
【イベントレポート】ferret One導入1年目からCVR4%超えを達成できた取り組みとは?
本記事は、2025年9月24日に開催したferretユーザーコミュニティ「U_fO Meetup for starters会」のイベントレポートです。
イベントを担当したferret Oneカスタマーサクセス部長谷川より、当日の様子をリアルにお届けします。
今回は、全国の空港にデジタルサイネージを展開する全日空商事株式会社の沼澤様にご登壇いただきました。ferret One導入から1年間で、CVR4%超えといった驚異的な成果を達成した事例です。
特に注目すべきは、一人でWebサイトを運営しながら20施策以上を実行し、着実に成果を積み上げていった点です。「これから本格的にマーケティングを行なっていく」「何から始めればいいかわからない」といった課題をお持ちの方には、非常に参考になる内容となっております。
本イベントレポートでは、ferret One導入前の課題から具体的に実行した施策内容、そして成果を出すために「やってよかったこと」「やらない方がよかったこと」まで、詳しくご紹介します。
ferret Oneユーザーコミュニティ「U_fO(ユーフォー)」とは
ferret Oneユーザーコミュニティ「U_fO(ユーフォー)」とは、BtoBマーケティングに携わる人たちが集まり、悩みやアイデアを共有しあうことで、企業の成長をリードできる存在を目指す人たちが集うコミュニティです。
マーケで成果を出すには、社内理解の壁・リソースの壁など、多くの障壁を乗り越えなければなりません。時には、今の進め方が正しいのか、不安になることもあると思います。
でも実は、同じ悩みや目標を持った仲間が身近にいるはず。
そんな切磋琢磨しあえる出会いの機会を作るため、2024年6月にferret Oneユーザーコミュニティを発足しました。
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登壇者プロフィール

全日空商事株式会社 事業創造室 新規事業開発チームマネージャー
沼澤 遵 様
2008年、GMOインターネットグループに入社。求人広告、デジタル広告営業およびメディア運営に携わり、2014年全日空商事に入社。 訪日外国人向けメディア運営、ANAマイレージクラブパートナー開拓、マルチ決済営業に従事。2020年より法人向けに空港・航空機を活用した集客・PR支援に従事。2024年に新規事業開発を兼任。
事業紹介
全日空商事の「ADAV(Airport Dynamic Ad Vision)」は、国内12空港に合計61台のデジタルサイネージを設置し、クラウドを通じて一括管理・配信を実現します。静止画・動画どちらのクリエイティブも対応し、空港ごとの個別配信も可能。また、内蔵カメラとAI画像認識を用い、通行数・視認数・年齢・性別などのデータを可視化し、従来の交通広告では測定が難しかった「誰にどれだけ見られたか」を定量的に把握できます。これにより、ブランドや商品・サービスの認知獲得を効率的に支援する空港メディアプラットフォームとなっています。
ferret Oneで運営しているサイト:https://travelmedia.ana.co.jp/
ブランディング寄りだったサイトをferret Oneでリニューアル
沼澤氏:当社のWebサイトは以前から存在しておりましたが、外部制作会社への依頼が必須であったため、軽微な修正に対しても追加費用が発生し、デザイン決定までのプロセスが長期化するという課題を抱えておりました。
また、プロダクト販売を主目的としていたにもかかわらず、サイト構成がブランディング重視となっており、サービスの機能や特長が顧客に明確に伝わらない状況でした。
Googleアナリティクスは導入済みでしたが、社内でのデータ活用体制が整備されておらず、分析に基づく効果的な改善サイクルを確立できておりませんでした。
加えて、SalesforceとWebサイトの連携も手動運用となっており、問い合わせごとにデータ入力が必要な非効率なワークフローが継続しておりました。これら複数の課題を解決するため、2024年6月にferret Oneを導入し、サービス価値が明確に伝わる顧客中心設計のサイトへと全面リニューアルを実施いたしました。

サイトリニューアル後も残った5つの課題
沼澤氏:サイトリニューアル後も、デザイン面では一定の成果を得られたものの、マーケティング効果という観点では依然として複数の課題が残されていました。
課題内容
ferret Oneに慣れておらず、やりたいことができていない
固有名詞(サービス名)でしか上位表示ができていない
中間CVの資料ダウンロードから契約に繋がらない
狙ったキーワードで上位表示できない
離脱率が改善されない
上記課題を一つひとつ解決していくために、様々な施策を実行していきました。
CVR4%超えを実現した具体的施策
沼澤氏:リニューアルから12ヶ月間で、合計10の主要施策(詳細な改善点を含めると20施策以上)を実施しました。
施策1:リファラル解析とキーワード戦略の見直し

沼澤氏:当初は「富裕層 広告」「インバウンド 広告」「訪日外国人向け 広告」といった一般的な大規模キーワードでの検索上位表示を目標としておりました。
しかしながら、資料ダウンロードフォームに『どのキーワードで当サイトにアクセスされましたか?』という質問項目を必須として設置したところ、実際に中間コンバージョンに繋がるキーワードは「熊本空港 広告」「鹿児島空港 広告」など、当初の想定とは異なるローカルな検索ワードであることが判明いたしました。
この分析結果に基づき、全国12空港それぞれに特化した個別ページを制作いたしました。このように実際のユーザーニーズに合致したコンテンツを提供することで、来訪者にとってより最適な情報発信が可能になり、中間CV数も増加していきました。
全国の空港別コンテンツを作成

施策2:サイトの導線設計改善とCTA強化
沼澤氏:次に導線設計の最適化の施策を行いました。ユーザーがどこで離脱しているのかの行動を確認し、資料ダウンロードボタンやお問い合わせのCTAを追加していきました。
具体的な改善内容
商談ハードルの引き下げ
商談申込みにあたり、一般的に長時間の打ち合わせが必要と想定されがちです。この課題を解決するため、『15分の商談コース』を新設いたしました。より気軽にご相談いただける窓口を設けることにより、お問い合わせに対する心理的障壁を低減いたしました。
ブログコンテンツの回遊促進
沼澤氏:2025年6月からブログの配信を開始いたしましたが、作成したコンテンツの閲覧機会を最大化するため、トップページおよびサービス紹介ページにブログへの誘導セクションを戦略的に配置いたしました。

次ページへの誘導CTAの設置
沼澤氏:ページ最下部に次ページへの誘導ボタンを設置し、「次のページも閲覧可能である」ことをユーザーに明示いたしました。これにより、ユーザーがコンテンツを効率的に閲覧できる導線を構築いたしました。

関連空港ページの回遊促進
沼澤氏:空港別ページを12ページ制作いたしましたが、制作のみでは十分に閲覧されないという課題が発生いたしました。分析の結果、ユーザーが1つの空港ページを閲覧した後に離脱する傾向が顕著であることが判明いたしました。
この課題に対応するため、他の空港情報ページの存在をユーザーに認知していただくことを目的として、「設置空港一覧」というナビゲーションセクションを各ページに実装いたしました。この改善により、関連空港ページへの遷移が促進され、サイト内の回遊性が著しく向上いたしました。

施策3:顧客事例コンテンツの作成
沼澤氏:実際に導入いただいたお客様のご協力により、事例コンテンツを作成いたしました。
インタビューから書き起こし、お客様への確認、公開までの全工程を担当いたしました。質問項目については、ベーシック社のサービスサイトに掲載されている事例を参考に構成いたしました。
参照URL:https://travelmedia.ana.co.jp/case
施策4:MAツールを導入しメルマガを配信
沼澤氏:当初は「CMS+リードジェン」のプランでferret Oneを活用しておりましたが、2年目からは「ferret One MA」へアップグレードし、メール機能を利用可能となりました。これにより、本格的なメールマーケティングを開始いたしました。従来の顧客からの問い合わせを待つ受動的なスタイルから、当社から積極的に顧客にアプローチし、行動を促す能動的なマーケティング施策を展開することが可能となりました。
メールマガジン配信開始当初は、提供するコンテンツが限られていることが課題でした。どのような内容を配信すべきか検討を重ねた結果、羽田空港での実際のデジタルサイネージを見学するイベントを企画し、メールマガジンで案内いたしました。その結果、多数の反響をいただくことができました。さらに、見学会参加者へのアンケート結果や感想をメールマガジンのコンテンツとして活用することにより、現在では非常に高い人気を誇るイベントへと成長しております。
▼ferret One MAプランを用いたメルマガ発信の実例

1年間の成果 CVR2.8倍、滞在時間4倍を達成
沼澤氏:1年間で20施策以上を実施し、継続的にPDCAサイクルを推進いたしました。その結果、平均PV数は1.6倍に増加し、平均滞在時間は4倍となりました。また、直帰率は90%から63%へと大幅に改善され、中間コンバージョン率は2.8倍に向上いたしました。

注目すべき点は、流入数はほとんど変わっていないことです。広告は行っておらず、主に自然検索やダイレクトで来ていただいた方からの流入で、CVR(コンバージョンレート)や滞在時間時間を伸ばし、回遊性を高めたことで成果が出たということです。
そういった成果もあり、今までは1人で全て実施をしていましたが、今年の6月頃からメンバーが増え、チームとして活動することができるようになりました。
成果を出すために「やってよかったこと」と「やらない方がよかったこと」

やってよかったこと
- 毎日必ずferret Oneでユーザーの動きを確認
1日1回必ずferret Oneにログインし、ユーザーの動きを見る時間を確保しました。
確認していたこと:
・ユーザーがどんな動きをしているか
・どこで離脱しているか
・どこにCTAが足りないのか
・コンテンツが分かりづらいのはどこか
これらを観察し、仮説を立てて、必要なコンテンツやボタンを追加する。そしてまたPDCAを回すという流れを徹底しました。ユーザーの動きを見ていると、想定していなかった行動が見えてくるんです。それが次の施策のヒントになりました。
- ferret Oneユーザー会への参加
半年前にferret Oneのユーザー会に参加したことが非常に良い経験でした。
そこにはferret Oneを愛してやまない人たちが集まっており、『もっとこうしたらいいのに』『どうしてこうならないの』といった率直な意見交換をする会がありました。当時の私はferret Oneの経験が浅く、『まだまだやれることがたくさんある』と気づくことができました。そこで学んだことを一つひとつ試していったことが、今の成果に繋がっています。
- 一人で運用したこと
結果として、一人で運用したことが効果的であったと考えております。
全ての作業を単独で担当したため、システム全体の構造や機能を包括的に把握することができました。これにより、今後チームが拡大した際にも、明確な指示や説明が可能な体制を構築することができました。
やらない方がよかったこと
- 中途半端なコンテンツを出さないこと
お客様が求めていない状況や、中途半端な情報を出してしまうと、お客様の時間を無駄にしてしまいます。お客様が本当に求めている情報をしっかりと提供することが重要です。
- やらないを、やらない(何でもやってみる)
やってみないと良いか悪いかは誰にも分からないものですが、『良いと思ったことは、やらないロジックを並べる前に何でもすぐやってみる。そのうえで判断する』というスタンスが大切だと思います。
- 初期段階で担当者を複数アサインしないこと
実は運用開始から2~3ヶ月目くらいに、他のチームのメンバーが『私もやりましょうか』と言ってくれたことがありました。しかし、当時は自分自身がまだferret Oneの全体像を把握できていない状態だったので、今手伝ってもらってもメンバーに効果的な指示ができないと考えました。ですので、まずは全部自分で行い、理解することに努めました。
そうした経験から、1~2週間でもいいので、まずはferret Oneを触ってみて理解をした上で、メンバーを増やしていくことをお勧めします。
質疑応答
Q. | 営業とマーケ担当のコミュニケーションなどどのように行なっていますか? |
|---|---|
A. | 沼澤氏:私は営業活動を行いながら、Webサイトからのお問い合わせにも直接対応していました。社内コミュニケーションは基本的に週1回の対面での定例ミーティングで行っていました。リモートワークが主流となった環境でも、やはり直接顔を合わせて話すコミュニケーションを繰り返すことで、お互い信頼の貯金が増えていくことを実感しました。雑談含めてFace to Faceは非常に大切だと今でも感じています。 |
Q. | 初期構築段階で改修前サイトの課題をどのように抽出して、ferret oneに落とし込んでいったのか知りたいです。 |
|---|---|
A. | 沼澤氏:課題は長年認識していました。すべてを制作会社に依存しているためサイト更新のスピードが遅く、加えて、「このサイトでは何の情報が得られるのか?何のプロダクトを案内しているのか?」が非常に分かりにくい状態が続いていたところ、追い打ちをかけてコロナ禍が始まり、御存知のとおり航空業界は未曾有のダメージを受けました。 「飛行機や空港に人が居ないんだから、空港で広告を出しても意味がないよね?」と返す刀もない状況で、アウトバウンド営業も伸び悩んでおりました。そんな状況でありながら、リード獲得の頼みの綱であるWebサイトの効果も思うように出ていなかったんです。「なんとかしないと本当にまずい・・」 そこでferret Oneに出会い、活用していくことになりました。 実際に改善を進める際は、まず最終ゴールから逆算して、現状のCVポイントが何であるかを精査しました。そして中間KPIを設定し、具体的な改善施策を計画していきました。この過程でferret Oneからさまざまな提案やサポートをいただけたのも非常に助かりました。 |
Q. | 営業担当との協力体制や役割分担をどのように決めたか教えていただけますでしょうか? |
|---|---|
A. | 沼澤氏:前提として、人数が今以上に少なかったことが大きな要因でした。コロナ前は20人いたチームが、コロナ後は5人まで減少していました。そこで私たちは、共通の目標に対して「自分たちが何ができるか」という目線合わせを徹底的に行いました。ただし、1回のすり合わせだけでは十分な共有ができないため、日々のミーティングを通じてコミュニケーションを取り続けたことが良かったのだと考えています。 営業とマーケティングの温度差をクリアする上で大切にしたのは、「マーケティングは営業を楽にする手法の一つ」という前提を共有することでした。導入当初はリード獲得に苦戦しましたが、例えば営業がいつもメールで送っている営業資料がありますが、人によってファイルが最新でないということもありました。それを、ferret Oneのファイルサーバー機能を活用しURL化することで、営業からすると「このURLにアクセスすればいつでも最新営業資料がある」という状況を作り業務効率化をしました。 マーケティングの最大の価値は、サービスに興味がある見込み客を前段階で引き合わせられることだと考えていますが、そこに至るまでの間も「マーケ=営業を楽にするもの」と営業各人にしっかりと理解してもらうことで、よりよい組織構築につながっていくと思います。 |

さいごに
本イベントの発表内容で特に印象的だったのは、「毎日必ずユーザーの動きを確認する」「ユーザーが求めているコンテンツを制作する」「ユーザーの行動を分析し導線やCTAの改善を実施する」という徹底的にユーザー視点に立った姿勢です。
リファラル分析によりユーザーの実態を把握し、実際に検索されているキーワードに基づいたコンテンツ制作、サイト内回遊性の徹底改善など、データに基づいた施策が成果に直結しています。
「どのような分析を行うべきか不明確」「どこから着手すべきか判断できない」といった課題をお持ちの方々にとって、今回の事例は非常に有益な内容になったのではないでしょうか。
沼澤様、貴重な事例をご共有いただき、誠にありがとうございました。
BtoBマーケティングにお悩みならferret Oneにご相談ください!
「ferret One」は、BtoBマーケティングに必要なツールとノウハウを提供するサービスです。
課題に合わせて貴社に不足している要素を過不足なく提供し、マーケティング施策の実行を促します。使いやすいツール、Webサイト、伴走サポート、制作代行など、必要な要素をまるっと揃えることができます。
導入して終わりではなく、より有効な運用をして頂くための様々なサポートをご用意しています。
ユーザーコミュニティもその1つです。これからもユーザー様のマーケティングの成功のために必要なサポートを充実させてまいります。
BtoBマーケティングにお悩みの方は、ぜひ「ferret One」 にご相談ください!










