度は低く、コストの無駄になってしまいます。
そのため、AISCEASのプロセスを進めるのに必要な情報をリードナーチャリングで提供し、自社サービスの検討や導入を行う段階へと導く必要があります。
リードナーチャリング実施のメリット
リードナーチャリングは、前の章で解説した環境の変化に応えるために非常に有効です。ここでは下記の2つの視点で解説します。
受注確度を上げて営業活動を効率化できる
長期の追客プロセスを仕組み化できる
受注確度を上げて営業活動を効率化できる
リードとのつながりを維持して常に興味関心の度合いや状況を把握しておくことで、自社商材の受注確度が高いホットリードを育成・抽出し、優先的に営業活動を行うことができるようになります。
受注確度が高いリードを狙ってアプローチできれば、無駄撃ちが減り、営業活動を効率化できます。
※ホットリードとは
ホットリードとは、リードの中でも特に受注確度の高い、顕在層に属するリードのことを指します。獲得したリードをホットリードに育て上げる手段がリードナーチャリングです。
長期の追客プロセスを仕組み化できる
長期間の検討を続けるリードに対し、はじめに接触した営業担当が追客し続けるのは無理があります。リードナーチャリングを行うためには、必然的に長期の追客のためのプロセスを仕組み化し、役割分担できる体制を整えることになります。
リードナーチャリング実施のためのステップ
これからリードナーチャリングを始めるには、まず何をしたらよいのか。最初にやるべきことをご紹介します。
ステップ1:リード情報をまとめる
リードナーチャリングを行うには、対象となるリードの情報が整理されている必要があります。名刺やセミナー名簿からリードの情報(氏名やメールアドレス、所属企業の情報など)をピックアップし、データベースとしてまとめておきます。
データが多ければ、CRMやMAなどのツールを利用するとよいでしょう。
ステップ2:リードナーチャリングの手法を検討
どのような手法でリードナーチャリングを行うかを検討します。主な手法には、メールマーケティング、SNS、セミナー、ブログ記事などがあります。目的やリードの特性、予算などを踏まえて、どのような手法で実施するかを検討しましょう。
注意:対象ごとにリードナーチャリングのアプローチは異なる
リードナーチャリングの手法や内容を検討する際は、対象となるリードの属性も考慮しましょう。たとえば、「新たに獲得したリード」なのか「過去に見込み落ちしたリード」なのかによってアプローチは異なります。
「新たに獲得したリード」へのアプローチ
新たに獲得したリードは、まだサービスについて理解が浅い状況です。メリットとなる情報を補足し、より興味を持たせる形でリードナーチャリングを行います。
「過去に見込み落ちしたリード」へのアプローチ
過去に見込み落ちしたリードとは、以前に営業担当が訪問してサービスの説明を行ったが、何らかの理由で受注まで至らなかったリードのことを指します。しかし、今後市場の変化や経営方針の変更により優良な見込み客となる可能性は残されていますので、取りこぼしをなくすために長期的な情報提供と信頼関係の構築を続けていきます。
ステップメールによるリードナーチャリングの手順とポイント
リードナーチャリングの手法の一つに「ステップメール」があります。ここからは、ステップメールの設計から配信までの手順を解説します。
ステップメールとは?
ステップメールとは、お客様に何かしらのアクションを起こしてもらうために、段階を追って予め設定したスケジュール通りに配信していくメールのことです。一斉配信メールと違い、ユーザーごとに適切なタイミングで適切な内容を配信できます。これによりユーザーの好意醸成を効率的に進め、アクションを起こしてもらえる可能性を高めていきます。
関連記事 >> BtoBではステップメールの設計が重要! 活用のポイントと具体例
手順1:リード獲得ポイントの整理
ステップメールの特徴は、一斉配信メールのように不特定多数のリードに対して同じ内容のメールを同じタイミングで送信するのではなく、一人ひとりの状況に合ったメールを配信できることです。
一人ひとりに興味を持ってもらえるようなメールを配信するためには、それぞれのリードがどのような状況かを整理し、メールを送り分ける必要があります。
まず、サイトの中のリード獲得ポイントを整理しましょう。獲得経路によってリードの状況や欲している情報が異なるからです。
例えば、ferret Oneのサービスサイトでは次のようなリード獲得ポイントがあります。
- お問い合わせ
- サービス紹介資料ダウンロード
- ホワイトペーパーダウンロード
- 無料デモ体験
手順2:ゴール(目的)の設定
次はゴールの設定です。ステップメールを送ることによって、リードにどういったアクションをしてほしいかを明確にします。例えば、「問い合わせ」や「セミナー参加」などです。リードの獲得ポイントや状況によって、適切なゴールは異なるでしょう。
どこを目指すのかを明確にしておかなければ、メールの内容も決められません。下記のゴール例を参考に、何を目的としてステップメールの設計をするのか考えてみましょう。
- お問い合わせ
- イベントへの申し込み
- セミナー参加
- 会員登録
- サービスの購入/導入
手順3:ユーザーシナリオの作成
リードの獲得時から、日が経つに連れてリードがどのような状況になっていくかをイメージし、ユーザーシナリオを作成しましょう。シナリオはリード獲得ポイントごとに作成します。
ferret Oneでは、資料をダウンロードしたリードに対して次のようなシナリオを設定しています。
前提条件 |
メールアドレス入手 |
トリガー |
ferret One 資料ダウンロード |
概要 |
ferret One またはマーケティングオートメーションへの興味は顕在化している |
24時間後 |
ツールをいろいろと比較している |
3日後 |
サイトに導入したときのイメージができていない |
7日後 |
候補が出そろってきているような状態 |
10日後 |
・システム的に稼働可能かどうか調べる
・社内のリソースを活用できるのかを考える
|
14日後 |
・導入するならば早めに考えたいが、いまいち踏み切れていないような状態
・結局踏ん切りがついていない
・営業を何件かされたが、どれも同じように感じているし、
結局自分たちでは使いきれないのではないかという不安がある
|
前提条件
メール配信するに当たって最低限必要な情報です。メールアドレス以外にも、名前などの情報が必要な場合もあります。
例えば、お客様の役職をメールアドレスとともに取得出来ている場合、役員と一般社員に向けて送信するメールは、同じリード獲得ポイントから取得したとしても内容は変えたほうが効果的になります。
トリガー
リード獲得ポイントのことです。ここでは、該当するリード獲得ポイントにて、アクションがあった場合、その後のシナリオがスタートするという意味で、トリガーとしています。
概要
ここではアクションをしたリードの状況を簡潔に示しています。設定したペルソナがリード獲得ポイントにてアクションした場合に、どのような結果になるか記載しましょう。
24時間後〜2週間後
リード獲得アクションからの期間を区切り、想定されるリードの状況や考えるであろうことを記載しています。適切な期間の区切りは製品やサービスの特性によって異なるので、適宜調整してください。
手順4:ステップメールシナリオの作成
手順3で作成したユーザーのシナリオを元に、ステップメールで配信する内容を決定します。
これも期間で区切り、何日目にどういうメールを送るかを決めます。ferretOneでは次のようなステップメールのシナリオを作成しています。
トリガー |
ferret One 資料ダウンロード |
概要 |
ferret One またはマーケティングオートメーション、
コンテンツマーケティングに興味を持つ人であるから、ユーザー層のニーズは
顕在化している |
メール効果 |
ferret One の利便性、成果につながる点を打ち出していくことで、
より関心を持ってもらう。
また、コンテンツマーケティングも観点にできるという点も打ち出しつつ、 セミナーへの誘導を行う。 |
ゴール |
セミナー参加 |
指標 |
3回のステップメールでセミナー参加 |
直後 |
お礼 |
2日後 |
ferret Oneの記事を介して、ferret Oneを利用するメリットを伝える |
5日後 |
ferret One内のコンテンツマーケティングの成果事例の記事を紹介し、 よりferret Oneとコンテンツマーケティングに対するモチベーションを 上げてもらう |
10日後 |
コンテンツマーケティングの知識を深めることができるセミナー であることを押しながら、セミナー開催日程のご案内 |
トリガーと概要
これはユーザーシナリオで定めた内容と同じです。
メール効果
ステップメールによって、リードの状態をどのように変化させていくかを示します。「概要」を元に、どういったユーザーであるかを考えながら、無理なく徐々に変化を促すようにしましょう。
ゴール
ステップメールによるナーチャリングで、最終的にどういったアクションを起こしてもらいたいのかを記載します。このゴールを念頭においておくことで、メールの内容がぶれないようになります。
指標
何回メールを配信して、最終的にどういったアクションを訴求するのか簡潔に記します。
直後〜10日後
リード獲得ポイントにて、アクションが起きてから、何日後にどういった内容のメールを配信するか定めます。
あまり頻度が高いと迷惑メール扱いされてしまい逆効果です。最低でも2日程度の間隔を空け、アクションから時間が経つにつれて徐々に配信間隔を広げていくとよいでしょう。
手順5:ステップメール文面の作成
単発の告知メールと異なり、ステップメールでは継続的にメールを開封してもらう必要があります。リードにとってメリットとなる情報をしっかり提供し、徐々に関係を構築していける文面を作成しましょう。文面作成のポイントを以下にご紹介します。
配信元は担当者名にする
ステップメールでは、リードとの関係を構築することが大切です。配信元は社名ではなく、担当者の個人名にするとよいでしょう。配信元が会社名だと、広告や迷惑メールだと判断されてしまう可能性が高くなります。
内容を盛り込み過ぎないようにする
ステップメールの目的は、設定したゴールへ到達してもらうためのきっかけ作りです。何千字も書いて重たいメールにせずに、伝えたい情報がサイトなどに記載されているのであれば、URLなどを掲載して、「詳しくはこちら」といった形で概要を紹介する程度に抑えておきましょう。
メリットが伝えられているかを意識する
これはステップメールのシナリオを作る際にも意識すべき点ですが、リードにとってメリットとなる情報を伝えられていなければ、継続的にメールを開封してもらうことはできません。例えば、資料のダウンロードを行ったリードはその分野に興味を持っていると考えられるので、資料の内容を補足する情報やサイトをメールで紹介すればメリットになります。
手順6:ステップメールの配信設定をする
シナリオとメールの文面が完成したら、自動配信設定ができるメール配信ツールなどを使い、配信設定を行いましょう。一度設定してしまえば、あとは手間を掛ける必要がないものがオススメです。
BtoBでは特に大切なリードナーチャリング
インターネットの普及によりユーザーの情報収集や比較検討がやりやすくなった結果、購入や導入までの検討期間は長くなりました。BtoBでは意思決定に多くの人が関わるため、特に慎重に検討される傾向があります。
リードナーチャリングは検討に必要な情報を提供し続け、見込み顧客との信頼関係を築きながら検討度合いを高めていけるので、BtoBと相性のよい施策です。ぜひこの記事を参考に取り組んでみてください。