ハロー効果とは?基本知識とビジネスでの活用事例をわかりやすく紹介


マーケティングや営業といったビジネスの現場では、顧客の心理に訴える施策や工夫が多くなされています。

この記事では、さまざまなビジネスシーンで活用されている「ハロー効果」について、具体的な活用事例を交えてわかりやすく解説します。

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目次[非表示]

  1. 1.ハロー効果とは何か?
  2. 2.ハロー効果の特徴
  3. 3.ハロー効果の活用事例
  4. 4.ハロー効果をマーケティングで活用するには?
  5. 5.ハロー効果を営業で活用するには?
  6. 6.ハロー効果は「誰が」言及しているかで効果に差が出る
  7. 7.ハロー効果を活用する上で注意したいデメリット
  8. 8.ハロー効果の活用で大切なこと
  9. 9.ハロー効果を正しく活用してマーケティングや営業に役立てよう


ハロー効果とは何か?


ハロー効果とは、ある対象を評価する時に、対象が持つ顕著な特徴に引きずられて他の特徴についての評価が歪められる「認知バイアス」現象です。別名「ハローエラー」「後光効果」とも呼ばれています。

ハロー効果という言葉が初めて用いられたのは、心理学者エドワード・ソーンダイクが1920年に書いた論文「A Constant Error in Psychological Ratings」です。ハローの語源は英語の「halo(後光、光背)で、聖人の頭上に描かれる光輪のことを指しています。


ハロー効果の例

ハロー効果の例として、以下のようなものがあります。

  • ハキハキ明るく受け答えする営業担当者に仕事ができそうな印象を持つ
  • 好感度の高い芸能人がCMしている商品を魅力的に感じる
  • 有名企業との取引経験がある会社は信用できると思う

日本のことわざでは「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い(お坊さんの印象が悪ければ着ている袈裟まで憎らしく思う)」「あばたもえくぼ(好きになると醜いあばたも可愛らしいえくぼに見える)」などが、ハロー効果を表しています。

また、ハロー効果に似た効果を持つものとして、以下のものがあります。

  • ピグマリオン効果:「他者からの期待」を受けることで、仕事・学習の成果が高まる効果
  • ホーソン効果:「他者からの注目」を浴びると結果を出せるようになる効果


ハロー効果の有名な実験

ハロー効果で最も有名な実験に、アメリカのゲシュタルト心理学者・アッシュによる「印象形成実験」があります。被験者たちに2人の人物に関するリストを提示し、それぞれの印象を調査しました。

  • Aさん:知的、勤勉、強力、非難的、頑固、嫉妬深い
  • Bさん:嫉妬深い、頑固、非難的、強力、勤勉、知的

2つのリストは、印象を表す言葉の並べ方に違いがあるだけです。しかし調査の結果、Aさんの印象は「欠点はあるが、能力のある人」というポジティブな印象になり、Bさんの印象は「能力があっても、欠点がある人」というネガティブな印象となりました。

このことから「どんな印象を最初に得るかで相手に対する全体の評価が変わる」ことが証明されています。


ハロー効果が起こる理由

ハロー効果の確固とした原因は、今もなお解明されていません。有力な説として、原始時代は即断即決が生存に有利だったため、遺伝子的に受け継がれたものという見方があります。

ハロー効果は多くの人が影響を受けやすい心理現象です。うまく活用することで自社の商品やサービスが選ばれるように働きかけることができます。


ハロー効果の特徴


ハロー効果は、ポジティブな印象から肯定的にも、ネガティブな印象から否定的にも働きます。


ポジティブ・ハロー効果

対象の目立った「良い」特徴を捉え、実際より高く評価することをポジティブ・ハロー効果といいます。

【ポジティブ・ハロー効果の例】

  • 企業Webサイトの取引先一覧→「この企業と仕事をしているならいい会社に違いない」
  • ○年連続売上No.1、業界シェア率○%→「実績のある企業ならいい会社に違いない」

芸能人のCMやイメージキャラクターの起用、選挙活動等での芸能人の応援演説などがこれにあたります。


ネガティブ・ハロー効果

対象の「悪い」特徴をその人の全体評価として捉え、実際より低く評価することをネガティブ・ハロー効果といいます。逆ハロー効果、ホーン効果、悪魔効果とも呼ばれます。

「社長や役員のメディアでの失言で不買運動が起こる」などがこれにあたります。

【ネガティブ・ハロー効果の例】

  • 社員の不正が発覚した企業→「商品やサービスも悪質なものではないか」
  • カスタマーセンターの対応が悪い→「商品やサービスは良くても残念。使い続ける気はしない」

このように、サービス内容とは関係ないところでも悪印象を与えてしまうと、商品やサービス・会社全体のイメージまで悪く思われることが多々あります。

ハロー効果を理解するにあたって、人が何かを判断する際は「周辺情報」も大きく関わってくることは必ず押さえておきましょう。


ハロー効果の3B

下記は、人が無意識で好感を抱きやすい「ハロー効果を高める3要素」です。

  • Beauty(美しい)※美しい笑顔も含む
  • Baby(赤ちゃん)
  • Beast(動物)

これら3つの要素は多くの商品やサービスに用いられています。


ハロー効果の活用事例

私たちが普段触れているビジネスの現場(マーケティング・営業等)でも、ハロー効果はさまざまな形で活用されています。ここでは、クラウドソーシングサービス「Lancers」の活用事例を見てみましょう。

Lancersは、日本最大級のクラウドソーシング仕事依頼サイトです。多くのフリーランスや個人が登録し、仕事を依頼したい企業とのマッチングを生み出しています。



ハロー効果の一例として、LancersのTOPページには「満足度・運用実績NO.1」と信頼性を高める数値実績が掲載されています。

また、利用事例として、大手から中堅・中小・ベンチャー企業など全国35万社以上が利用していることを訴求。実際に利用している誰もが知る有名企業のロゴも掲載しています。

これらは、仕事を依頼する人材を探すプラットフォームとしての信頼性を強く高め、「ランサーズならいい人が見つかるだろう」といった印象を与えています。

参考:Lancers


ハロー効果をマーケティングで活用するには?


ハロー効果のメリットとして、以下の3点が挙げられます。

  • 高評価を受けやすい
  • 信頼されやすくなる
  • 悪いイメージを払拭できる

ハロー効果をマーケティングで活用するには、以下の方法があります。


1.口コミ戦略

特に飲食業の口コミでは、ハロー効果を応用することで集客力を高めやすくなります。

食べログ・ぐるなび・retty・Googleビジネスプロフィール等に掲載されている5段階評価は、口コミや星の数が多いほど「このお店は美味しいだろう」と見た人に評価されやすくなります。

反対に、口コミや星の数が少ないお店はネガティブ・ハロー効果で「イマイチそう」と思われ、実際は美味しい料理を提供していても避けられる傾向があります。

活用例として、口コミ投稿者には「クーポンプレゼント」「ドリンク一杯サービス」などの特典を付与し、口コミを促す施策があります。ただし、待ち時間が長かったりサービスに不満があるとマイナスな口コミにつながるため、注意が必要です。プラスの口コミを増やすには、施策を行うと同時に顧客満足度を高めるような店舗づくりが必須となります。

コスメ・美容業界や、ホテルなどの宿泊施設の口コミも同様です。また、有名インフルエンサーにサービスをモニター提供してSNSで紹介してもらうPRや、一部問題視されているステルスマーケティングもハロー効果にあたります。

口コミ投稿を見せにくい業界では、消費者にアンケート調査を行い、ポジティブな声をハロー効果として使用するという方法もあります。

また、最近ではBtoBサービスにおいても、口コミが重要視されています。下記のようなIT製品/ SaaSのレビューサイトもあり、サービスの選定に影響していると考えられます。

例:ITreviewにおける「ferret One」の口コミ


2.有名人の起用

CMや広告に有名人を起用するのは、わかりやすいハロー効果を生み出します。
親近感や憧れといった有名人に対するプラスの感情が、商品やサービスに対するポジティブな印象に影響し、集客数や販売数が伸びやすくなります。

ただ、有名人を起用する際は、ターゲットにプラスの印象を与えられる人選を慎重に行う必要があります。人選を間違うとターゲットに響かないだけでなく、企業の印象を悪化させる恐れがあることも理解しておきましょう。

【例】

  • 女性を応援する広告にシニア層の男性芸能人を起用する
  • メディアで度々トラブルが報じられている有名人を起用する


3.専門家や社会的地位が高い人の意見

商品やサービスに医師や専門家等の監修やコメントが入ることで、信頼性が高まり選ばれやすくなります。皇室御用達なども同様の効果があります。


4.受賞歴の訴求

セレクションで金賞や最優秀賞を得た商品やサービスは「良いものだろう」と評価されやすくなります。ユーザーが多く存在する楽天市場では、掲載ショップの多くが商品ページで「○○ランキング1位」を訴求しています。


5.売上数・売上金額などの目を引く数値データの訴求

具体的な数値を訴求することで、消費者からの信頼性を高められます。サプリメントや食品・コスメなどは含有成分のパーセンテージを明記し、説得力のある論文や研究事例を訴求することで消費者の目を引き、信頼性を高める要素として働きます。

【例】

  • ○○成分が○%含まれています
  • レモン○個分のビタミンC


6.ブランド戦略

企業そのもののブランド力を高めることに成功すれば、ブランドイメージがそのままハロー効果として役立ちます。それにより費用がかかる広告宣伝をすることなく、集客数や売上を伸ばすことも可能になります。

【例】

  • 「システムトイレや水回りの設備なら○○社がいい」
  • 「満足できるサービスを受けるなら△△社の系列ホテルがいい」

ただ、ブランド戦略は短期で効果が出るものではないことを理解しておきましょう。ブランドイメージを高めるためには、魅力的な商品やサービスを継続的に開発すると共に、メディアへの露出や良い口コミを増やす施策を長期的に続けていくことが大切です。


ハロー効果を営業で活用するには?


ハロー効果を営業で活用するには、以下の方法があります。


1.身だしなみ

清潔感のある身だしなみを意識しましょう。

髪を梳かす、ハンカチを持つ、シャツにアイロンをかける、靴を手入れするなどを習慣づけて、クリーンな印象を与えることが大切です。夏場の匂いなど、目に見えない箇所にも注意するようにしましょう。


2.話し方

オドオドした声や話し方は、自信のなさを感じさせてしまいます。よく通る声・程よく大きな声でハキハキとした対応を心がけることで、快活な印象を与え、「頼りになる」という信頼感につながります。


3.肩書き(役職・職業)

同じ商談で同じプレゼンをしたとしても、役職があるかないかで相手が反応を変えることがあります。訴求できる役職があるとそれだけで信頼を得られ有利となることも多いものです。

自分に役職があれば、名刺等を用いて積極的にアピールしましょう。


4.過去の実績

過去の実績は「うちでもいい成果を出してくれるだろう」など、未来への期待につながりやすいメリットがあります。新人のうちはアピールできる実績を積極的に取りに行くことも大切です。


営業先のハロー効果に注意する

営業の場合、ハロー効果は相互に働いているため、相手に対し「認知誤差」を起こしていないか気をつけることも必要です。特に大企業を相手にすると、ハロー効果を受けることで相手を上に見てしまうこともあります。必要以上に相手を優位にしすぎたり、自分がへりくだって控えめになってしまわないよう、注意してください。営業の場面では、相手を正しく見て、対等なやり取りを意識しましょう。


ハロー効果は「誰が」言及しているかで効果に差が出る

ハロー効果は「誰が」言及しているかで影響度合いが変化します。そのため、広告や宣伝に誰を起用するかは重要な項目となります。例えば化粧品を販売する場合、一個人の感想よりも、医療系の専門家による専門知識を交えた評価の方がハロー効果は大きいものとなります。

ハロー効果をマーケティングに活用するには、対象となる消費者がどのような商品を求めているか、背景にある生活スタイルはどんなものかを念頭に置くことが重要となります。「どの層にアピールするのか」「ターゲットが感じる課題や悩みは何か」などの情報を明確にすることで、実施すべきマーケティング手法が考えやすくなります。

反対に、こうした消費者理解が足りていないと、ポジティブ・ハロー効果を狙ったつもりがネガティブ・ハロー効果につながってしまう場合があります。

営業においても、営業する本人が「誰=どんな人物であるか」「誰=どんな企業に属しているか」が影響を及ぼします。商談を成功に導くためにも、第一印象でポジティブな印象を与えられるように意識できるとよいでしょう。


ハロー効果を活用する上で注意したいデメリット


ここでは、ハロー効果を活用する際にあらかじめ知っておきたいデメリットをまとめました。


評価が歪めて判断される

ハロー効果でポジティブな印象を持たれたとしても、一方で「その他の要素」が正当に評価されないことがあります。その他の要素とは、商品であれば価格や仕様・素材の良さなどです。人物であれば、本来の人柄や素養などがこれにあたります。仮に広告起用した芸能人が不祥事を起こしイメージを著しくダウンさせた場合、そうした要素がネガティブ・ハロー効果に引っ張られてしまう場合があります。


不祥事のギャップが深くなる

良いと思っていたものが悪かったとわかると、好感度が高かった分がっかりさせる度合いも大きくなり、顧客離れにつながりやすくなります。ハロー効果が働きすぎると、一方で商品そのものの価値が伝わりづらくなる側面もあります。ハロー効果を活用する際は、同時に商品の質や機能も意識して発信し続けましょう。


持続力がない

ハロー効果には、多くの人に影響を及ぼす一方で、持続力に欠ける特徴があります。そのため、ハロー効果を活用した先には、信頼を獲得できる商品やサービスの質の良さ、ブランド価値があることが重要です。


ハロー効果の活用で大切なこと

ハロー効果を活用する際は、実際の商品やサービスと乖離しないことが重要です。ハロー効果を意識するあまり誇大表現を用いても、その先で顧客満足を得られなければ、一転してよりネガティブな印象を与えることになります。

また、ハロー効果を起こすためのセレクションの受賞歴や専門家の意見・数値データ等は、合理的な根拠を示すものでなければなりません。仮に大げさすぎる虚偽の疑いがある場合は、消費者庁に裏付けがある資料を提出することになります。

ポジティブ・ハロー効果をうまく活用するには、顧客満足度を高める商品やサービスを開発すると共に、事実に基づいたアピールをすることが大切です。


ハロー効果を正しく活用してマーケティングや営業に役立てよう

人の心理に働きかける効果として、ハロー効果はわかりやすく、取り入れやすい特徴があります。
ハロー効果は決して万能ではありませんが、顧客の最初の目を引く信頼性のある訴求として高い効果を発揮します。

ハロー効果を入り口に、自社の商品やサービスの価値を正しく伝え続けていけば、顧客との強固な信頼関係が築かれるはずです。

マーケティングや営業をはじめとしたビジネスの現場でも、有効に活用していきましょう。


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ferret(One Tip編集部)
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