【ferret活用 マーケ成功事例】組織横断マーケティングの段階的な立ち上げ戦略(株式会社ルネサンス様)


BtoBマーケティング現場のリアルなお悩みをテーマに具体的な成功事例を紹介する「BtoB Marketing SUCCESS」シリーズ。2024年8月30日開催のセミナーでは、株式会社ルネサンス様をお迎えしました。

コロナ禍をきっかけに従来のアウトバウンド営業から、デジタルマーケティングで効率的にリードを獲得する仕組みを構築し、さらに事業部間の連携強化によって短期間で大きな成果を達成した成功事例をご紹介します。

本レポートでは、セミナーの内容を抜粋してご紹介します。株式会社ルネサンスのマーケティング担当宮路さまと、ferretのCS担当藤田との対談です。

当時の生の情報満載、これからの営業戦略を見直したい方に必見の内容ですぜひご覧ください!

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目次[非表示]

  1. 1.セミナーアーカイブ動画
  2. 2.登壇者紹介
  3. 3.サマリー
  4. 4.STEP1 Webマーケ取り組み以前の『社内課題』
  5. 5.STEP2 営業プロセス変革の道のり~事業部横断マーケティングの推進~
  6. 6.STEP3  実際に取り組んだマーケティング施策
  7. 7.AFTER STEP これまでの取り組みでぶつかった大きな壁、乗り越えた方法
  8. 8.さいごに
  9. 9.ルネサンス様も使っている「ferret」資料ダウンロード


セミナーアーカイブ動画


登壇者紹介


パネリスト

株式会社ルネサンス
マーケティングデザイン部マーケティングサポートチーム次長
宮路 大樹氏


2005年株式会社ルネサンスにフィットネストレーナーとして新卒入社。

新店立ち上げ等を経て、2014年、本社へ異動し、
デジタル系の企画運営に携わる(顧客LTV向上のためのデジタル企画や会員向けアプリのリリース、2020年コロナ禍における、オンラインフィットネス事業を立ち上げ)。

そこで得た知見をもとに、2022年よりヘルスケア事業(主にBtoB・G)のマーケ部門の立ち上げを行い、
部門横断的なマーケティング企画とオペレーションの整備を担当。

株式会社ルネサンスの事業紹介



「生きがい創造企業としてお客様に健康で快適なライフスタイルを提案する」という企業理念のもと、1979年にテニススクールから創業し、スポーツクラブや介護リハビリ施設など計200か所以上の施設を運営されています。

また、企業や健康保険組合の健康づくり支援や全国の自治体の介護予防事業の受託、オンライン事業、海外市場へ向けた取り組みなど、長期ビジョンである「人生100年時代を豊かにする健康のソリューションカンパニー」を目指し、健康分野におけるサービスを多岐にわたって展開されています。

▼BtoBマーケティングツール「ferret One」で運営している株式会社ルネサンス様のWebサイト
https://rena-bg.s-re.jp/


モデレーター

株式会社ベーシック
SLG事業部 カスタマーサクセス部 部長

藤田 てるみ氏
藤田てるみの写真

人材会社にて営業職や、新規事業におけるコンサルタントを経験。
産休育休をはさみ5年間勤務。その後、2021年にベーシックへ入社。
現在はferret Oneのカスタマーサクセス アカウントマネジメントチームに在籍し、顧客のBtoBマーケティングの立ち上げ支援から成熟フェーズまで業界・マーケティングフェーズごとの顧客に対して事業・マーケット理解から戦略策定・具体的な施策実行支援まで幅広く支援を実施。担当社数は累計100社以上。
また、”顧客のサクセス”をどうすれば最短かつ効率的に実現できるのかを追求し、コンテンツ作成、ソリューションメニューの拡充、チームメンバーの課題把握力や提案力の強化に向けたナレッジマネジメント・組織構築を行っている。

株式会社ベーシックのサービス「ferret」のご紹介


ferret」は、BtoBマーケティングに必要なツールとコンサル・代行支援を提供するサービスです。課題に合わせて貴社に不足している要素を過不足なく提供。使いやすいツール、Webサイト、伴走サポート、制作代行など、必要な要素をまるっと揃えることができます。

ツールだけ、コンサル・代行支援だけ、あるいはその両方。貴社に合ったサービスをご提案いたします。

株式会社ルネサンス様には、マーケティング部門の立ち上げに伴うサイトリニューアル時から「ferret」のサービスとして、BtoBマーケティングツールの「ferret One」と伴走支援サポートをご活用いただいております。

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サマリー

「忙しくて全部は読むのは大変…」という方に向けて、本セミナーの重要なポイントをまとめました。関連する章へのリンクもつけておりますので、気になるところだけでもぜひ詳細をお読みいただき、マーケティング活動にご活用ください!


ルネサンス様の成果

株式会社ルネサンス様は2022年1月にBtoBマーケティングの取り組みを開始し、法人向けLPの作成を目的にferret(ツール「ferret One」の導入と伴走サポート)を導入

初期段階からホワイトペーパーの制作、記事制作、導入事例の制作、広告運用等を開始し、コンテンツを揃えた状態で2022年10月にサービスサイトを立ち上げる

その後ウェビナー開催や外部媒体の活用等も行い、2023年の1年間では年間合計1584件ものCV獲得に成功。もともと掲げていた月11,000件の訪問者数・250件/月のCV獲得目標も大きく達成することができている。


STEP1 Webマーケ取り組み以前の『社内課題』

Webマーケ取り組み以前の社内課題は3つ。

  • 既存顧客からの継続発注と新規・既存のハウスリストへのアウトバウンド営業が中心だった
  • Webサイトは存在していたが、BtoB事業は体系立てたマーケティングが出来ていなかった
  • 2020年2月頃からのコロナ禍・緊急事態宣言により対面営業ができなくなり、売上が減少

コロナ禍をきっかけに、営業プロセスを見直さなければ、お客様にアプローチできない状況に変わってしまったことで、本格的にWebマーケティングに取り組むこととなった。

具体的な課題感や経緯はこちら
STEP1 Webマーケ取り組み以前の『社内課題』


STEP2 営業プロセス変革の道のり~事業部横断マーケティングの推進~

営業プロセス変革は下記の3つの段階を経て実施。

  1. SFA、CRM、MA、テレアポ全て揃ったサービスを導入するも失敗
  2. 法人向け販売用のLP制作に取り組む
  3. 複数事業をまとめたサービスサイト構築(サイトリニューアル)

SFA、CRM、MA、テレアポ全て揃ったサービスを導入したものの、失敗してしまう。その経験から、BtoBマーケティングについて学び直し、Webマーケティングをやろうとシフトチェンジすることとなった。

まず取り組んだのは、見込み顧客に当社の商材を見つけてもらうためのLP制作。その後複数事業をまとめるサイト制作(サイトリニューアル)にも着手していった。

具体的な経緯やサイトリニューアルの進め方についてはこちら
STEP2 営業プロセス変革の道のり~事業部横断マーケティングの推進~


STEP3 実際に取り組んだマーケティング施策

最初は見よう見まねで進めて行ったが、「誰に、何を」という部分を整理していく中で、自然と「こういう施策をやってみよう」と発想が生まれ、どんどん施策が進められたとのこと。

具体的な進め方や、取り組んだ施策の中から成果につながった施策はこちら
STEP3 実際に取り組んだマーケティング施策


AFTER STEP これまでの取り組みでぶつかった大きな壁、乗り越えた方法

マーケと営業の連携が強化できたのは、「誰に、何を」を考えながら、顧客成功起点で企画する取り組みがのおかげだったと振り返る。

ただ、今まさにぶつかっている新たな課題として、リード獲得から成約への歩留まりや部署横断的な課題のシェアと理解の重要性の2つがあるという。

どのように乗り越えようとしているのか、詳しくはこちら
AFTER STEP これまでの取り組みでぶつかった大きな壁、乗り越えた方法


STEP1 Webマーケ取り組み以前の『社内課題』

スポーツクラブや介護リハビリ施設など計200か所以上の施設運営を始め、健康分野におけるサービスを多岐にわたって展開されている株式会社ルネサンス様。

この度は、その中でもBtoB事業においてWebマーケティングを本格始動された経緯や当時の課題について伺いました。


Webマーケ取り組み以前の『社内課題』

Webマーケティングに取り組む前に社内で抱えていた3つの課題についてお話いただきました。



課題1 既存顧客からの継続発注と新規・既存のハウスリストへのアウトバウンド営業が中心だった

宮路氏:
当社のようなヘルスケア業界では、基本的にアウトバウンド営業が中心です。既存顧客からの継続発注が多く、新規顧客に関しては営業担当が足を使って直接アプローチするというスタイルが一般的。

そのため、Webマーケティングを活用してインバウンドでリードを獲得するという風土は、あまり根付いていませんでした


課題2 Webサイトは存在していたが、BtoB事業は体系立てたマーケティングが出来ていなかった

宮路氏:
BtoC事業では、Web広告を出すなどWebマーケティングに取り組んでいたのですが、BtoB事業ではほとんど実施できていませんでした。

BtoB事業の商材は会議室に従業員の方を集めて、健康に関するセミナーを提供するなど、基本的に対面で納品するものが多く、そういった商材との相性も影響していたのだと思いますが、そもそもWebサイト自体がリード獲得や商談創出を目的とした作りになっていませんでした


課題3 2020年2月頃からのコロナ禍・緊急事態宣言により対面営業ができなくなり、売上が減少

宮路氏:
2020年2月ごろに始まったコロナ禍は、当社にとって大きなターニングポイント
となりました。

緊急事態宣言の影響で、対面営業が完全にできなくなる状況に陥ったのです。オンライン施策としてZoomを活用した取り組みを試みましたが、それでも売り上げは大幅に減少してしまいました。


Webマーケティングを取り組むきっかけ

Webマーケティングに本格的に取り組もうと決意された経緯をお話いただきました。



宮路氏:
大きな転機となったのは、やはりコロナ禍です。営業プロセスを見直さなければ、お客様にアプローチできない状況に変わってしまったのが一番の理由です。

藤田氏:
具体的にはどのような状況でしたか?

宮路氏:
まず、BtoC事業のスポーツクラブは緊急事態宣言で営業そのものができなくなり、約2ヶ月間の閉店を余儀なくされました。その間、会員様から会費も受け取れませんし、会員様を引き留めることすらできない状態です。

BtoB事業では、対面営業ができないことで営業機会を失い、法人営業の社員が次々に退職しました。さらに、BtoCの店舗運営に駆り出される状況が重なり、リソースが一層不足してしまっていました

藤田氏:
そうした状況から、営業プロセスを見直す必要が出てきたわけですね。

宮路氏:
はい、会社をあげての大号令で営業プロセスの改革が本格的に始まりました


営業プロセスの変革

対面営業が中心のスタイルから、どのように営業プロセスを変えていったのかを伺いました。



宮路氏:
BtoB事業の商材は基本的に対面で納品するものが多かったため、そのサービス自体をオンラインで納品できる体制に変えていきました。同時に営業活動のデータ化や、マーケティングの立ち上げなどの取り組みも開始しました。


STEP2 営業プロセス変革の道のり~事業部横断マーケティングの推進~

BtoB事業部の営業プロセス変革の道のりについて、詳しく伺いました。


①SFA、CRM、MA、テレアポ全て揃ったサービスを導入するも失敗

宮路氏:
営業プロセスの変革という大号令が出た際にBtoB事業部で最初に取り組んだのは、MA・SFA・CRM、テレアポが一つになったサービスの導入です。

藤田氏:
一気通貫でできるので、一度に大きく変えられそうですね。その後いかがでしたか?

宮路氏:
実はここが最初のつまずきポイントになってしまいました。あまりうまく活用できなかったのです。

藤田氏:
原因としてはどんなものが考えられますか?

宮路氏:
大きく2点あったと思います。

1つ目は一気通貫だから何とかなるでしょうという安易な思考があったということです。

そもそもBtoBマーケティングのノウハウがないにもかかわらず、自社だけで進めようとしていました。私はもともとBtoC事業部におり、BtoB事業のこのプロジェクトにアサインされたのはツール導入がきっかけだったのですが、このツール導入に関しても、「デジタルツールを使いこなしている社員(宮路氏)がいるから、何とかなるだろう」という軽い判断で導入されてしまっていたのが実情です。

ただし、ツール自体が悪かったとは感じていません。ツールはあくまで手段ですし、使いこなせば非常に有用です。それにもかかわらず失敗してしまった大きな理由は、2つ目の顧客理解が浅かったことにあると感じます

藤田氏:
顧客理解が浅かったことで、どのような問題がおきたのでしょうか?

宮路氏:
当時は「この商材を、このツールを使ってどう売り込もうか」という意識が強かったように思います。話し合いの内容も、商材やプロモーションのことが中心でした。

そのため、テレアポの委託先へ「誰に、どのような価値を持つ商品を売っているのか」がうまく伝えられていないという問題が起こっていました。商談ではトークスクリプトができていないので成果が出ず、アウトバウンドで頑張ってもしんどいという感覚がチームで共有されていきました。

顧客の行動や、検討フェーズごとの悩みを全く理解していないままMAツールを活用しようとしていたので、結果としてただのメール配信ツールとしてしか使えなくなってしまっていました。全然「マーケティングオートメーション」になっていないという(汗)。

藤田氏:
おっしゃっていただいた通り「どういう目的でサービス導入するのかとか」また、「誰に、何を届けるのか」が明確になっていないと難しいですよね。

ただ、課題が見えたこと自体は良いことだったと思います。そこからどのような経緯でインバウンドへ切り替えていったのですか?

宮路氏:
ツールを入れただけではうまくいかないと分かり、進め方に悩んでいました。

そこで、まずはBtoBマーケティングのセオリーを学ぼうと本を読み漁ったり、ウェビナーを受けたりして、知識を吸収しました。合わせて、様々な企業様、特にSaaSサービスを提供している企業様のお話を聞きに行きました。

そういった学びを通して、インバウンドの取り組みの重要性を再認識して、Webマーケティングをやろうとシフトチェンジしました


②法人向け販売用のLP制作に取り組む

宮路氏:
まずは見込み顧客に当社の商材を見つけてもらうためにLPを作ったり、コンテンツ作るということからやっていった方がいいのではないかという話になり、ferretと初めてお会いすることとなりました。

ferretの営業の方から、当社のような課題を抱えている企業のセオリーとして、LP制作からスモールスタートして訴求内容を見直していくのが良いという提案を受けました。私としても納得感のあるご提案だったので、LP制作から取り組み始めました。

藤田氏:
もともとWebサイトをお持ちだったと思うのですが、そこは問題になりませんでしたか?

宮路氏:
たしかに、ドメインが変わることへの抵抗は少なからずありましたが、Webサイトを更新できていないことの方が大きな問題でした。

元々あったBtoB向け、自治体向けのWebサイトは、ある程度のアクセスがあるにもかかわらず、誰も更新していませんでした。資料ダウンロードができるページもありましたが、2020年ぐらいから誰も更新してない状況です。

そのため、もっとWebサイトの更新頻度高められるようなツールが必要だと感じていました。自分がノーコードのサービスを活用してきて便利だったという経験もあり、ノーコードのサービスを導入したいという話をずっとしていました。

そこでノーコードでWebサイトやLPを制作できる「ferret One」の話を聞いてみた経緯になります。

ferret One」の導入を決めたのは、まずその時に対応いただいた営業の方がこんなに寄り添ってくれるんだというくらい寄り添ってくださったことです。当時の上長とも話していたのですが、ルネサンスは「伴走する」といった理念を大切にしている企業であり、その点で私たちの方針と合うのではないかと感じていました。さらに、BtoBマーケティングのノウハウをしっかり持っていることがわかり、信頼できると判断したため、御社にお願いしようということで導入を決定しました。

藤田氏:
伴走していくという部分は、弊社が特に大切にしているところなので、そこが一致できて本当に嬉しく思います。LP制作について、何か苦労された点はありましたか?

宮路氏:
そうですね、やはり「誰に対して、どんな目的で提供するサービスなのか」という部分が整理できていなかったことが一番の課題でした。言語化するのがとても難しくて…

藤田氏:
その点は、一緒に訴求ポイントを整理させていただきましたよね。その際にある明確になりましたか?

宮路氏:
はい、おかげさまで整理できました!


③複数事業をまとめたサービスサイト構築(サイトリニューアル)

株式会社ルネサンス様は、LP制作を始めた後の早い段階で、複数事業をまとめたサービスサイト構築を進められています。その経緯について伺いました。

宮路氏:
以前から「いつかはWebサイトにまとめなければならない」と話していたのですが、最終的な決め手となったのは御社からの提案でした。

藤田氏:
多くのLPを作られていて、かなりの数になっていました。サービスサイトを構築したほうが全体を整理できるのではないかと感じていました。

宮路氏:
もともとWebサイトは4つありました。コーポレートサイト、BtoB・自治体向けのサイト、BtoC事業、介護事業のサイトです。

この中から、BtoB、自治体向け、介護向けを1つのWebサイト内で、ページを分けて運用する形に「ferret One」でリニューアルすることにしました。

もともとあったWebサイトは、更新方法すら分からない状態でした。誰に聞けばいいのかも曖昧で…。少しの修正でも外部の会社に依頼しなければならないとなると、そのたびにディレクションが発生して、手間も時間もかかる。そう考えると、更新作業が非常に大変になるのは目に見えていました。

藤田氏:
そこで「ferret One」をLPに引き続き、Webサイト制作にも使おうとご検討いただいたのですね。決め手はなんでしたか?

宮路氏:
まず、自分で作れる楽しさってありますよね。実際に「ferret One」でLPを作ってみたら、「これ、いいじゃん!」って感じで、言葉ではうまく表現できないんですけど、すごくワクワクしました。

また、Webサイトにアクセスがあることを把握していたものの、GA(Google Analytics)を詳しく見ることはできていませんでした。「ferret One」ならアクセス状況がすぐに確認できるので、一緒に作業していたメンバーからも「これなら、いいですね」という声が上がりました。

もともと、スピーディーにコンバージョンを取っていくとか、ノーコードでタイムリーに改善しながら施策を進めることがやりたかったんです。だから、御社から提案をいただいたとき、「よし、やろう!」とすぐに決断できました。


サイトリニューアルで社内承認を得られたポイント

サイトリニューアルや、その後の施策を進めるために必要なのが予算取り。

株式会社ルネサンス様が予算の獲得や社内の承認をスムーズに進められた秘訣を伺いました。



宮路氏:
コロナ禍をきっかけに「Webマーケティングが必要だ」という認識を社内で広められたことが、非常に大きかった
と思います。社内会議にはキーパーソンをできるだけ集め、やりたいことや必要性を丁寧に説明する場を設けました。これを繰り返し行うことで、徐々に理解を得られました。

藤田氏:
どのような説明をされたのでしょうか?

宮路氏:
これまでは営業の人数が多く、アウトバウンド営業が成り立っていましたが、コロナ禍で人材が減少し、少人数で成果を出さなければならない状況になりました。そこで、Webサイトを活用し、ある程度自動化することで効率的に商談機会を確保する必要があるということを強く訴えていきました

藤田氏:
現在の課題をしっかり整理したうえで、ゴールを示し、そのゴールに向かうためにどのような手段を使うのかを、丁寧に説明されていたということですね。

宮路氏:
はい、まさにその通りです。

サイトリニューアルに関していえば、各事業ごとに個別に最適化するという考えもあったと思います。しかし、それでは意味がなく、後々の管理工数が膨れ上がることが予想されました。そういった理由からも、全体最適を目指して進めるべきだという話をかなり強調していたと思います。

藤田氏:
複数事業がある場合に、個別に最適化するのではなく、全体を俯瞰して見たときの最適なポイントを押さえられるかどうかが非常に重要になりますね。


サイトリニューアルの際に乗り越えなければいけなかった壁

3事業のWebサイトを1つにまとめるリニューアルを実施したルネサンス様ですが、その際に乗り越えなければならなかった壁があったとのこと。


宮路氏:
1つ目は、何度もお伝えしている通り顧客解像度が低いということです。どんな訴求するかとか、どういう設計にするかということが一番課題になりました。

2つ目は、既存サイトの内容ではユーザーが求める情報が不足していたことです。ページの新設が多数必要で、数ヶ月かけて作り出していくほどの作業量となり大変でした。

ただ、1番の課題は「顧客解像度が低い」ということでした。

その課題解決のために、まず各事業部ごとにマーケティング担当を2名ほど選出するところから始めました。これによって、各事業の横のつながりが生まれ、推進がしやすくなりました。

そして、各事業ごとに週1~2回ほどミーティングを実施し、事業自体のSTPの見直しや、ペルソナやカスタマージャーニーの整理を数か月かけて行いました

藤田氏:
かなり濃密なやり取りをされていたんですね。会議にはどのようなメンバーが参加されていたのですか?

宮路氏:
事業部ごとのマーケティング担当(営業兼務がほとんどでした)、そのマネージャー、そしてたまに部長クラスにも入っていただいてミーティングを開催していました。

藤田氏:
様々なレイヤーが参加するので、多様な視点から質問や意見が出て、議論が活発になりそうですね。今後、新たな事業を立ち上げる際にも、自然にターゲットの選定をしっかり考える風土が生まれそうです。

宮路氏:
まさにその通りです。営業部門だけでなく、商品開発部門でも「これは誰のための商品なのか」という話が出るようになってきており、その点は非常に良かったと感じています。


STEP3  実際に取り組んだマーケティング施策

Webサイト構築と並行して、サイト公開後に取り組む施策についても検討されていました。具体的に取り組んだ施策やその成果についてお話いただきました。


Webマーケティング取り組みのロードマップ

藤田氏:
こちらは年度別に分けた施策のロードマップですね。実際の施策実行の流れやそのプロセスはいかがでしたか?


宮路氏:
2022年はコンテンツの仕込みを開始し、Webサイトの土台を作る年でした。

先ほどお話しした週次のミーティングをコンテンツの企画の場に変えて議論していきました。営業の人数が少なくなってきたこともあって、SEO記事を大量に作ったり、ウェビナーの企画をしたりが中心でしたね。

ターゲットの1つである自治体については、Web上では情報収集をしないという印象があり、ずっとオフラインで営業していたのですが、施策を進める中で、そんなことないということが分かっていきました。ある部署の成功施策を次は別の部署でもやってみるということを繰り返してオフラインとオンラインを繋ぐような営業戦略も分かってきて…と、ステップアップしていきました。


成果につながった施策

成果につながった施策について、詳しく伺いました。


宮路氏:
最初は正直見よう見まねで進めていましたが、「誰に、何を」という部分を整理していく中で、自然と「こういうことをやってみよう」と発想が生まれ、みんなで楽しく進めてこられたという感覚があります

例えば、メールマーケティングでは「この件名でどういう人にアプローチしたいのか?」といった議論を常に行っていました。以前は単発のメールが多かったのですが、ストーリー性を持たせて3回、4回とメールを送り、最終的にコンバージョンポイントを設ける施策を取り入れました。

イベントやセミナーでも、「誰に、どのタイミングでどういった態度変容を促すか」を意識して、コンバージョンから遠いセミナーもあえて企画することがありました。

藤田氏:
自治体向けのサービスについては、当初は「オンライン施策はあまり効果がないのではないか」といった意見があったとお聞きしましたが、施策を進めるにあたり、そのような意見や反対に対して、調整が必要だったかと思います。具体的にどのような調整や対応をされていたのでしょうか?

宮路氏:
そうですね、当時は確かに「オンライン施策って意味があるの?」とか、「直接会ったほうが早い」とか、「関係性構築はリアルでしかできない」といった意見が多かったです。でも、試しに「1回やってみてもいいですか?」と提案してセミナーを開催したところ、意外と多くの方が参加してくれたんです。これは大きな転機だったと思います。

その後、オンラインセミナーが営業ツールとしても役立つことに気づき始めました。たとえば、「次のセミナーがあるんです」と話すことで、自治体を訪問する際の営業武器にもなるということがわかり、徐々に「これ、いいかも」という感覚に変わっていったように感じます。

藤田氏:
まずは小さく試してみて、そこで成功体験が得られたことが成功の秘訣だったのですね。


特に成果に繋がった施策:階段設計を意識したウェビナー施策を実施

特に成果につながった施策として、階段設計を意識したウェビナー施策について伺いました。

宮路氏:
当初、セミナー企画は単発で行っていましたが、次第に「このセミナーの前段階で、どんなことに気づいてもらう必要があるのか」や、「ペルソナの周りにいる人は誰なのか」といった話が膨らんでいきました。そこで、「こういう視点のセミナーもあってもいいよね」という企画が次々に出てきたんです。

もともとあったセミナーを軸に、その前段階の設計を加え、FacebookやMeta広告を使って集客を行ったところ、これまでよりも多くの人が集まる結果となりました。コンバージョンに近いところでの集客よりも、もう一段階手前で集客をしたことで、非常に多くの反響があったんです。そこから、階段を登るようにセミナーへつなげる流れができ、結果的に非常に利にかなったストーリーになったと感じています。

藤田氏:
この「階段設計」は、緻密に設計して狙ってこの結果が起きたのか、それとも偶発的な部分もあったのでしょうか?

宮路氏:
後者の「偶発的な部分」が大きいですね。出口は設定していましたが、ここまでうまくいくとは思っていませんでした。やってみて修正を繰り返していく中で成功した、という感覚が強いです。

藤田氏:
月にどれくらいのペースで開催されていたのでしょうか?

宮路氏:
昨年はBtoB向けで月に4〜8本ほどセミナーを開催していました。

自治体向けのセミナーに関しては、セミナーの録画配信していたため、多い月には、20〜30本ほど開催していました。


AFTER STEP これまでの取り組みでぶつかった大きな壁、乗り越えた方法

これまでのマーケティングの取り組み全体を振り返ってみて、ぶつかった壁や、その壁をどのように乗り越えてきたのかについてお聞かせいただきました。

宮路氏:
組織が立ち上がってから2年ほど経ち、営業メンバーとの連携もできるようになってきています。マーケと営業の連携が強化できたのは、何度もお話しているように、「誰に、何を」を考えながら、顧客成功起点で企画する取り組みがのおかげだった思います。

ただ、今も新たに2つの課題がでてきており、まさに壁にぶつかりながら、それを乗り越えようとしているところです。

1つ目はリードが取れているものの、成約に結びつかないことの方が多いということです。対応策として、「誰に、何を」をもとに、適切な見込み客を創出し、エンゲージメントを強化していくためのマーケ企画が必要だと思っています。

2つ目は、部署横断的な課題のシェアと理解の重要性です。営業課題をきちんと拾い、マーケティング活動に反映させることや、その逆もしかりでマーケティング課題を営業チームに伝え、一緒に議論するしていくことにも改善の余地があると感じています。対応策として、再度マネジメントの見直しを進めているところです。最近はSFA(営業支援システム)の整理を再度行っていて、どのようなダッシュボードが必要かなどを話し合っています。

藤田氏:
連携の部分については、どの企業でも悩むところですね。やはりコミュニケーションを密に取ることが解決策になるのでしょうか?

宮路氏:
はい、無理やりでもミーティングを設定するようにしています。「これについて話し合いましょう」という場を、受け身ではなく、積極的に仕掛けていくことを意識しています。そうすることで、コミュニケーションが停滞しないように心がけていますね。


さいごに

最後に宮路さんから、これからマーケティングを推進しようと考えている企業さんへメッセージをいただきました。

宮路氏:

ここまで進めてきて感じているのは、やはり「楽しむこと」が大切だということです。壁にぶつかることは多いですし、うまくいかないこともありますが、なんだかんだ楽しんでやってきたことが大きかったですね。

私自身、常に意識しているのは「火中の栗を拾う」というか、見過ごされがちな問題をきちんと拾い上げて対処することです。それを続けていると、結果的に物事がうまく進むようになることが多いと感じています。特にこの2年だけでなく、3〜4年ずっとそう感じてきました。だからこそ、諦めそうになったときでも、とにかく一度行動してみることが重要だと思います。

―――宮路様、ありがとうございました!


ルネサンス様も使っている「ferret」資料ダウンロード

株式会社ルネサンス様がご活用くださっていた「ferret」は、BtoBマーケティングに必要なツールとコンサル・代行支援を提供するサービスです。

マーケティングの知識がなくても、誰もがカンタンにマーケティングが実行できるように各企業の課題に合わせたサポートを行います。

BtoBマーケティングに関するご相談も受け付けております。ご興味のある方はぜひ資料をご覧ください。

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ferret(One Tip編集部)
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One Tipは、BtoBマーケティングに特化した支援サービス「ferret」から生まれた、「リード獲得の打ち手が見つかるメディア」です。 BtoBマーケティングにかかわる人にとって、価値あるコンテンツをお届けしていきます。 Twitter:@ferret_One_

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