【弊社担当直伝】伝わるセミナー資料の作り方とは?作成手順や注意点
セミナー資料は、求められている内容を参加者に分りやすく伝えるための重要なアイテムです。ポイントを抑えて作れれば、セミナーの質が向上します。
そこで今回は、ferret Oneイベント運営チームに、セミナー資料の作り方についてインタビューを行いました。
セミナーを多数企画してきた弊社チームの経験を元に解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
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セミナー資料の必要性とは?
──そもそも、セミナーに資料は必要なのでしょうか?
必要です。特に、セミナーで話すことに慣れていない人は、口頭だけで伝えようとするよりも資料を用意した方がうまくいきます。
──セールストークに慣れている営業メンバーなら問題なさそうですね。
いえ、営業経験者だからといって、資料無しで上手に話せるとは限りません。営業メンバーは普段、1対1でお客さまの反応を見ながら密にコミュニケーションをとっています。それに対して、セミナーは1対大人数が基本となります。特にオンラインセミナーの場合は参加者の反応が見えない中、1時間近く演説をしているようなものなので全然違うんです。
──シチュエーションによって求められる話し方が違うんですね。
対面営業だと目の前の人に照準を合わせて話せばよいのですが、大人数を相手にするセミナーでは、対象を意識しにくくなります。慣れていないと、何を話せばよいのか分からなくなったり、的外れな事例を出してしまったりすることがあるんです。
──やはり、セミナー開催の際は、資料を作るべきですね。資料は、すでに営業活動で使用しているパンフレットや営業資料でもよいのでしょうか?
顕在層向けのセミナーであれば許容範囲ですが、エンターテインメント系や外部イベントのセッションに登壇する場合は別に作るべきです。セミナーで使う資料は、セミナーのためだけに作ることをおすすめします。
──同じ商品に関する資料でも、あらためて作る必要があるんですね。なぜでしょう?
それぞれ、資料の目的が違うからです。営業資料やパンフレットは、目で読んで理解できるように作ります。興味のある人に対して、ボリューム多めのテキストで分かりやすく解説するのがセオリーです。そうすると、ユーザーの社内稟議にかけてもらう際、商談に参加していなかった上司にも説明しやすくなります。
──それでは、セミナー向け資料の目的は何でしょうか?
セミナー向けの資料は、耳で聞いて理解できるように作ります。まだ自社商品に興味の無い人が、ラジオ感覚で聞けるようなイメージです。耳をメインにしながら、パッと見て分かりやすい図や表で画面にも視線を集めて、まず興味を持ってもらえるようにします。
──オンラインセミナーでも、同じように資料が必要ですか?
もちろんです。その場その場で、多くの資料を自由自在に操れる人なら、は画面共有のみで対応できてしまいます。ただ、それだと再現性がないんです。参加者の検討段階に合わせた資料が必要となります。
▼営業資料とセミナー資料の違い
営業資料 |
セミナー資料 |
|
---|---|---|
対象 |
・検討中期~後期ユーザー アポイントを獲得できるぐらい |
・検討初期ユーザー あくまでも、セミナー内容に興味があるだけで |
特性 |
・自社商品について、テキストでわかりやすく解説 全体的にテキスト量が多く、読めばわかる状態。 |
・セミナー内容で興味を喚起し、自社商品に繋げる 図形や表を使って、パッと見てもわかりやすい状態。 |
理解 |
・読んで理解できる(目)※特に➁ ➀アポイント参加者:営業資料 + 営業担当の説明 上司、役員といった稟議のステークホルダーに、営業資料を使って、ユーザー自身に説明して貰う必要がある。 |
・聞いて理解する(耳) フレームワーク(図形・表)+ 講師の説明 ラジオ感覚で聞かれる可能性が高いため、耳をメインとしつつ、フレームワークで画面に視線を持ってくる必要がある。 |
セミナー資料の作り方①事前準備
──セミナー資料作りの事前準備は、どのように進めていけばよいのでしょうか?
最初にセミナーの参加対象者を明確にしましょう。対象とする参加者によって、作成すべき資料の形が変わります。大事な部分です。
弊社ではセミナー・イベントの企画にあたり、マーケティングファネルを活用しています。こちらの図において、検討度合いがどのような段階にあるユーザーをセミナーの参加対象者にするか当てはめています。
──対象が決まったら、次はどうしますか?
参加者が何を知りたいのかを考えます。その後、求められている話題に対して話せる内容や、登壇していただける企業さんがいないかなど、自社でできることを炙り出します。それを自社サービスに落とし込むんです。
──なるほど。参加者から逆算して設計できると、いい資料になりそうですね。
セミナーに関わる人が複数いる場合は、これまでの打ち合わせで決まったことや、セミナー資料に関する内容を記録しておく「企画書」の作成をおすすめします。そうすることで、関係者の共通言語ができるんです。
──セミナー関係者の中で、目的の共有が必要なんですね。
特に共催セミナーの場合、売りたい商品が違いますよね。軸が無いとセミナーの目的がぶれて、期待した成果が上げられなかった、ということになりかねませんので気をつけましょう。
セミナー資料の作り方②集客から逆算して作る
──準備が整ったところで、いよいよ資料作りです。どのような手順で進めるのでしょうか?
タイトル、概要、骨子、肉付けの順番で作っていきます。
──まず、タイトルからなんですね。
なぜこの流れで作るかというと、集客から逆算しているからです。メルマガや広告を打ち出す時にタイトルを使うので「その時に刺さる魅せ方って何だろう?」と考えるところから始まります。コンセプト、と言い換えた方が適切かもしれませんね。
──なるほど。順番にちゃんと意味があることが分かりました。
タイトルがまとめきれない段階で、概要以降に進もうとしてもうまくいきません。弊社でも、たくさん案を出してその中で決めます。
──色々な視点で作ってみて、慎重に適切なタイトルを決めていくんですね。
たとえば、言葉として今っぽいからという理由で「MQL獲得セミナー」とタイトル付けをしてみても「MQLって何だろう?」と感じる方が大半だと思います。
──どのように変えるとよいのでしょうか?
ひとつの例を挙げると「成約率10倍!初心者でもできるMQL獲得セミナー」というように、対象とする参加者がどのようなタイトルに惹かれるのか考えるのが大事です。フックになる部分や、数字的根拠などをふまえて作ります。
──そこまで突き詰めて考えると、タイトルが決まると同時にタイトル以外の部分も想像できますね。
その通りです。タイトルを考えるうえで、必然的に頭の中で展開を考えることになります。それをまず概要として書き起こすんです。概要に対して、何を話すかを示すのが骨子です。起承転結を意識して書いていきます。
──最後は、肉付けですね。
実際にお話してくださる人や、共催企業に確認してもらいながら軌道修正して仕上げます。
──ちなみに、セミナー資料に自己紹介は必要でしょうか?
基本的に、入れることをおすすめします。セミナーは「誰が言っているのか」が大事です。どんなに良い話をしたとしても、登壇者の「人となり」が分からないと話が入ってこないんです。
──権威付けが必要なんですね。
必要なのは、権威付けと言うよりは納得感です。たとえば先日、新規事業セミナーの自己紹介で僕は自分自身を「新規事業を立ち上げて売上1.5億を作りました」と紹介しました。参加者は新規事業に関する話を聞きに来ているので、僕の経歴の中で知りたいのは「新規事業に関するもの」のみです。そして1.5億円という数字は、話に納得感をもたらします。
──セミナーの内容によって、話す経歴も取捨選択した方がいいんですね。
納得感は、参加者の悩みに対して、自分が答えを持っていることを示すためのものです。
セミナー資料の作り方③コツはシンプルに示すこと
──ここまで作り方を聞いてきましたが、全体を通して資料作りのコツがあれば教えてください。
コツは、ひとつの図や表を使ってシンプルな答えを用意することです。「結論、この1枚のスライドにすべてが詰まっています。この図を使って、さらに詳しく話します。」という説明ができるといいですね。
▼例えば、ferret Oneのセミナーでは、冒頭で「本日のゴール」を提示し
「図」で「答え」の説明しています。
※ferret Oneのセミナー資料より
──とにかく簡潔な表現が求められるんですね。
何かに困って来ている参加者に対して、最初から細かい図を出して「マーケリードを獲得するにはまずチャネル分解が必要です!チャネルに関しては〇〇と〇〇と〇〇があって、これらをすべてやりましょう!」と話しても、複雑すぎるんです。後でその内容を上司に伝えようとした時に、うまく伝えられなくなってしまいます。
──受講者が理解するだけではなくて、内容を周囲の人に伝えられる状態にならないといけないんですね。
社内稟議を通そうとする時に「なぜその商品を買う必要があるのか」を上司に納得させるためには、シンプルなメッセージが必要なんです。
──やはりシンプルさは重要ですよね。他にも伝えるために重要なポイントはありますか。
最初に、セミナーの主旨とゴールイメージを伝えるのも大事ですね。「今日のセミナーはこういった目的で作っています。最後、こういう風になって欲しいと思っています。」ということを共有しておきます。
──参加者と講師の目線を合わせるんですね。
ペルソナをスライドに入れることもあります。本当に聞いて欲しい人を逃さないためです。「後半には事前にお伺いしているこのような質問に答えます」というスライドを先に提示しておくと、途中退席のリスクが下がります。
セミナー資料の作り方④留意すべき注意点
──セミナー資料作りの際、注意すべきことはありますか?
弊社イベント運営チームでは、オフラインのセミナーとオンラインのセミナーで資料の作り方を少し変えています。
──どのように変えているのでしょうか?
オンラインセミナーは、簡単に途中退席ができてしまいます。よって、いかにコンパクトにまとめられるかが鍵となるので、時間を短くすることを意識しています。それにともなってスライド数も減りますね。逆にオフラインの場合は、わざわざ足を運んで来ているので内容の濃いものが求められます。
──変えない方がよい部分もありますか?
資料の手を抜かないというのは、共通する注意点のひとつです。耳メインで聞いてもらうことを想像して、オンラインセミナー向けの資料作りをないがしろにしてしまうのはもったいないことです。
──オンラインでも、資料の必要性を忘れてはいけませんね。
100%ラジオ感覚で聞いてもらうだけでは、意味が無いんです。最後は興味を持って、画面を見てもらえないと商品が売れません。画面に惹きつける構成は、絶対にやるべきです。
──参加者を画面に惹きつけるテクニックなどはありますか?
惹きつけるという意味で言うと、視聴者参加型を意識して、よく3択クイズを出しています。
──クイズですか。それはおもしろいですね。
たとえば、セミナー中にピラミッドやファネルの図を出して、そこに当てはまる「数字」や「キーワード」が答えになるように問題を作ります。一緒にワークしている感覚で、クイズに答えていくうちに図が完成し、自然と理解が深まるんです。
▼実際にferret Oneのセミナーではこのような3択クイズを行っています。
▼また、例えば、BtoBマーケティングの戦略を伝えるセミナーでは施策ごとに自社のCPAを記載するワークも取り入れています。
※ferret Oneのセミナー資料より
──なるほど。印象に残したい部分をあえてクイズにすると、ユーザーの記憶に残りそうですね。
■まとめ
セミナー資料作りの失敗談
──これまでの資料作成で、失敗だったなと思うことはありますか?
情報を盛り込みすぎてしまったことがありますね。伝えたいことが多すぎて、情報過多な資料を作った結果、参加者を置き去りにしてしまいました。今でも常に気をつけています。
──情報の取捨選択が重要ですね。
あとは、自分のキャラクターに合わない資料を使用した時、劇的にパフォーマンスが落ちました。
──参加者の反応がよくなかったのでしょうか?
そもそもアンケートの回答率が下がりました。「熱が無かった」など、好意的な感想が少なかったです。
──同じ発表内容だとしても、講師によってまったく違う資料を作るべきですか?
基本的な内容は同じでよいですが、それぞれの雰囲気やこれまでの経験をふまえてカスタマイズした方が圧倒的に刺さります。資料と話す人を1セットと考えて、それぞれが自分らしい力を発揮できる資料を持って登壇できるとよいと思います。
──なるほど。同じ内容に触れているものでも、さまざまな切り口のセミナーを作れば、刺さる人の幅も広がりますね!本日はありがとうございました。
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