SEO対策、UXを両立させる方法とは!? イベント「現役マーケター3名が語る、自社の最新マーケ施策 #04」開催レポート
検索エンジンで上位表示してオーガニック流入を増やすためのSEO(検索エンジン最適化)と、流入したユーザーがいかに不自由なく閲覧できるかを考えるUX(ユーザー体験)。どちらもWebサイトにおいて大切な要素です。
2021年3月24日に開催されたイベント「現役マーケター3名が語る、自社の最新マーケ施策 #04」では、SEOとUXそれぞれの領域のスペシャリストをお招きして、実際に自社で行って効果のあった施策を語ってもらいました。
目次[非表示]
登壇者紹介
株式会社CINC
国産ツールとして世界最大量の約2,700万キーワードを有するデジタルリサーチツール「Keywordmap」を提供。独自のビッグデータ取得システムにより、リアルタイムで日本語ビッグデータを収集・蓄積。競合分析から広告調査、コンテンツ作成など、検索流入最適化のための50を越える機能を備えている。
セールス&マーケティング責任者
渡井 弘一(わたい こういち)氏Web制作会社にてセールスとしての経験を積んだ後、株式会社Speeeに入社し、セールス責任者を経験。その後、株式会社CINC(旧社名:Core)へ創業初期に参画。現在はアナリティクス事業のセールスとマーケティングを責任者として管轄。
株式会社ビービット
チームのUX企画力を支える業務プロセス支援サービスとして、UXチームクラウド「USERGRAM」を提供。サイト訪問者の行動データを可視化し、得られた気付きからUX改善のサポートをする。大手企業からネット先進企業まで300社以上で導入されている。
プロモーション担当
小松 天道(こまつ てんどう)氏東北大学理学部数学科卒業後、SEOコンサルティング会社、Webコンサルティング会社を経て株式会社ビービットへ入社。1社目では、コンサルティング・商品開発・自社のマーケティングなど幅広い業務に従事。その後、独立してWebコンサルティングの会社を立ち上げ、複数業界のWebマーケティングの支援を実施。入社後は、USERGRAMのマーケティングに携わる。
株式会社ベーシック
サイト更新からLP作成・メール配信まで一括で行えるBtoBのWebマーケティングツール「ferret One」を提供。ノーコードでWebページの制作・更新ができるのが特長で、マーケティング部門自身でサイトを更新しながらPDCAを回したい企業を中心に、600社以上に導入されている。
マーケティング部 マネージャー
河村 和紀(かわむら かずき)創業期のベーシックに入社。フランチャイズ業界を中心にWebコンサルを担当。2017年5月、ferret Oneのマーケマネージャー就任。広告費を「1/3削減」しながら、リード数「2.4倍」お問い合わせ「3.7倍」と大きく伸ばすことに成功。
施策紹介・SEO編 ~キーワード選定からコンテンツ作成まで ~
今回登壇した3社は、いずれもSEOで高い実績を上げています。中でも株式会社CINCは、SEOツールやコンサルティングも提供するSEOのエキスパートです。
- 株式会社ベーシック
「BtoBマーケティング」で1位
- 株式会社CINC
「サジェスト」1位、「D2C」2位
- 株式会社ビービット
「ロイヤルカスタマー」2位
※いずれもイベント開催時点
そんな各社が行っているSEO施策は下記の通りです。
本レポートではその中から抜粋し、3つの施策をご紹介します。
専門特化したブログ制作でコンテンツSEO(ベーシック 河村)
河村:
多数の競合企業のいる「BtoBマーケティング」というキーワードで、弊社の「ferret One」のブログ記事が1位を取ることができました(2021年3月現在)。今回はそのために実際に使った手法をご紹介します。
ちなみに、1位を取ったのは以下の記事です。
この記事は網羅性を高めるためにコンテンツ内容を充実させています。さらに文字数が多くても読者がストレスなく読めるよう、目次を入れたり画像を使ったり工夫しています。
もちろん上記の要因も非常に大切です。しかし一番大切なのは「専門特化」した記事を作ることです。
弊社では、ブログ記事はそれぞれのテーマの専門家が執筆しています。イベントの記事は私河村が書いていますし、インサイドセールスやメールマーケティングをテーマにした記事も、それぞれの領域に携わり、成果を出している社員が担当しています。
なぜなら、コンテンツSEOでは専門性と網羅性が重要だからです。実務を担当している社員自身が執筆することで、より深い内容のコンテンツとなります。
加えて、筆者はみなTwitterのアカウントを持っています。フォロワーは専門性を信頼してくれている人ばかりなので、記事をツイートすれば拡散してくれる可能性が高くなります。
弊社のSEOの基本的な考え方は、まず「専門特化した記事を作る」。そして「執筆した専門家がSNSで発信&拡散することによってコンテンツの価値を上げる」という流れです。
コンテンツは作り方だけではなく、発信の仕方も大切です。
8カ月でオウンドメディアの10万PVを達成した4ステップ(CINC 渡井氏)
渡井氏:
弊社は2020年5月末にオウンドメディア「Keywordmap ACADEMY」をリリースしました。そこから約8カ月で10万PV、CV100件以上/月を達成するために行った施策を4ステップでご紹介します。
1. キーワード選定
ニーズ・競合・市場の3つの観点で対策キーワードを選定しました。弊社のツール「Keywordmap」では、サジェストをマッピングや分析、他社の記事に含まれるキーワード数や想定流入数の確認、特定キーワードに掛け合わせるワードの選定などができるので、それを参考にしながら対策キーワードやKPIを設定します。
2. 構成案作成
ブログ記事はSEO流入の窓口であると同時にひとつのコンテンツなので、読み物として面白いかどうかも大切な要素です。面白い記事になるよう記事構成案、つまり記事の設計図をしっかり作ります。
3. 品質チェック
誤字チェックや、設定したキーワードや共起語がきちんと入っているかどうかのチェックをします。
4. 効果計測とリライト
作成した記事をモニタリングしながら効果検証を行います。中には成果の出ない記事もあるので、その場合は要因を分析してリライトを実施します。
顧客ニーズの分析でどのようなテーマの記事が刺さるか見極める(ビービット 小松氏)
小松氏:
キーワードの選定や分析はCINCさんのKeywordmapの得意分野なので、弊社からはキーワードを洗い出す以前の「どういう潜在ニーズを持つユーザーが自社サービスにマッチするか探す方法」をご紹介します。
弊社では、フックとなるニーズごとに、SEOキーワードをカテゴリ分けしています。下図が現在のキーワードカテゴリです。
弊社の「USERGRAM」はサイト訪問者の行動を可視化するツールなので、一番下の「行動観察」がコアとなるニーズです。中段が中カテゴリ、上段の「デジタルマーケティング」が全体を包括する大カテゴリとなっています。
一番下と一番上はわかりやすいと思うので、中段3つをどのように見つけたかを例にします。
まずCSに依頼して、既存顧客が弊社サービスを導入してくれた際の情報を収集してもらいました。その中で「どういう訴求をしたら顧客に刺さったか」を抽象化し、そこから逆算して「顧客がどういう課題を抱えているか」「どういうニーズを持っているか」を推定しました。
課題が特定できたらすぐに記事を作るのではなく、まずセミナーやホワイトペーパーでその新しいニーズを市場に打ち出してみます。そこから架電対応や営業をしながらニーズの刺さり具合や市場のボリュームを確かめ、反応がよかったもの3つをカテゴリとして選びました。
この3つを見つけるまでに、計13くらいのニーズを試しています。
施策紹介・UX編 ~流入したユーザーをCVへ導く~
せっかくSEOで流入を増やしても、WebページのUXに難があってはCVに結びつきません。穴のあいたバケツに水をそそぐようなものです。
UXのスペシャリスト・株式会社ビービットを含む3社が実際に行って効果のあった施策は以下の通りです。
本レポートではその中から抜粋し、3つの施策をご紹介します。
ページごとに最適なコンテンツの並び順を見つける(ベーシック 河村)
河村:
WebページのUXのポイントは、正しい順番にコンテンツを並べることです。実は、各ページごとに最適な並びはほぼ決まっているんです。
たとえばセミナーのLPの場合、弊社では内容を12個のコンテンツブロックに分け、決まった順番に並べています。
先頭から5つ紹介すると、次のような順です。
- セミナー名
- 日時・場所・料金
- お申込みボタン(CTA)
- 参加対象者
- セミナー内容
これらをワンスクロール以内に収めて掲載します。ページ最上部を見ただけで申し込みまで意思決定できる情報を網羅するのがポイントです。
ベーシックのセミナーLPは基本的にこの構成になっているので、ぜひ気を付けて見てみてください。詳しいコンテンツの順番は、不定期開催のサイト構築・改善セミナーで話しています。
また、コンテンツをつくった後にユーザーに見てもらい、こちらの意図とずれた受け取られ方をしてないか確認するのも大切です。
たとえばセミナーならば申し込んだ人に電話して、「なぜ応募しようと思ったか」「どこがよかったか」を聞くようにしています。それを元にページを改善し、PDCAを回していきます。
シチュエーションに合ったUX設計でCVR向上(CINC 渡井氏)
渡井氏:
流入時のキーワードやユーザーが求めているもの、記事が読まれているシチュエーションに合ったUX設計をすることで、クリックされやすくなったりCVしやすくなったりします。
- 読了率を上げるUX設計
記事の途中でポイントのまとめや図解を入れると、視認性を良くなり読了率が上がります。ポイントには色を付けたり囲み枠を付けるのも効果的です。
- CVへの誘導のためのUX設計
流入時のキーワードごとにCVへの距離は異なります。ポップアップ画像バナーやテキストでの導線など、キーワードに合わせて使い分けています。
- 他社事例
弊社で行った施策ではありませんが、他社ではスクロールに追従するサイドバー(PCの場合)や時間経過でポップアップするバナーなどの導線を設置している例もあります。
CV導線はファーストビューと記事末尾に入れ、記事が長い場合には途中にも入れると読者の負担を減らすことができます。また、記事コンテンツの場合、意外にも画像バナーよりもテキストリンクの方が視認性が高いことがわかっています。テキストを読みに来ている読者の場合、バナーは読み飛ばされてしまうようです。
最適なUXを作るポイントは、UX企画のプロセスにあり(ビービット 小松氏)
小松氏:
1度ですぐに最適なUXが作れることはまずありません。効果検証をしながらPDCAを回し、最適なUXを作り上げていくのが重要です。
PDCAを回すためにデータを見る際は、集計データだけではなく必ず行動データも見なくてはなりません。行動データは弊社のツール「USERGRAM」で取得しています。
集計データ = 「結果」を表す数値データ(PV、CVR、離脱率など)
行動データ = ユーザー1人1人の時系列の行動データ
想像による仮説ではなく行動データというファクトを見て、行動の過程からユーザーの状況やニーズを汲み取って理解し、UX改善に活かします。
弊社では次の4ステップで行動データによるUX改善を行っています。
- 改善したいテーマに沿ったユーザーのデータを抽出
└10名ほどをサンプルにします
- 行動データを観察
└やってみると意外な気付きがあるものです
- ボリューム確認
└サンプルだけではなく、全体でどれくらいに当てはまるのかを確認します
- UX改善を企画する
以前、広告から流入を集めてもCVRが上がらないという課題を抱えていたことがありました。そこで行動データを観察してみたところ、一旦LPから離脱して指名検索でコーポレートサイトに入り、会社情報を見てからCVしている人が一定数いることがわかりました。
その行動データから「どんな会社かわからずに申し込むのは不安」というユーザーの心理を汲み取り、LPに会社情報やコーポレートページへの導線を追加することで、CVRも上がりました。
マーケ成功者に直接質問できるチャンス!
本イベントでは、毎回視聴者によるアンケート投票を行っています。今回は「どちらかというとSEOの話を聞きたい」人が6割、「UX改善の話を聞きたい」人が4割という拮抗した結果。どちらも関心が高いテーマだということがわかります。
それぞれの領域でツールやサービスを提供して成果をあげているスペシャリストにご登壇いただいたので、非常に参考になったと思います。
イベントでは、事前にいただいた質問やイベント中にQ&A機能でいただいた質問にざっくばらんに答えています。レポートには載せられないぶっちゃけ話も飛び出すので、興味のあるテーマの際には是非参加してみてください!
■ferret Oneの今後のイベント・セミナー情報はこちら
> https://ferret-one.com/seminar
弊社では、コンテンツマーケティングを始めとするBtoB事業に必要な機能がそろったマーケティングツール「ferret One」を提供しています。
リード獲得・サイト制作(CMS)・お問い合わせ管理・LP作成など、BtoBマーケティングの強化をお考えの方は、ぜひ無料の資料をご覧くださいませ。
>ferret Oneサービス紹介資料のダウンロード【無料】はこちら