コンパクトに始める!BtoBマーケを加速させる組織のつくり方~BtoBマーケ・ミートアップレポート~
最近では、BtoBマーケティングを行うための方法論やツールなど、BtoBマーケに関するたくさんの有益な情報が手に入るようになりました。しかし、実際に始めるにあたってどんなリソースが最低限必要で、どんな組織をつくれば良いかというところに踏み込んだ情報は、なかなか手に入りません。
2019年12月6日、そうしたニーズに応えるべく、「BtoBマーケのPDCAを効率良く回せる、コンパクトな組織のつくり方」にフォーカスしたミートアップイベントが東京・渋谷にて開催されました。今回は、そのダイジェストをお届けします。
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必要なのは、BtoBマーケの構造を理解した組織づくり
登壇者プロフィール
元木雄介(もときゆうすけ)
株式会社ベーシック インサイドセールス リーダー2015年にCMS販売会社に新卒で入社。営業職として東京エリアの新卒年間売上1位を獲得。2017年に株式会社ベーシックに入社後は、Webマーケティングツール『ferret One』のインサイドセールスおよびフィールドセールスに従事し、10ヶ月連続目標達成に貢献。現在は、マーケティング業務に携わりながら、インサイドセールスのリーダーを務める。
弊社は、BtoBマーケティングツール『ferret One』を提供しています。パワポやワード感覚でページを追加・修正できるCMS機能をはじめ、メールマーケ・LP制作・ABテストまでひとつのツールでできるのが特徴です。
私からは、受注までを見据えたBtoBマーケの設計と理想の営業体制についてお話しさせていただきます。私自身、今は『ferret One』のマーケティングに携わりつつ、インサイドセールスのリーダーとして、1名でインサイドセールスを回している営業職でもあります。
まず初めに、BtoB商材とBtoC商材の違いを整理しておきましょう。
- BtoBの商材購入時の特徴
- 商品(サービス)が高単価
- 検討が長期間である
- 複数人数の決裁が必要なことが多い
このような3つの特徴があるため、フィールドセールスが1社にかかりきりになると、どんどん人的コストがかさみます。つまり、フィールドセールスが効率的な営業活動に専念できるようにリードを渡していくことが重要です。
弊社がそのために実施しているポイントは、次の3点。
1.インサイドセールスとマーケティング部の連携
フィールドセールスに余計な稼働をさせないために、質のよい案件を渡せるよう、インサイドとマーケ担当が連携をしています。
(2019年 翔泳社 福田 康隆『THE MODEL』より)
弊社のマーケ部隊は、「インサイドセールスのアポイント数」まで責任を持っています。マーケティングができることは、リードの品質の担保。そのためにマーケ担当は、お客様の検討フェーズに応じた様々な施策を行い、インサイドセールス担当は、リードの質をマーケにフィードバックしています。
こうしてマーケとインサイドが、アポ数という共通の目標を持つことでPDCAがスムーズに回るようになりました。結果、フィールドに渡す案件の質を高めることができ、フィールドの稼働コストを抑えられています。
2.営業部隊が足りないときは、アウトソーシングを活用
インサイドセールスは私ひとりで回しているため、手が足りなくなることもありますが、そんなときは、思いきってフリーランスの営業職の方の手を借りています。
3.マーケ担当がサイトを編集・更新
インサイドからマーケへのフィードバック内容によっては、LPやサイトの訴求を変更する必要が出てきます。そうしたときに、外部パートナーや、エンジニアさんやデザイナ―さんに修正を依頼していたのでは時間とコストがかかってしまいますが、『ferret One』であればマーケター自身がサイトを編集できます。
コーディングやプログラミングを行う必要がないので、どんどんWebサイトを修正しながらPDCAを高速に回していくこと、成果が出るまで運用し続けることが成功の秘訣です。
こうした、コンパクトな組織であれば、BtoBマーケを立ち上げたばかりの企業でも人員配置がしやすいのではないでしょうか。
打率を上げるためには、まず営業リストの質を上げる
登壇者プロフィール
野中崇史(のなかたかし)氏
Baseconnect株式会社 セールスチーム マネージャー新卒で投資ファンドに入社後、ベンチャーキャピタル事業や新規事業の立ち上げに携わる。その後も、複数の企業にて、新規事業の推進や経営企画業務、投資先企業のターンアラウンド等に従事。2018年よりBaseconnect株式会社のセールス責任者に就任。インサイドセールスやカスタマーサクセスの立ち上げを担当している。
弊社は、京都にあるIT系スタートアップです。法人営業を支援する企業情報データベース『Musubu』というサービスを提供しています。『Musubu』は、これまで手間と時間をかけて調べ上げていた営業相手のデータを、効率良く収集できるサービス。
営業活動の成果を上げるためには、業務量が多く難易度が低い、「営業リストの作成フェーズ」からテコ入れするのがベストです。
営業リストの質を上げるには、次の3点にフォーカスすることが大切です。
セグメンテーション軸
優良顧客の共通項などから、ターゲティング企業のセグメンテーション軸を見直します。業種や企業規模だけでなく、意外な共通項が見えてくるかもしれません。このとき、いきなり数百件のリストを作成するのではなく、100件程度のリストをいくつか作成して、仮説検証を繰り返すことが大切です。
仮説構築
仮説を構築するためには、事前の情報収集が欠かせません。コーポレートサイトや業界団体のWebサイトはもちろん、SNSやインタビュー記事などもチェックしましょう。『Musubu』では、こうした基本的な企業情報のほか、関連記事や類似企業の情報もまとめて確認できます。
PDCAサイクル
ベストプラクティスは存在しないので、KPIを参考にしながらPDCAを回し続け、見直しをかけることが重要です。また、顧客の生の声をしっかり聴いて、参考にしましょう。
セールスの現場はもちろん商談の場でもありますが、「顧客の生の声を聴く」という観点からも重要なシーンです。
例えば、アウトバウンドコールは、セールスが行うマーケティング活動と捉えることができます。特別な準備なく、すぐに始められてPDCAを回しやすいのがメリット。さらに特筆すべきは、通常のマーケ施策ではアプローチできない層にもリーチできることでしょう。
また、インサイドセールスはマーケ施策のリトマス試験紙の役目を果たします。フィールドセールスに比べて営業パフォーマンスが安定しやすく、全て録音できるので、トップ営業のノウハウを学んだり、自らのトークを振り返ったりするのにも適しています。
こうした、顧客の生の声を聴く際にも、『Musubu』の情報を活用してください。業界最高の25以上のセグメンテーション軸があるだけでなく、400種以上の業界を網羅。事業内容に関連するキーワードからの逆引きもできるので、使い方次第で法人営業のターゲティング精度を何倍にも高めることができます。
仕組みさえあれば、人的リソースはアウトソーシングできる
登壇者プロフィール
出久地旭(でぐちあきら)氏
カクトク株式会社 Pro director事業部 チームリーダー「誰かの幸せになるような仕事に就きたい」と、新卒でホテルに入社。ホテルマン時代に培ったサービス提供姿勢が営業職としての基盤となり、人材系の会社の営業職へ転身。その後、広告会社の営業職を経て、カクトク株式会社へ。新規事業であるPro director事業部の立ち上げに従事。仕組みづくりからクライアント提案、採用まで一挙に担う。
弊社は、営業に特化したクラウドソーシングのプラットフォーム『kakutoku』を展開しています。登録している営業人材は、約5,000名。営業経験が5年~10年程の即戦力となる営業人材が集まるプラットフォームです。
2017年版 中小企業白書によると、現在58%の企業が「営業力に課題を抱えている」という状況です。この15年間で、営業人材は130万人減少としたと言われており、営業職の転職時の有効求人倍率は、2.34倍となっています。
企業の持つ営業課題は様々ですが、代表的なものだと、
「新規事業を始めたが、プロダクトに強い営業人材が社内におらずノウハウがない」
「全国的に一気に拡販したい」
「日本でテストマーケティングを実施したい(外資系企業)」
など。
一方、8時間勤務の営業職人材の実質的な営業活動時間を計算してみると、3.5時間程度。仮に年収400万円の人材だった場合、時給にして12,000円~15,000円という金額になり、「営業に固定費を割きたくない」という気持ちもよくわかります。
では、外部の営業人材を活用した組織づくりには、どんなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
即効性のあるメリットとしては、「営業のプロを集めやすいうえ、採用した場合と違って莫大な固定費がかからない」というところ。反対に気を付けておきたいのは、「マネジメントコストはゼロではない」という部分です。優秀な営業職である人ほどキャラクターにクセがあることも多いので、マネジメントのリソースが全くなければ、アウトソーシングは難しいでしょう。
また、営業のアウトソーシングを行うにあたっては、どのプロセスを外注するのかが重要です。
たとえば、「コールドリードをホットにするまでを外注し、自社セールスへホットリードを引き継ぐ」のか、「自社でナーチャリングしてホットリードにしたものを外注へ渡し、クロージングを任せる」のか。自社の体制に合わせた設計が必要です。
以上、「BtoBマーケのPDCAを効率良く回せる、コンパクトな組織のつくり方」について、3社のサービスとあわせてお届けしました。
実際にBtoBマーケを始めるにあたって、どんなリソースが最低限必要で、どんな組織をつくれば良いのか。BtoBマーケに取り組む皆さまの参考になれば幸いです。