ストーリー設計こそBtoBマーケターに必要なスキル
SAIRU×ferret One BtoBマーケティング リード獲得セミナー
これまで100社以上のBtoBマーケティングの戦略/立案に携わってきた株式会社才流(サイル)。代表である栗原氏と、ferretが初コラボしたノウハウ集『BtoBマーケティング実践ガイド』は、おかげさまで3ヶ月で1,600DL超えと非常に多くの反響が寄せられました。
2019年7月18日に開催された合同セミナー、『SAIRU×ferret One BtoBマーケティング リード獲得セミナー』では、ノウハウ集では書き切れなかった最新ノウハウや事例を大公開。
当日ご参加になれなかった方のためにも、セミナーのハイライトをお届けします。
株式会社才流 代表取締役
栗原 康太(くりはら こうた)1988年生まれ、東京大学文学部行動文化学科社会心理学専修課程卒業。2011年にIT系上場企業に入社し、BtoBマーケティング支援事業を立ち上げ。事業部長、経営会議メンバーを歴任。2016年に「才能を流通させる」をミッションに掲げ、経営者・事業責任者の想いの実現を加速させる株式会社才流を設立し、代表取締役に就任。アドテック東京などのカンファレンスでの登壇、宣伝会議・広報会議など主要業界紙での執筆、取材実績多数。
株式会社ベーシック SaaS事業部 マーケティング部 マネージャー
河村 和紀(かわむら かずき)創業期の株式会社ベーシックに入社。フランチャイズ業界を中心に、Webコンサルティング業務を行う。2017年5月、ferret Oneのマーケティングマネージャーに就任。月間広告費を「150万円削減」しながら、お問い合わせを「3.7倍」に伸ばすことに成功する。現在はその実践ノウハウをセミナーなどを通して発信中。
BtoBマーケティングの初心者でも80点を取れる方法とは?才流の栗原社長が明かす!これだけは押さえたい3つのメソッド
栗原氏:私の経歴をざっとお話ししますと、IT系の上場企業で2008年頃からBtoBマーケティングに携わってきました。その後、株式会社才流を立ち上げ、現在はBtoB企業に特化してマーケティング戦略の立案や施策の実行支援を行っています。弊社のミッションは、「才能を流通させる」こと。イメージとしては、人類の潜在能力の発揮です。
潜在能力を発揮するにはどうしたら良いかというと、スポーツもコーチに習うとがらりとパフォーマンスが変わるように、優れた方法論(メソッド)には人の潜在能力を引き出す力があります。ビジネスにおいても同様で、我々の主戦場であるBtoBマーケティングでも、明らかに成果が出やすくなる「メソッド」が存在するので、それを開発・発信したいと思っています。
今日は当社で開発したメソッドの中からいくつかをご紹介します。
まず、そもそもBtoBマーケティングとBtoCマーケティングで何が違うのかというところですが、一番は購買プロセスの中に営業が介在することです。BtoCは店頭やECサイトで買いますが、BtoBの場合は、営業と商談してから購入を決める。そこで、営業との商談数をどう増やすかというところが、売上や利益を上げる上での肝になってきます。
さらに補足すると、売上を構成する「商談数」「受注率」「商材単価」のうち、「受注率」は10~30%に落ち着くことが多く、10倍、100倍にはなりにくい。「商材単価」も10倍、100倍に上がることは稀でしょう。ただ、「商談数」だけは10倍、100倍に増やすことができる。マーケターとして影響を及ぼしやすい、という観点でも商談数を見ていくことが大切になります。
では、ここからは具体的に商談数を増やすための3つのメソッドをご紹介します。
メソッド1:CVRの改善が最優先。次に認知獲得
栗原氏:これからBtoBマーケティングをはじめる場合、まずは、CVR(コンバージョンレート)の改善を真っ先にやっていただきたいと思います。
「集客や認知獲得からやった方が良いんじゃないか?」という方もいらっしゃると思いますが、バケツに穴があいている状態では集客してもお客様を逃がしてしまい、広告費が無駄になります。一度離れたお客様にもう一度来てもらうのはなかなか難しいので、まずはWebサイトやランディングページのCVRの改善をしたうえで、集客や認知獲得というステップが重要です。
メソッド2:良い商談を生むまでの階段を設計する
栗原氏:お客様に知ってもらってから商談に至るまでの階段をつくる作業が、BtoBマーケティングの設計と言っても過言ではありません。
よくあるのが、「コンテンツ発信」からいきなり「お問い合わせ」を狙ってしまうケースです。コンテンツマーケティングをはじめた初期にやりがちなのですが、お客様から見ると、階段が急すぎて登ることができません。例えるなら、会ったその日に結婚を申し込むのと同じぐらい難しい。
本来は、コンテンツ発信からすぐにお問い合わせに繋げるようとするのではなく、間にセミナーや少人数勉強会など、お客様のニーズを踏まえた接点を作ることで、ようやくお問い合わせをしてもらうことができます。
階段設計の具体例としては、BtoB SaaS企業のWebサイトで、CVボタンが「無料トライアル」だけのケースがあります。冒頭のBtoBとBtoCの違いの表でもご紹介しましたが、BtoBの購買プロセスでは、決裁に至るまでに複数の人間が関係するので、担当者の一存でいきなり「トライアル」をすることは難しい。まずは資料を確認し、社内で使えるかを検討・調整したうえで、無料トライアルに進む流れが一般的です。当社の支援先でも、CVに至るまでのストーリーを考え、Webサイトに「資料請求」ボタンを置いてもらったところ、すぐにCV率が2倍になりました。
メソッド3:明確層・顕在層からアプローチする
栗原氏:バケツの穴を塞ぎ、商談獲得までの階段設計を整えたら、次はどう認知・集客を増やすか、という課題が出てきます。
この場合のセオリーとして、明確層(特定のサービスを使いたい)・顕在層(悩みを解決したがっている)からチャネルを増やすのがおすすめです。具体的には、検討度の高いお客様が見ている可能性の高いチャネル(指名検索、リスティング広告、購買に近いワードでのSEO、代理店開拓など)からやっていきましょう。
ただ、スタートアップの企業に多いケースですが、全く新しい製品・サービスは、市場に明確層・顕在層がいない可能性があるので、その場合は、潜在層(これから悩みを持つ可能性がある)・準顕在層(悩みはあるが解決策は不明)にアプローチできるチャネル(広報・展示会・オウンドメディアなど)から取り組む必要があります。
ユーザーに伝わりやすいストーリー設計とは?ferret Oneのマーケ担当が明かす!「情報の型化」の秘訣
河村:栗原さんのお話の中で、見込み顧客のストーリーに応じた階段設計や広告の制作・出稿が大切というポイントが出てきました。
私の方では、Webサイト内のストーリー、つまりお客様の心の動きを考えた伝わりやすいサイトの構造とは何か、そしてそれを具体的にどう形に落とし込んで行くかをお話したいと思います。
こちらは、僕が『ferret One』のマーケティングマネージャーに就任した2017年から、エバンジェリストとなって担当から外れるまでの11ヶ月の総リード数とお問い合わせ数の推移です。
総リード数とお問い合わせ数を劇的に増やすことができた結果、受注数は2.1倍になりました。さらに受注数は増えたにも関わらず、広告費自体は150万円の削減に成功しています。
しかし、弊社も最初から順調にお問い合わせが増えたわけではありません。ここに至るまでに、サイトの構造をかなり変更してきました。結果が出せたポイントは「お客様に伝わりやすいストーリー設計」です。
すべてのページには「目的」がある
河村:Webサイト全体を見ると、
- トップページ
- サービスページ
- 事例ページ
- 料金ページ
- セミナー告知ページ
など、それぞれのページには「目的」があります。
例えば、セミナー告知ページの「目的」は「セミナーへのお申し込み」です。そして、その目的を達成させるために必要なものが「コンテンツ」となります。
その中でも、目的を達成するために絶対に欠かせないコンテンツが「キラーコンテンツ」と呼ばれるものです。当セミナーの告知ページでは、栗原さんのセミナー資料を数ページ見られるようにしています。
実はこれを設置した後、メルマガ経由でのお申込み数が2倍になりました。つまり「セミナー資料の事前公開」が、セミナー告知ページのキラーコンテンツなのです。
ただし、コンテンツをただ単に並べるだけでは、目的は達成できません。これらのコンテンツを、お客様に伝わりやすい「ストーリー」に沿って並べていくことが重要です。それが「情報構造」です。
ストーリーが、サイトのパフォーマンスを左右する
河村:情報構造とは、言い換えると「ページ(目的)に合わせた並び(コンテンツの順番)」と言えば良いでしょうか。
よくできた情報構造というのは、「人間の頭に入って来やすい情報コンテンツの並び」になっています。そして情報構造には有効な型があります。このお作法をちゃんと守っているかどうかで、サイトのパフォーマンスは大きく変わります。
皆さんのサイトのトップページを例に考えてみましょう。
BtoB商材のトップページの目的は、端的に皆さんが提供するサービスが何なのかを伝えること。サイトを訪れる方は、必ずしも指名ワードで来られる方ばかりではありません。圧倒的に多いのは、まとめブログや検索経由でサイトにいらっしゃる方ではないでしょうか。
そのため、初めてアクセスされた方でも、何をやっている会社なのか一目でわかるようにしておかないと、即離脱につながります。
トップページの場合、目的を達成するために用意しておきたいコンテンツは、大きく分けると3つ。
1つ目はページの最初にくる、メインビジュアルとコピーです。一言で何のサービスかを伝えます。2つ目は、サービス紹介。ダラダラと長文を書いてはいけません。重要な要素を3ポイントくらいに絞って、サービスがどんなものかをしっかり訴求したいですね。
最後に欠かせないのが、導入事例です。サービスに関心を持ってページの中程まで読み進めたとしても、「どんな企業が使っているのかな?」とか、「本当に安心なのかな?」という疑問が湧いてくるんですね。そのタイミングで、導入事例を見せる。お取引先のロゴや導入実績の数字などを見せることで、信頼を得ましょう。
これはトップページの情報構造の例ですが、重要なのはスライドの右側に書かれている「読み手の感情の動きを考えて、情報を構成する」ことです。いきなり、左側のコンテンツ作成から着手しないでください。
情報構造の話を聞くと「言われた通りの順番にコンテンツを配置すれば良いんだ」と誤解する方が非常に多いです。でも、これはあくまでも伝わりやすい「型」の話なんですね。重要なのは、そこにどのような「中身(テキスト・画像など)」を入れるかです。読み手の感情の動きを理解しないと、最適な中身は作れません。
フランス料理のフルコースをイメージしてください。あれもオードブルからはじまり、メインディッシュ、デザートといった「型」があります。でも、いくら型に沿っているからと言って、デザートに杏仁豆腐を入れたら全体の流れがおかしくなりますよね。「あれ? フランス料理かと思ったら中華が出てきた」と。
大切なのはコース全体で、お客様を満足させることです。そのために鉄板の「型」を外さないことは重要ですが、それ以上に読み手の感情の動きを理解して、どのように満足させるのかを考える方が遥かに大切です。
CTAも、ストーリーの一部
河村:特にサイト訪問の出口となる、「CTA(コールトゥアクション)がきちんとお客様にフィットしているかどうか」は、大事なチェックポイントです。
少し前の事例ですが、弊社の『ferret One』の場合、お問い合わせフォームからお問い合わせいただく以外に、直接お電話をいただくことも多かったので、CTAとして、お問い合わせフォームへのリンクと電話番号を並列していました。
しかし、その場ですぐ見積が欲しい商材の場合は、CTAは電話でのお問い合わせに絞った方が良いでしょう。弊社が過去にお手伝いしたクライアントにもそうしたケースがあり、そのときはページヘッダーに電話番号を大きく表示し、お問い合わせフォームへの誘導はページ末尾に小さく表示する、という構成にしました。
CTAも、これまでお話してきたサイトのストーリー(情報構造)の重要な部分です。お客様が何を望んでいるかを踏まえたうえで、最後のCTAを設置しましょう。
今日は、ストーリーに応じた情報構造の大切さ、情報構造は型化できることなどをお伝えしました。これはすべて『ferret』をはじめとする自社サイトを運営するなかで培ってきた弊社のノウハウになります。
今日お話ししたことはごく一部になりますが、こうしたマーケティングノウハウの共有やサポートを含めた、オールインワンのマーケティングツールが弊社の『ferret One』です。ご状況に合わせたご提案をいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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