Web記事での引用、気をつけたい5つの注意点

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昨今、コンテンツマーケティングの浸透とともに、「オウンドメディアや自社ブログで記事を書かなければならなくなった」というWeb担当者の方が増えています。毎日のように記事のアイディア出しや執筆に追われ、大変でしょう。

その中でも記事の書き方、特に「引用の仕方」について迷われているケースを多く耳にします。この記事では「引用」に関して注意するべきことについてまとめてみました。

「引用」は、説得力のある記事・専門性のある記事を書く際には必要不可欠なものでありますが、きちんと理解した上で使わないと、著作権の侵害として訴訟問題に発展しかねないデリケートなテクニックです。

会社の看板を背負って立つWeb担当者として、「引用」のお作法について学んでおきましょう。

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目次[非表示]

  1. 1.引用に関する法律
  2. 2.引用する際の、5つのチェッックポイント
  3. 3.画像の引用をする場合
  4. 4.引用のルールを守らないとどうなる?


引用に関する法律

報道・批評・研究などにおいて自説を補強するために他者の文章を掲載・解説することを「引用」と言いますが、「引用」について著作権法第32条では、下記のように記されています。

(引用)

第三十二条  公表された著作物は、引用して利用することができる。

この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上

正当な範囲内で行なわれるものでなければならない

出典:著作権法(最終アクセス:2016年8月7日)​​​​​​​


この法律に定められた要件を満たせば、著作権者に了承を取らずとも文章を引用をすることができます。

「公正な慣行に合致」や「引用の目的上正当な範囲内」という部分がとても抽象的な表現になっていますが、この点は過去の最高裁判決(写真パロディ事件第1次上告審 昭和55.3.28)をはじめとする多くの判例によって実務的な判断基準が作られているようです。


文化庁によると、大きく次の4つを気をつけなければならないとしています。この注意点に基づき、一つずつ説明していきましょう。

引用における注意事項

 他人の著作物を自分の著作物の中に取り込む場合,すなわち引用を行う場合,一般的には,以下の事項に注意しなければなりません。


(1)他人の著作物を引用する必然性があること。

(2)かぎ括弧をつけるなど,自分の著作物と引用部分とが区別されていること。

(3)自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること(自分の著作物が主体)

(4)出所の明示がなされていること。(第48条)

出典: 文化庁 「著作物が自由に使える場合」(最終アクセス:2016年8月7日)


引用する際の、5つのチェッックポイント

本当に引用する必要があるのか?

そもそも引用するだけの理由がなければ、むやみに他人の文章を載せることはできません。理由もなく借りる、これは完全に窃盗ですね。

最近読んだ本が面白かったからといって、その本の内容をベタ貼りするだけではいけません。本文を引き合いに出すからには、引用した内容に対する感想や批評を載せるべきでしょう。たまに見かけるのが、「デザイン的にオシャレだから」なのか、外国の本を見開きにして、その本の中身を写真に撮ってバナー画像として利用しているもの。

「オシャレだから」「作りたいサイトの雰囲気に合っているから」載せているのだとしても、その書籍の本文を掲載する必然性はないため、完全にアウトです。気をつけましょう。


引用であることが明確に分かるか?

「引用」は他人の作品の一部を借りる行為ですので、あたかも自分の物のように扱ってはいけません。「これは借り物ですよ」ということがわかるように記載しましょう。

本文と明確に区別するため、斜体(イタリック)にしたり、CSS(cascading style sheets : サイトにデザイン性を持たせるための言語)でわかるように見せることが大切です。


引用がメインになっていないか?

繰り返しになりますが、「引用」とは自分の文章の説得力を高めるために他人の文章を利用するもの、です。あくまでも自分が書いた文章がメインでなければなりません。そのため、本文全体に占める引用の割合はできる限り低く抑えましょう。

「3分の1以下でなければならない」「過半数占めなければ大丈夫」など諸説あるようですが、それよりも肝心なことは、主従の関係を保つことです。

また内容に関しても、「引用以外の中身が薄っぺらい」文章では、読み応えのない記事になってしまいますので、質・量ともに引用に勝るものを作りましょう。


出典が明示されているか?

「引用」は、著作権者の許可を取らなくても良いとはいえ、一言添えるのが礼儀です。誰の文章の、どの部分を引用したのか明記することで、引用元の内容に興味を持った人に原典に辿り着けるような導線を設けましょう。

なお、書籍からの引用の場合は下記のような表記にすると分かりやすいです。

著者名『本の名前』出版社名,出版年,ページ数

オンラインからの引用の場合は

著者名(分かれば)「ヘッダ名(ページのタイトル)」URL(引用者自身の最新アクセス日)

これらの表記方法はいくつかパターンがあります。サイト内で統一した書き方のルールを定めて運用しましょう。


原文に手を加えてしまっていないか?

著作権法第20条1項にあるように、著作者には、自分の著作物とタイトルの同一性を保つ権利があり、本人の意思に反して勝手に変更したり削除されたり、といった改変を受けないとされています。

(同一性保持権)

第二十条  著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、

切除その他の改変を受けないものとする。

出典:著作権法


引用したものに勝手に文章を付け加えたり、文章の意味が変わってしまうような省略をすることは禁止されています。これは著作者の「人格権」の保護をはかるためです。

また、仮に引用した書籍・記事の本文に誤字脱字があったとしても、それを訂正してはいけません。誤字・誤植の部分の上部か右下に「(ママ)」と書いておきましょう。


画像の引用をする場合

画像も文章と基本的には同様です。引用する正当な理由があり、上記の適切なお作法を守れば引用が可能です。

ただし、気をつけておきたいのが芸能人やキャラクターが写った写真・画像を載せる場合です。タレントやアーティスト・キャラクターの写真は、それ自体が商品的価値・顧客吸引力を持っているため、無断で利用することは「肖像権」や「パブリシティ権」の侵害になってしまいます。

芸能事務所やキャラクター版権元の判断次第ではありますが、かなりグレーな部分ですので掲載しない方が良いでしょう。


引用のルールを守らないとどうなる?

こうした引用のお作法を守らないとどうなるのか、という心配があるかと思いますのでその点について触れておきましょう。

現状、日本の法律で著作権法は「親告罪」に当たります。これは、著作権者が告訴しない限りは公訴を提起することができず、刑事責任を問うことができない、ということです。

裏を返せば、「著作権者に訴えてしまったら訴訟になりますが、訴えられなければ大丈夫」とも取られてしまいますが、近年、著作権法を「非親告罪」にしようという動きもあり、実際に訴訟になっているケースも少なくないため、ルールはきちんと守るべきでしょう。


こうしたルールを守って”引用”することで、説得力のある専門的な記事を書くことができます。今回ご紹介した5つのポイントを意識して、更にお客様に読んでもらえるコンテンツを発信していきましょう!


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佐藤亮太(サトウ リョウタ)
佐藤亮太(サトウ リョウタ)
マーケティング部 マーケター ferret One立ち上げ当初からマーケティングや営業、コンサルティングなど幅広く担当。 現在はマーケターとしてメールやホワイトペーパーを用いた施策を中心に取り組んでいる。

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