「デジタル化時代のマーケ組織の立ち上げ方」イベントレポート【前編】
2021年12月8日に開催した『BtoB Marketing Summit 2021』では、「経験者が語る、必ず押さえるべき3つのポイント」をテーマに、マーケ組織の立ち上げ方について現役マーケターにお話しいただきました。
本記事では、Baseconnect株式会社の菅野氏と株式会社BLAMの宮本氏による、セッション1〜2の内容の一部をご紹介します。
■セッション3〜セッション4については、イベントレポート【後編】をご覧ください。
>「デジタル化時代のマーケ組織の立ち上げ方」イベントレポート【後編】
【セッション1】成約数1.8倍!ビジネス組織の連携ポイントを大公開
【登壇者プロフィール】
Baseconnect株式会社
ビジネス部門責任者 兼 マーケティングマネージャー 菅野隼人 氏大手コンテンツ企業にて人事、SaaS製品のカスタマーサクセスやコンサルティング、ベンチャー企業にて新規事業プロデューサーと経歴は多岐に渡る。2019年にBaseconnectに参画し、現在はビジネス部門責任者兼マーケティングマネージャーとして販売戦略の構築からビジネスフローの設計、プロダクト開発との連動など多様な業務に携わっている。
Twitterアカウント:@kanno_kyoto
3つの変革①:役割に基づいた組織体制の変更
菅野氏:
弊社ではこの1年間さまざまな取り組みを行った結果、昨年と比較して成約数1.8倍、リード獲得2.1倍の成果を創出することができました。
どのようにして成果を出したのか、まずは「3つの変革」についてお伝えします。
まずそもそも、我々の組織体制がどうなっていたかをお話しします。
2020年は、コロナも含めてなかなかうまくいかず、施策を打っても成果が出ない時期がありました。当時のビジネス部門はチーム間の交流が少なく、個々人の役割分担も非常にざっくりしていました。
マーケティングとセールス、あるいはカスタマーリレーション、それぞれのチームがいい意味でいうと独立してる、悪い意味でいうと連携が取れてないという状態だったのです。
個別最適になってしまっており、チームごとにやることはやってるんだけれども、うまく活かされてない。改善点が見つかっても手が出ない、という状況が続いていました。
そこで、このチームやメンバーは何をする役割を持っていて何をしなければいけないのか、というところをまず明確化しました。
例えば「マーケティングの中でも新規獲得とナーチャリングで役割が違うよね」「セールスの中でもインサイドセールス、オンラインセールスでやるべきことは違うよね」というところを改めて定義しました。
3つの変革②:KPIの再設計
菅野氏:
2つ目はKPIの再設計です。
まずビジネスチーム全体としては、「月間の成約数」を設定しました。
その上でマーケティングとセールスそれぞれに、月間のリードの獲得数と、成約率をKPIとして立てました。
さらに、リードの中で「新規」なのか、「過去の案件の掘り起こし」なのか。あるいはセールスの中で「架電数」なのか、「商談実施数」なのかなど、要は活動量にするのか効率や質にするのかを、各チームの状況や人員リソースに合わせて組み立てました。
3つの変革③:各チームでの施策改善の活発化
菅野氏:
組織やKPIを変更し、どのメンバーがどの役割を担うのか明確になったことで、チームごとに施策の提案や議論ができるようになりました。
どんなお客様に対してどういうアクションを取ると目標達成できるのかを明確にし、チーム全体で意識統一していった点が非常に重要だったと思います。
取り組んだ具体的な6つの改善施策
菅野氏:
これらの体制変更を踏まえ、以下の6つの施策改善に取り組みました。
1つ目が、ウェビナー・展示会の積極実施です。
弊社では、セミナーが上手い会社さんに直接SNSで連絡を取り、一緒にやらせてくださいとご相談してウェビナーを実施しています。
それにより、2020年の頃は2〜3ヶ月に1回ほどの開催だったウェビナーも、今では毎月1、2回コンスタントに実施できるほどになりました。
2つ目が、リードの質の可視化とリード化後対応の最適化です。
リードをかき集めた状態では成果につながらないため、その質を可視化するか、あるいはその対応をどう最適化するかというところも改善しました。
3つ目が、インサイドセールス側での「データの活用」です。
弊社はBIツールと、MAツールを使って、ログインの頻度や活用状況、流入チャネル、メールの開封率などを可視化しています。
お客様に適したコミュニケーションをとるために、ツールで取得したデータを踏まえて、「電話をすべきか」「どういったコンテンツを送るべきか」などを判断しています。
4つ目の施策ですが、アポ取りの着電時にそのまま商談を実施するということもやっています。
この1〜2年間、お客様に電話をかけて繋がる確率が、じわじわ下がっているなと感じています。
ですので、お電話が繋がった瞬間、お客様と接点を持てた瞬間をいかに大事にするかを考え、その場で商談しようと考えました。
5つ目は、オンラインセールスでの商談枠の可視化と商談予約システムの導入です。
オンラインの時代になり、1度予定を入れても、気軽にリスクをされてしまうケースが増えてきました。そこで、お客様側でカレンダーから日程を選べるシステムを導入し、手軽に商談設定ができるようにしたいと考えたのです。
その上で、リスケやキャンセルが起きた場合には、Youtube上にアップしたデモ商談動画をメールでお送りして、せっかくの機会を逃さないよう対策しました。
メールの開封状況もチェックし、動画を見ていただいているようであれば、「詳しい説明が必要でしたらもう1度案内いかがですか?」とセールスチームからフォローを入れる体制を作っています。
以上6つの施策を紹介いたしましたが、共通しているのは「お客様の動きや状況に応じて、どれだけ適切に情報を届けるか」を重視した点かと思っています。
かつそれが、各チームだけで完結するのではなく、マーケティングで取った情報やインサイドセールスが確認した情報、商談時の情報など、それまでに蓄えられたすべての情報に応じて、オンラインセールスがお客様に最適な提案をしていくことが重要ではないでしょうか。
マーケティングとセールスの連携
菅野氏:
以上を踏まえて、マーケティングとセールスの連携のポイントは、以下の3つだと考えています。
1人でやれることには限界がありますし、各チームだけで最適化していても絶対どこかにひずみが生じてしまいます。
そのため、連携の仕組みをつくり、例えば成約数や商談数を増やすためにセールスと協力すること必要がある場合、「セールスと協力すること自体が役割であり業務ですよ」と言える体制にすることが重要だと思います。
■営業支援ツール「Musubu」サービスサイト
https://www.musubu.in/
■Musubuライブラリ
https://library.musubu.in/
【セッション2】デジタル時代における事業立ち上げと自社マーケ組織の構築
【登壇者プロフィール】
株式会社BLAM
執行役員 宮本 舜 氏大手Web専業広告代理店に入社。デジタルマーケティングのコンサルティング業務を経て、マーケティングツールの事業責任者として従事。
その後、株式会社BLAMに入社し、デジタルマーケティングプロ人材のマッチングプラットフォーム「カイコク」を立ち上げ、マーケティングからセールスまでの全体統括として推進。カイコクを国内最大規模のサービスに成長させる。現在、TDXのコンセプトの元、企業のマーケティングDX支援に従事。
Twitterアカウント:@MShuuun
マーケティング組織の編成
宮本氏:
本日は、弊社のマーケティング組織の変遷と、現在に至るまでの取り組みについてお話したいと思います。
現在の弊社の組織編成では「マーケティングDX本部」を置いており、その中にサービスごとにセールスやCSが設置されています。それを横断する形でマーケティング部門があり、紐づく形で開発・デザインがいる、というのが組織の大枠です。
その中で、今回お話しする「カイコク」のマーケティング部では、認識・興味関心・比較検討・成約・継続拡大といういわゆるファネルにおいて、「認知・興味関心」を中心に取り組んでいます。
マーケティングフローに関しては、弊社はSaaSではないのですが、SaaSでやられているようなモデルに合わせて、マーケからセールス、カスタマーサクセスという流れを作っています。この点は今回の話の肝になるので、後ほど改めてご紹介します。
組織体制の課題
宮本氏:
ここからは、「カイコク」における以前の組織課題についてお話しします。
事業の立ち上げ期を抜けたころから、マーケは新規の見込み顧客の獲得にのみ注力して、Webのプロモーション運用を中心にやっていました。
セールスとの連動はほとんどなく、たまったリードを活用するというよりは、取ってきた新規の見込み顧客に対してひたすらアプローチをかけるだけの状態でした。
新規の見込み顧客ばかりにアプローチしていた要因はさまざまありますが、我々の中で大きかったのは、元々広告代理店出身のメンバーが多かったという点です。
文化的な背景もあり、リード獲得とセールス領域に長けているメンバーが多く、注力するポイントが偏ってしまっていました。スライドでいうと黄色の部分です。
新規の見込み顧客の獲得もセールスもかなり強かったので、立ち上げ当初はある程度取れていたところもあって、このような体制になっていきました。
しかし、プロモーションだけに特化していて新規の見込み顧客を取り続けていくのはカイコクのビジネスモデル上難しく、途中で壁にぶつかってしまったのです。
「THE MODEL」型の組織体制の構築と取り組み
宮本氏:
そこで、新規の見込み顧客を取って終わりというフロー形ではなく、たまったリードに対して蓄積するストック型になっていくために、スライドの黄色部分の取り組みを行いました。
そのタイミングで「THE MODEL」との出会いもあり、弊社のサービスはSaaSではないものの、体制面で応用できる部分があるのでは?と考えて組み込んでいったのが大きな流れです。
取り組み例の1つとしては、MAツールの導入があります。
ツールを導入することで、セールスとマーケの連動を図っていきたいと考えました。
MAツール導入のためには、ビジネス・カスタマージャーニーの再整理をして、社内に対してひたすら啓蒙を実施、その上でセールスマーケティングへの組み込みを行いました。
その結果実現できたことは、大きく3つあります。
1つ目が、休眠顧客にアプローチすることの重要性を意識醸成できたことと。2つ目が、サービスを横断して全社でリストを統合できたこと。そして3つ目が、スプレッドシート管理からの脱却です。
MAツール導入以外のチャレンジでいうと、ストックの取り組みとして、YoutubeやWebメディアの開設を行いました。
あとはSNSの運用、ラジオなども始めています。
このような組織体制の変更や各種取り組みを一気に進められた理由は、各プロジェクトのオーナーの熱量や巻き込み力はもちろん重要でしたが、その道のプロフェッショナルの力を借りる体制を作ったためです。
自社でもカイコクを活用し、各プロジェクトに対してプロフェッショナルをアサインしました。結果として自社人材のみで取り組むよりもスピード×質が向上し、結果として費用対効果の高い結果に繋げることが出来ました。
立ち上げ期は自社の中にナレッジがないので、外部のプロ人材の方に多く稼働いただき、ある程度形になってくると、運用していくための社内の実施人材にOJTを行ってもらう。そして、最終的には自社内で運用できる状態にできると、費用対効果がよく体制構築できると感じています。
■BLAM会社サイト
https://blam.co.jp/
■カイコク
https://kaikoku.blam.co.jp/client
■カイコクテラコヤ
https://kaikoku.blam.co.jp/terakoya
まとめ
イベントレポート前編では、マーケ組織の立ち上げ方について、Baseconnect株式会社の菅野氏と、株式会社BLAMの宮本氏のセッション内容をご紹介しました。
2社共に、立ち上げ時の課題やそれに伴う具体的な対策をお話しいただいたので、参考になる部分も多かったのではないでしょうか。
イベントレポート【後半】では、SATORI株式会社の徳井氏と、ラクスル株式会社の中野氏のセッション内容をご紹介します。ぜひご覧ください。
>「デジタル化時代のマーケ組織の立ち上げ方」イベントレポート【後編】
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